●第72回秋季関東地区高校野球大会(準決勝)
~外川 大逆転劇 4打数4安打4打点大車輪の活躍~
~先発左腕 吉川が粘投 / リリーフ右腕 河瀬好投~
第72回秋季関東地区高校野球大会準決勝戦の山梨学院 対 桐生第一が10月26日に上毛新聞敷島球場で行われ、山学は逆転で桐生に6対5で勝ち決勝へ進出した。先発の左腕 吉川大が3回裏スクイズで先制を許した4回表に、6番外川温大が中前適時打で1対1。4回裏、内野手失策で1対2とされた6回表に6番外川が右犠飛を打ち2対2。7回裏に2対4とされた8回表、吉川が自らのバットで中越え2点適時二塁打を放ち4対4の同点。その8回裏に4対5と再びリードされた9回表二死二・三塁に、この日3安打2打点の6番外川が「次のバッターにつなぐ」と集中し、2球目の「外の膝上チェンジアップ」を叩き、内野手のグラブを弾く2点適時打で6対5と大逆転劇を演じた。その裏にリリーフ右腕 河瀬貴洋が4番からの打順に「バックを信じてストライク先行で行こう」と決めてマウンドに向かった。河瀬は先頭の4番打者を遊ゴロに、5番打者も遊ゴロに、6番打者も遊ゴロに仕留め山梨学院に勝利をもたらした。
◾️〈 試 合 〉◾️
▶︎山梨学院は吉田洸二監督が関東大会は「戦いながらチームを育てる」と明かした。第1戦は「相手のデータがないので、監督の采配が試合を左右する」と試合に臨んだ。エンドランやスクイズなど多彩な吉田監督マジックで11対6と勝利した。準々決勝は「強豪 花咲徳栄は3ランク上のチーム、すきあらば勝ってやろう」と、前日「ラグビーのW杯の日本対南アフリカ戦(20日)をテレビ観戦させ、格上に日本チームが臆することなく立ち向かうプレースタイルを確り観させて挑み2対1で強豪を退けベスト4に進出した。今日、準決勝で当たる桐生第一戦ついて「ここまで残っているチームは強い」と開口一番。「群馬県第1位代表の桐生第一は神奈川県代表の桐光学園を10対4と力で圧倒した」と唸る。その上に球場はアウェーとなる「普通に戦ったら、勝てる相手ではない」と頷く。選手は甲子園出場の目安の2勝しても「帰ってきてから練習が、さらに集中力とやる気を増している。燃え尽きた感が全くない」と監督を唸らす。「いい意味で、選手たちは、この2試合は上手くいって勝てたという自信と、今の自分たちの実力では、次は勝てないという不安がうまく同居している」と選手たちの伸び代に期待する。ただ「2試合に勝利したことで、選手を取り巻く『環境』と選手の『心境』が変わったので、基本にブレずに戦ってもらいたい。『楽しく』集中して戦ってもらいたい」と、山学は決勝進出を目指し、一丸となって準決勝に挑む。前橋市は12時00分の天気予報は、天気曇り、気温25.0度、湿度50%、北北西の風、風速3m/s。上毛新聞敷島球場は1930年に建設した内野クレー、外野芝、両翼99.1m、中堅122.0mの球場。12時26分、山梨学院(山梨1位)と桐生第一(群馬1位)が整列して、主審のコールで準々決勝戦の試合が開始された。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 2 | 6 |
桐生第一 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 5 |
▶︎1回表、先攻の山学は1番 渡邉嵩馬(2年)が2-1から二邪飛に、2番 功刀史也(2年)が0-1から一ゴロに、3番 小吹悠人(2年)が2-2から見逃し三振とされ三者凡退。
▶︎1回裏、山学は吉田洸二監督が先発に左腕 吉川大(2年)をマウンドに上げた。左腕 吉川が1番打者をフルカウントから左飛に、2番打者をフルカウントから遊ゴロに、3番打者を中飛に打ち取るも三者ともにスリーボールと制球が定まらない立ち上がりながらも三者凡退。
▶︎3回裏、山学は左腕 吉川が先頭の8番打者に1-0から遊内野安打を許し無死一塁。9番打者に初球投犠打を許し一死二塁。1番打者1-1左前安打をされ一死一・三塁。2番打者に初球スクイズを決められ0対1と先制された。
▶︎4回表、山学は3番 小吹が1-0から左前安打で出塁、続く4番 栗田勇雅(2年)が1-0から左前安打し無死一二塁。5番 橘田陸斗(2年)が0-1から投犠打を決め一死二・三塁。6番 外川温大(2年)の初球に三塁走者小吹が飛び出しタッチアウト。その間に栗田が進塁し二死三塁1-0、外川が2球目を中前適時打し1対1の同点とした。
▶︎4回裏、山学は左腕 吉川が先頭の4番打者に1-1から遊内野安打、続く4番打者に2-2からエンドラン右前安打で無死一・三塁。6番打者に1-1から一塁手ハンブル失策で1対2とされた。
▶︎6回表、山学は一死後に3番 小吹が1-1から右前安打し、続く4番 栗田が1-0から中前安打し一死一・二塁。5番 橘田が1-1から一内野安打し一死満塁。6番 外川がフルカウントから右犠飛を打ち2対2の同点とした。
▶︎7回裏、山学は左腕 吉川が先頭の9番打者に2-2から右越え二塁打を許し無死二塁。続く1番打者に2-1から右線適時三塁打を打たれ2対3、2番打者に2-2から右適時打され2対4と引き離された。
▶︎8回裏、山学は左腕 吉川が先頭の7番代打にフルカウントから死球を与え無死一塁。8番打者に初球投犠打を許し一死二塁。9番打者に1-1から中前安打を許し一死一・三塁。1番打者に四球を与え一死満塁。2番打者の1-2からの三へのスクイズで4対5と勝ち越される。
▶︎9回表、山学は先頭の2番 功刀が2-1から死球で出塁。3番 小吹の二ゴロで一死二塁。4番 栗田が2-1から左前安打を打ち、二塁走者が走塁死に二死一塁と追い詰められ万事休す。5番 橘田が1-1から起死回生の右越え二塁打を放ち二死二・三塁と盛り返す。6番 外川が「変化球狙いで、」と決めて打席に立った。1-0から「外の膝上チェンジアップが来たので叩いた」。狙いすましての「つなぐバッティング」で二塁手のグラブを弾く二内野2点適時打で6対5と大逆転劇を演じた。
▶︎9回裏、山学は吉田監督が主審にリリーフ右腕 河瀬貴洋(2年)を告げた。河瀬が4番から打順に「バックを信じてストライク先行で行こう」と決めてマウンドに向かった。河瀬が先頭の4番打者を1-2から遊ゴロに、5番打者も1-0から遊ゴロに、6番打者も0-2から遊ゴロに、主力打者たちを仕留め試合終了とした。
◾️両校がっぷり四つに組み責めては土俵の真ん中に押し返す手に汗握る攻防。試合は最後の最後9回表二死一塁と追い詰められ万事休す。5番 橘田が1-1から起死回生の右越え二塁打を放ち二死二三塁と盛り返す。この日、6番 外川が4打数4安打4打点となる二内野2点適時打で6対5と大逆転劇を演じた。リリーフ河瀬が先頭の4番打者、5番打者、6番打者の主力打者たちを遊ゴロに仕留め試合終了とした。
⬛︎試合終了後 のインタビュー⬛︎
▶︎4打数4安打4打点の大車輪の活躍の外川温大(2年)は9回の表について「二死二・三塁、次の打者につなぐ気持ちで打席に立った」と振り返る。「ワンヒットで満塁か、同点かという状況だったのでとにかく、つなごうと集中した」。「変化球狙いで変化球を待っていた」。すると「外の膝上チェンジアップ」が来たので迷わず叩いた。「当たりはあんまり良くなかったが、二塁手が弾いたのを見て同点と思った。ホームを見ると、橘田がホームインしていたので、逆転したと確信した」と喜んだ。明日は「神宮大会に出たことがないので出れるように攻守ともに全力で頑張りたい」と述べた。
▶︎9回好リリーフした右腕 河瀬貴洋(2年)は「4番・5番・6番」を相手に「バックを信じてストライク先行で行こう」と果敢に攻めた。イメージどおり「4番・5番・6番を遊ゴロに仕留められて良かった」と頷く。「皆んなで神宮を目指そうと目標にしていたので、抑えられて勝てて、チームに貢献できて良かったと」と、「いつでもリリーフできるようにしたい」と淡々と述べた。
▶︎粘りのピッチングで強豪を相手に好投した左腕 吉川大(2年)は「今日は苦しかった」と振り返る。「なんとかストライクを取るのが精一杯だった」と冷静に分析する。5失点について「粘り強く投げられたのは良かったが、ストライク先行できなかった結果なので、次にはこの教訓を生かす投球に心掛けたい」と修正点をあげた。明日は「今日のピッチングのことはあまり考えずに、花咲徳栄と同じような投球に心掛けたい」と力強く述べた。
▶︎主将 功刀史也(2年)は「今日は先に先行されたが、慌てることはなかった」と、むしろ「皆んなで追いついていこうと機運が高まった」振り返る。「吉川は調子が良くないなかでチームのために良く投げてくれた」と感謝。「河瀬はいつもきついところで投げるが、いつも堂々としたピッチングで、今日は4番・5番・6番を三者凡退に抑えてくれて頼もしかった」と称えた。試合が終わって「目指している神宮に近づいたという喜びがじんわり湧いてきた」と噛み締めた。こうした「苦しい試合で勝てて、花咲徳栄とはまた違った自信になった」としみじみ語った。明日は「今までの経験を生かして戦っていきたい」と述べた。
▶︎吉田洸二監督は「県大会どおりの試合展開」と開口一番。「先攻されて追いついて、先攻されて追いついて、先攻されて追いついて、先攻されて最後には勝つという県大会と同じ試合内容だった」と粘りの野球を振り返る。先発の左腕吉川について「悪くはなかった。頑張ったと」褒める。「立ち上がりが制球が定まらなかったが、回を追うごとに良くなってきた」と投球の修正能力についても評価した。リリーフした右腕 河瀬「好リリーフでしたね」と絶賛。「気持ちを切らさずによく戦ってくれました」と選手たちをねぎらった。決勝戦について「ベストを尽くす。経験値をあげ、次につながる戦いにしたい」と冷静沈着に述べた。
文(H.K) 、カメラ(今村佳正) 2019.10.27