山梨学院パブリシティセンター

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●大学生が自治会運営のあり方について提言
~フィールドワークで自治会の現状や課題を調査~
~市役所職員や自治会役員に研究成果を発表~

山梨学院大学の後期開講科目「地域課題実践研究」履修学生による成果発表会が、1月15日に学内で行われた。この科目では、学生自らが主体的に取り組むアクティブラーニングを取り入れ、地域課題の調査分析や論点整理、解決策提案に取り組んでいる。今年度は「地域コミュニティと町内会自治会」をテーマに甲府市や地区自治会連合会と連携し、自治会運営について調査・研究を実施。約半年間、甲府市東部の里垣地区のフィールドワークや自治会長へのインタビュー、甲府市担当課へのヒアリング調査などを行い、課題や今後のあり方について提言をまとめた。この日は、「行政からの業務依頼のスリム化」と「市・自治会・大学との協働関係の構築」の2案を甲府市や自治会関係者に政策提言を行った。
 
「地域課題実践研究」(担当教員:日高昭夫教授・大高瑞郁准教授)は法学部・経営学部の3・4年生の後期に開講。学生自らが主体的に参加する問題志向型(PBL, problem based learning)のアクティブラーニング手法を取り入れ、地域課題の調査分析(フィールドワーク・アンケート調査・インタビュー調査)、論点整理、解決策の提示(政策提案)を授業の中心に据えている。今年度は、「地域コミュニティと町内会自治会」をテーマに地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)の一環として甲府市協働推進課や里垣地区自治会連合会と連携し、今後の自治会運営のあり方について調査・研究を行った。学生は約半年間、自治会役員による講義や当該自治会のフィールドワーク、自治会長へのインタビューや甲府市担当課へのヒアリング調査を実施。並行して、他の自治体・自治会の先進事例の収集・調査も行い、里垣地区の実態に即した解決策を取りまとめた。
 
 
成果発表会(政策提言)は最終授業回に行われ、山本侑璃さん、溝口恭平さん、伊藤あすかさん、望月萌花さんのグループが甲府市職員と自治会役員に自分たちで取りまとめた課題の解決方策を提言した。学生らは、自治会長の講義やインタビューから現状の把握と課題を分析。これまでイメージしていなかった自治会活動の現状(公会堂・避難場所の維持管理、地域住民への情報伝達、地域文化の継承)について認識。また、自治会加入率の低下や役員の担い手不足、高齢化など全国的な問題についての理解も深めた。その上で、「行政からの依頼業務」と「市・自治会・大学との協働関係」について着目し、この2案について以下のような具体的な取り組み案を提示した。
 
 
■市から自治会への業務依頼のスリム化
・依頼業務の見直し(本来行政が行う業務は行政主導で再定義)
・行政業務代行団体から公助、共助といった役割再構築
・退職後住民の参画や活躍の場の提供(プロフェッショナル人材の活用、自治会役員業務の再分担)
・緊急時の最重要事項の統一(体制整備)
 
 
■市・自治会・大学との協働関係の構築
・甲府市協働窓口の開設(自治会業務対応窓口の一本化)
・三者協働の防災訓練の実施
・大学と協働したスポーツ教室の開催
・学生と協働して防犯パトロールの実施
 
 
学生からの提案を受け、甲府市担当者は「とても参考になりました。行政でも自治会への依頼事項が多いということが課題となっており、いただいた提案を勉強し、検討を進めていきます。また、学生との防災訓練についても早速、担当課に話をしてみたいと思います」とコメントし、自治会役員からは「短い期間でしたが大変良くまとまっていました。やはり行政の役割が重要であると感じ、市の協働窓口の開設は魅力的だと思います。現状は、案件ごとに部署が異なっており、自治会からの窓口を一本化にしていただくと、自治会としては、そちらに連絡すれば依頼が完結し、市としても情報共有や必要な事項を連携して取り組めるので良いのかなと感じました」「住民同士が意思の疎通を図らないと防災面では不安があります。一方で、学生がいることで町が元気になり、若い力の協力は災害時には大きな力になるので、防災訓練の実施は是非実現して欲しいと思います」と感想を寄せた。発表会の結びに担当教員の日高昭夫教授は「今回初めての授業としての取り組みでしたが、多方面から協力を得て、発表までたどり着くことができました。これまで地域と学生、市が議論をする場があまりなく、授業や連携を進めていく中で、こういった(議論や連携といった)ニーズがあることを強く感じました。大学としても地域連携の部署をしっかりと整備し、学生や教職員が地域の事業に参画できる仕組みづくりが必要であり、検討していきたいと思います。今後協働で進める中で成果として形にしていきたいと思いますので、引き続きご協力をお願いします」と総評した。発表を終えて学生たちは「ヒアリングや調査していく中で課題を発見し、これについて提言としてまとめられたので充実しています」「地域のことを全然知らなかったので、自治会を通じて地域を知るきっかけになりました。今後は地域とつながりをもち、勉強した内容を実践として地域に還元できるようにしていきたいと思います」と充実した表情で感想を語った。
文・カメラ(Y.Y)2020.1.16