●2020年夏季山梨県高等学校野球大会(決勝)
~期待の星 岩田 先制2点打も5連覇を逃す~
~継投した1年期待の右腕 川口龍己が好投~
山梨学院高校は8月13日、山日YBS球場で山梨県高校野球決勝を東海大甲府高校と対戦し逆転で4対5とされ夏季県大会5連覇を逃し準優勝とした。先攻の山学は1回表一死一、二塁で準決勝で満塁本塁打を放っている主砲4番 栗田勇雅が中犠飛、続く5番 外川温大の四球で二死満塁。ここで6番 1年期待の星 岩田悠聖が2-2から先制の右前2点適時打し、準決勝に続く2点先制打で2対0としチームに流れを引き寄せた。山学は4回裏一死満塁、エース左腕 吉川大が8番打者エースの代打に同点となる2点適時二塁打を許すなど2対4と逆転されたが、山学は5回表の無死三塁、主砲4番 栗田の右犠飛で3対4と追い上げる。その5回裏、エース 吉川大がライナーを左顎に直撃するアクシデントで降板。山学はその6回表一死一、三塁で切り込み隊長1番 橘田陸斗の左犠飛で4対4の同点とした。エース 吉川を継投した左腕投手が7回裏一死後、4番打者に本塁打を浴び再びリードされるも、山学は7回裏に継投した1年期待の右腕 川口龍己が好投し打線の追い上げを待ったが4対5で負けた。次戦はいよいよ3年生最後の試合となる甲子園交流試合。8月17日、最終日最終試合の第3試合で白樺学園(北海道)と対戦する。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 |
東海大甲府 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | × | 5 |
【試合前インタビュー】
吉田健人野球部長兼コーチは試合前に「東海甲府に吉川が3点、4点取られることを想定して、なんとか打者が先制して点を重ねて吉川を援護してもらいたい」と頷く。また「昨日、甲府で最高気温38度となった。山梨県高野連の配慮で給水タイムが3回、5回、7回の終了後に設けられているので、確り経口補水液OS-1(オーエスワン)などで熱中症対策を行い戦いたい」と述べた。
【 山梨学院高校 Vs 東海大甲府高校】
◾️山梨学院は吉田洸二監督が準決勝の甲府西高校戦(8/11)あとのインタビューで「次の決勝は投手の出来次第」と決勝を睨んだ。全国高等学校野球選手権大会山梨県大会は新型コロナウイルス感染症対策で中止となったが、山梨県夏の王者を決める今大会で勝利し、夏季山梨県大会5連覇を目指す。
◾️甲府市は10時00分天気予報(日本気象協会)は、天気晴れ、気温31.2度、湿度44%、風向き南西、風速2m/s。山日YBS球場の両校の応援団スタンドには新型コロナウイルス感染防止のため、控え選手と高野連に登録してあるコーチ・副部長、3年の保護者(各家庭2人まで)のみがスタンドでの観戦となった。一塁側 山梨学院高校、三塁側 東海大甲府高校の両校選手がベンチ前から駆け足でホームベースを挟んで整列。先攻 山梨学院高校、後攻 東海大甲府高校で決勝が10時02分に開始された。
▶︎1回表、先攻の山梨学院は右腕 亀井康生(3年)から一死後に2番 巧打主将 㓛刀史也(3年)が1-1から右前安打し出塁。3番 小吹悠人(3年)が1-0からの2球目を中前安打し一死一、二塁。準決勝で満塁本塁打を放っている主砲4番 栗田勇雅が中犠飛で二死一、三塁に、5番 外川温大の四球で二死満塁とした。続く6番 1年期待の星 岩田悠聖が2-2から「高めスライダー」を叩き先制の右前2点適時打を放ち準決勝に続く2点先制打で、2対0とチームに流れを引き寄せる。
▶︎1回裏、吉田洸二監督がエース右腕 吉川大(3年)をマウンドにあげた。吉川が1番打者をフルカウントから中飛に、2番打者を1-2から空振り三振に、3番打者を1-1から中飛に打ち取り三者凡退とエースらしいマウンドさばきを見せる。
▶︎4回裏、エース右腕 吉川大(3年)が先頭の4番打者に初球死球を与え無死一塁。5番打者の2-2から左前安打され無死一、二塁。6番打者に1-1から捕手前に犠打され捕手 栗田勇雅(3年)が素早く捕り三塁へ送球し一死一、二塁。エース 吉川が7番打者を3-1から四球を与え一死満塁。続く8番打者エース右腕 亀井の代打に3-1から左線2点適時二塁打され2対2の同点。エース 吉川が一死二、三塁で9番打者の1-1から左前適時打され2対3と逆転を許した。二死一、三塁で2番打者0-1から遊ゴロに打ち取るが堅守 小吹悠人(3年)がまさかの失策で2対4とされ流れを相手に渡した。
▶︎5回表、山梨学院は先頭の2番 巧打主将 㓛刀史也(3年)が2番手投手の右腕 赤井海人(2年)からフルカウントから死球をもらい出塁。3番 小吹悠人(3年)の3-1からの5球目に功刀が盗塁し無死二塁。小吹が3-2からの6球目をニゴロしこれを二塁手が失策して無死一、三塁。主砲4番 栗田勇雅(3年)が1-1の右犠飛で功刀が生還し3対4とした。
▶︎5回裏、エース 吉川大が先頭の4番打者の2-1からの4球目のライナーを左顎に直撃し三塁側に弾いた球を三塁手が捕球し一塁へ一死無塁とした。このアクシデントでエース 吉川が降板。吉田洸二監督が2番手投手、左腕 宮下龍希(2年)をマウンドに送った。左腕 宮下が5番打者を1-1から左飛に、6番打者をフルカウントから三塁ゴロに野手悪送球で二死三塁としたが、左腕 宮下が7番打者を初球右飛で打ち取りチェンジ。
▶︎6回表、山梨学院は先頭の7番 才津紘大(3年)がフルカウントから右ポール上空を越え右上段へ運ぶ一発が邪飛とジャッジされたあと死球を選び出塁。左腕 宮下龍希(2年)が初球二ゴロ犠打を決め一死二塁。代打9番 役田翔(2年)が初球右前安打し一死一、三塁。切り込み隊長の1番 橘田陸斗(3年)が2-1からの4球目を左犠飛し4対4の同点と流れを引き寄せる。
▶︎7回裏、左腕 宮下龍希(2年)が先頭の3番打者をフルカウントから遊ゴロに打ち取り一死無塁。続く、4番打者の0-1から左に外す2球目が真ん中に入り右場外に消える本塁打を浴び4対5と再び勝ち越された。続く6番打者に左前安打され一死一塁で左腕 宮下は降板。吉田洸二監督が3番手投手 1年期待の右腕 川口龍己(1年)をマウンドにあげた。右腕 川口が「この大会で1番緊張した」と代わり端に6番打者にランエンドヒットで右前安打され一死三塁とされる。続く7番打者にストレートの四球を与え一死満塁とした。4回に代打で左線2点適時二塁打を打たれた8番打者を打席に迎える大ピンチ。右腕 川口が「緊張することはなかった」と二ゴロ併殺(4-6-3)でチェンジ。
▶︎8回裏、右腕 川口龍己(1年)が先頭の9番打者を初球で一飛に、1番打者を0-2から二ゴロに、3番打者に右線を深く破られる三塁打を打たれ二死三塁とした。続く3番打者を1-0から遊ゴロに仕留めチェンジ。
▶︎9回表、7回表から好投す3番手投手左腕 若山恵斗(2年)から先頭の切り込み隊長1番 橘田陸斗が2-1からの4球目を強打したが二塁手の正面で一死。2番 巧打主将 㓛刀史也(3年)が1-1から左前安打で出塁し、左翼手が後ろにそらすのを見て二塁を陥れ得点圏に塁を進めた。しかし後続が倒れ4対5で負け、打線は7回裏から好投した1年期待の右腕 川口龍己に勝ちをプレゼントすることはできなかった。山梨学院は夏季県大会5連覇を逃し準優勝とした。
◾️山梨学院は9回でチーム打撃成績は打数32、得点4、安打9、二塁打0、三塁打0、本塁打0、塁打数9、打点4、三振3、四球4、死球1、犠打1、犠飛2、盗塁3、残塁9、打率 .281。守備成績は8回、刺殺24、補殺10、失策3、暴投0、捕逸0、併殺1、守備率 .919。チーム投手成績は8回、打者数39、打数34、投球数140、投球回数8、被安打9、本塁打1、三振4、四球3、死球2、暴投0、ボーク0、失点5、自責点4、防御率4.50。
【試合後インタビュー】
▶︎7回裏途中でマウンドに向かった1年期待右腕 川口龍己は「5回、屋内のブルペンで『リリーフでいく、肩をつくって』と告げられ、7回途中でマウンドに向かった。この大会で1番緊張した」と振り返る。それでも「初球、落ち着いて投げれたが、今日は甘いところにボールがいったりボールも多く、準決勝のような思い通りの投球はできなかった」と、また一死満塁とし「緊張することはなかった。思う通り内野への二塁ゴロに打ち取り併殺で無失点に抑えられて良かった」とほっと一息、大きな自信となった。甲子園交流試合は「機会があれば、甲子園のマウンドで自分の持っている力の限りを尽くして、3年生最後の試合に貢献したい」と目を爛々と輝かせ述べた。
▶︎先制の右前2点適時打を放った1年期待の星5番 岩田悠聖は「二死満塁だったので、『チームに初回から良い流れがつくれるように』と打席に立って、1球目を見送りワンストライクを取られたが、監督さんからの伝言で気持ちがほぐれた」と、「『なんとしてでも、ランナーをかえしたい』と、ツーアウトだったので転がして得点しよう」と、待った2-2の5球目「高めのスライダー」を狙い撃ち、「ジャストミートできなかったが、なんとか一、二塁間を抜けてライトと前に運べて良かった」と一塁に走る。「ライトがホームへ送球したのを見てすかさず二塁(得点圏)へ進塁した」と抜け目がない。「チームで練習していて体が自然に反応した」と微笑んだ。次戦までに「変化球をジャストミートできるように修正したい」とさらに高みを目指す。山梨県大会で「相手バッテリーがデータを元に状況に応じて攻めてくることや高校生投手の球の伸びや切れを体感できて大変勉強になった。こうした体験で得た新たな課題に確り取り組みたい」と声が弾んだ。甲子園交流試合について「出場できたら監督やコーチに恩返しができるように、3年生は最後の試合になるのでチームに貢献できる活躍をしたい」と溌剌と述べた。
▶︎堅守巧打の主将 㓛刀史也(3年)は「守ってはエラーだったり、攻めてはつなぐ野球ができなかったり、山梨学院らしい試合ができなかったことが敗因」と振り返った。具体的に「3失策が相手に流れを与えてしまった。攻めては1回に2点先制したものの2、3、4と無得点で相手を突き放すことができずに投手に負担をかけてしまった。また主軸が打てなかったことも大きかった」と振り返る。「17日の甲子園交流試合までには直して、甲子園交流試合ではワンチームで『善』循環できるよう頑張りたい」と大きく頷き。また「3年生最後の試合になるので、全力で悔いが残らないゲームにしたい」と決意を述べた。
▶︎吉田洸二監督は「3年生は山梨県最後の試合で3年生らしさを出し切れなかったが、レギュラー以外の選手も含めて本当によく頑張った学年だった」と開口一番。「5回裏のエース 吉川のアクシデントによる降板は考えられなかったが、心配で本人の意志を確認せずに、すぐ病院に連れていっていただいた。吉川は大事には至らなかったが、チームにとっては大変な痛手だった」と顔が曇る。岩田について「初回の先制打は良かったが、その後の相手バッテリーの考えた攻めに対応できなかったのはいただけない」とあえて釘を刺す。「チームに決勝ホームランでの投手の攻め方など、随所に選手に指導者の意図が伝わっていない。それが指導者としての大反省」と大きく頷いた。今回の大会は「『3年生には大変申し訳ないが、ベストの状況を探り1・2年生に経験を積ませながら、未来につながる大会にしたい』という観点では、有意義な大会だった」と振り返った。「大会を開催していただいた皆様に感謝したい」と頭を下げた。甲子園交流試合について「エース 吉川の診断結果がまだわからないが、エース吉川を中心とした堅い守りで少ない攻撃チャンスでものにしたい」と抱負を述べた。
◾️今日「山梨県の独自大会なのだから5連覇は来年の夏にすればいい」とねぎらいの応援メッセージが寄せられた。来季、後輩たちにはそうした思いを叶えて欲しい。次戦はいよいよ3年生最後の試合となる『甲子園交流試合』。8月17日、最終日最終試合の第3試合で白樺学園(北海道)と対戦する。アクシデントで降板した不動のエース 吉川、主砲 栗田、華麗なる堅守の二遊間の㓛刀・小吹コンビ、切り込み隊長の橘田、初戦4安打の才津などの3年生や後輩たち、スタンドの選手たち、オール山梨学院の選手たちの悔いのない戦いに注目が集まる。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.8.14