●東京2020みんなのスポーツフェスティバル
~山梨学院小学校の「スポフェス」が優秀賞を受賞~
~オリンピズムの理解や児童自身の創造・協働が評価~
東京2020組織委員会が募集していた「東京2020みんなのスポーツフェスティバル(春)」に山梨学院小学校の「スポーツフェスティバル」が優秀賞に選ばれ、10月28日に山梨学院メモリアルホールで表彰式が行われた。東京2020組織委員会では、運動会や体育祭が、もっとスポーツを楽しむきっかけとなり、東京2020大会を身近に感じることができる場となるように全国の幼稚園や小中学校、高校などからオリンピック・パラリンピックの精神・競技等の要素を含むプログラムや取り組みを募集。80校125件の応募があり、山梨学院小の取り組みが優秀賞(東京2020アスリート委員会賞)を受賞した。また、この日は表彰式に続き、東京 2020 アスリート委員でパラリンピアン(射撃)の田口亜希さんの講演も行われ、子どもたちはパラリンピックの精神を触れ、来年に迫った東京2020大会に思いを馳せた。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)では、スポーツの力やオリンピック・パラリンピックの価値・意義を楽しく学び、運動会や体育祭が、もっとスポーツを楽しむきっかけとなり、東京2020大会を身近に感じることができる場となるように、全国の学校からオリンピック・パラリンピックの精神・競技等の要素を含むプログラムや取り組みを募集。対象の学校は幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校、高等専修学校、各種学校として認可を受けた外国人学校、日本国外に所在する日本人学校など。審査により10件程度が優秀賞に選定され、受賞校には表彰状と副賞(特製リレーバトン)が贈られる。
山梨学院小では、通常の授業とは別に時間を設け、学年の壁を取り払い一つのテーマを協同で追求していく独自の課題探求型学習「プロジェクト」を実施。スポーツフェスティバルを集大成とした「スポーツプロジェクト」は秋の「オクトーバープロジェクト」、冬の「アカデミックプロジェクト」とともに3大プロジェクトに数えられている。昨年は、古代ギリシアを中心とした古代オリンピックの舞台を再現。今年は、舞台を1964年の東京大会に移し、Sports Festival 2019「JAPAN 1964」と題し、東京2020大会につながる“近代日本のあゆみ”に注目。日本の歴史や文化が世界に誇る産業・スポーツパフォーマンスにおける技術革新など、幅広い視野で1964年の東京オリンピックをとらえ、現代オリンピックの競技や歴史的背景をヒントに、各学年みんなが安全に楽しめるように工夫した18の競技種目を実施した。これまでの山学小のスポプロの伝統を継承し、開会式・閉会式にかかわる演出・競技を含め、企画・立案・運営をすべて児童たち自らが仲間と協働して創り上げ、当日着用するチームTシャツのデザインやプログラムのロゴマーク、会場を彩る巨大壁画やチーム旗なども児童自身が創造し作り上げた。これらの取り組み実践が評価され、「東京2020みんなのスポーツフェスティバル(春)」の優秀賞(東京2020アスリート委員会賞)に選定された。
■表彰式
表彰式では、スポフェス担当の秋山夏希教諭がプロジェクトの概要を説明。各競技係や表現運動係などの各リーダーがそれぞれの係の取り組み実践を紹介した。子どもたちからの紹介を受け、この日プレゼンターとして来校した東京 2020 アスリート委員の田口亜希さんから表彰状と副賞の特製リレーバトンの授与が行われた。学校を代表し身体領域主任の志村美穂教諭が表彰状を、児童を代表し内藤颯咲児童会長がバトンを受け取った。志村美穂教諭は「スポーツは勝負にこだわりがちですが、運動が得意な子も苦手な子も自分たちに何ができるかと考えながら関わることができたことが、このプロジェクトの良さだと思います。また、教科の枠にとらわれずに横断的に広い視野でテーマをとらえることができ、コミュニケーション力や思考力、判断力、表現力など子どもたちが自信をつけられたと思います。今後も学校体育としてオリンピックレガシーを示していけるように、学びを通して子どもたちに伝えていきたいと思います」と挨拶し、内藤児童会長は「歴史や科学や芸術など様々な分野の学習と運動の楽しさや挑戦することの素晴らしさを融合させながら探求する山梨学院小のスポーツフェスティバルをこのように評価していただき、本当に嬉しいです。これからもいただいた賞に恥じないようなスポーツフェスティバルを創造していきたいと思います」と力強く語った。表彰式後の取材で、瀬端淳一郎校長は「ずっとやってきたこのプロジェクトが、子どもたちの主体性を引き出し、コミュニケーションを取るツールとしても良い活動だと認めていただいたということで大変嬉しく思います。子どもたちには、既存の枠の中で言われた通りにやることも大事ですが、そこから新しいものを作り出していく人になって欲しいと思います。さらに卒業後も自分の意思でモノを創造していく力を広げていって欲しいと思います」と喜びやプロジェクトの意義を語った。
■講演
表彰式に続き、パラリンピアンの田口亜希さんの講演が行われた。田口亜希さんは大阪府出身で日本郵船株式会社広報グループ社会貢献チームに所属している。アテネ 2004 大会、北京 2008 大会、ロンドン 2012 大会の3大会連続でパラリンピック(射撃)の出場。現在は、東京2020組織委員会アスリート委員、東京2020聖火リレー公式アンバサダーなどを務めている。田口さんは自身の障がいからの克服、射撃との出会い、パラリンピックへの出場経験を通じ、「今自分にやれること、与えられていることを一生懸命頑張ってください。一生懸命やることで、なりたいことや夢がきっと見つかります」と子どもたちに語りかけ、パラリンピックの歴史にも触れ、パラリンピックの創始者のルードウィッヒ・グットマン博士の言葉を子どもたちに紹介した。「“失われたものを数えるな、残されたものを最大限に生かせ”・・・できないということを思うのではなく、できることを考えようという言葉です。みんなにもぜひこの言葉は心のどこかに留めて覚えておいて欲しいと思います」と伝えた。さらに東京2020大会に向け、リオデジャネイロ2016大会のブラジル市民の応援シーンを紹介し「6月27日には東京2020オリンピック聖火リレーが山梨で行われます。山梨県にゆかりのあるオリンピック選手、パラリンピック選手もいます。みんなも運動会で応援してもらったら嬉しいですよね。ぜひ2020年に東京でパラリンピックが開催されますので、会場やテレビなどいろいろな形で選手たちにみんなのパワー、エールを送ってください」と語り講演を結んだ。
山梨学院小ではこれまでのスポーツプロジェクト、またオリンピック・パラリンピックのレガシーを継承し、来年のスポプロでは、舞台を2020年の「東京」へ移して展開する予定。オリンピック・パラリンピックの価値の共有、ともに創造する喜びが得られ、児童一人ひとりが自国開催を誇りに思えるようなプロジェクトを実施する。山学小の継続したスポプロの取り組みが児童一人ひとりの心の中にオリンピズム・パラリンピズムを育ませ、実生活や学習活動での一助として活かされていく。
文(Y.Y)、カメラ(藤原稔)2019.10.28