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●栄養士コース『専門的実践力外部試験』実施
~全体的にどれも工夫され美味しくできていた~
~教員は評価を来年度の授業改善に生かしたい~

山梨学院短期大学食物栄養科栄養士コース『専門的実践力外部試験』が2月19日・20日の両日、同大の調理実習室で行われた。試験は、54名の学生がそれぞれ事前に成人女性(18~29歳)が2月に学食または社員食堂で食べる昼食の献立を作成したものを調理した。秋山知子審査員長は「全体的にどれも良く美味しくできていた。どのような意図で献立を作り、どのような思いを込めるかで相手の体や心にも届く食事になると考えている。食べたいと思い、美味しいと感じてもらい、食べて栄養になるような食事となるように日々向き合ってほしい」と講評した。杉原美里さんは「2月なので『風邪防止』をテーマにした。主菜は『かぼちゃの肉巻き』でビタミンB1で疲労回復できる豚ロースを南瓜に巻いた。汁物の『野菜ポトフ』にはビタミンCが含まれているじゃがいもを使い、彩りを考えて人参と南瓜を加え免疫力を高めた」とやりきり満足げに述べた。深澤早苗教授は「学生は緊張しながらも、集大成ということで良く頑張ったと思う。教員は学生一人一人の審査項目評価について、つぶさにメモを取った。それを来年度の授業改善に生かしたい」と述べた。

【狙いと試験内容及び評価】
▶︎食教育・栄養指導の深澤早苗教授は「栄養士コースでは『喫食者に見合った献立が作成できること』と『献立に沿った調理ができること』を栄養士の最も基本の専門的実践力ととらえている。本試験は、この2つの専門的実践力がどれだけ身についているかについて、学外の管理栄養士から評価を受けるものである」と説明。
▶︎試験内容は「成人女性(18~29歳)、身体活動レベルふつうの人が利用する学食または社員食堂の冬(2月)の昼食献立を作成する。1食の材料費は500円未満。食事摂取基準および食品構成は、学生に表1・表2で提示してあるとおりである。なお、食品構成については、1食分の献立作成なので使用しない食品群があってもよい。また、その献立を実際に調理し、1人分を提出する。給食または社員食堂なので、食材は生のまま使用しないこと、ただし野菜と果物は除く」となっていると明かす。
▶︎評価は「次の10の視点(10点×10=100点)で評価する。①指定したエネルギー基準の±50kcal、たんぱく質エネルギー比率13~20%、脂質エネルギー比率20~30%、炭水化物エネルギー比率50~65%、食塩相当量3g以下の食事摂取基準を満たしているか(未資格者は、エネルギーだけ算出してもらい、適正かをみる)。②食品構成をもとに、1食分として適切な量となっているか。③1食分の体裁(主食、主菜、副菜の組み合わせ、分量など)が整っているか。④各料理の味付けは適切であるか。⑤衛生的(食材の取り扱い、加熱状況等)な配慮がなされているか。⑥給食または社員食堂の昼食としての経済的な配慮がなされているか。⑦材料に対して適切な調理がなされているか(調理技術は適切であるか)。⑧適切な容器に体裁よく盛り付けられているか。⑨美味しそうな色合いとなっているか。⑩献立(料理)は、作成者の『意図』や『思い』が反映されているか。各視点は、A評価(優れている)10点、B評価(普通)7点、C評価(劣る)5点とする。評価は3人の審査員の得点を合計して平均点を算出し、その値を『総合得点』とする。また、『視点別得点』も同様に、それぞれの視点ごと3名の審査員の得点を合計して平均点を算出し、『視点別得点』とすることとなっている。後に作成される学生の『学修成果レーダーチャート』の作成にも用いられ卒業時の学生の質保証とする」と説明。

【専門的実践力外部試験】
▶︎2月20日の午前中の学生の専門的実践力外部試験は、午前9時から同大の調理実習室で約30分間、事前準備の身支度・材料測定・調味料計測等を行い。引き続き開式を行い、審査員長(評価委員)の秋山知子山梨県栄養士会常務理事/管理栄養士、審査員(評価委員)の堀口一美介護老人保健施設相川ケアセンター管理栄養士、審査員(評価委員)の森澤健太甲府共立病院管理栄養士の3氏が紹介され諸連絡後に、専門的実践力外部試験の調理を開始した。約1時間半で出来上がった献立から随時写真撮影が行われ、学生が退席後に事前に学生から提出された『成人女性(18~29歳)、学食または社員食堂の冬(2月)の昼食献立』を手元に置いて審査員が料理評価を1時間に渡って行った。

【審査員講評】
▶︎審査員長(評価委員)の秋山知子山梨県栄養士会常務理事/管理栄養士は「全体的にどれも工夫され美味しくできていた。栄養士は栄養相談や献立を立てることだけが仕事だと思われがちだが、その基礎には調理がある。調理のできる栄養士は無敵だと思っている。自分の立てた献立がきちんとイメージできることで、調理師さんへの指導も信頼を得ることができ、栄養相談の説得力も増す。調理の中には、工程、器具、時間等たくさんの要素があり学ぶことも多い。卒業してからも学びの姿勢をもちつづけてほしい。また、評価項目の中に、献立(料理)に、作成者の『意図』や『思い』が反映されているかという項目があったが、どのような意図で献立を作り、どのような思いを込めるかで相手の体や心にも届く食事になると考えている。食べたいと思い、美味しいと感じてもらい、食べて栄養になるような食事となるように日々向き合ってほしい。」と講評した。
▶︎審査員(評価委員)の堀口一美介護老人保健施設相川ケアセンター管理栄養士は「項目1の食事摂取基準は、皆さん確り満たしていた。項目2の食品構成は、1食だったので少し難しかったと思うが、いろんな食品素材から栄養素が体に入っていくので、もう少し食材を多く使って欲しかった。栄養士は食品構成を上手くできるようになることが大切。項目3の1食分の体裁は、主食・主菜・副菜の組み合わせは整っていたが、成人女性の昼食にしては分量が少ない人がいた。項目4の味付けは、食塩3グラム以下だったので大変かなと思っていたが、顆粒出しでなく確り出し汁をとって味付けされていて良かった。項目5の衛生的な配慮では、シンクの中が片付いていない人がいた。また、肉を扱う時に確り手袋をして扱っていたが、中には素手で扱っていた人がいたので細菌によって食中毒になる危険があるで注意してもらいたい。総じて良くできていた」と講評した。
▶︎審査員(評価委員)の森澤健太甲府共立病院管理栄養士は「項目6の経済的配慮は、決められた範囲でお客様にどうアピールできるかが大切となる。項目7の材料に対して適切な調理がなされているかは、調味料のグラムで決めたりするのではなく、味のバランスで調理することが大切。項目8の容器の盛り付けは、食材によって容器の大きさや形や色で選ぶことが大切となるが7割はできていた。項目9の色合いは、赤・緑・青が基本色。そうした色合いの考慮がなされていた。項目10の『意図』や『思い』が反映されているかは、2月で成人女性18から29歳の学食または社員食堂という設定だったので、春の野菜を多く使っていた意図は感じたが、相手を思いやる点で『楽しんで食べてもらう』という配慮が欲しかった。だが、皆さん緊張する中で良くできていた」と講評した。

【試験後インタビュー】
▶︎食物コース 橋本理子さん(2年)は「テーマは『元気になれる食べ物』で旬の食材を豊富に使った」と笑顔。「主菜に旬のたらを使い。生臭さを取るために、チーズを多く使いコクを増やして食べやすくした『たらのチーズムニエル』を作った。副菜のサラダは彩を考えて緑のほうれん草と黄色と白の卵、赤のトマトを使って綺麗に盛りつけた」と微笑む。「スープは白菜にロースハムで旨味とコクをプラスしシンプルに仕上げた。デザートは生苺でほのかな香りと甘さを楽しんでもらうように味は控えめにした」と頷いたが、「自己採点は、試作した時はたらが美味しかったが、今日はチーズを多くしやや塩っぱくて食べにくかったので70点」と肩を落とし述べた。
▶︎食物コース 杉原美里さん(2年)は「2月なので『風邪防止』をテーマにした」と頷く。「主菜は『かぼちゃの肉巻き』でビタミンB1で疲労回復できる豚ロースを南瓜に巻いた」と微笑んだ。「汁物の『野菜ポトフ』にはビタミンCが含まれているじゃがいもを使い、彩りを考えて人参と南瓜を加え免疫力を高めた」と工夫した。また「デザートにはビタミンKが含まれているアーモンドを使い血行を良くし冷え性改善を狙い使用。栄養価の高いバナナは褐色に変色しやすいので変色を防ぐためにビタミンCが含まれているレモン果汁を塗って見栄えを良くした」と栄養士らしい。「デザートと白和えは、美味しくなかったので自己採点70点。今日はいい勉強になった」とやりきり満足げに述べた。
▶︎食教育・栄養指導の深澤早苗教授は「学生は緊張しながらも、最後の集大成ということで良く頑張ったと思う」と頷いた。「今日、出来なかったことが学びになるので、今日の出来なかったことを次に生かしてもらいたい」と願う。「今日は私たち教員も、学生に教えた専門的な知識・技術が、果たして現場に通じるのか緊張して臨んだ」と深く頷いた。「審査員の先生方の学生評価が、教員にとっては教員評価となる。教員は学生一人一人の審査項目評価についてつぶさにメモをとり、教えが学生にどう伝わっていたのかなどをチェックしている。それを来年度の授業改善に生かしたい」と顔を引き締める。「これから、最後の第4グループがあるので気を抜けないが、今年度も新たな収穫があった」と述べた。

文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.2.20