●第72回秋季関東高校野球大会(1回戦)
~吉田監督の多彩な戦術と戦略でベスト8~
~外川が初球スクイズし2者が生還11対6~
第72回秋季関東地区高校野球大会1回戦の山梨学院(山梨1位) 対 文星芸大付(栃木2位)が10月20日、高崎市城南野球場で行われ、山学は文星に11対6で勝ち準々決勝へ進出した。先攻の山学は1回表に一死満塁とし5番 橘田陸斗の犠飛で1対0と先制。2回表には1番 渡邉嵩馬が俊足で相手の悪送球を誘い2対0、続く2番 功刀史也の犠飛で3対0とリード。2回裏と3回裏に1点ずつ返され3対2とされた4回表、山学は7番 才津紘大が二塁打を放ち、犠打と9番 中島大介のスクイズで4対2とした。山学は4回裏には、安打と失策でなどで4対3とされた5回表、6番 外川温大の適時打で6対3。さらに6回表、一死三塁で1番 渡邉がスクイズを決め7対3。7回表には、6番 外川が適時打を放ち8対3とリードを5点とした。山学は7回裏、吉田洸二監督が先発の左腕 吉川大に「明日の試合を考えて」リリーフ右腕を送ったが8対5とされ、右腕 河瀬貴洋にスイッチしたが右犠飛され8対6と追撃される。山学は9回表、3番手右腕から一死一・二塁、5番 橘田が適時二塁打で9対6。一死二・三塁、6番 外川が初球をスクイズし2者が生還し11対6と引き離した。リリーフ右腕 河瀬が裏を抑えて試合終了。山学は相手12安打、山学は8打点、終わってみたら11対6。吉田監督の多彩な戦術と戦略。犠打にスクイズにエンドランで見る側も翻弄された試合展開で勝利し、ベスト8として準々決勝に進出を決めた。明日10時から上毛新聞敷島球場で強豪の花咲徳栄(埼玉1位)に挑む。
◾️〈 試 合 〉◾️
▶︎山梨学院は吉田洸二監督が1回戦で当たるチームについて「文星芸大付のデータは何もないので、どのようなチームかわからない。戦いながら作戦を立てるしかない」と今は手の施しようがないと述べた。「この時期は、どこのチームも新チームで日々成長する。特にうちは甲子園出場チームで新チームの結成が1ヶ月半、遅れている。戦いながらチームを育てている」と頷く。「投手は左腕 吉川と急造の右腕 河瀬と、ともに打たせてとるタイプ。ある程度の失点は覚悟しなければならない」と大きく頷く。「甲子園出場経験の栗田を核にセンターライを中心に守りぬいて、粘り強く得点を重ねていく。特に監督の采配が試合を左右する」と明かした。「3年生の選手は2度しか甲子園のチャンスがない。他方、栗田は1年からキャッチャーマスクを被っていて最多出場がかかる。選手ファーストなので、選手の望みを叶えるため選手の足を引っ張らない采配をしたい」と、関東大会では2年連続甲子園出場目安となる2勝を目指し、まず第1戦に臨む。高崎市は10時00分天気予報は、天気晴れ、気温23.0度、湿度54%、西の風、風速1m/s。高崎市城南野球場は明治神宮球場をモデルに1936年に完成した両翼95m、中堅120mの球場。13時36分、山梨学院(山梨1位)と文星芸大付(栃木2位)が整列して、主審のコールで第1回戦の試合が開始された。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院 | 1 | 2 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 | 0 | 3 | 11 |
文星芸大付 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 6 |
▶︎1回表、先攻の山梨学院は一死後、2番 功刀史也(2年)がフルカウントから四球を選び出塁。3番 小吹悠人(2年)の3球目に盗塁。小吹が四球を選び一死一・二塁。4番 栗田勇雅(2年)の初球に投手暴投で一死二・三塁。しばたが四球を選び一死満塁。5番 橘田陸斗(2年)が1-0から中犠飛を打ち1対0と先制。
▶︎1回裏、山学は吉田洸二監督が左腕 吉川大(2年)を先発でマウンドに上げた。左腕 吉川が1番打者に3-1から中前安打を許し無死一塁。2番打者を1-0から遊ゴロの併殺に打ち取り二死。3番打者を1-0から左中間二塁打され二死二塁。4番打者を一邪飛に打ち取りチェンジ。
▶︎2回表、山学は先頭の7番 才津紘大(2年生)が0-2から左前安打で出塁。無死一塁、8番 吉川大(2年)が3-0から四球を選びむし一・二塁。一死後、1番 渡邉嵩馬(2年)が1-2から遊ゴロに俊足を生かし一塁へ走り、これが遊撃手の一塁への悪送球を誘い、二塁から才津が生還し2対0。一死一・三塁、2番 功刀史也(2年)が1-1から中犠飛を打ち3対0とした。
▶︎2回裏、山学は左腕 吉川が先頭の5番打者をフルカウントから右中間飛に打ち取り、6番打者にフルカウントから四球を与え一死一塁。7番打者に1-0から右前安打を許し一死一・二塁。8番打者の2-2から右前安打され一死満塁。9番打者に初球右犠飛を許し3対1とした。
▶︎3回裏、山学は左腕 吉川が先頭の2番打者を3-1から左前安打を許し無死一塁。3番打者1-2から右前適時二塁打され3対2。無死三塁、4番打者を1-1から三ゴロ、5番打者を0-1から一飛に、6番打者を1-2から遊直に打ち取りチェンジ。
▶︎4回表、山学は先頭の7番 才津が2-2から右中間への二塁打を放ち無死二塁。8番 吉川が0-1から捕手前に犠打を決め一死三塁。9番 中島大介(2年)が1-0から投へのスクイズを決め4対2とした。
▶︎4回裏、山学は左腕 吉川が先頭の7番打者に3-1から左前安打を許し無死一塁。8番打者の二ゴロを後逸の失策で無死一三塁。一死一・三塁、1番打者の1-1から左前適時打を打たれ4対3とした。
▶︎5回表、山学は一死後に3番 小吹が3-1から四球を選び一死一塁。4番 栗田が左中間を破る二塁打で一死二・三塁。代わった2番手右腕から5番 橘田が1-0からバントで仕掛けるも二死二・三塁。6番 外川温大(2年)が3-1から中前適時打を打ち6対3とした。
▶︎6回表、山学は先頭の8番 吉川が0-1から中二塁打し無死二塁。9番 中島の捕手前犠打で一死三塁。1番 渡邉が2-1から一塁側への投スクイズを決め7対3とした。
▶︎7回表、山学は一死後に4番 栗田が2-1から一ゴロで二死二塁。6番 外川が1-0から右線適時打を放ち8対3とした。
▶︎7回裏、山学は吉田監督が左腕 吉川大(2年)「明日の試合を考えて点差が5点でたので、変化球の良い」に代えてマウンドにリリーフ右腕 藤巻洋佑(2年)を送った。右腕 藤巻は、先頭の1番打者に2-2から中前安打を許し、2番打者0-1から右中間安打され無死一・二塁。3番打者の初球を右安打され無死満塁。4番 打者に初球を右前2点適時打され8対5無死一・二塁。5番打者を0-2から空振り三振に打ち取り一死一・二塁。6番打者を3-1から四球を与え一死満塁。吉田監督が右腕 河瀬貴洋(2年)にスイッチ。右腕 河瀬が7番打者にフルカウントから右犠飛を与え8対6。8番打者を0-2から見逃し三振に切って取った。
▶︎9回表、山学は8回裏からリリーフ3番手右腕から先頭の2番 功刀がフルカウントから四球を選び出塁、3番 小吹が 1-0から投犠打を決め一死二塁。4番 栗田が2-1から遊飛を打ち上げ、これを遊撃手が落球の失策を犯し一死一・二塁。5番 橘田が2-1から左線適時二塁打で9対6。一死二・三塁、6番 外川が初球をスクイズし栗田とセカンドランナー橘田が生還し11対6と引き離した。
▶︎9回裏、山学はリリーフ右腕 河瀬が先頭の3番打者を1-2から二ゴロに、4番打者をフルカウントから四球を与え一死一塁。5番打者を2-2から死球を与え一死一・二塁。6番打者を0-1から左飛に打ち取り二死一・二塁。7番打者を初球で右飛に打ち取り試合終了。
◾️相手12安打、山学は8安打、終わってみたら11対6。誰しも、6対11の間違いではないかと目を疑う試合結果。吉田監督の多彩な戦術と戦略。犠打にスクイズにエンドラン、吉田監督マジックで見る側も翻弄された試合だった。
⬛︎試合終了後 のインタビュー⬛︎
▶︎得点打率チームトップの6番 外川温大(2年)は9回表「初球スクイズのサインが出たので、チームのために確り決めようと一球に集中した」と振り返る。球は「外にはずれたストレート、一塁側に転がした。一塁に自分も生きようと走った。アウトになってホームを見たら橘田がかえっていたので2点入ったとわかった」とチームプレーで2者が生還し11対6と引き離した。7回の適時打について「前の打席に外甘めのスライダーを打ったので、ストレートが来ことも頭におてい打席に立った」。結果「ストレートが来たので振り抜いた」と明かす。明日は「今日みたいにチームに貢献できるように準備をして試合に臨みたい」と述べた。
▶︎結果として決勝点となったスクイズを決めた1番 渡邉嵩馬(2年)は「カウントになってスクイズのサインが出た。練習からスクイズは『気持ち』と習い、それを実践しょうと。インコース寄りのベルトの球を、一塁側に転がした」と述べた。2回表の遊ゴロは「ほぼ正面のショートゴロ、諦めずに無我夢中で走った」と遊撃手の失策を誘い2点目をチームにもたらした。明日は「集中して、全力で自分の俊足を生かし守備と攻撃でチームに貢献したい」と述べた。
▶︎6回を好投した左腕 吉川大(2年)は「昨日、先発を正式に告げられた」と明かす。今日の投球は「県大会と変わらぬ、内容だった。コントロールが良くなかった。打たれたのは、カウントを整えようとした球を打たれた」と反省。明日は「最初から飛ばして、最少失点で抑えられるように最善を尽くしたい」と述べた。
▶︎主将 功刀史也(2年)は試合を振り返って「大事な初戦、初回は自分たちのリズムで先制できたが、途中で自らの守備のミスで雰囲気が悪くなったが、そこからもう一度後半でチームを立て直して行けたことが勝利につながった」と振り返った。明日は「甲子園がかかった一戦だが、相手は花咲徳栄で自分たちより上のチームなので、甲子園を意識しないで一投一打、チーム一丸となって楽しんで試合をしたい」と意気込みを述べた。
▶︎吉田洸二監督は「試合前から今日は、『打線をつないでつないで打ち勝つ』」と選手に伝えた。「投手には点を取られても取られても、気持ちが挫けないで、『勝つ』と強い思いを持ってやろう」と、「選手ともども臨んだ試合だった」と頷く。「今日のテーマは、内容はともかく『勝つ』ことだったので目的は十二分に達成できた」と選手を褒めた。明日は「相手の強さは3ランク上にあるが、すきあらば勝ってやろうと、全員一丸となって試合に挑みます」と述べた。
文(H.K) 、カメラ(今村佳正) 2019.10.20