●山梨学院高校野球部が報道関係に練習公開
~実践に重点の守備練習やバッティングを公開~
~最後みんなで笑顔で終われるゲームにしたい~
山梨学院高校野球部は7月19日、砂田球場で全体練習を報道関係者に公開した。吉田健人野球部長は「報道各社から夏季山梨県高校野球大会並びに甲子園高校野球交流試合出場に伴う練習取材の依頼があり、新型コロナウイルスの感染防止・リスク回避の観点から本日の全体練習公開に踏み切った」と述べた。練習の公開は実践に重点をおいたランナーをつけての併殺プレーなどの守備練習やマシンによるバッティングを公開した。主将 功刀史也は「それぞれの大会に向けてチームは着々と仕上がっている。県大会も甲子園も、勝ち負けではなくて新型コロナで苦しんできた世代の仲間と戦えること、機会を与えてくださった方々に感謝して自分たちの野球をして、最後はみんなで笑顔で終われるゲームにしたい」と述べた。山梨学院は夏季山梨県大会5年連続10回目の優勝を目指し、7月23日に開幕第3試合目で古豪・甲府商業戦に臨む。また、8月17日には甲子園高校野球交流試合の閉幕第3試合目に白樺学園(北海道)戦に挑む。
【報道関係に練習公開】
▶︎吉田健人野球部長は「報道各社から夏季山梨県高校野球大会並びに甲子園高校野球交流試合出場に伴う練習取材の依頼があり、新型コロナウイルスの感染防止・リスク回避の観点から、各社個別に対応するのではなくて、1回の公開に限定して検温とマスク着用、そして三密にならないようにご理解いただき、本日の全体練習の公開に踏み切った」と明かした。
▶︎午後1時半から受け付け、野球部コーチによる検温と記帳を行った。午後2時過ぎから新メンバーを入れての実践に重点をおいたランナーをつけての併殺プレーや投内連携で実戦に近い守備練習を行うと選手は戸惑う場面もあった。ピッチングマシンを使用したバッティングでは主力は快音を響かせた。
【インタビュー】
▶︎吉田健人野球部長(コーチ兼務)は部長としては「新型コロナウイルスに対する対策を講じることと、山梨独特の夏に、選手の心や身体のコンディションを整えさせることが重要な仕事」と大きく頷く。コーチとしては「今のチーム事情はセンターの渡邉嵩馬とサードの中島大介が怪我で離脱しており、その穴をどう埋めていくかが課題」と打ち明ける。「その怪我の影響で内野から外野に外野から内野にと守備を担ってもらう3年生で経験のある橘田陸斗と、1年生2人の右投げ左打ちのファーストで打撃に非凡なものがある岩田悠聖とサード相澤秀光が頭角を表している」と期待する。「うちのチームは吉川を中心に守りを固めて失点を少なくして戦うことがポイントとなる」と述べた。
▶︎期待の新人で非凡左の強打者 岩田悠聖(1年)は「守備は高校で初めてファーストを守るので早く慣れたい。大会では先輩方の足を引っ張らないようにしたい」と声が弾む。「自分が一番生かしたいのはバッティングなのでチームの戦力になれるように頑張りたい」と小さく頷く。「今、バッティングは引っ張ることと流すことをテーマに取り組んでいるが、左右に打った方がヒット率が高いのでそこを意識して試合に臨みたい」と大きく頷く。「コーチには高校3年間でホームランを70本打てと課題を出されているので、それを目指していきたい」と微笑む。「中学校時代は静岡裾野シニアでセンターとピッチャーをしていた。中学や小学校の指導者に大変お世話になっていたので恩返しのためにも、結果を残せるように活躍したい」と目を輝かせた。
▶︎心身ともに成長したエース左腕 吉川大(3年)は「球の投げ込みは1回約80球、球種はストレート、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、カットボール、ツーシームを投げる」。特に収穫のあった球は「2週間前にスライダーの投げ方をストレートに近い握りの投げ方で曲げることを試みたらスライダーのキレが良くなった」と微笑む。「大量失点してしまうと、相手の良い投手から得点を取り返すことが難しくなるので、なるべく接戦に持ち込めるように自分が確り投げないといけないと思っている」と頷き、「エースの自覚を持って堂々とストレートや変化球を低めに決めて三振ではなく打たせてとる投球を心がけたい」と決意を述べた。
▶︎遊撃手で内野の要でクリーンアップ 小吹悠人(3年)は「自分たちのチームは個人の力は他のチームに比べてないので、例年なら春にチームプレーを仕上げて夏に挑むが、今回は新型コロナで中継プレーだったりランダウンプレイで投げるタイミングが思うように出来なかったので、試合までにどのくらい精度を高められるかが鍵となる」と頷く。「試合までに期間がなく、実践感覚が未だないので練習試合だったり公式戦で精一杯プレーしながら、感覚を取り戻していきたい」と述べた。打撃では「自粛期間で振る力をつける練習を行なった。練習試合では、打てなかったボールでもヒットが打てるようになり、その結果が出ている」と述べた。
▶︎捕手で4番の守りと打撃の要 栗田勇雅(3年)は「大会では感謝という言葉を忘れずに全力で何事にも取り組んでいきたい」と頷く。「このチームは守備で流れを作って行って攻撃につなげるチームなので、吉川の球でいかに打者のタイミングをずらして内野ゴロで打ち取ることができるかがポイントとなる」と頷き、「個人練習が多かったので、盗塁を刺せるように遠投は勿論のこと40mの距離の牽制球にも力を入れ1日30分を費やした。投手が吉川の時は吉川の頭上を目掛けて投げると二塁に入った選手の腰あたりの高さに届くように練習を繰り返した。その結果、秋より低く牽制球が行くようになったので、満足のいく牽制球が投げられるようになった」と胸を張った。打撃は「マシーンを2mぐらい近づけて、速い球に目を慣らしたり体で感じたりして、対応できるように対策している」と述べた。
▶︎広角打法と堅守でチャンスメイクする主将 功刀史也(3年)は「それぞれの大会が近づいているので、その大会に向けてチームは着々と仕上がっている。山梨県大会も甲子園交流試合も、勝ち負けではなくてコロナで苦しんできた世代の仲間と戦えることと機会を与えてくださった方々に感謝して一生懸命戦い、最後はみんなで笑顔で終われるゲームにしたい」と大きく頷く。出場できない選手には「ともに辛い時期を乗り越えてきた仲間、グラウンドでは立てない仲間の選手の気持ちを背負って戦いたい」と言明した。プレーヤーとして「攻撃では先頭を任されることが多いので出塁率をあげるために、逆方向を狙って打ちたい。守備では二遊間の連携もうまくいっているので平常心で戦いたい」と笑顔で述べた。
▶︎吉田洸二監督は「チームはようやく実戦感覚が戻ってきたかなと言う状況」と頷く。「全体練習開始から天候が雨で、練習試合がほとんど中止になり、打者の力が秋からすると落ちているので、思うように行っていない」と首を傾げる。それでも「まさか、まさか、山梨県大会や甲子園で試合が出来るとは思ってもいなかったので、本当にありがたいの一言です」と感無量の面持ち。「結果はともかく、試合が出来ることに感謝して、今までやってきたことを全て出し切ってもらいたい」と深く頷く。甲子園交流試合は「打撃力が落ちてる中で、相手チームは神宮大会でベスト4で140キロ台の投手が2人いる非常に手強いチーム。交流戦は32校招待されて16試合行われる。うちは閉幕試合となり、これは日本の3年生の高校野球最後の試合になる。また、甲子園で勝って3年生が引退できることは、本来は約4千校の1校しか味わえない体験ができるので、試合で勝って終われるチャンスはあるのでチームとしてはありがたい」と述べた。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.7.20