●山学大・駐日コソボ大使講演会
~学生らにコソボの現状と展望を大使が解説~
~日本とコソボ両国の友好関係に期待を寄せる~
山梨学院大学国際交流センターは、国際関係理解や幅広い視野の育成を目的にコソボ共和国のレオン・マラゾーグ駐日特命全権大使による講演会を12月20日に開催した。講演では、学生や教職員など約50人が聴講。マラゾーグ大使は、「コソボ共和国~ヨーロッパの若き眼差し」と題し、コソボの現状について、古代ヨーロッパ時代の民族や言語文化などから紐解き、紛争から独立までを振り返り、歴史的背景や国内情勢などを解説。また、今後の国づくりについて語り、外交関係や経済、産業などについての展望を示した。講演後は、学長室を表敬訪問し、古屋光司学長と会談。マラゾーグ大使と古屋学長は、コソボの経済や言語、スポーツ、高等教育環境などについて意見交換を行った。
■レオン・マラゾーグ大使講演会
コソボはバルカン半島の中央に位置し、2008年にセルビアから独立し、ヨーロッパで一番新しい国である。今年は日本との国交樹立10周年にあたり、来年は大使館が設置され10年の節目を迎える。レオン・マラゾーグ大使は、政治学の研究者として大学で教鞭なども執り、2016年から駐日コソボ大使を務めている。この日は、約50人の学生・教職員を前に、「コソボ共和国~ヨーロッパの若き眼差し」と題し講演を行った。マラゾーグ大使は、講演冒頭に古代ヨーロッパの歴史や民族、ルーツなどに触れ、独立以前のセルビア、ユーゴスラビアの人種や言語文化について説明。また、紛争下の生活の様子や日本からの支援の実情について写真などを示しながら紹介した。その上で、紛争を経て独立・解放に至る経緯や国連統治下での政府機能の構築、経済の自由化などの歩みを解説した。さらに独立後の国土やスローガン、国旗に込められた思いなどについて語った。コソボの国旗は青地に金色でコソボの地形が描かれ、上部にはコソボを構成する6つの民族を意味する星が描かれている。マラゾーグ大使は「民主的な国づくりを思い、一つ一つの民族が共存・団結できるよう、6つの星にその願いが込められています」と説明を加えた。講演の後半では、今後の国づくりについて語り、外交関係や経済、産業などについての展望を示した。近年では、日系企業の現地工場が設けられるなど、日本との関係も深くなっている。生活様式や楽器、スポーツなど日本との類似点・共通点も数多く存し、マラゾーグ大使から“食事は床に座って行う”“建物の中は靴を脱ぐ”“トイレ用のスリッパがある”などの類似点が示されると学生からは感嘆の声が上がった。マラゾーグ大使は、紛争から独立までを振り返り「1999年に紛争が終わったが、自分が大学の試験を受けている時に家族が難民となり、離れ離れになってしまった。どこにいるかも分からない状況で、兄と働きながら家族を捜しました。その後、国に戻った時に、自分の国が解放されて自由になったことを実感し、大変嬉しく思い、今でも震えるほどの感動を持っています」と語り当時を回顧した。マラゾーグ大使は時間の許す限り、学生からの質問に答え、両国のさらなる友好関係を祈念し講演を結んだ。
■マラゾーグ大使、古屋学長と意見交換
講演後、マラゾーグ大使は古屋光司学長を表敬訪問。マラゾーグ大使と古屋学長は、コソボの経済や言語、スポーツ、観光産業などについて意見交換を行った。スポーツ分野ではコソボは柔道に力を入れ、リオ五輪では女子52kg級で金メダル選手を輩出し、来年の東京2020大会でも新潟県三条市がホストタウンとして選手団の受け入れが決まっている。このほか、高等教育問題に関連し、大学等の高等教育の環境や語学教師の育成について意見を交わした。
文(Y.Y)、カメラ(Y.Y)2019.12.20