●第43回 全日本選抜ST選手権大会1日目
~山名1500mで優勝! 総合2位につける~
~赤帽500m最終コーナー予期せぬ転倒~
第43回 全日本選抜ショートトラックスピードスケート選手権大会1日目が11月23日、神戸市立ポートアイランドスポーツセンターで行われた。山梨学院勢の山名里奈(大学2年)が女子1,500mで渡邉碧(トヨタ自動車)を抑えて優勝。山名が現在トップの証である赤帽を着用して登場した500m準決勝でゴール前の最終のコーナーで転倒。篠原祐剛コーチは「山名はトヨタ自動車の横山世奈選手に抜かれ、後ろから来る選手に抜かれないようにインを締めようとして無理な角度からコーナーに入り転倒した」と9位となった。総合順位は1位 渡邉碧55点、2位 山名里奈34点、3位 横山世奈22点、4位 南里塔子(帝産クラブ)15点、5位 長森遥南(新神戸スピードゼミ)13点となっている。川上隆史監督は山名に「アクシデントは神様が決めること、幸運もあれば不運もある。明日の1,000mには幸運がある」と諭した。「山名は明日の1,000mで巻き返し世界の代表となる目的が達成できる」と太鼓判を押す。「他の選手も今日初日の結果を受け止めて、その与えられた課題と向き合い明日の試合を実り多い最終日にしてもらいたい」と述べた。
◾️〈試合前インタビュー〉◾️
▶︎川上隆史監督は「この大会は個人種目で2日間で、初日1,500m・500m、最終日1,000m・3,000mスーパーファイナル4距離での総合得点競技」となる。「男女ともに選手の目標は大きく、①1位、2位となった選手はカナダで行われるISU四大陸ショートトラックスピードスケート(ST)選手権大会の日本代表派遣選手の権利を獲得する。②来年度のオリンピック強化指定選手のポイントが取得でき、全日本ST選手権とのポイントと合わて選考される権利を獲得する。③全日本ST選手権大会の出場資格を獲得するの三つが挙げられる」と大きく頷く。「今回は男女ともに大学生3人に高校生1人が出場する、大学生はそれぞれの目標に向かって勝ち取ってもらいたい」と熱望。高校生は「水野葵由(高1年)は長野県出身でスピードスケートの選手だった。2018年の平昌オリンピック女子500m出場して8位入賞を果たしたOGの郷亜里砂(イヨテツスピードクラブ)も白樺学園高校時代はスピードスケートだったが、体の線が細いということでショートトラックを取り入れてスピードスケートでのコーナーのテクニック向上などの強化でショートトラックのメンバーで滑り女子の団体優勝に貢献した。水野はSTとSSの両種目を極めてもらいたい」と目を細める。また、伊藤隼人(高2年)は、愛媛県のツスピードクラブで郷と同門で、愛媛県スピードスケート連盟井上清孝理事長が本学のOBという縁もあって高校に入学して来た」と語る。将来有望の「2人の高校生は高大一貫で育成し、将来は国際舞台で活躍できるようなスケールの大きな選手に育ってもらいたい」と期待を寄せる。「今、大学生は日本学生氷上競技選手権大会ST学校対抗で総合優勝し勢いがありチームとしての力が個人の力を引き出してる。非常に楽しみ」と淡々と述べた。
▶︎篠原祐剛コーチは「23日(土)は男女それぞれ1,500m・1,500mが行われる。24日(日)には1,000m、先に行われたポイントに基づいて得点上位8位と8位タイまでの者のみが3,000mスーパーファイナルに出場でき、これらの得点獲得が最も多いものから順位付けを行われる」と頷く。「1,500mから競技が開始されるので、1,500で各選手ともに自分のベストの滑りをすることが肝要」と大きく頷く。女子について「RANK8の山名里奈(大学2年)は全種目で表彰台を狙ってもらいたい。RANK18の中野あやめ(大学4年)は1,000m、1,500mに表彰台のチャンスがある。また、RANK19の田中 冴実(大学3年)は調子が上向きで1,500mが得意なのでこの種目で表彰台を目指して勢いに乗ってもらいたい。この3人には3,000mスーパーファイナルへ進出して総合での表彰台にチャレンジしてもらいたい」と頷く。期待の新星「水野葵由(高校1年)は、全種目でベストを出し全日本ST選手権大会の出場資格の28位以内獲得を目指してもらいたい」と述べた。男子について「RANK22の塩川 弦太(大学3年)は1,500mと1,000mで、RANK30の塩川 和音(大学2年)は1,500m、500m、1,000mで貪欲に上位を目指してもらいたい。青木雅弥(大学4年)、伸び盛りの伊藤隼人(高校2年)はともに全種目でベストを出し全日本ST選手権大会の出場資格の28位以内獲得を目指してもらいたい」と熱望する。
⬛︎〈1日目 山梨学院勢戦績〉⬛︎
山梨学院は神戸市立ポートランドスポーツセンタースケートリンクはフィギュア・スピード・アイスホッケー等の国際競技仕様。60m×30m(氷厚11cm)。サブリンク併設、18m×28m(氷厚11cm)。電光掲示板設置。観客席つきスタンド併設。公式練習が10:00から11:00まで行われ、競技開始が11時30分から女子1,500m、男子1,500m、女子500m、男子500mが行われる。いよいよ女子1,500mの準々決勝が開始される。場内アナウンス「女子1,500m準々決勝1組を行います」と会場に流れ試合が開始された。
▶︎山名の1,500m(13.5周)決勝は14時00分スタート、東日本、インカレチャンピオン1コース2番 山名里奈(山梨学院大学)、ディフェンディングチャンピオン4コース6番 長森遥南(新神戸スピードゼミ)、実力者の5コース1番 渡邉碧(トヨタ自動車)の争いと前評。レースはゆったりとしたスタート、20番金井莉佳(SC上尾)が先頭に出て、2番手8番島根くるみ(阪南大学)、2番山名は3番手につけ様子を伺う。6周目で2番 山名が仕掛け3番手から2番手に、さらに7周目でトップに躍り出る。1番 渡邉も後方から前に順位を上げてくる。8周めには1番 渡邉が2番 山名の背後にピタリとつける。すると10周目に1番 渡邉がインを突いてトップに、スピードがどんどん加速される。12周目、今度は2番 山名がインコースを突いてトップを奪還し13周目には差を広げ危なげなくゴールし優勝した。ポイント獲得者は1位 山名里奈(山梨学院大学)34点、2位 渡邉碧(トヨタ自動車)21点、3位 長森遥南(新神戸スピードゼミ)13点、4位 島根くるみ(阪南大学)8点、5位 吉田凪歩(神奈川大学)5点、6位 金井莉佳(SC上尾)3点、7位 南里塔子(帝産クラブ)2点、8位 横山世奈(トヨタ自動車)1点となった。
▶︎山名の500m(4.5周)準決勝は「トヨタ自動車の横山世奈選手に抜かれ、後ろから来る選手に抜かれないようにインを締めようとして無理な角度から最終コーナーに入り転倒し」9位となった。ポイント獲得者は1位 渡邉碧(トヨタ自動車)34点、2位 横山世奈(トヨタ自動車)21点、3位 南里塔子(帝産クラブ)13点、4位 松山雛子(立教大学)8点、5位 吉田凪歩(神奈川大学)5点、6位 島根くるみ(阪南大学)3点、7位 上田ゆりあ(帝塚山学院高校)2点、8位 田中冴実(山梨学院大学)1点となった。
▶︎女子総合順位は1位 渡邉碧55点、2位 山名里奈34点、3位 横山世奈22点、4位南里塔子(帝産クラブ)15点、5位 長森遥南(新神戸スピードゼミ)13点、6位 島根くるみ(阪南大学)11点、7位 吉田凪歩(神奈川大学)10点、、8位 松山雛子(立教大学)8点、9位 金井莉佳(SC上尾)3点、10位 上田ゆりあ(帝塚山学院高校)2点、11位 田中冴実(山梨学院大学)1点となった。
▶︎その他の山梨学院勢の総合順位は、女子が中野あやめ24位、水野葵由33位。男子が塩川和音23位、伊藤 隼人26位、塩川 弦太42位、青木雅弥50位となった。
《山名里奈の成績》
1,500m | 決勝 | 2.35.529 | 優勝 | 34点 | 総合1位 | 34点 |
500m | 準々決勝 | 転倒 | 9位 | 0点 | 総合2位 | 34点 |
◾️試合終了後のインタビュー◾️
▶︎篠原祐剛コーチは山名の1,500mについて「山名は淡々と予選から勝ち上がり、ファイナルでは本来の力を出してゴールし優勝してくれた」と褒める。「ポジションを落とすと上がるのに大変なので、ポジションは落とすな」と伝えた。「山名はトヨタ自動車の渡邉選手に一度は抜かれたものの、抜き返しての優勝。山名は大分レース感が身に付き、インからでもアウトからでも、後ろからでも戦える武器が増えている」と大きく頷く。500mについて「山名はトヨタ自動車の横山選手に抜かれ、後ろから来る選手に抜かれないようにインを締めようとして無理な角度からコーナーに入り転倒した」と9位となった原因を明確にした。明日は「総合2位を確り取りに行く作戦。展開によって優勝と総合優勝を狙いう」と述べた。
▶︎川上隆史監督は「この大会は個人戦だったので、各人の目標、目的を達成するという課題だった」と頷く。「その中で高い目標を持っている山名は1,500mでトヨタ勢を抑えての優勝したことは非常に大きかった」と絶賛。「500mでは同じくらい非常に大きなミスをして試練が与えられた」と苦言を呈する。「この結果を山名も確り受け止めて、次のステップに踏み出してくれる」と絶対の信頼を寄せる。「山名は明日の1,000mで巻き返し世界の代表となる目的が達成できる」と太鼓判を押す。山名に「アクシデントは神様が決めること、幸運もあれば不運もある。明日の1,000mには幸運がある」と諭した。「他の選手も今日初日の結果を受け止めて、その与えられた課題と向き合い明日の試合を実り多い最終日にしてもらいたい」と述べた。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.11.23