●第80回 全日本女子ホッケー選手権大会
~7年連続王者を相手に2回目の準優勝に輝く誉~
~監督「精一杯の試合 サーク内の精度で負け」~
第80回 全日本女子ホッケー選手権大会決勝が12月8日、赤磐市熊山運動公園多目的広場で、準優勝1回で優勝を目指す山梨学院大学 対 7年連続21回目の優勝を目指すソニー HC BRAVIA Ladies戦が行われた。山学は立ち上がりから速攻を仕掛けるが阻まれる。1Q10分、ソニーにペナルティコーナー(PC)を与えるがGK3番 田中秋桜がクリア。13分、MF8番 的場斐那がドリブルでサークル内に切り込むが阻止される。一進一退の攻防が続く終了間際、ソニーのPCを再びGK3番 田中が好セーブし0対0。2Q6分、ソニーにPCを与え3番 山下瑠依のヒットをMF21 瀬川真帆にタッチシュートされ先制されると、3Q14分にもソニーのFW9番 永井友理に左サイドからのセンターリングをタッチシュートされ0対2とされ試合を決められた。山学は高円宮牌日本リーグに続き決勝でまたも敗れ準優勝となった。ジョン・シアン監督は「相手はオリンピック代表選手が多くいるチーム、精一杯の試合をしてくれた。攻め合い、そのものは五分だった。サーク内の精度で負けた」と選手を誉め相手チームを称えた。
◾️山学決勝戦までの勝ち上がり◾️
今大会は2019年度全日本社会人ホッケー選手権大会と女子第41回全日本学生ホッケー選手権大会の1位から4位チームが参加して日本一を争う。大会はノックアウトシステムによる勝ち残り方式のトーナメントにより勝者を決定。試合時間は、1ピリオド15分の4クォーター(Q)制。同点の場合は、シュートアウト(SO)戦が行われて勝敗を決定する。山学は、第1回戦を南都銀行 HOOTING TAR(社会人4位)と対戦。山学は第2Q2分、PCからFB2番 鈴木美結(3年・岐阜各務野)フリックシュートで先取点。27分、FB10番・和田茜(3年・不来方)がタッチシュートで2対0。山学は1点差とされたが2対1で逃げ切り勝利。準決勝は天理大学(大学3位)と対戦。山学は前回の試合でアクシデントで怪我をしたFB2番 鈴木が選手登録から外れる苦しい展開。両チームともに無得点で、攻撃側選手が23mラインからボールをドリブルして、ゴールキーパーと1対1で対戦し、8秒以内にゴールインできるかを競うSO戦に突入。山学はサドンデスとなった第7シューター1番田中花歩(4年・岐阜各務野)が決めると、天理のシュートをゴールキーパー3番 田中秋桜(4年・丹生)がセーブし、両田中の好プレーで4対3で勝利し決勝戦に進出してきた。岡山の天気は最高気温14.5度、最低気温1.7度で晴れ、赤磐市熊山運動公園多目的広場は105m×73mの人工芝ウォーターベースホッケー1面分、電光掲示板附設の施設。いよいよ試合が開始される。
◾️《決勝戦》◾️
山梨学院大学は決勝で、2017年にソニーと対戦し準優勝しており初優勝を目指す。ソニー HC BRAVIA Ladiesは7年連続21度目の優勝を目指す。会場の電光掲示板にカウントダウンが表示されフォーンで、山学のMF8番 的場斐那(4年 須知)のセンターパスによりソニー HC BRAVIA Ladies戦が開始。第1クォーター(Q)、山学が試合開始から左サイドから積極的に前に出る攻撃でソニー陣営深く攻め入る。第1Q3分、FB10番 和田茜(3年 不来方)がボールを拾いドリブルで23mラインを超えサークル付近で反則を誘う。MF8番 的場リスタートし、FB10番 和田にパス。和田はヒットでサークル内のFW22番 髙島瑠唯(2年 石動)に合わせた。狙いは良かったが微妙に合わず相手ボールとなる。5分、ソニーにペナルティコーナー(PC)を与えるがGK3番 田中秋桜がクリア。9分、ソニーに右サイドからサークル内に切り込まれ、MF22番 坪内萌花のシュートをGK3番 田中が弾き、それをFW23番 今尾明穂にシュートされるが6番 松郁実(3年 石動)がスティックでボールを払い、そのボールに相手選手が触れる反則で窮地を凌いだ。13分、MF8番 的場がドリブルでサークル内に切り込むが阻止される。一進一退の攻防が続く。終了間際、ソニーのPCを再びGK3番 田中が好セーブし0対0。第2Q、山学は前へ前へと相変わらず攻撃の手を緩めない。Q6分、ソニーにPCを与え3番 山下瑠依のヒットをMF21 瀬川真帆にタッチシュートされ0対1と先制を許す。山学は14分、主将MF川口花菜(4年 丹生)が「『絶対決めてやろう』と、チャンスを狙っていた。相手のレシーブが崩れて回していたボールが後ろにこぼれた。それを拾ってゴールキーパーと一対一になりドリブルでかわしシュートしたが、相手ディフェンダーのスティクに弾かれてしまった」。山学は絶好のチャンスを逸した。第3Q、ソニー HC BRAVIA Ladiesのセンターパスにより後半戦が開始される。7分、山学はソニーにPCを与えるが、ソニーのストパーへのボールが抜けてシュートを阻んだ。山学は11分、MF8番 的場がドリブルでサークルに侵入しPCを獲得する。ホイッスルでパッサー主将MF川口がボールをストローク。これをサークルの外でストッパーMF12番 田中彩樹(3年 不来方)がボールを止め、シューター5番 中村詩織(4年 伊万里商業)がシュート、ゴールキーパーに押さえられ得点ならず。14分、山学はソニーのFW9番 永井友理に左サイドからのセンターリングをタッチシュートされ0対2とされる。第4Q、攻撃の手を緩めないソニーに対して、山梨学院は粘り強く守り、果敢にソニー陣内に攻め込み得点を狙う。12分、山学はソニーにPCを与える。GK3番 田中がFB14番 小川里佳のヒットシュートを左足で弾き返し、MF10番 永井葉月のリバースシュートを右手で弾く。さらに13分PCを与え、GK3番 田中がMF10番 永井のヒットシュートを左足で弾き難を逃れた。山学は諦めることなく攻め上げるが得点を挙げることができず、ソニー BRAVIA Ladiesに0対2で敗れ、山梨学院大は高円宮牌日本リーグ決勝に続きソニーの厚い壁に阻まれ、今大会2回目の準優勝に輝いた。
◾️試合終了後のインタビュー◾️
▶︎主将のMF7 川口花菜(4年 丹生)は、目頭を押さえて「悔しいですね」と開口一番。「最後の試合だったので、勝ちたかった」と染み染み。「日本リーグでは立て続けに点を取られたが、試合前のミーティングで『全員攻撃 全員守備』を確認し、試合では最後まで徹底して出来た。ただ相手が一枚上だった」と振り返った。1失点してからの得点チャンスについて「『絶対決めてやろう』と、チャンスを狙っていた。相手のレシーブが崩れて回していたボールが後ろにこぼれた。それを拾ってゴールキーパーと一対一になりドリブルでかわしシュートしたが、相手ディフェンダーのスティクに弾かれてしまった。自分の力不足で決め切れなかった。決め切っていたら流れが変わっていた。チームに貢献できず悔しい」と振り返った。「後輩には、山学の伝統の前に出るプレースタイルを継承してもらいたい。今日勝ち切れなかった悔しさを糧にして、自分たちの時代を超えるチームを作って欲しい」と熱いコールを送り仲間の輪の中に再び合流した。
▶︎ジョン・シアン監督は「相手はオリンピック代表選手が多くいるチーム、精一杯の試合をしてくれた」と選手を誉めた。「攻め合い、そのものは五分だった。サーク内の精度で負けた」と相手チームを称えた。「日本リーグに比べて、チームは粘りがあった。攻めの内容は五分と五分。一歩も引かずに互角の攻め合いで、相手も気持ち的に余裕がない試合展開だった。評価したい」と大きく笑顔で頷いた。「4年生10人は引退となる。全員がホッケーに対して真摯に熱い思いで取り組み良く伸びた学年だった。4年間、色んな経験を通じて人間的にも大きく成長した」と感慨無量の面持ち。「その内の6人が実業団に行く」と目を細める。教え子と対峙するが「『これからも宜しくお願いします』と言いたい」と満面笑み。次に向けて「取り敢えず、活動は続けるが一度は心のリフレッシュをさせる」と笑顔。「本格的な活動は、年明けの集合から」と頷く。「そこから新チームを始動させ、新1年生の戦力も交えて、チームを作り上げていく」と笑顔で抱負を述べ会場を後にした。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.12.11