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●ISUジュニアワールドカップスピードスケート
~銀メダル3個と銅メダル1個を獲得~
~後半戦に選ばれて絶対に金をとる~

ISU(国際スケート連盟)ジュニアワールドカップスピードスケート第2戦が11月23日・24日、オランダのエンスヘーデで行われた。山梨学院大学の熊谷萌(1年)は個人種目の女子500mで銀メダルに輝き、女子1,000mで4位となった。熊谷は団体種目のチームスプリントでは吉田雪乃(盛岡工業高2年)・長崎叶和子(富士急行)と組み銀メダルを獲得した。先の11月16日・17日、ノルウェーのビュグンで行われた第1戦では、熊谷は個人種目の女子500mで銅メダル、1,000mで5位となった。団体種目のチームスプリントでは吉田雪乃(盛岡工業高2年)・長崎叶和子(富士急行)と組み銀メダルを獲得した。熊谷は、この大会で銀メダル3個と銅メダル1個を手中に収めた。熊谷は「絶対に金を取りたいので、後半戦にも選ばれて取りに行こう」と目を輝かせた。日本代表ジュニア強化コーチとして参戦した伊藤潤二コーチは「熊谷は500mが得意でスタートからの100mの加速力がジュニアの世界トップクラスに勝る優秀な選手」と認める。ただ「ジュニアで優勝するには、1,000mのラスト1周のスピードの持続力が不可欠」。クリア出来れば「500mのラップタイムも出て優勝できる」と断言した。

◾️〈第1戦〉ノルウェーのビュグン◾️
●【11月16日】●
《チームスプリント》
2組で日本チームとチェコ共和国チームが滑走。日本は1走 吉田雪乃(盛岡工業高2年)、2走 長崎叶和子(富士急行)、3走 熊谷萌(山梨学院大1年)で挑んだ。熊谷が「体調が優れない長崎を案じながら、チームを自分が引っ張っていく」とピストル音とともにスタート、吉田を先頭に長崎、そして熊谷が一列で続く。日本チームは200mをチェコより2秒02早い19秒31で通過する。吉田が400mを14秒7とラップをあげ快走し3秒66の差をつけコースから抜ける。先頭は第2走の長崎、その後に3走の熊谷が続く。日本チームは600mでラップが15秒1と落ちるがチェコを5秒20突き放し通過。800mラップ15秒7とさらに落ちるが長崎が粘りの牽引でチェコに6秒40差をつけコースから抜ける。熊谷が日の丸を背負い残り400mを1人で滑走する過酷なラスト一周。熊谷が「体調不良で頑張ってくれた長崎のためにも、高校の後輩の吉田にメダルを持って帰したい」との一心で激走する。熊谷がチェコを8秒14差をつけ1分36秒36で1,200mのゴールを滑り抜けた。その結果、1位 オランダ、2位 中国、3位 日本となったが、中国が装備不良で失格となり日本が2位となり銀メダルを獲得した。山梨学院の熊谷萌(1年)は「盛岡工業高校の後輩の吉田にメダルを持って帰せる」と安堵した。

●【11月17日】●
《500m》
27組滑走、山梨学院の熊谷萌(1年)はインから、アウトからオランダのMaud Lugtersがスタート。熊谷は「リラックスして滑走しょう」と、ルーティンのゴリラポーズをとりスタートに備える。ピストル音とともにスタート。熊谷は「スタートの一歩が遅れた」とMaud Lugtersより100mを0秒3早く10秒7で通過するが、「調子の良い時の10秒5をオーバーしての通過」。熊谷は29.18のラップで滑走し39.97でゴール。遅れてMaud Lugtersが40秒53でゴール。熊谷は「課題の多いレースだった」と最終組28の滑走の結果を待った。その結果、1位 Femke Kok(オランダ)、2位 Marrit Fledderus、3位 熊谷萌となり銅メダルを獲得した。山梨学院の熊谷萌(1年)は「第2戦にこの課題を生かしたい」と決意した。

◾️〈第2戦〉オランダのエンスヘーデ◾️
●【11月23日】●
《チームスプリント》
6組で日本チームとオランダチームが滑走。日本は1走 吉田雪乃(盛岡工業高2年)、2走 長崎叶和子(富士急行)、3走 熊谷萌(山梨学院大1年)と第1戦と同じオーダーで臨んだ。ピストル音とともにスタート、吉田を先頭に長崎、そして熊谷が一列で続く。日本チームは200mをオランダより0秒5遅い19秒05で通過。日本チームは400mをオランダに遅れること0秒95。しかし、吉田が第1戦のチェコより0秒57早く牽引する滑りを見せコースから抜ける。先頭は第2走の長崎、その後に3走の熊谷が続く。600m、先行するオランダチームのラップは13秒9、日本チームは先頭長崎が牽引したチェコ戦では16秒6だったラップが14秒5と快調に飛ばし追いかける。日本チームは800mで2秒21差をつけられるが、長崎が第1戦のチェコより2秒10早く牽引する滑りを見せコースから抜ける。残り後400m、熊谷が「全員の調子が良くなつてきて、1秒ずつ更新して自分にスピードを残してくれた」と、この勢いを結果につなげたい」と激走し、200mのラップを600m・800mではオランダとのラップさが0秒6あったが、1,000mでは0秒2、1,200mでは0秒1と飛ばし、2秒57差をつけられたもののチェコ戦より3秒19早い1分33秒17で1,200mのゴールを滑り抜けた。その結果、1位 オランダ、2位日本となり2個目の銀メダルに輝いた。山梨学院の熊谷萌(1年)は「第2戦は全員頑張って銀メダルとなった」と喜んだ。

●【11月24日】●
《500m》
30組滑走、山梨学院の熊谷萌(1年)はアウトから、インからオランダのFemke Kokがスタート。熊谷は得意なアウトスタート「とにかく、100mは相手よりリードして、バックストレートで差を縮めるイメージで行こうと」とスタートラインに立つ。ピストル音とともに「一発で決まり、瞬発力が生まれた」。100m「先行はできたがほぼ同時通過だったので、もっと前に出ていたかった」と、熊谷は10秒71、Femke Kokが10秒74とやや先行した。熊谷は「第2コーナー頂点からコーナー出口にかけてのスピードを殺さないように」滑走。熊谷はFemke Kokに最後の直線で0秒36離され、39秒11でゴール。その結果、1位 Femke Kok、2位 熊谷萌となり銀メダルを獲得した。山梨学院の熊谷萌(1年)は「100mを調子の良いときの10秒50で通過できなかった」と悔いた。

◾️インタビュー◾️
▶︎銀メダル3個と銅メダル1個を獲得した熊谷萌(1年)は「絶対に金を取りたいので、後半戦にも選ばれて取りに行こう」と目を輝かせた。「スケートは小学校1年生のときに父が少年団のスケートのコーチをしていたので、一緒について行って自然と始めた」と振り返る。競技スポーツとして目覚めたのは「中学に入り全中に出場していきなり2位となり、3年生で優勝したときから競技スポーツとて取り組みだした」と微笑む。「もともと、憧れの長野オリンピックスピードスケート銅メダリストの岡崎朋美さんを超える選手になりたいと思っていた」と大きく頷く。「高校では世界大会に出たが怪我にも苦しめられ4位が最高だった」と思い返す。「山梨学院大学に進学したのは、父の母校で父がスケート部だったことと、高校の恩師にも相談し進学を決めた」と微笑んだ。「大学に入り帯広の森競技会で国内ベスト39秒02をマークし38秒台も視野に入ってきた」と頷く。本音は「早く、シニアで国際大会に出場したい」と明かす。「オランダの選手は刃の使い方が上手い。エッジが弧を描いているがオランダの選手は真ん中を上手く使うのでブレーキがかからない。さらにコーナーで左足を踏み込んだ状態で持って行って、そこから押すので前に進む滑りができるなど学ぶ点が多い。練習して極めたい」とさらに高みを目指す。
▶︎日本代表ジュニア強化コーチとして参戦した伊藤潤二コーチは「熊谷は500mが得意でスタートからの100mの加速力がジュニアの世界トップクラスに勝る優秀な選手」と頷き、「その勢いで1周回ってこれる非常に瞬発力に優れている選手」と認める。ただ「ジュニアで優勝するためには、1,000mのラスト1周のスピードの持続力が課題」と頷く。「1,000mでの持続力が出てくると500mのラップタイムも出てきて、最後のスピードも落ちなくなるので優勝には不可欠」と述べる。「熊谷は今でも上手く噛み合えば、W杯の日本代表になれる実力は十二分にある」とポテンシャルを高く評価する。「今後、シニアで戦うためには、常に噛み合わなければならない」と厳しい。さらに「技術面ばかりでなく精神面も鍛えなければならない。シニアのトップクラスはスケートに全てをかけているいわばプロ選手ばかりなので、練習に取り組む姿勢やレースに挑む厳しさが違う」と話す。「熊谷は来シーズンから同じステージで戦わなくてはならない。それなりの覚悟と準備が必要となる」と言葉を発して、それにかぶせるように「本人は既に、先を見据えている。心配はない」と信頼を寄せる。世界へのチャレンジの二人三脚は続く。

文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.12.5