山梨学院パブリシティセンター

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●2020年甲子園高校野球交流試合
~山学全員で勝利 甲子園で校歌斉唱の栄誉に輝く~
~1年右腕川口 左腕古川が熱投 / 河野勝ち越し打~

山梨学院高校は8月17日、阪神甲子園球場で甲子園高校野球交流試合を白樺学園高校(北海道)と行い8対3で勝利し校歌斉唱の栄誉に輝いた。昨秋の関東大会準優勝の山学は、4日前の県決勝でエース吉川大がアクシデントに見舞われエース不在で、昨秋の明治神宮大会でベスト4の強豪校に臨んだ。先攻の山学は吉田洸二監督が1年生投手の右腕 川口龍己と左腕 古川秀将を起用。先発川口が「落ち着いて投球できた」と4回0/3を2失点、リリーフ古川が5回を「楽しく投球できた」と1失点とバックの堅守にも支えられ強力打線を3失点に抑える熱投を披露した。山学は攻めては1点先制された2回表に相手エース右腕から6番 小吹悠人が中犠飛で1対1。4回表には7番 河野修慈の左邪犠飛で2対1と逆転。5回裏に2対2と同点とされた6回表一死満塁、7番 河野が2番手右腕から「打った瞬間、左中間に抜ける」と3点適時二塁打で5対2とした。山学は7回表に1点、8回表に2点追加し8対2とした。9回表二死一、二塁、古川が3番打者に遊適時打されたものの三塁進塁を狙う走者を二・三塁間に挟みタッチアウトで8対3で勝利した。吉田監督は「3年生の高校野球卒業式で校歌を歌って終わりたいと臨んだ。このチーム結成以来のベストゲームだった。エース吉川が投手陣を引っ張ってきた。その中の1年生投手2人が頑張ってくれた。チーム全員で勝利を掴み校歌を斉唱できた」と感極まった声で述べた。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 合計
山梨学院 0 1 0 1 0 3 1 2 0 8
白樺学園 1 0 0 0 1 0 0 0 1 3

【試合前電話インタビュー】
吉田健人野球部長兼コーチは試合前に電話で「今日(16日)現地入りした。この大会は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で選抜高校野球大会が中止となり、その出場予定32校が招待され1校1試合の16試合が、8月10日に開幕し、明日(17日)の第3試合15時20分試合予定の山梨学院 対 白樺学園戦で閉幕する」と説明。「相手チームは全国屈指の好投手が二枚いて、投打ともに優れる明治神宮大会でベスト4の強豪校」と頷く。チームの調子は「エース 吉川が県大会決勝のアクシデントで左顎を骨折し15日まで入院したため、選手登録を1年左腕 古川秀将を代わりに登録した」と明かした。相手に勝つためには「エース吉川の代わりに、相手強力打線の特に1番、3番、4番を他の投手が頑張って粘り強く投げ抑えられるか。相手右腕の2人の好投手に上位の左打者がどれだけ打てるかがポイントとなる。ロースコアの接戦に持ち込みたい」と予想。「選手には甲子園で試合ができることに感謝と幸せを感じつつ、特に最後の試合となる3年生には悔いが残らない戦いをしてもらいたい」と願い、「部長として熱中症に十分な注意と配慮をしたい」と述べた。
 
【 山梨学院高校 Vs 白樺学園高校】
◾️山梨学院は吉田洸二監督が山梨学院広報スタジオで行われた甲子園交流試合対戦校決定記者会見(7/8)の席上で「相手は神宮大会ベスト4と投手力が非常に高い投打にまとまった強いチーム」と印象を述べた。山学はチーム要のエース吉川大が4日前の県決勝でアクシデントに見舞われスタンドからの応援となりエース不在で背水の陣で臨む。
 
◾️阪神甲子園球場のある西宮市の15時00分天気予報(日本気象協会)は、天気晴れ、気温35.6度、湿度56%、風向き西南西、風速3m/s。試合は新型コロナウイルス感染防止のため原則無観客で行われる。両校それぞれ控え選手と3年の保護者(各家族5人まで)などが一塁側と三塁側内野スタンドでの観戦となった。一塁側 白樺学園高校、三塁側 山梨学院高校。両校選手がベンチ前から駆け足でホームベースを挟んで整列。先攻 山梨学院高校、後攻 白樺学園高校(北海道)で試合が15時27分に開始された。
 
▶︎スターティングメンバー、1番切り込み隊長 橘田陸斗(3年)、2番堅守巧打主将 㓛刀史也(3年)、3番期待の1年 岩田悠聖(1年)、4番主砲 栗田勇雅(3年)、5番固め打ち 才津紘大(3年)、6番内野の要 小吹悠人(3年)、7番一発長打 河野修慈(3年)、8番外野の要 外川温大(3年)、9番期待の1年右腕 川口龍己(1年)。控えメンバー、古川秀将(1年)、渡邉嵩馬(3年)、上野颯夏(3年)、宮下龍希(2年)、笠井陽介(2年)、鈴木斗偉(1年)、相澤秀光(1年)、山元丈輝(2年)、役田翔(2年)、志村佳樹(3年)、村松駿(3年)。記録員 河瀬貴洋(3年)。
 
▶︎1回表、先攻の山学は、相手エース右腕 片山楽生(3年)から、1番 橘田陸斗(3年)が0-2から遊ゴロ、2番巧打主将 㓛刀史也(3年)が2-1から遊飛、3番期待の1年 岩田悠聖(1年)が空振り三振の三者凡退。
▶︎1回裏、山学は吉田洸二監督がエース右腕 吉川大(3年)が県大会決勝(4日前)にアクシデントで登録変更されたため、マウンドに9番 右腕 川口龍己(1年)をあげた。右腕 川口は1番打者を2-0からニゴロに、2番打者をフルカウントから三振に、3番打者に初球を左越え二塁打され二死二塁。4番打者に吉田洸二監督が故意四球(申告故意四球)し二死一、二塁。5番打者に1-1から左前安打され二死満塁。6番打者に3-1から押出しの四球を与え押し出しで0対1と先制される。川口は落ちついて二死満塁7番打者を1-2から空振り三振に切り取りチェンジ。
▶︎2回表、山学は相手エース右腕 片山から先頭の4番主砲 栗田勇雅(3年)が3-2から四球を選び出塁、5番 才津紘大(3年)の1-2から栗田が盗塁、才津は2-2から低い変化球を上手くミートし無死一、三塁とした。6番 小吹悠人(3年)が1-1から中深々と犠飛を放ち栗田が生還し1対1の同点とした。7番 河野修慈(3年)が1-2から低く落ちる変化中を左安打し一死一、二塁。8番 外川温大(3年)が1-2からランエンドヒットで変化球を空振りし、二塁走者が飛び出しタッチアウトでチェンジ。
▶︎2回裏、山学は右腕 川口が先頭の8番打者を0-2からボテボテの遊ゴロを堅守 小吹悠人(3年)が上手く捕球し一死。9番打者を2-0から右邪飛で打ち取り二死、1番打者を中飛に打ち取り三者凡退。
▶︎3回表、山学は相手エース右腕 片山から先頭の9番右腕 川口龍己(1年)がフルカウントから右邪飛で一死、1番 橘田陸斗(3年)が2-0から三飛で二死、2番巧打主将 㓛刀史也(3年)が2-2から右越え三塁打で二死三塁。3番期待の1年 岩田悠聖(1年)が左前飛で三塁残塁でチェンジ。
▶︎3回裏、山学は右腕 川口が先頭の2番打者2-1から遊ゴロで一死、3番打者が0-1から中飛で二死。4番打者を1-2から死球を与え二死一塁。5番打者の初球三遊間を抜ける左前安打で二死一、二塁。6番打者2-2から左飛でチェンジ。
▶︎4回表、山学は相手エース右腕 片山から先頭の4番主砲 栗田勇雅(3年)が初球を打ち三ゴロ、5番 才津紘大(3年)が3-1から四球を選び出塁。一死一塁6番 小吹悠人(3年)が0-2から中前安打し一死一、三塁、7番 河野修慈(3年)が「初球、外角真ん中に球が来たのでフルスイングした」とあわやホームランという大飛球がレフトポール側のフェンスへの邪飛となり、才津がタッチアップで生還して2-1と逆転。8番 外川温大(3年)の代打 渡邉嵩馬(3年)が怪我からの復帰で打席に向かう。俊足堅守・巧打 渡邉は1-2から空振り三振でチェンジ。
▶︎4回裏、山学は右腕 川口が先頭の7番打者を投ゴロで一死、8番打者が0-1から二ゴロで二死。9番打者を1-1から一邪飛で三者凡退。
▶︎5回表、山梨学院は相手エース右腕 片山から先頭の9番右腕 川口龍己(1年)がフルカウントから一直で一死。1番 橘田陸斗(3年)が2-0から中飛で二死、2番巧打主将 㓛刀史也(3年)がフルカウントから空振り三振で三者凡退。
▶︎5回裏、山学は右腕 川口が先頭の1番打者を2-1から左中間への本塁打で2対2の同点とされる。2番打者に3-0から左中間二塁打され無死二塁。3番打者を1-2から左前安打され無死一、三塁。ここで吉田洸二監督が吉川の代わりに登録した背番号1を背負った1年生左腕 古川秀将をマウンドに送った。古川が「マウンドに立って4番打者との対戦で栗田(捕手)さんの要求するところにストレートをやや外より低めに投げ込めた」と舞い上がることはなかった。3-1から「カーブをライト定位置に犠飛と思った」らサードランナーがホーム手前から三塁に戻るところでタッチアウトにして二死一塁とした。続く「5番打者の2-1のあとの一塁牽制でボークをとられ進塁を許し、四球で二死一、二塁としたが、動揺することはなかった」と、クリーンナップのうちの4番・5番と対戦が終わり、6番打者に「心置きなく手が振れた」と得意のカーブでニゴロに打ち取り窮地を脱した。
▶︎6回表、山学は相手エース右腕 片山から2番手右腕 岩田拳弥(3年)にスイッチ、吉田洸二監督は先頭の3番期待の1年 岩田悠聖(1年)に代打 役田翔(2年)を起用。3番 役田が1-2からまっすぐを打って右前安打で出塁。無死一塁、4番主砲 栗田勇雅(3年)が3-1から四球を選び無死二塁、5番 才津紘大(3年)が初球を投犠打するが三塁封殺(1-5)。一死二塁、6番 小吹悠人(3年)が2-2から左前安打。一死満塁、7番 河野修慈(3年)が1-0から「外ベルトやや低めのスライダーを確り見て振り抜いた。打った瞬間、左中間に抜けると確信した」と走者一掃の3点左中間適時二塁打で5対2と再び勝ち越した。8番 渡邉嵩馬(3年)が1-2から空振り三振。二死二塁、9番 左腕 古川秀将(1年)が1-2から投直でチェンジ。
▶︎6回裏、山学は左腕 古川が先頭の7番代打を空振り三振。8番打者を3-1から四球を与え、8番打者に3-1から四球を与え一死一塁。9番代打を0-2からニゴロで併殺(4-6-3)としチェンジ。
▶︎7回表、山学は相手2番手右腕 岩田から3番手右腕 坂本武紗士(3年)にスイッチ、1番 橘田陸斗(3年)がフルカウントから一ゴロに、2番巧打主将 㓛刀史也(3年)が1-2から中越え二塁打。一死二塁3番 役田翔(2年)が1-1から中飛で二死三塁。4番主砲 栗田勇雅(3年)が1-2から中前適時打を放ち6対2。5番 才津紘大(3年)がストレートの四球で二死一塁。6番 小吹悠人(3年)が2-0から見逃し三振でチェンジ。
▶︎7回裏、山学は左腕 古川が先頭の1番打者を1-0から左飛に、2番打者をフルカウントから空振り三振に、3番打者をフルカウントから見逃し三振に切って取り三者凡退。
▶︎8回表、山学は相手3番手右腕 坂本から先頭の7番 河野修慈(3年)が0-2から二塁手失策で無死一塁。8番 渡邉嵩馬(3年)が犠打を邪飛、すかさず吉田洸二監督が代打 山元丈輝(2年)を起用、山元が1-1から右越えで無死二塁、三塁。吉田洸二監督は二塁走者の山元に代走 志村佳樹(3年)を送った。9番 左腕 古川(1年)が1-2から2点右前適時打で8対2とした。1番 橘田陸斗(3年)の遊ゴロで二塁封殺で一死一塁。相手が3番手右腕 坂本から4番手右腕 葛西凌央(2年)にスイッチ。相手4番手右腕 葛西から2番巧打主将 㓛刀史也(3年)が投ゴロで二死二塁。3番 役田翔(2年)が二塁手のファインプレーに阻まれチェンジ。
▶︎8回裏、山学は左腕 古川が先頭の4番打者に2-1から左遊安打を与えると遊撃手 小吹悠人(3年)が素早く捕球し二塁に転送し二塁手 㓛刀史也が4番打者をタッチアウト。一死無塁、5番打者に1-0から右越え二塁打。続く6番打者を2-1から中飛に打ち取り二死二塁。7番打者を2-2から空振り三塁に打ち取りチェンジ。
▶︎9回表、山学は相手4番手右腕 葛西から先頭の4番主砲 栗田勇雅(3年)が1-2から捕邪飛で一死、5番 才津紘大(3年)が1-2から右飛で二死。相手が4番手右腕 葛西から5番手右腕 奥村柊斗(3年)にスイッチ。相手5番手右腕 奥村から6番 小吹悠人(3年)がフルカウントから四球を選び出塁。二死一塁、7番 河野修慈(3年)が左飛に打ち取られてチェンジ。
▶︎9回裏、山学は左腕 古川が先頭の8番代打を1-2から中飛で一死無塁 。9番代打を初球ニゴロで二死無塁。 1番打者に1-0から二内野安打で二死一塁。2番打者に3-0から四球を与え二死一、二塁。3番打者を2-2から遊適時打で8対3、3番打者が三塁へ進塁しようと三塁二塁間に挟まれタッチアウト(7-6-4)でゲームセット。山梨学院が白樺学院を8対3で破り、8月10日に開幕した甲子園交流試合は予定の16試合の全てが終了した。勝利した山梨学院は校歌斉唱の栄誉に輝いた。
 
◾️山梨学院は9回でチーム打撃成績は打席数43、打数36、安打11、本塁打0、打点8、得点8、三振6、四球5、死球0、犠打0、犠飛2、盗塁1、盗塁死1、残塁8。先発川口の成績は投球回数4回0/3、打者数21、打数18、投球数66、被安打6、本塁打1、犠打0、犠飛0、四球2、死球1、三振2、暴投0、ボーク0、失点2、自責点2。リリーフ古川の成績は投球回数5回、打者数18、打数15、投球数77、被安打4、本塁打0、犠打0、犠飛0、四球3、死球0、三振4、暴投0、ボーク1、失点1、自責点1。
 
【試合後インタビュー】
▶︎先発で4回0/3を2失点と熱投1年期待右腕 川口龍己は1回裏「緊張もあったが、確りと自分のプレーを全力で出し切ろうと思った。初球まっすぐをアウトコース低めに投げた」と先頭打者を落ちついて二ゴロに打ち取った。2番打者を「内角低めのスライダーで空振り三振」にし、続く3番打者に「初球のカーブをレフト前に打たれた」と二死二塁。4番打者のところで、吉田洸二監督が故意四球(申告故意四球)を審判に申し出て二死一、二塁とした。「監督さんから申告敬遠をすることを事前に伝えられていたので驚きや動揺はなかった」と明かした。「その後に、5番打者にレフト前打されたのは球が甘く入ってしまったので反省したい」と二死満塁。「6番打者が積極的に振ってきていたので甘いところにいったら打たれると思い、誘い球や厳しいところに投げて押出しの四球となった」と0対1先制された。続く7番打者を「栗田(捕手)さんの構えたところに手が振れてコントロールできて三振にできた」と頷いた。「2回裏と4回裏を三者凡退などで4回まで0点に抑えた」と振り返る。5回裏「4球目が栗田さんが構えたところよりアウトコースよりの低めのスライダーが高さコースともに失投」と反省。「落ち着いて投球できたが、スライダーが高めに浮いてしまったことを修正したい。また、まっすぐ、スライダー、カーブ、チェンジアップと投げたが、甘い球が行かないようにコントロールとカーブに磨きをかけ秋の大会で貢献した」と先を見据える。「3年生の先輩たちには大変お世話になり、今度は自分たちで甲子園に来られるように頑張り、恩返しがしたい」と述べた。
▶︎吉川のエース1の背番号を背負って5回を熱投した左腕 古川秀将(1年)は「相手チームを映像で見た印象は、けっこう振ってくるなと思った。甘い球を一球でも投げたら見逃さずに打たれる」と記憶に確り留めた。無死一三塁で「マウンドに向かったが緊張しかなかった」と振り返る。「川口からボールを手渡してもらったときに『抑えなければ』」と我に返った。「マウンドに立って4番打者との対戦で栗田(捕手)さんの要求するところにストレートをやや外より低めに投げ込めた」と舞い上がることはなかった。「カーブをライト定位置に犠飛と思った」らサードランナーがホーム手前から三塁に戻るところでタッチアウトで二死一塁とした。「5番打者の2-1のあとの一塁牽制でボークをとられ進塁を許し、四球で二死一、二塁としたが、動揺することはなかった」クリーンナップのうちの4番・5番と対戦が終わり、6番打者に「心置きなく手が振れた」と得意のカーブでニゴロに打ち取り窮地を脱した。「吉川さんから『俺の分まで頑張ってこい』と思いを託され、エールも送ってくれた。吉川さんがスタンドで応援しているのが見えていたので、無我夢中で集中して気持ちを入れてストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップが投げられた」と振り返る。決め球には「インコースのストレートと緩いカーブ」と相手の手元での伸びと切のある落差で攻めた。「毎回、小吹さんと㓛刀さんが『楽しんで』などと声をかけてくれて勇気づけられ、投げていくうちに自分の最大限の力が出せて、楽しく投球できた」と喜んだ。「これから後、4回甲子園に行けるチャンスがあるので、今回の甲子園を励みに練習を積み成長していき、チャンスがあれば再びマウンドに立ちたい」と新たな目的を設定し声が弾んだ。「吉川さんには早く怪我を直してほしい。3年生が引退してからも練習を確りやり2年生と伝統を受け継ぎたい」と述べた。
▶︎4打数2安打4打点で勝ち越し打を放った7番 河野修慈(3年)は昨秋の第72回秋季関東高校野球山梨県大会決勝延長10回表、8番代打で真ん中高目の直球を上から叩き引っ張るスイングで振り抜き、起死回生の左芝生席に飛び込む2ランで試合を決めた。持ってる男が「オーダー用紙を見たとき、スタメンと言うことが分かった。自分に求められているのは打撃なので打ってチームに貢献できればと思い試合に臨んだ」と、その言葉通りに4回表「一死二、三塁だったのでホームランを狙って、悪くても犠飛になればと打席に入った。初球、外角真ん中に球が来たのでフルスイングした」とあわやホームランという大飛球がレフトポール側のフェンスへの邪飛となり、「才津がタッチアップでホームインして2-1と逆転でき最低限の仕事ができた」と頷いた。6回表「一死満塁でビッグイニングだったのでつなぐことを心掛けて打席に立った。ワンボールからの外ベルトやや低めのスライダーを確り見て振り抜いた。打った瞬間、左中間に抜けると確信した」と走者一掃の二塁打で3点得点を奪い5対2とした。二塁ベース上でおもわず「よっしゃ~」と雄叫びをあげた。「3年間、辛い時の方が多かったが、今日勝利できた、この瞬間で報われた」とかみしめた。「両親に感謝したい。今日、親に恩返しができました」と胸が熱くなった。
▶︎堅守巧打の主将 㓛刀史也(3年)は試合が終わって「今は自分たちのために高野連の方が素晴らしい舞台を用意して頂いたので感謝で一杯」と述べた。「1年生2人投げていたので、その1年生が投げやすいようにバックも盛り立てるということをチームは意識した」と無失策で効率よく得点し1年生投手を支えた。3塁打・2塁打と長打二本の活躍「みんなが応援してくれている中で打てたので、自分だけではなくて周りの人の支えがあってこそ打てたヒット」と感謝した。4日前の山梨県大会決勝で「吉川がアクシデントで怪我をして出場できなかったが、吉川の頑張りで甲子園交流試合に連れてきてもらったと言っても過言ではないので吉川のためにも絶対勝とうとみんなで話し合い試合に臨んだ」と明かした。チームは「2年半で一番雰囲気の良いベンチだった」と清々しい。「苦しいことは多かったが最後、この素晴らしい舞台で最高の試合が出来たので3年生みんな満足しています」と溌剌。「応援いただいた学校関係者や山梨県の皆様、そして全国の皆様のお力添えで勝利することができました。大変、ありがとうございました」と述べた。
▶︎吉田健人野球部長兼コーチは「甲子園でチームはスタンドとグラウンドとベンチが一丸となって戦ってくれた」と評価した。「このチームとは新型コロナウイルスの影響で、今までで一番一緒に苦しい思いをし、一番身近に過ごしたチーム」と振り返る。「チームの頑張りで甲子園球場で交流試合を戦うことができ、その上に甲子園で勝利まで手にした。素晴らしいチームだと思う」と称え、部長とコーチとして「勝てたことが思い出に残りチームに感謝している」と率直に喜んだ。「特に3年生は今まで経験したことのない新型コロナウイルスの影響でせっかく手にした選抜高校野球大会も全国高校野球選手権大会も中止になり練習もままならなかった。絶望の淵にいた3年生に甲子園交流試合の招待が届いた。あたりまえだった野球ができることに、選手とともに開催関係者に心から感謝した。こうした苦境をともに乗り越えた戦友が、晴れの舞台の甲子園で勝利できたことは言葉では言い表せない。本当に良かった」と感慨無量。「甲子園交流試合出場の原動力となったエース吉川はアクシデントでマウンドには立てなかったが、チームを甲子園まで牽引したことを誇り大学でも活躍して輝いてもらいたい」と感謝しねぎらった。
▶︎吉田洸二監督は「高校野球の卒業式で笑顔の卒業式ができて感謝している」と開口一番。「球児憧れの舞台 甲子園に来られたのはエース 吉川大のお陰、、、」と言葉を呑んだ。「その吉川がマウンドでなくスタンドで応援している。1年生川口龍己がマウンドに向かう。チームはみんなでフォローしようとワンチームになった」と振り返る。「初回、相手エースに簡単に三者凡退に討ち取られ、その裏、スライダーが武器の川口が二死後に3番に左越え二塁打を打たれ、エースで4番の強打者を迎えたところで『ここで打たれたら、相手に投打で流れがいく、流れを断ち切る』と2020年から規定された申告故意四球(敬遠)を審判に申し出た」、これが甲子園史上初となる申告となった。「結果、押し出しの1点は取られたものの、エースで4番の勢いを削ぎ強豪校の流れを断ち切れた」と大きく頷いた。「川口は5回裏に1番打者にソロホームランを打たれ2対2とされたが甲子園の大舞台で先発の役割を十二分に果たしてくれた」と褒めた。5回裏無死一、三塁で「エース吉川の代わりに選手登録したキレのいいカーブが武器の1年左腕 古川秀将をマウンドに送った」と迷いはなかった。「古川は5回を1失点と堂々と好投してくれた。エース吉川が投手陣を引っ張ってきた。その中の1年生投手2人が頑張ってくれた」と手放しで喜んだ。バックも「特に二遊間は言うに及ばす、一塁、三塁、外野が失策0と1年生投手を支えてくれた」と華麗に舞う守備陣を褒めた。攻めては「長打期待で7番 河野修慈(3年)をスタメンで起用したが、河野は4打数2安打4打点と気を吐いてくれた」と褒めた。「8回には、7番河野の二塁手失策で無死一塁、代打の山元丈輝(2年)が右越え二塁打無死二、三塁とし、その代走で志村佳樹(3年)が、古川の2点右適時打へとつなげ、レギュラー以外の選手で得点しチームの底力を見せた」と喜んだ。こうした「今回の選手起用やゲーム展開での戦術戦略面など、上手く阿吽の呼吸でコーチのひらめきと監督の経験値とでスピーディーにリズム良く流れがつくれ、相手に流れを渡すことなく戦えた」と父子鷹ならではの采配も喜んだ。「16人の選手をダイヤモンドに送り総力戦だった」と選手の輝ける個性を織りなし勝利に導いた。「3年生の高校野球卒業式で校歌を歌って終わりたいと臨んだ。このチーム結成以来のベストゲームだった。その結果、甲子園交流試合の閉幕試合に山梨学院の校歌が斉唱できたことは、野球部にとっても山梨学院にとっても、卒業生にとっても新たな歴史の1頁が開けた試合だった」と感極まった声で述べた。「3年生にはこの恩を、将来は恩を返せる人になって、社会に貢献してもらいたい」とエールを送った。
 
◾️㓛刀主将が8月13日山梨県決勝で負け「甲子園交流試合ではワンチームで『善』循環(監督が唱える連鎖的に良い結果が繰り返されることが)できるよう頑張りたい」と、108人の部員が決意して甲子園交流試合に16日に乗り込んできた。思えば7月19日、砂田球場で全体練習を報道関係者に公開した折に吉田健人野球部長兼コーチは「今のチーム事情はセンターの渡邉嵩馬(3年)とサードの中島大介(3年)が怪我で離脱しており、その穴をどう埋めていくかが課題」と打ち明けた。それに加えて好リリーフ右腕 河瀬貴洋(3年)が記録員となり、さらに夏季県大会決勝でエース 吉川大がアクシデントで突然離脱し求心力を失った。試合直前にチームは計り知れない苦境に立たされていたに違いない。しかし、監督のもと108人の部員が戦いを諦めずに寧ろ、それぞれの役割を担い一丸となって、㓛刀主将の「勝ち負けに関係なく最後はみんなと笑顔で終われるゲームにしたい」(7月8日、山梨学院広報スタジオでの甲子園交流試合対戦校決定記者会見)と、自分たちのできることに集中して、バックが無失策やファインプレーと主軸以外の選手も打ち、1年生2人の救世主を生みだし、悔いのない甲子園交流試合を行った。そうした人間ドラマが織り成して、劣勢を跳ね返し無欲の勝利を手にした。監督の言う「山梨学院の校歌を甲子園交流戦のトリで高らかに斉唱でき新たな歴史の1頁が開けた試合」となった。山梨県民や日本国内の高校野球ファンに勇気と感動を与えたに違いない。
 
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.8.18