●第97回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会・報告会
~4・3・2作戦で2年ぶり34回目の出場決定~
~監督「今日のレースで真の駅伝チームに」~
第97回東京箱根間往復大学駅伝競走の予選会が17日、東京都の陸上自衛隊立川駐屯地内を周回するハーフマラソン(21.0975km)のコースで前回より3校多い46校が出場して行われた。山梨学院大は12人の選手が出走して、上位10人合計タイム10時間30分50秒の7位でゴールした。この結果、山学大は上位10大学が出場できる来年1月2日・3日に開催予定の箱根駅伝に、2年ぶり34回目の出場が決定した。レースは雨の中午前9時35分に号砲とともにスタート。山学大はエースの主将 森山慎吾、ポール・オニエゴ、瀬戸祐希が単独先行し、遠藤悠紀をリーダーとする4人、橘田大河をリーダとする3人、後方待機2人の集団走で走行。雨の中を激走し、1位の国士舘大 ヴィンセントがゴールし、山学大はポール19位、松倉唯斗35位、瀬戸祐希45位、橘田46位、主将 森山74位と、そして10番目に大迫太雅が167位でフィニッシュした。飯島理彰監督が「森山はキャプテンとしてチームのために力みすぎて1分ほど、ポールは雨でタイムをロスした」と頷き、「残りの10人は設定タイム以上で走破し、その穴を埋めてくれた」と褒めた。「チームは今日のレースで真の駅伝チームになった」と大きく頷いた。「これでキャプテンの森山は全日本大学駅伝と箱根駅伝では肩の荷を下ろし、森山ならではのパフォーマンスをしてくれると思う」とねぎらった。箱根駅伝出場権を獲得した大学は1位 順天堂大、2位 中央大、3位 城西大、4位 神奈川大、5位 国士舘大、6位 日本体育大、7位 山梨学院大、8位 法政大、9位 拓殖大、10位 専修大。これで既に出場が決定しているシード10校と関東学生連合チーム(オープン参加)で21チームが出そろった。山学大の選手たちは帰校後、陸上競技部の駅伝・中長距離・競歩ブロックの選手の前で報告を行った。
【登録選手発表「高揚・期待そして攻略法伝授」】
10月5日、甲府市緑が丘スポーツ公園内の体育館前で第97回箱根駅伝予選会登録選手14人の発表を行い、監督とコーチが選手を前に高揚・期待そして攻略法伝授を行った。
▶︎飯島理彰監督は「スポーツは勝つ美学もあるが、悔しさを知ったものが這い上がる美学もある。まさに山梨学院大学は悔しさを知ったチーム。そのチームが箱根予選会でどれだけたくましくなったか予選会で這い上がって美学を貫いてもらいたい」と高揚。「キャプテン森山、ポールには先頭を走る選手と勝負してほしい。その他の選手は確実に各自の設定タイムで走ってもらいたい。12人が出走するが12番目が64分以内でゴールしてほしい」と期待した。
▶︎大﨑悟史駅伝コーチは「ハーフでは2、3回苦しい場面がある。自分に厳しくないといけない。そのために「選手は、①1年前の発表があったときの悔しさ悲しさを忘れずに走る。②今回の選考で選ばれなかった選手の悔しさを背負って走る。③自分のために走る。それと同じく予選会を突破したときに、選手(部員)、家族や恩師、そして応援してくれた方々などの喜ぶ姿を見るのを励みに走る」。この「3つのモチベーションを持って、自分を信じて集中して我慢して走ること」と述べた。
【第97回箱根駅伝競走予選会】
▷第97回東京箱根間往復大学駅伝競走の予選会が17日、東京都の陸上自衛隊立川駐屯地内を周回するハーフマラソン(21.0975km)のコースで46大学が参加して行われた。今大会は新型コロナウイルスの影響で起伏のない周回コースとなり雨の中インコース側から、今年の本戦で11位 中央学院大から20位 筑波大の10大学がアウトコース側に、続いて昨年の予選で11位 麗澤大から23位 立教大までが前列に並び、後に23大学が後列に整列した。現地9時時点の気温11.6度、北北東の風0.9メートル。午前9時35分、コロナ禍で無観客の立川駐屯地内に号砲が轟き、一斉にスタートが切られた。
●1キロ地点●
先頭は拓殖大・国士舘大その後に帯状に留学生、続いて日本人トップランナーたちが続く。山学大は単独走の主将 森山真伍が日本人トップランナーの中で軽快に走る。その後ろでポール・オニエゴ、瀬戸祐希が続く。さらに後方で4人グループ『設定タイム班』のリーダー遠藤悠紀・日影優哉・坪井海門・新本駿が、3人グループ『スピード班』の橘田大河・齋藤 有栄・松倉唯斗が、2人グループ『後方待機班』の大迫太雅・成毛志優が集団走で安定走行する。
●5キロ地点●
先頭は拓殖大・国士舘大・日本薬科大・駿河台大が14分05秒で通過、山梨学院は単独走のポール・オニエゴ14分16秒、森山真伍14分26秒、瀬戸祐希14分37秒が快走する。『スピード班』が『設定タイム班』を抜き、橘田大河・齋藤有栄・松倉唯斗が14分49秒で通過。抜かれた『設定タイム班』遠藤悠紀・日影優哉・新本駿・坪井 海門が14:58で通過、『後方待機班』の大迫太雅・成毛志優が15分15秒と安定走行で通過する。
●10キロ地点●
先頭は国士舘大・日本薬科大・駿河台大が28分14秒で通過、山梨学院は単独走のポール・オニエゴ29分00秒5キロ14分44秒、3番手から2位に上がった瀬戸祐希、2番手から3番手に下がった主将 森山真伍、『スピード班』の松倉唯斗・橘田大河・齋藤有栄が29分44秒5キロ14分55秒で通過。『設定タイム班』は遠藤悠紀・坪井海門・日影優哉・新本駿が29分57秒で10人目が通過。『後方待機班』の大迫太雅(4年)・成毛志優(3年)が30分24秒で通過する。飯島理彰監督が「『スピード班』『設定タイム班』『後方待機班』の各選手に15キロから以上は各自の判断で走行するように」と指示の徹底を図った。
●15キロ地点●
先頭は42分42秒で拓殖大・国士舘大・日本薬科大が通過していく。
山学大はポール・オニエゴ43分56秒、瀬戸祐希、松倉唯斗、橘田大河、単独走の森山真伍とじりじり順位を下げている。齋藤有栄が通過。『設定タイム班』も坪井海門が先頭で引っ張る。続いて遠藤悠紀・日影優哉、10人目の新本駿が通過。『後方待機班』の大迫太雅・成毛志優が45分32秒で通過する。
●20キロ地点●
先頭は57分01秒で拓殖大が通過。山学大はポール・オニエゴ58分45秒、『スピード班』の松倉唯斗が59分18秒で2位に浮上、瀬戸祐希59分25秒、橘田 大河59分29秒、森山 真伍59分44秒、『設定タイム班』の坪井海門59分56秒、『スピード班』の齋藤有栄を抜き順位を上げる。『設定タイム班』の日影優哉、新本駿と続き、10人目の遠藤悠紀が1時間00分と34秒5キロを30秒下げながらも激走する。『後方待機班』の大迫太雅が1時間00分35秒と5キロ15分03秒でラップを上げ好走、成毛志優が1時間00分53秒で通過する。
●ゴール地点●
トップの拓殖大のラジニが1時間00分13秒でゴール。山学大は1番 ポール・オニエゴ19位1時間02分07秒、2番 松倉唯斗35位1時間02分37秒、3番 瀬戸祐希45位 1時間02分46秒、4番 橘田大河46位1時間02分47秒、5番 森山真伍74位1時間03分06秒、6番 坪井海門80位1時間03分10秒、7番 齋藤有栄95位1時間03分19秒、8番 日影優哉96位1時間03分20秒、9番 新本駿138位1時間03分43秒、10番 大迫太雅167位1時間03分55秒までの10人合計タイムが10時間30分50秒。その後、11番 遠藤悠紀170位1時間03分58秒、12番 成毛志優210位1時間04分23秒と12人全てがゴールした。
◾️箱根駅伝出場権獲得大学は1位 順天堂大、2位 中央大、3位 城西大、4位 神奈川大、5位 国士舘大、6位 日本体育大、7位 山梨学院大、8位 法政大、9位 拓殖大、10位 専修大。これで既に出場が決定しているシード10校と関東学生連合チーム(オープン参加)で21チームが出そろった。
【第97回箱根駅伝予選会報告会選手挨拶】
山学大の選手たちは帰校後、陸上競技部の駅伝・中長距離・競歩ブロックの選手の前で報告を行った。
▷11番 遠藤悠紀 170位1時間03分58秒(4年 報徳学園)は「個人は不本意な結果に終わった。これから体調管理に気をつけて全日本駅伝、箱根駅伝と頑張りましょう」と述べた。
▷10番 大迫太雅 167位1時間03分55秒(4年 曽於)は「11人の調子が良かったので安心して走れた。箱根本戦に向けてさらなる努力を続けていきたい」と述べた。
▷7番 齋藤有栄 95位1時間032分19秒(4年 白鷗大足利)は「チームの成長を、まだまだ上を狙える手応えを感じた。勝って兜の緒をしめよ。本戦に向けてみんなで戦えるチームをつくっていきましょう」と述べた。
▷3番 瀬戸祐希 45位 1時間02分46秒(4年 興國)は「今回の戦いでまだまだ上位校とも戦えることがわかったので残りの期間で力をつけて本戦でしっかり戦えるように頑張っていきます」と述べた。
▷8番 日影優哉 96位1時間03分20秒(4年 富山商業)は「目標タイムを達成したものの個人順位は思うような順位ではなかった。他大学の選手との差も感じた。全員で箱根駅伝を目指しましょう」と述べた。
▷5番 主将 森山真伍 74位1時間03分06秒(4年 樹徳)は「個人としては良い走りができなかったが自分以外の11人のメンバーが想定以上の走りをしてくれ予選が通過できた。箱根駅伝のメンバーはまだ決まっていないのでここにいる全員で調整してがんばりましょう」と述べた。
▷6番 坪井海門 80位1時間03分10秒(3年 明成)は「順位は満足いかないがタイムとしては目標より早く走れたので満足している。2週間後には全日本駅伝がありますのでチーム一丸となって目指していきましょう」と述べた。
▷12番 成毛志優 210位1時間04分23秒(3年 富里)は「63分台を目標に挑んだが64分かかってしまい個人としては悔しさが残る大会となった。ここから全日本駅伝、箱根駅伝と頑張っていきましょう」と述べた。
▷1番 ポール・オニエゴ 19位 1時間02分07秒(3年 モゴンガ)は「箱根駅伝予選会、頑張りました」と述べた。
▷2番 松倉唯斗 35位1時間02分37秒 (3年 明成)は「個人としては思った以上の走りができた。全日本駅伝、箱根駅伝とビッグレースが続きますので変わらぬご声援お願いいたします」と述べた。
▷4番 橘田大河 46位1時間02分47秒(2年 山梨学院)は「練習の結果がついてきて改めて自分たちのやっていることは間違っていないことを実感した。本戦に向け全員で切磋琢磨しなければと感じた」と述べた。
▷9番 新本駿 138位1時間03分43秒(1年 報徳学園)は「設定タイムはクリアできたが順位としては満足していない。気持ちを切り替えて全日本に向けて頑張ります」と述べた。
▷小野寺陣(2年 報徳学園)は「給水場所から12名の走りを見た上で予選通過ができて嬉しい。個人としては走れなかった悔しさもあるが、今後の全日本駅伝、箱根本戦と頑張っていきましょう」と述べた。
▷篠原楓(2年 新居浜東)は「自分は給水係で走れずに悔しい思いをしたが、それでも自分にできることを一生懸命やれてそれは良かった。全日本駅伝と箱根駅伝はまだチャンスがあるので頑張りたい」と述べた。
◾️山梨学院大は12人の選手が出走して、上位10人合計タイム10時間30分50秒の7位でゴールした。この結果、山学大は上位10大学が出場できる来年1月2日・3日に開催予定の箱根駅伝に、2年ぶり34回目の出場が決定した。
【終了後インタビュー】
▶︎チーム9番1時間03分43秒138位の新本駿 (1年 報徳学園)は「監督やコーチに『先輩たちの後ろで走ったら大丈夫だから』と言われ、気持ちが楽になった」と平常心に戻った。「走っている時も遠藤先輩の後ろで走っていたので、特別考える事はなかった」と5キロ地点を14分57秒で通過する。「最初の10キロを気持ちよく行くことができたら、その後半の10キロもそのペースでいける」と遠藤リーダーの後をひたすら走る。「10キロ地点29分57秒で通過しこの5キロを15分ジャストで走破。『軽快に走れていた』と想定通りの走行に自信」ができリズムに乗って走る。「14キロからきつくなってきた」が、「チームのためにと思って走ったら体が動いた」と、「15キロ地点を15分02秒で走り44分59秒で通過」した。これまでは「遠藤さんが引っ張ってくれたが、15キロ過ぎは集団走がばらけて自分自身がレースを組み立てなければならない」と自分を奮い立たせた。しかし「18キロ地点あたりから坪井さんと日影さんの先輩たちから取り残された。そこで慌てずに遅れたら遅れたなりにペースを落とさずにキープしていこう」と力走し、138位1時間03分43秒でゴールした。「設定タイムは64分00秒で、自分的には力を出し切れたと思うが、順位的には全く満足出来ていない」と悔しさをにじませた。「これから後2か月、本戦まであるのでチーム選考で選ばれるようにトレーニングしたい」と述べた。
▶︎チーム6番1時間03分10秒80位の坪井海門(3年 明成)は「昨年、33年連続出場記録をストップさせてはいけないなどで緊張して想定より4分遅く悔しさが残る結果となった」が、「今年はリベンジに燃え、夏合宿以降の山梨学院記録会でトップを取った。そうしたことで気持ちに余裕を持ってスタート」できた。「5キロ通過を意識していた。目安は14分50秒、通過タイムは14分58秒と余裕があったので、今回はいけるなと思った」と確信を持った。「10キロ地点は29分58秒と5キロ15分00秒で、設定通りの走りできつくはなかった」と遠藤リーダーの後をひたすら走る。「15キロ付近で、雨の中で走り体が冷えてきて、筋肉の硬直するのを心配しながら走行」する。「15キロ44分58秒5キロを15分00秒の予定通りの走行ができ、筋肉の不安はいつしか無くなった」と快走。18キロ地点「グループがばらばらになり自分は前に出て」懸命に走る。20キロ地点を「59分56秒で5キロ14分58秒と順調な走りだが、ラスト2キロを切って少し苦しくなってきていたが、昨年の悔しさを思い出し『気持ちで負けてはいけない』」と自分に鞭打った。ゴール「1時間03分10秒で設定タイムより20秒上回っていたが、目標順位50番以内には30位とどかなかった」と悔しさがにじむ。「後半の伸びに課題ができた。これから練習で自分の課題に向き合い克服したい」とさらなる向上を誓った。
▶︎チーム1番 ポール・オニエゴ 19位 1時間02分07秒(3年 モゴンガ)は「箱根、頑張りました」と笑顔。「昨日はジョギング」で本番に備えた。「今日の朝は、魚、ライス、ジャパニーズスープを食べた。美味しかった」と頷き。「パワーがついた」と大きく頷いた。走る前から「調子はgood」と笑顔。レースが終わり「チーム、ナンバーワンです。嬉しいです」と満面の笑み。「調子はgood」と大きく頷く。レースは「1キロ、5キロ、10キロと調子は良かった」と快走、「雨は寒かった。15キロ、少しきつかったが大丈夫だった」と力走。「ラスト3キロはきつかった。頑張りました」と苦笑い。「これから箱根練習、頑張ります。箱根、ラスト3キロ頑張ります」と笑顔で述べた。
▶︎『設定タイム班』リーダーの遠藤悠紀 170位1時間03分58秒(4年 報徳学園)は「『やるだけのことは、やってきた。それを出すだけ』とリラックスしてスタート」する。『設定タイム班』のリーダーとして「5キロと15キロがポイント。リーダーとして正確に設定タイムを刻むことに集中」しチームを牽引する走行。「5キロ14分57秒、日影・新本・坪井も軽快に走り通過」する。「10キロ29分57秒で5キロ15分00秒とレースの流れを見ながら後ろの選手が『こぼれないように』」と確認しながら順調にチームを引っ張る。各自の走りで走行する「15キロ手前からから『よし、ペースアップするぞ』と、全員で仕掛けたが自分のペースが上がらず」チームにやや遅れをとる。「15キロ45分00秒で5キロ15分03秒とペースアップするところで逆に3秒の遅れとなり対応できず」に後方に下がった。「20キロ地点では1時間00分34秒の5キロ15分34秒と30秒以上のロス」で通過。『後方待機班』の大迫に途中道をゆずり「残りを懸命に走り」1時間03分58秒とチーム11位でゴールした。遠藤は「集団走特異な他の選手の走行に細心の注意を払いレースが作れた」と満面の笑み。遠藤は本人の意思とは裏腹にいつの間にか体力と精神力が消耗し順位を落とした。「タイムは設定内ではあったが15キロからの勝負所の最初で対応できなかったのは大反省。自分の記録から見てもこの記録は満足いかない」と自身を奮い立たす。「残り2ヶ月で15キロ過ぎの高速レースでのペースアップに対応できる力を補いたい」と箱根路出場の最後のチャンスに燃える。
▶︎チームを牽引する主将 森山真伍 74位1時間03分06秒(4年 樹徳)は「非常に嬉しく思っている」とかみしめた。「チームの目標順位は5位以内だったが、この1年間の駅伝全員の努力の成果が7位という結果で現れた」賜物と頷く。「『絶対に予選を通過する』と覚悟を決めてキャプテンになった。1年間チーム内で本戦出場を合言葉に、競い合い励まし合い、競技力・体力・精神力を高めてきた」と振り返る。「12名は部員の悲願を胸に自覚と責任を持ち予選会を戦い、本戦出場を決めた」と感慨無量。「日頃、駅伝チーム内で切磋琢磨し、みんなの成長や、自分自身の成長も、この1年で感じることができた」と胸を張る。「今日の高速レースで勝ち切れた1番の要因は、12名中10人が自己新の走りで獲得した。すごく嬉しい」と称えた。「チームはこの勢いを大事にして、全日本駅伝と本戦ではシード権をとりに行く」と先をにらむ。自身は「全然満足のいく結果ではなかった。トップランナーと競り合い日本人トップを目指すことを楽しみにスタートした。自分の中ではチーム1番かポールに続く2番が最低条件だった」と明かす。「現実はチーム内で5番」と複雑な面持ち。「大きな舞台で自分の走りができなかった。これを自分の課題にしたい」と決意。レースは「第2グループの方がいい結果だった。高速レースで攻めることが必ずしも良い結果に結びつかないことが分かった」と5キロを14分26秒で駆け抜けた森山より、14分37秒で走行していた第2グループの選手が1位、2位の記録を残した。「『落ち着いて走ることが必要だな』といい経験になった。次の全日本駅伝と箱根駅伝はこの貴重な経験を生かしたい」と冷静沈着に述べた。
▶︎主務 田畑昌寛(4年 九州学院)は「ほっとしている」と穏やかな面持ち。「いいタイムで走れた」とかみしめる。「実際、みんなの実力がついて来た。それを上手く発揮できた。これが次のステップに進める明るい材料になる」と喜ぶ。「昨年は5位突破を目指しながら、プレッシャーに押しつぶされ17位と悔しい経験をした」と1年間の屈辱から脱しつを心底喜ぶ。スタートまでは「中には緊張している選手もいたので選手に付き添い、最後の最後まで選手の表情を見ていた」と頷く。レース中は「飯島監督と行動をともにし、甲府のLINE(ライン)グループがテレビなどを見た情報を速報で、監督やコーチや指示班から送られてくる。監督はそれと合わせて小さな携帯のテレビを視聴し、情報を得て指揮を取っていた」と明かす。「自分は監督の指示を、5キロでは集団が長くなっていたので『集団前へ』と、10キロでは『そのペース』と、15キロ『ガンガン前』など」をボードで伝えた。「監督とともに待機テントで学連の場内アナウンスで予選7位通過を知り」胸が熱くなった。主務として挨拶した報告会で「頑張りは今日だけではなくて」と絶句、「出走メンバーの発表があったときに、篠原と小野寺が外れましたが、その日の7時30分に大会本部に届出がされるまでしっかり練習をして選手の不慮に備え、提出された後は選手のサポートに回った。そうした目に見えないところの頑張りがあったからこそ、7位という箱根駅伝予選会突破が果たせた」と山梨チームも含めて見えない頑張りも含めたチーム一丸の勝利を称えた。チームで「良い流れを11月1日全日本駅伝、2021年箱根駅伝で、シード権を勝ち取ろう」と結んだ。
▶︎大﨑悟史駅伝コーチは報告会で「振り返れば1年前、終わった後に悔しさで、その日の午後に気持ちの入った練習からスタートとした」と切り出す。「この1年、きつい内容の練習が多かったが、みんなが信じてついて来てくれたらこその予選通過」と称えた。代表選手の「14人以外でも自己記録を更新した選手も数多い。また1万の記録会でも29分台を出してくれた選手たちもいた。14人から小野寺、篠原にしても悪い状態ではなく、使いたいけど使えない状態で12人に絞った」と苦渋の選択だった。「そうした中で選ばれた12人は、自信と自覚と責任を持って代表として結果を残した。これはチームが一つになって勝ち得た勝利。本戦出場の切符を取った。ここからが新たな山梨学院のスタート。全日本駅伝、そして箱根本戦と強いチームをつくっていこう」と選手たちを鼓舞した。取材に「チームはタイム設定より大幅に良かった。ただ、高速レースで全体のレベルが高くて5位の目標が7位となった。うちは5キロ、10キロ、15キロと前で良く走ってくれていた。最後、5位の国士舘に12秒、6位の日体大に1秒差の7位となったが、選手は良く攻めて頑張ってくれた」と感謝。「遠藤は班のリーダーとして、自分の走りはさておき、班の選手の潜在能力を引き出してくれた」とチームとしての戦いを称える。「1年間の取り組みが間違った方向でなかったことがこのレースで証明できた。箱根駅伝は5区の山登り、6区の山下りとそれぞれの区間に特色がある。選手の適性を踏まえて指導していきたい」と頷く。「全ての駅伝選手が今回の結果で、上のレベルで戦えるのではないかと欲が高まれば、興味深いレースができる」と期待を込めた。
▶︎飯島理彰監督は報告会で「よくぞ、1年で本戦復帰を果たしてくれた。駅伝監督として非常に嬉しく思っている」と出席の全選手に感謝した。「これは、ここにいるみんなの箱根駅伝に対する思い、努力の結果だ」と称えた。私は「『今年箱根路に戻れなかったら一生箱根路に戻れない』というプレッシャーを、自らにかけて挑んでいた大会だった」と心境を明かす。予選会で「12中10人が自己新で走っているにもかかわらず、7位通過だった。他大学の選手レベルは非常に上がっている。今は、しっかりそこに目を向けて欲しい」とさらに高みを目指す。「箱根駅伝に向けて、まだ誰もメンバーに決まっていない。みんなにチャンスがある。ただ、箱根駅伝は、①箱根がどういうものか知らないと走れない。②1区間が20キロ以上で、5区の山登り・6区の山下りと特種区間、その他の区間もアップダウンなどの特徴があるコースに対応できるか。③駅伝の個人走ができるか。④箱根駅伝というプレッシャーがかかる大会で気持ちが弱い選手は力が発揮できない。そうしたことが分かった上で練習に励んでもらいたい」と全員に激を飛ばした。取材に「森山はキャプテンとしてチームのために力みすぎて1分ほど、ポールは雨でタイムをロスした」と頷き、「残りの10人は設定タイム以上で走破し、その穴を埋めてくれた」と褒めた。「チームは今日のレースで真の駅伝チームになった」と大きく頷いた。「これでキャプテンの森山は全日本大学駅伝と箱根駅伝では肩の荷を下ろし、森山ならではのパフォーマンスをしてくれると思う」とねぎらった。さて「いよいよこれからが正念場だ」と選手を激励し結んだ。
文(H.K) 、カメラ(藤原勇・藤原稔) 2020.9.23