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●天皇杯 全日本レスリング選手権大会4日目(最終日)
~65㎏級乙黒拓斗優勝でオリンピック確定する~
~遠回りしたがいろいろ経験でき勉強になった~

令和元年天皇杯 全日本レスリング選手権大会兼Road to Tokyo2020日本代表選考会4日目(最終日)が12月22日、東京・駒沢体育館で行われた。山学は65㎏級乙黒拓斗(3年)が中村倫也(博報堂DYスポーツ)と決勝戦を行い第1ピリオド10対0とテクニカルフォールで勝ちで2年連続2回目の優勝の栄冠に輝いた。乙黒が第1ピリオド1対0の残り44秒、中村をテイクダウンさせて3対0。すぐさま左右にローリングし7対0。コーションを奪い8対0。パーテレポジションからローリングでテクニカルフォール勝ちを収め、2年連続2回目の優勝の栄冠に輝くと共に東京オリンピック出場を確定させた。乙黒は「相手の中村選手は凄い強いので緊張していた。試合ではいつも通りの自分のレスリングができて良かった」。世界大会の敗戦は「遠回りしたがいろいろ経験でき勉強になった。勝っていたらオリンピックで負けていた。日本代表として金メダルを獲れるようにメンタル面・テクニック面の練習に励みたい」と述べた。乙黒が試合前のセレモニーで天皇杯を返還、今大会ではフリースタイルの優秀選手に選ばれた。

◾️本日の出場者及びスケジュール◾️
男子フリースタイルに65㎏級 乙黒拓斗(3年 帝京)が決勝戦に、74㎏級 横山凛太朗(3年 いなべ総合学園)が3位決定戦の1回戦に出場する。本日のスケジュールは8時00分から8時15分まで第2計量で65㎏級 乙黒、74㎏級 横山凛太が臨む。試合は10時00分から敗者復活戦、3位決定戦、セレモニー(乙黒が福田富昭日本レスリング協会会長に天皇杯を返還)、アトラクション、決勝戦(Aマット)・表彰式、天皇杯(最優秀賞)・各スタイル(優秀賞)が16時20分まで行われる。ルールは世界レスリング連盟(UWW)ルールが適用され、一部、日本レスリング協会が定めたものを適用するルールで行われる。

◾️《優勝決定戦男子65㎏級フリースタイル》◾️
▶︎小幡邦彦コーチは「乙黒は昨日、全てが予定通りの戦いをした」と大きく頷く。「昨日、『明日も勝ちに拘ってやる』と本人も言っている。オリンピック代表がかかっているが平常心で戦ってもらいたい」と述べた。いよいよ試合が始まる。
▶︎15時06分、場内にファンファーレが鳴り響き、場内に「ただいまより、男子65㎏級フリースタイルの決勝戦を行います。両選手がエスコートキッズと共に入場します」とアナウンスが会場に響く。「Aマット赤、昨年天皇杯優勝、世界選手権5位 山梨学院大学 乙黒拓斗選手。青、昨年天皇杯3位 博報堂DYスポーツ 中村倫也選手」とアナウンスされると、会場から声援と拍手、歓声が沸き起こる。マット上に両選手が登場し会場のボルテージは一段と上がった。レフェリーが両選手を直径1mのサークルに呼び寄せ、点検と指示を行い両選手に握手をさせ、ホイッスルを吹き試合開始。
▶︎第1ピリオド、両者が身を低くして構える。乙黒が右膝と右手をマットにつき相手を威嚇する。両者が組み合い乙黒が一度立つと左に回り、今度は両膝をマットにつけ右に立ち上がり、トリッキーな攻めを展開する。開始43秒、中村にレフリーからパッシブが告げられる。試合は膠着状態で中村に2度目のパッシブが与えられアクティビティタイム30秒が開始。中村が攻めあぐみ30秒が経過して第1ピリオド残り1分3秒に乙黒が1対0とする。残り44秒、乙黒が組み合いから中村の左膝にタッチ。中村がこれに反応して左足を後ろに引き体重が前にかかるのを、乙黒が利用し首を決めて前にのめらせ左に移動して中村をマットに崩すと、すかさずバックに回りテイクダウンさせて3対0。さらに素早く、中村の両足をクロスさせアンクルホールドを仕掛けたが不十分で得点にならない。乙黒はすぐさま中村の背後から両腕を胴体に差し込み右に左にローリングし7対0。この時、中村の足を使ったコーションで8対0とする。レフェリーの指示で中央の直径1mのサークルで、中村がうつ伏せになり乙黒が両膝をマットにつき両手を中村の肩甲骨に置くパーテレポジションで、レフリーのホイッスルで試合再開。乙黒は素早く相手にまたがり両腕を胴体に抉じ入れ右にローリングしテクニカルフォール勝ちを収め、2年連続2回目の優勝の栄冠に輝くと共に東京オリンピック出場を確定させた。なお、74㎏級 横山凛太朗(3年 いなべ総合学園)は敗者復活戦の1回戦で敗退した。

◾️試合終了後インタビュー◾️
▶︎オリンピック代表を確定した65㎏級 乙黒拓斗(3年 帝京)は記者団のインタビューに「相手の中村選手は凄い強いので緊張していた。試合ではいつも通りの自分のレスリングができて良かった」と微笑んだ。「東京オリンピック出場の内定がかかっていたので自分を追い込んで試合に臨んだ」と頷く。「確り確実に勝ち切れて凄く嬉しい」と言葉を選びながら述べた。世界大会の敗戦は「本当に悔しい時間だったし、学ぶことが凄く多くて、遠回りしたがいろいろ経験できて良かったと思う。勝っていたらオリンピックで負けていた」と大きく頷いた。世界選手権の敗因は「特に、1か月か2か月経って、『精神面が安定していなかった』と気づいた」と明かした。今大会は「熱く戦うのではなくて、冷静さを重視した戦いに変え、確実に勝ちきれるレスリングを目指した」と振り返る。今日の試合の展開は「試合前には研究をして作戦を立てるが、試合では考えて戦うのではなくて、感覚で戦っているので内容は覚えていない」と、それが隙のない高速レスリングを支える。「日本代表として金メダルを獲れるように、オリンピックまでは時間がないので明日から確り準備して、怪我をしない体づくりとメンタル面・テクニック面の練習に励み、自分と戦った選手のためにも頑張りたい」と抱負を述べた。
▶︎小幡邦彦コーチは「相手は凄い気合が入っていたが、拓斗はそれをぜんぜん寄せ付けない気合と集中力で、冷静に戦い第1ピリオドでテクニカルフォール(Tフォール)勝ちした」と大きく頷き。「今日の試合は完璧だった」と褒め称えた。「昨日は1回戦・準々決勝・準決勝と試合があり足首を痛めていたので、手堅く確実に勝ちに行くことに集中したが、今日は決勝戦で1試合と絶対優勝をしなければならなかったので、拓斗が冷静に集中して積極的に攻めた結果Tフォールに繋がった」と語尾を強め喜んだ。「これで拓斗は夢のスタートラインにやっと立てただけなので、残り8ヶ月あまりで拓斗の夢(金メダル)を叶えるための新たな目標に向かって、とりあえず練習で足首を痛めたのを完治させて、年度末にナショナルトレーニングセンター(NTC)で、私も参加する全日本合宿があるので、気を引き締めてオリンピックに臨みたいと思う」と顔を引き締めた。「今大会で、うちは天皇杯で優勝をOBも含めて最低5階級を狙っていたが、現役は61㎏級 榊、92㎏級 大津、65㎏級 乙黒の3階級で優勝。OBは74㎏級 乙黒圭祐(山梨学院大OB)が優勝し4階級の成績だった」と振り返る。「うちは4年前にオリンピック出場を逃し、この4年間、悔しい思いをして来た」と言葉を呑み、「拓斗のお陰でうちはアテネ以来の16年越しのオリンピック出場になる。感謝したい」としみじみ。「2月1日にOBで拓斗の兄の74㎏級 乙黒圭祐(天皇杯優勝2015年61㎏級大学1年、2017年70㎏級大学3年)のプレーオフがNTCあるので、完璧に勝ち兄弟で東京オリンピックに出場できるように圭祐も支援したい」と目を輝かせて述べた。

文(H.K) 、カメラ(小池裕太) 2019.12.23