●2020年度国公立一般入試(前期日程)合格者報告
~願いが叶って学問の神『だるまに目入れ』~
~東大・京大・一橋・東工など合格報告続々~
山梨学院高の特進コース職員室に3月11日、3年3組の4人がコース主任 宮崎健教諭と担任 神田昌臣教諭らに大学合格報告のため訪れた。国立大学の2020年度一般入試(前期日程)の合格発表は3月6日から10日までの間で行われた。訪れた4人は10日、東大合格の内藤英理香さんと箕輪岳弥くん、一橋大合格の川口貴史くん。9日、東工大合格の田中耕大くん。同校は1月17日、大学入試センター試験を受ける3年生を対象に特進コース後輩らと校長・教職員が激励会を行った。激励会では進学コースの研修旅行で学問の神『太宰府天満宮』を訪れて購入しただるまに、特進コース・進学コースの代表者3名が合格の願いを込めてだるまの左目に目入れを行い、内藤英理香さんと箕輪岳弥くんが「明日はこれまで培ってきたことを出し切り、一問一問撃破してきます」と決意表明を行った。そのときの合格者を代表して、願いが叶って報告にきた4人がだるまの右目に目入れを行い記念撮影を行った。このほか、京大などの合格報告も続々と寄せられている。
【インタビュー】
▶特進コース主任 宮崎健教諭は「報告に来てくれた生徒は、難関国立校を目指すプレミアム系の3年3組の神田先生担任の4人の生徒」と笑顔で話す。特進コースの生徒は「1年次には基礎学力の定着と応用力の育成で、英語・数学・国語を重点的に学びつつ、基礎教養の獲得を目指す。2年次には基礎学力の充実と応用力の養成で、進路目標に合わせてプレミアム系または国公立系に進むとともに、個別試験科目に必要な教科科目を選択することがでる。さらに、3年次には受験対応力の養成で、進路目標に合わせてプレミアム系、国公立系、私立理系に進むとともに、多様化した大学入試に対応した特別指導を展開している」と頷く。進路指導では「河合塾やベネッセの全国模試分析システムを利用することができ、データに基づいた進路指導を行っている」と説明してくれた。
▶一橋大合格の川口貴史くんは「親が製造会社の社長なので、小・中学までは起業したいと思っていたが、高校からは商社に就職したいと思うようになり、それなら一橋の経済学部がいいと受験した」と頷く。山梨学院へは「兄が進学していたので中学から入学した。中学2までは勉強よりスイミングスクールに通い水泳に打ち込んでいた。水泳は怪我をしたのを機会に辞めた」と苦笑い。「高校に入り多少大学受験を意識して勉強をしたが、家では勉強に身が入らなかった」と振り返る。「勉強に本気で打ち込んだのは、高3になってクラスの仲間が東大とか京大とか医学部とか目指しているのを見て、さすがに家に帰ると塾の自習室を利用して勉強した」と照れ笑い。「もともと勉強は、世界史が面白くて、例えば『神聖ローマ帝国時代は、ドイツ・イタリア・オーストリア・チェコが同一国家だった。それはなぜ』と支配領域に興味を持ち、はまった」と頷く。「担任の神田先生が『志望校を高いところに設定して下げずに頑張ること』と教え諭してくれた」ことで妥協を許さなかった。合格は「父親から母親に電話が入り、母親が凄く喜んで『合格したよ』と教えてくれた」とともに喜び胸を撫で下ろした。座右の銘は「今回の教訓から『最後まで諦めない』」と述べた。
▶︎東大合格の内藤英理香さんは「私と箕輪くんは、山梨学院に未就学のアルテア館から小・中・高とお世話になっている」と笑顔で話す。「幼少の頃、祖父に自然豊かな緑の世界に連れて行ってもらい、虫取りをして昆虫図鑑などを見ているうちに、森林に住む微生物から動物が相互に関わり合っていることが神秘的に感じて、興味がわき生態系について学びたいと思うようになった」と振り返る。高校時代は「1年の時は、目の前の毎日の授業の予習復習を確りやることで一杯一杯だったが、1・2年生と数学同好会で活動し『数学オリンピック』では難問に取り組む面白さ、『科学の甲子園』では仲間意識が生まれ切磋琢磨する」ことを知った。「2年生の時に少しずつ大学受験が視野に入ってきて、冬には中学からはじめたバドミントン部を辞めて」大学受験にスイッチを入れた。「その冬にセンター試験の模擬試験を受けたら、意外と良い結果がでて進路指導で神田先生に東大の理科二類なら『思う存分に学べるのではないか』と勧められ目指して受験した」と振り返る。結果は「スマホで見て、心配してそばにいた母親に伝えるとすごく喜んでくれて、親に恩返しができた」と実感した。座右の銘は「目の前のことを一生懸命取り組むことが未来につながるという意味で『全力投球』」と述べた。
▶︎東大合格の箕輪岳弥くんは「趣味は、ピアノとヴァイオリンと将棋。ピアノは4歳から習い、山梨学院小3の時に平成22年度日本クラシック音楽コンクール全国大会ピアノ部門小学校低学年男子の部で第2位を獲得」したと淡々と答える。幼少の頃から「親が本を与えてくれて本の面白さを知り、小学校の頃は戦国時代の歴史の本が好きで、特に伊達政宗は戦国後は新田開発を奨励して仙台を拠点として東北に君臨し、江戸幕府の統治体制を支えた。こうした生き様に興味を抱き熱中。中3の時、文芸同好会に入り小説を書いて第9回田辺聖子ジュニア文学賞の小説部門で佳作を受賞。さらに科学や文学など様々な本を」読みあさった。高校時代は「1・2年生と数学同好会で活動し、『数学オリンピック』では2年生の時に本選に出場。そして『科学の甲子園』、『エコノミクス甲子園』に出場した。こうした体験は教科書にない難問が広範囲で出題され、『解きたい』と楽しみながら挑戦できた」とさらに博学に拍車がかかった。「受験対策は高校の授業と代ゼミサテラインが中心で、相変わらず読書に没頭していた」と振り返る。大学受験は「3年次の選択肢の多い東大の文科一類を受験した」と頷く。座右の銘は「『何事も楽しむこと』」と述べた。
▶東工大合格の田中耕大くんは「数学が好きで、さらに学力を伸ばしたいと、山梨学院中に入学した」と頷く。小学生時代に「パソコンの囲碁ゲームで囲碁に興味を持ち、盤面を読む力などがつき、それから数学も好きになり、数学が得意になった」と振り返る。高校では「周りからも数学が凄いと言われ、プレミアム系を選んだ。数学が好きなので『数学オリンピック』に出たいと希望し数学同好会で活動。1年と2年の2回、『科学の甲子園』とともに出場。科学の甲子園では豚の血液を使い実験を試み研究者に興味を抱いた」と明かした。「友だちから理系の最高峰の東京工業大学の理学院に進学を勧められたのが切っ掛けで受験したが、センター試験はクリアできたが二次試験はハードルが高いので、合格発表の日、両親とネットで調べて確認できた時は喜んだ。父と母は『やったね。良かったね』と喜んでくれた。それを見て努力が報われたと思った」と頷く。「高校生活は楽しかったが『もうちょっと本気を出せば良かった』と悔いる。大学では本気を出して勉強し、将来は研究者を目指したい」と希望を抱く。座右の銘は「実際、東工大に挑戦し、これからも研究者になれるように挑戦するので『本気で挑戦』」と絞り出した。
▶担任 神田昌臣教諭は「彼らは、一般的に『東京一工』と呼ばれる大学最難関とされる東京大学と京都大学、それに理系最高峰の東京工業大学と文系最高峰の一橋大学にそれぞれ現役で合格した。そのほかにも、防衛医科大学校、山梨大学医学部など合格報告が続々と寄せられている」と笑顔で話す。「今年の生徒の特色は、受験は団体戦と言われるが、まさに今日、報告に来てくれた生徒たちを中心に集団で最後まで、励ましあいながら、個々が頑張っていた」と挙げる。「まだ国公立の後期日程が3月20日以降まで発表があるので結果が期待できる」と大きく頷く。「彼らの合格の原動力は、受験を受験に合格するための道具としてではなくて、人間的に成長するために、また学問の楽しさを感じながらやってきたことが大きい」としみじみと語る。「大学に入って後、『今、こんな本を読んでいます』という話を聞くことを楽しみにしたい。大学での学びを大切に人生を切り開いて行ってほしい」と語気を強める。「今回は、合格者の人生を通して一瞬の喜びに立ち会えただけで、まだまだ彼らの成長を楽しみにしたい」と目を細める。最後に「彼らにはこれまで挫折しそうになった時、『夢を忘れずに最後まで諦めない』ということを意識させて、人間力を高めてきた。これからの人生も、一喜一憂せずに夢に向かって悠然と立ち向かってほしい」とエールを送った。
◾️願いが叶って報告にきた4人がだるまの右目に目入れを行い、宮崎先生と神田先生とともに記念撮影を行った。そして4人は先生方や親らに改めて感謝し学び舎を後にした。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.3.12