山梨学院パブリシティセンター

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●生涯学習が初『山梨学院社会課題講座2020』スタート
~「ウィズコロナの時代」のメディアリテラシー~
~松岡さん「固執なく情報の信頼性を確認」理解~

山梨学院生涯学習センターは社会的・現代的な問題・課題の解決に資するため10月7日、初の山梨学院社会課題講座2020をスタートさせた。第1回目の講座はI & F Communicationの石部典子氏と藤原広美氏を講師に招き「『ウィズコロナの時代』のメディアリテラシー」をテーマに、コロナ禍の中であなたは、どんなメディアからどんな情報を得て、自分から発信しましたか? それらは常に正しかったでしょうか? などとを課題に3回行う。この日はその1回目「メディアリテラシーとは」をテーマに、第一部「易しいメディアリテラシー入門」、第二部「フェイクニュースの時代を生き抜く」、第三部「デマ情報に騙されないための『4つのギモン』」の3セクションで内容・性質などを説き、その上で受講生にわかりやすい事例をプロジェクタースクリーンに写し出し、どうして ? なぜ ? どうしたらいい ? などと投げかけ共に考え進めた。受講した河口湖在住の松岡秀夫さん(69歳)は「最近はSNSでリアルタイムで生の情報が入ってくるので間違った情報も得てしまう。それには限られた一つの情報に固執するのではなく、様々な媒体から多くの情報を得ることが必要で、情報の信頼性を確認することが必要だということが良く理解できた」とご満悦の表情で述べた。講座は後10月21日「コロナ禍をメディアリテラシーという観点から振り返る」、11月4日「今求められるメディアリテラシー」が行われる。
 
【社会課題講座の立案経緯】
主催者の永井健夫センター長は「学術研究と教育に並ぶ『第三の責務』である社会貢献に取り組むことが高等教育機関に期待されるなか、『地域文化の創造拠点』として活動してきた山梨学院生涯学習センターは、これまでも地域社会や現代社会を意識したテーマに、積極的に取り組んできた」と振り返る。「21世紀も『初頭』の時期が過ぎつつある今日、国内外を問わず、社会の在り方がより複雑で難しい状況になっていることを踏まえ、当センターとしては、社会的・現代的な問題・課題の解決に資するプログラムを更に充実させたいと思い、『社会課題講座』という枠を設定した」と明らかにする。「その手始めとして、現下のコロナ禍が情報社会や社会生活に及ぼす影響ついて探究・検討する講を、現場で培った経験と知恵をもとに語っていただける二人の論者に「『ウィズコロナの時代』のメディアリテラシー」と題して3回シリーズで実施していただくことになった」と経緯を述べた。
 
【第1回目「ウィズコロナの時代」のメディアリテラシー】
第1回目の講座は元YBSアナウンサーでI & F Communicationの石部典子(フリーアナウンサー)と藤原広美(山梨学院大学非常勤講師)を講師に招き、「『フィズコロナの時代』のメディアリテラシー」をテーマに、①テーマ「メディアリテラシーとは」、②テーマ「コロナ禍をメディアリテラシーという観点から振り返る」、③テーマ「今求められるメディアリテラシー」の3回を行う。この日のこの日はその1回目「メディアリテラシーとは」をテーマに、第一部「易しいメディアリテラシー入門」、第二部「フェイクニュースの時代を生き抜く」、第三部「デマ情報に騙されないための『4つのギモン』」の3セクションで内容・性質などを説き、その上で受講生にわかりやすい事例をプロジェクタースクリーンに写し出し、どうして ? なぜ ? どうしたらいい ? などと投げかけ共に考え進めた。
◾️第一部《 メディアリテラシーとは 》
I & F Communication 石部典子(フリーアナウンサー)講師
〈「ディアリテラシーとは?」〉
▶︎メディアリテラシーとは英語でメディアは「媒体」、リテラシーは「読み書きする能力」。新聞・テレビ・ラジオ・ネットなどの媒体からの情報を正しく理解して使いこなす力。メディアを見分け、読み解き、選び、自分で考え、発信し、それをもとにコミュニケーションできる能力がメディアリテラシー。なぜそれが必要なのか。メディアと私たちの間に障害となるものがある。メデア側には発信する意図があり、私たち受信者にはそれを全部受け止められない人によって差がある壁がある。
▶︎印象操作とは、メディアは音声や言葉や映像で、受け取る側の印象を操作することができる。アナウンサーは決まったことを読むことが仕事、だから私情をまじえない。公正で中立で偏ったことは言わないという先入観がある。ただ、声によって、伝え方によって印象は変わり操作される。予断とは、「きっと、こうに違いない」という壁をつくってしまう。誘導は緩やかな規定。命令せずに一例として「いつもきれい(清潔)に使っていただいてありがとうございます」と緩やかに誘導する。養老孟司のバカの壁 (新潮新書)、「バカの壁」とは「人間の持つ思考の限界」だとし、「バカの壁」が立ちはだかるために、人と人との話が通じないことがある。その書物のなかで「公平・客観・中立」を疑ってみる必要性があると言っている。「『客観的事実が存在する』というのは信仰の領域だと思っています。そんなことは誰にも確かめられないのですから。(養老孟司)」。アナウンサーは「公平・客観・中立」だから大丈夫ではなくて、その公平・客観。中立を疑ってみる必要性がある。賢い愚か者効果「人は自分の主義に近い情報を吸収する傾向があり、知識が増えると考えが極端になる」(エール大・カハン教授)。
▶︎どういうつもりで発信されている情報かをちょっと冷めた目で受け止めてみよう。自分に予断や思い込みがないか振り返ってみよう。今、多発しているSNSをめぐる様々な問題も、解決するのには遠回りに見えても、メディアリテラシーを身につけることが最も大切である。
※一部を終えて「メディアリテラシー」について、質疑応答が行われた。
◾️第二部《 フェイクニュースの時代を生き抜くために》
I & F Communication 藤原広美(山梨学院大学非常勤講師)講師
〈「フェィクニュース」〉
▶︎フェイクニュースの時代を生き抜くために、フェイク(Fake)は捏造で「でっちあげ」という意味。フェイクニュースは事実ではない情報。フェイクニュースは、国の将来を決定づける判断に対して影響を与え、深刻な事態を引き起こしている。フェイクニュースは、複雑で一括りにすることができない。フェイクニュースの目的は、(1)政治家などが自分に都合の悪い情報を「フェィクニース」と呼び、メディアや記者を糾弾するため。(2)人々が食いつきそうなニュースをでっち上げて拡散し、自社サイトのクリック数を増やし広告収入を得るため。(3)政治的・社会的な目的で虚偽の情報を流して、受け手の印象や理解を意図的に操作するため。
▶︎偽ニュースサイトを作った理由は、偽ニュースサイトの運営者(日本人の20代の男性)によると、このサイトに掲載されているニュースは、内容も、写真も全てがでたらめ。偽ニュース記事を一つ作るのにかかった時間は、たったの20分。偽サイトを作ったのは、A国を嫌う層にターゲットにして広告収入を得るため。A国をおとしめるニュースであれば、クリック数が稼げる。フェイクニュースは、増悪とウソで拡散する。
〈「ポスト真実の時代」〉
▶︎客観的な事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況を示す。ポスト真実を都合良く利用している人びとがフェイクニュースをつくり出している。背景には、既成組織(政府など)や今まで信頼してきたメディアへの不信感がある。受け手側の感情的要因による意思決定の歪み、都合の良い情報を好み、逆を嫌う傾向などを含む「感情バイアス」も影響する。例として「適切な情報を無視して、不適切な情報に影響される」。自分だけは大丈夫「正常バイアス」。みんながそうしているから「多数派同調バイアス」。情報を受け取る時、感情バイアスによって偏ったものになっているかもしれない。スマホが感情バイアスを強める。感情バイアスは、元々誰にもあるが、メデイア環境が変化したことで、影響力が増加した。感情バイアスを強めるメデイア環境の変化に①スマホが普及し、目にするのは自分の興味のある情報ばかりになっている。②スマホ世代の若者は、ニュースもSNSで友人や有名人がシェアしているニュースやコメントから入手している。スマホ中心のメディア環境だと、自分の目に入る情報は、自分と似通った考えを持つ人からのものに限られてしまう。自分や仲間の興味のないことや、別の考え方・意見に触れる機会がなくなる。このような状態にあると、自分に都合の悪い情報を受け取った時、感情バイアスによって、受け取り方が偏ってしまうことになる。
※二部を終えて「フェイクニュース」について、質疑応答が行われた。
◾️第三部《 デマ情報に騙されないために4つのギモン 》
I & F Communication 石部典子(フリーアナウンサー)講師
I & F Communication 藤原広美(山梨学院大学非常勤講師)講師
〈「デマ情報に騙されないための4つのギモン」〉
▶︎一つ目のギモン「本当かどうかまだ分からないよね?」。情報の信頼性を確認する4つのポイント(1)発信者チェック ⇒誰が書いているか?、(2)立場チェック   ⇒どういう立ち位置からの発言か?、(3)詳しさチェック ⇒具体性があるか?、(4)裏付けチェック ⇒他からも同様の情報が出ているか?。二つ目のギモン「事実なの ? 意見や印象なの ? 」。「疑惑のA氏はこわばった表情で、記者を避けるように裏口からこそこそと出ていきました」。意見・印象を除いた(事実)は、「A氏は、裏口から出て行った」が事実として残る。三つ目のギモン「他の見え方もないかな?」受け取った情報を一つの見方だけでなく、意識的に、順序、立場、重心を変えて見直してみる。不思議なことに同じ出来事が、まったく違う姿で見えてくる。「人里に猿が出た」ニュースを立場を入れ替えてみると、下村健一さんは「でも今頃、サル界のニュース番組では、『サル里に人が出た』と言っているかもしれませんね」と、こうした逆の見方を加えると、ただの害獣駆除のニュースから、「野生動物と人間の共生」など新たなテーマも浮かんび、一つの出来事から視野が広がっていく。四つ目のギモン「隠れているものはないかな?」、スポットライトの周囲みを見てみる。伝えれている情報に目を向けてみると、インフルエンザ流行のニュースで多くの人混みの中にはマスクをしてない人が多いが、その人混みの一角にマスクを多くしている人が集まっている。その部分をズーミングして写真を写したり、写した写真をトリミングして載せるなどの操作がある。伝えられていないものを見出すには、何かを伝えるということは、裏を返せば、何かを伝えないこと。そのためできるだけ数多くのニュースに触れることが必要。別のチャンネルと比べてみる。何がトップニュース ? 、どんな順番で並んでいる ? 。ネットで話題になているニュースと比べてみる。海外メディアと比べてみるなど、そうしたことが必要である。
※三部を終えて「メディアリテラシー」について、質疑応答が行われた。
 
【講座終了後インタビュー】
受講した河口湖在住の松岡秀夫さん(69歳)は「昔は情報が新聞・テレビ・ラジオなど限られていたが、最近はSNSでリアルタイムで情報が入ってくるので間違った情報も得てしまう。それにはどう対応して行ったら良いのか」を学びたいと受講した。受講して「今日は3回のうちの1回目でベーシックな講義を受けたがあっと思うところが沢山あった」と頷く。「昨今は国内からも国外からも、リアルタイムに生で政治の問題、経済の問題など様々な情報が飛び込んでくる。その上に、同じ政治の問題でも色々な情報が錯綜しており、何が正しい情報なのかを見極めることが大切」と頷く。そのためには「限られた一つの情報に固執するのではなく、様々な媒体から多くの情報を得ることが必要で、情報の信頼性として、誰が、どういう立場で、具体性はあるか、他の信頼できる情報からも発信されているかを、確認することが必要だということがよく理解できた」とご満悦の表情で述べた。
 
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.10.8