●関東大学女子サッカー1部 山学大ホーム初戦
~強豪日体大と対戦し引き分け、貴重な勝ち点1~
~課題を修正し1部定着・インカレ出場目指す~
第34回関東大学女子サッカー1部第3節が9月9日に行われ、2季ぶりの1部復帰となった山梨学院大学はホーム初戦を日本体育大学と対戦した。日体大はインカレ2連覇中の強豪。山学は前半序盤からプレスやカバーリングでボールを奪い、細かいパス回しからポゼッションサッカーを展開したが、前半16分、日体に一瞬の隙を突かれ、バイタルエリアからのミドルシュートにより先制を許してしまう。山学は、失点したことでプレーに積極性が生まれ、プレスの厳しさやボール保持率も向上。28分、山学は主将のMF鈴木日奈子が中盤で相手パスを奪うと前線のFW浜田芽来へ送り、FW浜田は相手GKとの1対1を制し、同点に追いつく。後半は、日体が攻勢を強めたが、GK大城聖奈やDF陣の献身的な守備で追加点を許さず1対1で試合終了。山学は強豪相手に貴重な勝ち点1を積み上げた。
山学大は創部5年目の2018シーズンに1部に初昇格したが、1部の壁が厚く未勝利で2部に降格。2019シーズンは皇后杯本戦初出場を果たすなど勢いそのままに2部優勝し、僅か1年で1部に返り咲いた。しかしながら、創部7年目の2020シーズンは新型コロナウイルスが国内外で猛威を振るい、山梨県女子リーグの延期、休校やクラブの活動制限など例年とは異なるシーズン序盤となった。そんな中でも、山学は、皇后杯山梨県予選を制し、関東切符を手にするなど徐々にチーム力を上げ、8月30日の開幕戦で昨年1部優勝の帝京平成大と対戦。前半10分にクリアミスから得点を許し、0対1で敗れたものの前年優勝校を相手に手応えも感じる1戦となった。続く第2節では筑波大相手に先制したものの、勝利目前の後半終了間際(44分・45+3分)に得点・逆転を許し、1対2と惜敗。ここまで暫定8位で初のインカレ出場(7位以内)を目指し、勝ち点の欲しい山学は、ホーム初戦(山梨学院和戸サッカー場・無観客)を暫定3位でなでしこリーグ2部にも参戦し、インカレ2連覇中の強豪・日体大に挑んだ。試合は、90分ハーフで行われ、コロナ禍や暑さ指数(WBGT)を考慮し、前後半それぞれ15分・30分に飲水タイムが設けられた。
第34回関東大学女子サッカーリーグ戦1部 第3節 ≪山梨学院大学VS日本体育大学≫(9/9)山梨学院和戸サッカー場 |
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山梨学院大学 1 | 前半 1-1 後半 0-0 |
1 日本体育大学 |
山学得点者:浜田芽来 |
■試合前監督コメント
・しつこく、粘り強く笑顔で走り切る。全員で勝利をつかみに行こう。
・相手の背後を取ってシュートで終ろう。
・プレースピードは1部では一番速い相手。周りのサポートは早く。迷ったら自分で打開することも選択肢に。
■前半28分、FW浜田の冷静な同点ゴール
前半序盤から山学は相手へのプレスやカバーリングでボールを奪い、細かいパス回しからポゼッションサッカーを展開し、スペースや相手DFの背後にボールを入れ、攻撃を仕掛けていく。前半16分、日体に最終ラインからビルドアップされ、一瞬の隙を突かれ、スペースとなったバイタルエリアにボールを入れられ、ミドルシュートにより先制を許してしまう。一方の山学は、失点したことで冷静さを取り戻し、プレーに積極性が生まれ、プレスの厳しさも一段と増し、ボール保持率は向上。サイドでの連携(オーバーラップ)や1トップのFW浜田芽来(2年 十文字高)の積極的な裏への飛び出しなど攻撃の幅も増していく。28分、山学に待望の同点ゴールが生まれる。主将のMF鈴木日奈子(3年 常盤木学園高)が中盤で相手パスを奪うとバイタルエリアのスペースに飛び出したFW浜田へ送る。FW浜田はドリブルでゴール前に持ち込み、相手GKを冷静に見極め、ファーサイドへと流し込み山学が同点に追いつく。その後も山学は、ゴールへの貪欲な姿勢を見せ続け、1対1の同点で前半を折り返す。前半のスタッツはシュートが山学11本、日体は1本、CKは山学3本、日体0本と山学が攻撃的な試合を展開した。
■ハーフタイム監督コメント
・やりたいことは十分にやれている。
・間延びすると相手にボールを入れられるのでコンパクトに。
・ラインコントロールや最終ラインの押上げをしっかり。
・攻撃の連続性、足を止めない。
■後半は相手のプレースピードに苦戦
後半序盤は前半同様に山学が試合の主導権を握り、ボールを展開するが決定機を活かせず得点に結びつかない。後半15分に日体は中盤(MF)の2枚替えを行い、攻撃の活性化を行う。一方の山学は、前半のオーバーワークや暑さから足が止まり始め、日体のプレースピードやテンポの速いパス回しからゴール前に攻め込まれ、守備の時間が増えていく。山学はGK大城聖奈(4年 名護高)のコーチングや1年生ながら初スタメンとなったDF小原愛生(1年 大阪学芸高)などDF陣の献身的な守備でゴールを死守。山学は前線の活性化を目指し、戦況を見極めながら交代カードを切り、最後まで勝ち点3にこだわり試合を進めた。後半のアディショナルタイムは3分、2度の相手CKも集中力を切らさず相手の攻撃を防ぎ、前線にボールを送り続けた。後半のスタッツは山学シュート4本、日体は3本、CKは山学2本、日体は4本と日体が攻勢を強めたものの、山学は勝ち越し弾を許さず、1対1で引き分け、強豪相手に貴重な勝ち点1を獲得した。
■試合終了後コメント
田代久美子監督は「2連敗した中で迎え、勝ち点3を取りたかったのが正直なところ。90分を振り返ってみると決定的なチャンスはこちらが上回っていたし、決定機を1本しか決められなかったのは1部の見えないプレッシャーなのかもしれない。一昨年の1部も同じような状況だったので、この部分は課題としてしっかり修正しなければいけない」と試合を振り返り、今週末の皇后杯関東予選やリーグ戦次節に向け「選手層が厚くない中で皇后杯予選、リーグ戦を戦っていかなければいけない。日体は選手交代によりチームが活性化したが、山学はそこまでプラスに働かなかった。こちらも選手が交代することでチームに変化を起こせるようにチーム力も上げていかなければいけない。そんな中でも1年生で初スタメンの小原は十分やってくれたことは大きな収穫で、どんどんそういった選手が出てきて欲しい」と語った。チームをまとめる鈴木日奈子主将は「前半はシュートチャンスが相手よりも多くあったが、そこで決めきるか決められないかで後半苦しい展開になってしまうので、チャンスで決めきることが課題だと感じた。練習ではポゼッションを中心にやってきて、試合の中でも出せていたと思うので、この点は自信を持って次節に向けて頑張りたい」と語り、これから始まる皇后杯関東予選に向け「中2日で疲労もあると思うが、自分たちは常にチャレンジャーなので今できることや全ての力を出し切って1試合1試合大切に戦っていきたい」と話し、2年連続の皇后杯本戦出場を見据えた。同点弾を放ち、リーグ通算2得点の浜田芽来選手は「前半チャンスが多い中で決めきれないところが沢山あって、チームがきつい中で点を取ることがFWの仕事なので、自分の得点で同点になったのは良かったですが、勝ち点3を狙っていたので悔しさは残ります。1部リーグは相手が強い中での戦いになるので、一つのチャンスをしっかり確実に決めることが課題だと思うので、そこを突き詰めてこれからやっていきたいです」と述べ、ストライカーとしてのさらなる飛躍を誓った。
強豪相手に全てを出し切り満身創痍の山学は、中2日で皇后杯関東予選を同じ関東大学女子リーグ1部の神奈川大と対戦する。皇后杯関東予選は17チームで争われ、上位6チームが皇后杯本戦出場権を獲得する。山学は昨年関東第2代表として皇后杯初出場を果たしており、2年連続での出場に期待がかかっている。一方、関東大学女子リーグ1部は皇后杯関東予選のため一時中断し、山学は第4節を10月4日に勝ち点3をかけ、ホームで東洋大学と対戦する。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2020.9.9