山梨学院パブリシティセンター

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●県民対談「知事と語るやまなしづくり」 
~子どもを主役とした保育の提供について意見交換~ 
~現役保育者や養成校教員、保育者を志す学生が参加~

山梨県は知事が県民と様々なテーマについて直接対話し、意見交換を行う県民対談「知事と語るやまなしづくり」を10月27日、県庁防災新館オープンスクエアで開催した。県民対談は、県民との意見交換を通じ、現場の課題を把握し、解決に向けた施策の策定や事業の一助とすることを目的としている。今回は“子どもを主役とした保育の提供”をテーマに行われ、現役保育者や保育園運営者、養成校の教員、保育者を目指す学生が長崎幸太郎知事と意見交換を行った。山梨学院からは、山学短大・遠藤清香学長/保育科教授、山梨学院幼稚園・三村茉穂教諭、短大専攻科保育専攻2年の田中杏奈さんと志村のぞみさんが参加。対談では、保育現場での喜びや課題、保育者確保の方策、保育者を目指したきっかけなどが語られたほか、山梨の特徴を生かした自然保育の現状など各園の事例紹介なども行われ、予定時間を超過する活発な意見交換となった。 
 
山梨県では、知事が直接、幅広い層の県民と意見交換をすることで、県が抱えている課題を把握し、その解決や新たな施策の立案等にいかすことを目的に、定期的に知事対話を実施している。この日は、県内の現役保育者や保育園運営者など保育関係者5名、保育者養成校の教員1名、保育者養成校の学生6名の計12名が参加。長崎幸太郎知事は「コロナ禍での緊急事態宣言下では、保育現場では様々なご苦労をいただき、あらためて保育所が社会的にも重要な施設であることが認識されました。県としても様々な施策を実施しておりますが、まだまだ不十分な部分については、保育に関わる皆様と連帯して取り組みたいと考えています。本日は、現場で直面している課題、これから保育の世界に入っていこうとしている学生にとって魅力的な職場についてなどを共有し、いただいた意見については具体的な県の施策にいかしていきたいと思います」と開会の挨拶を述べた。 
 
対談の冒頭では、保育現場での喜びや保育者を目指したきっかけなどが各参加者から語られた。保育科・専攻科保育専攻の課程を設置し、幼稚園教諭・保育士を目指す学生を養成している山梨学院短大の遠藤清香学長/保育科教授は「コンサルテーションの形で園を訪問した際に、本学の2年目の卒業生が悩みを持ちながら担任として子どもたちと接して頑張っている姿を見ることができ、喜びを感じました。また、卒業生が頑張っているということだけではなく、園での課題解決のためのケース会議に参加し、新任の保育者としての悩みを園長先生や主任先生がたくさんアドバイスをしており、みんなで子どもに繋がる保育を作っている環境を目にすることができ、とても嬉しく思いました」と保育者養成の視点で保育現場での喜びを語った。また、保育者を目指すきっかけについて田中杏奈さん(専攻科保育専攻2年)は「小さい頃から子どもと遊ぶのがすごく好きで、近所の子どもたちの面倒も見ており、その際に周りの大人たちから「子どもの面倒を見るのが上手だね」と声を掛けてもらったのがすごく嬉しくて、そこから保育者を目指そうと思いました」と話し、志村のぞみさん(専攻科保育専攻2年)は「幼稚園に通っていた時に弟が生まれ、今まで自分に向けられていた愛情が半分になってしまったことが凄く寂しかったのですが、担任の先生が気持ちを受け止めてくれたことが心に残り、その先生に憧れて保育者を目指そうと思いました」と述べた。 
 
対談の中盤では、保育現場での課題が共有され、保育園の選考(入園の問題)や市町村自治体が国に申請する予算の活用、障がいのある子どもたちへの支援、保育人材(潜在保育士)の活用などについて保育園を運営する立場や現場保育者としての視点で意見交換が行われた。また、長崎知事からは山梨県では今後自然保育にも注力することを計画していることから、自然を活用した保育活動の現状について、各園の事例紹介がお願いされた。保育科・専攻科保育専攻の卒業生で山梨学院幼稚園の三村茉穂教諭は「本園ではファームで季節を通した野菜の栽培を行っています。また、保育室の前でも野菜などを育てており、今年の年長児では、夏休み前にロシアについての探究学習を行い、子どもたちはボルシチに使われているビーツに興味を持ち、現在ビーツを育てています。今年はコロナの影響で修園旅行の行先を変更し、曽根丘陵公園に行き、ネイチャーゲームを通じ自然に触れ合いました。自然の中で遊ぶことで非認知能力が高まると言われています。知識だけではなく、課題発見力や想像力など3年間を通して子どもたちの成長を感じます」と事例を紹介し、自身が県外で保育者として勤務した経験を踏まえ「都内の保育園ではお散歩が建物の間やショッピングセンターの中であったり、どんぐりや綺麗な葉っぱなどを集めることも難しく、広い土地で思いっきり遊んだり走ったりということができず、山梨に戻ってから自然と触れ合うことの大切さや魅力を感じました」と語った。 
 
県民対談ではこのほか、各種加算認定といった保育制度の現状や感染症に対応した施設運営、各園が抱えるそれぞれの課題や解決策などについて様々な角度から意見交換が行われた。結びとして長崎知事は「様々な立場の方から網羅的に貴重な意見を頂戴することができました。本日出た意見を参考に魅力的な保育現場の実現に向けて市町村とも連携し、施策に反映をしていきたいと思います」と講評した。 
 
将来保育者を目指す学生の立場として参加した田中さんは「現場の先生方のお話を聞いて、現場に出る実感が湧いてきました。一日中子どもたちに対して楽しい時間を提供できて、子どもと一緒に学びあって成長できる保育者になりたいと感じました」と話し、志村さんは「就職前に貴重なお話を聞くことができて凄く刺激を受けました。子どもの気持ちに寄り添って、一緒に楽しめる保育者になりたいです」と感想を語った。 
 
この日は山梨学院を卒業した3名が現役保育士・幼稚園教諭として参加。保育の現場で活躍する卒業生を見た遠藤学長は「実際に子どもと接することで学ぶことは多く、大学では学べないことを学んでいる様子を感じ、卒業生の成長した姿を見て頼もしく思いました。これからも子どもを良く見て、子どもから学ぶことを大事にしてほしいなと感じました」と語り、保育の現場に巣立っていく学生に対しては「最初は目の前のことに困って悩むと思いますが、保育の楽しさや面白さ、喜びなどを感じ、辛い時にはそれを思い出して育っていってほしいと思います」と期待を寄せた。 
 
現役の保育者の一人として参加した三村教諭は「園の規模や保育の方針は異なりますが、他の園の先生方も子どもとの信頼関係を第一に考えていることが再確認できて、保育に携わる一人として安心し、励みにもなりました。これまで目の前のことに一生懸命になっていましたが、保育に関係する様々な立場の方のお話を聞けて学びの場になり、大変勉強になりました」と対談を振り返った。また、保育科・保育専攻を卒業し、現在は甲斐市の公立保育園に保育士として勤務する鶴田将之さんは「山梨学院短大で学んできたことを保育の現場にいかし、子どもたちの成長を日々感じています。こういう場に参加し、他の園の事例を参考に聞いたり、活力をもらえたりするので大変良い機会となりました。知事のお話を聞き、山梨でせっかく生活しているので子どもたちに植物や虫など自然に親しめる環境を提供して、一緒に自然について探究していきたいと感じました」と感想を寄せた。 
文・カメラ(Y.Y)2020.10.27