●第43回日本ジュニアスピードスケート選手権大会1日目
~熊谷萌 女子500mRRで2連覇3回目の優勝達成~
~2年前39秒55RRを0秒19更新する39秒6樹立~
第43回日本ジュニアスピードスケート選手権大会1日目が1月11日、長野県の軽井沢風越公園スケートリンクで行われた。山梨学院大1年の熊谷萌が女子500mで39秒36のリンクレコード(RR)を樹立すると共に2連覇3回目の優勝を達成した。熊谷は33組みで富士急行の長﨑叶和子と同走。インスタートの熊谷は「スタートの構えにミスがあった」と100mを先行するもラップ10秒81と遅い。「途中から氷を確り捉えられた」と残りのラップを28秒55で快走し、39秒36でゴール。その結果、同走で2位となった長﨑を1秒61離すRRをマークした。熊谷は高崎健大の浅野実久の39秒55のRR記録を2年ぶりに0秒19更新したが「自己新と大会新記録も狙っていたが」と笑顔が消えた。「明日の1,000mでは自己ベストと優勝できるように頑張りたい」と表情を引き締め決意を述べた。伊藤潤二コーチは「スタートから約5mはバタバタし100mはタイムロスしたが、その後に盛り返しRRで優勝した」と目を細めた。川上隆史監督は「1月5日から7日までのインカレで疲労が残る中でRRで優勝した。大いに評価したい」と絶賛した。
◾️試合前インタビュー◾️
▶︎伊藤潤二コーチは「今大会はジュニア対象年齢2000年7月1日以降かつ2005年6月30日以降に生まれた選手が出場できる。今回の大会に山梨学院関係は、大学1年の熊谷萌(盛岡工業)をはじめ女子2名、男子4名が出場している」と明かす。「この大会は、2020世界ジュニアスピードスケート選手権大会と2019/2020年ISUジュニアワールドカップスピードスケート競技会最終戦の派遣選手選考の対象選手となる」と頷く。「参加選手は自己ベストにチャレンジしてもらいたい」と大きく頷く。「熊谷には選考選手として世界大会の出場を決めてもらいたい」と抱負を述べた。
▶︎熊谷萌(1年 盛岡工業)は「この大会は年齢制限で今回で最後となる」と頷く。「500mではリンクレコード、大会記録を狙いたい。1,000mでも積極的なレースをして優勝し、最後となる国際大会に出場を決めたい」と目を輝かせた。
◾️スピードスケート〈1日目 山梨学院勢戦績〉◾️
軽井沢風越公園スケートリンクは日本スケート連盟公認、1周400m×幅13m1面の屋外リンク。屋外内観覧席、夜間照明完備、通年型屋内アイスリンク、総合体育館、総合管理事務所など併設。9時現在のリンクコンディションは、天気 晴れ、風向き 無風、風速 0.0m/s、気温 0.7℃、氷温 -8.7℃、氷質 良、湿度 70.3%、気圧 911hPa。女子500mの競技が開始される。
●《 女子500m 》●
▶︎「女子500m最終33組み、インナーレーン熊谷萌 山梨学院大学、アウターレーン 長﨑叶和子 富士急行」と場内アナウンスが流れた。熊谷がインスタートのラインに向かいスタートの構えに入り「足を置く位置が悪いと感じたが、『一歩ずるっと』抜けたとしても、『自分なら加速力があるから大丈夫』と自分を信じてそのまま構えた」。ピストル音とともに、スタートダッシュ。すぐ熊谷が「一発目の蹴りが抜け滑りが空回りする」。その後、持ち前のパワーで滑り立て直し100mを10秒81で通過。長﨑を0秒43後方に置くが、「第1コーナーを『ばたばた』して回る」。それでも「バックストレートでは腰を下げるイメージ」で上手く氷に乗る。「最後のコーナー出口から直進にかけて何時もならタイムが落ちるが、氷の奥の底を押すイメージで『ぐっと』と加速できた」と出口から最後の直線にかけて、氷に一気に乗り一歩一歩が伸びラップを28秒55で快走し39秒36でゴール。
□その結果、同走で2位となった長﨑を1秒61離すRRをマークし、2連覇を達成すると共に3回目の優勝に輝いた。また、熊谷は高崎健大の浅野実久の39秒55のRR記録を2年ぶりに0秒19更新した。
◾️試合終了後のインタビュー◾️
▶︎熊谷萌(1年 盛岡工業)は笑顔で「コースレコードで、優勝できたのは嬉しい」と素直に喜んだ。ただ「100mの通過10秒81は遅すぎた」と肩を落とし、「コースレコードは出たが」と口ごもる。「スタートの構えの前に足を置く位置が悪いと感じた」と頷き。たとえ「一発目が『一歩、ずるっと』抜けたとしても、『自分なら加速力があるから大丈夫』と自分を信じてそのまま構えスタートした」。案の定「一発目の蹴りが抜け滑りが空回りした」と頷く。大袈裟に言えば「アウトにいる同走の方に、『くるっと』回るようなイメージになってしまった」と振り返る。「自己新と大会新記録も狙っていたが」と笑顔が消えた。「調子は上向いている」と先日のインカレより0秒02早く優勝より0.01良いタイム。今回は「明日の1,000mでは自己ベストと優勝できるように頑張りたい」と表情を引き締め決意を述べた。
▶︎伊藤潤二コーチは「500mの優勝は大前提で世界ジュニアの切符を奪取することが目的だった」と頷く。「熊谷はスタートから2歩・3歩の約5mが少し何時もと違ってもたついていたが、それから立て直し高崎健大の浅野実久の39秒55のRR記録を2年ぶりに0秒19更する滑りで確り戦ってくれた」と称えた。「気象条件などが整えば、自己ベストと大会記録39.21に届くかなと思っていたが、今日の屋外リンクのことを考えれば自己ベストと同じ活躍をしてくれた」と褒めた。「明日の1,000mは今まで苦手種目と周りからも言われていたが、今年度はさまざまな大会で安定して彼女なりのタイムが出せてきている。相手は富士急行の長﨑叶和子選手など強い選手はいますが、本人も『確り勝ち切って世界に挑戦したい』と意気込んでいますので大いに期待したい」と述べた。
▶︎川上隆史監督は「500m、予想していた通り優勝ができた」と満面笑み。「本人は『ほっと』していると思います」と大きく頷く。「1月5日から7日までインカレが釧路であって、1年生でありながらチームを優勝に導くプレッシャーのある中で信州大の山田梨央と500mで0.01の激戦での準優勝し、1,000mでも準優勝し、そして2,000mRで活躍をした。その疲労が残る中で本番のレースで良く集中力を切らさずに、短距離のスペシャリストとしてRRで優勝した」と大きく頷き。「世界に向けてのモチベーションが高い選手になってきた。大いに評価したい」と絶賛した。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.1.11