●関東大学ラグビーリーグ戦グループ2部開幕戦
~大事な初戦に勝利。1部昇格に好スタート~
~白鷗大戦、前半の接戦を制し後半に地力。快勝~
「2020年関東大学ラグビーリーグ戦グループ2部」開幕戦が11月1日、山梨学院大学和戸ラグビー場ほかで行われた。山梨学院大ラグビー部は、2015年以来5年ぶり4度目の1部昇格を目指し、白鷗大学をホームに迎えて今季初戦に臨んだ。試合は秋空の下、午後1時山梨学院のキックオフで始まった。試合はやや山梨学院が優位に進めた序盤に左サイドからの攻撃で#11・WTB谷出雅治(4年)が先制トライ。白鷗大もラインアウトからの展開で留学生が同点のトライ。その後、両チームともスピーディな攻撃と堅固なディフェンスで互いに譲らず。前半を12-12で折り返す。後半4分に山梨学院は、#10・SO小林広気(4年)のトライでリードするも、白鷗大の大きくスペースを使ったキックからの流れがトライに繋がり逆転された。それでも山梨学院は、鍛え上げたチームワークで反撃。#11谷出が相手ディフェンスを振り切り2本目のトライ。再逆転に成功した。これで勢いに乗った山梨学院は、強いスクラム、激しいタックルと速い展開でプレッシャーを掛け続け、23分にも#9・SH清水夏樹(4年)が得点を重ね31-19と点差を広げた。終了間際には相手にトライを奪われるも、31-24で勝利。山梨学院は大事な初戦をものにした。次戦は11月8日、同ラグビー場で国士舘大学と対戦する。
■従来の試合方式から変更
今季の試合方式は、2部リーグ8チームの従来の総当たり対戦方式から、Aブロック=拓殖大学、山梨学院大学、白鷗大学、国士舘大学、Bブロック=立正大学、東洋大学、國學院大學、朝鮮大学校の4チームずつをグループに分け、各ブロックの同順位同士が11月29日に行われる順位決定戦を戦い、このうち1・2位のチームが1部入替戦の権利を得る。山梨学院大ラグビー部は、2015年3度目の1部在籍2年目に8位と振るわず、2部1位の日本大学との1部入替戦で敗れ2部降格となった。翌2016年に2部1位となり入替戦で再び日大と対戦したがここでも敗れ2部残留となり、以来4年間2部に甘んじてきた。そして今季、「試合ができない。練習が制限されるというコロナ禍の制約の多い中、1部昇格を目標に捉え続けチームの一体感がより増した」と梶原宏之監督は期待を込めて言う。
■監督就任2年目の梶原宏之監督に開幕戦前に話を聞くー
単刀直入に今年の目標を聞くと、「もちろん2部優勝。入替戦で勝利して1部昇格」ときっぱり。就任2年目の梶原宏之監督は「1年目は、まず練習のレベルを上げないことには「強くなれない、勝てない」と言ってきました。私のチーム作りの心情。「『人間力向上なくして、競技力向上なし』を掲げ、この両輪のどちらかが欠けてもだめだとやってきました。特に2年目の今年は、彼らが自分たちで規律を考え、それを徹底したことによってチームが一回り大きく、安定感が増してきました」と選手一人一人の人間力の成長に目を細める。技術的にも「セットプレーの安定ですね。ラグビーで一番重要とされるスクラム、ラインアウト、キックプレーの安定。グラウンドを広く使い、スピーディな展開で攻めるということをアタックの柱として、ディフェンスの柱として前に出る激しいプレッシャーを鍛えてきました」とその成果の手応えを口にした。
■全部員142人の代表23人が1部昇格に決意
開幕戦に先立ち10月31日午前10時、全部員142人の中から選ばれた23人の登録メンバーに代表の意識と責任を促し、1部復帰を託す「ジャージ授与式」がトレーニングルームで行われた。代表23人に梶原監督が一人一人と固い握手を交わしプリシアンブルーのジャージを手渡した。代表はそれぞれ決意を述べた。授与式後、#2・HO延山敏和主将(4年 奈良・御所実業高)は「1年生から試合に出させてもらっていましたが、4年生になるとジャージの重みも違いますし、キャプテンとして責任も感じていて緊張感もありますが、ワクワクした気持ちが大きいです」と試合へのはやる気持ちを吐露した。
■2020年1部昇格には絶対に負けられない初戦に挑む!
試合は秋空の下、新型コロナ感染防止を受けて無観客の中、午後1時山梨学院のキックオフで始まった。試合は山梨学院が敵陣に攻め込みボールを支配する前半6分、敵陣内左サイド22mラインへ持ち込んだ#15・FB河野孝太郎(3年 大分東明高)からのパスを受けた#11・WTB谷出雅治(4年 京都・伏見工高)が先制トライ。白鷗大も中盤にラインアウトからの展開で留学生が同点のトライ。負けじと山梨学院も留学生#5・FWモセセ・ソキヴェタ)がモールで攻め込んで出たパスをゴール横へトライ。ゴールキック(コンバージョンキック)も決まり12-5とリードした。前半終了間際の38分、白鷗大も反撃。自陣でのスクラムから右に展開する白鷗大のパス回しに対応できずにゴール下にトライを許し、ゴールキックも決められ同点とされる。拮抗した両陣営の白熱したプレーにラグビーの魅力がさく裂した。前半を12-12で折り返すと。後半4分に山梨学院は、キックで自らゴール前に攻め込んだ#10・SO小林広気(4年 埼玉・熊谷工高)が起点になり、ゴール前の密集から白鷗大の必死のディフェンスを交わし小林が執念のトライでリード。その後、両チームとも似たプレースタイルを持つスピーディな攻撃と堅固なディフェンスで互いに譲らず。白鷗大が左サイドから右へスペースを大きく使ったキックからパスも繋がれトライ、ゴールキックも決められ17-19と逆転された。それでも直後、山梨学院は、鍛え上げたフィジカルの強さとスピーディな攻撃で反撃。前に出るディフェンスとスペース広く使った攻撃で左サイドでのスクラムから中央に展開すると22m付近でフリーになった#11谷出が相手ディフェンスを振り切り中央に2本目のトライ。ゴールも決めて24-19と再逆転に成功。これで勢いに乗った山梨学院は、疲れの見えてきた相手に対し強いスクラム、激しいタックルと速い展開でプレッシャーを掛け続け、23分にも正確なボールを出し続けていた#9・SH清水夏樹(4年 日本航空石川高)が自ら中央に飛び込みトライ。ゴールキックも決まり得点を重ね31-19と点差を広げた。終了間際には相手にトライを奪われるも、31-24で勝利。山梨学院は貴重な初戦をものにし、1部入替戦に弾みをつけた。
■試合結果
2020年関東大学リーグ戦グループ2部 開幕戦 山梨学院大VS白鷗大(11/1)山梨学院大和戸ラグビー場 |
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○ 山梨学院大学 31 | 前半 12-12 後半 19-12 |
24 白鷗大学 ● |
前半:トライ=#11谷出雅治(4年 京都・伏見工高)、#5・FWモセセ・ソキヴェタ (4年 留学生) ゴールキック=#10小林広気(4年 埼玉・熊谷工高) 後半:トライ=#10小林広気、#11谷出雅治、#9清水夏樹(4年 日本航空石川) ゴールキック=#10小林広気2 |
■試合後の監督、選手のインタビュー
試合後、先制、逆転のトライを挙げた#11WTB谷出雅治選手は「めちゃめちゃ気持ち良かった。皆が繋いでくれたボールなので、トライせなあかんなあと。それだけを考えてやっていました」と納得の笑顔で答えた。最前線で身体を張った#2・HO延山敏和主将は「ディフェンスでも前にプレッシャーも懸けられましたし、留学生を中心にフィジカルを活かしたプレーも出来ていましたし、前半で相手の体力を削れて、後半スコアを離せたことが良かった」と冷静に試合を振り返る。さらに「毎年、初戦で負けてしまってチームが勢いに乗れないシーズンが続いていたので4年目にして初戦を無事に勝ちで飾れたことは次に繋がると思います」と悲願の昇格への決意を滲ませた。梶原宏之監督は「このコロナ禍のなかでこうやって公式戦ができたことをまず、感謝をしたいです。学生が自分たちのラグビーを最後までしっかりやり切った。この緊張感のある初戦で、この春一試合もできなかったのでゲーム慣れもしてなかったのですけれども本当に素晴らしい勝ち方で、相手も強かったですけどYGUラグビーのポリシーを見せてくれたゲームでした」と選手を讃えた。さらに「前半からなかなかスコアにはならなかったですけど相手のスペースを突く動きがすごく出て、最後のフィニッシュの時にミスは出たんですけど、これを続けて行けば後半もいけるということで、もう少しセットプレーでプレッシャーを掛けようという指示をしました。それでスクラムが少し有利になってうちの思ったようなトライが取れて良かった」と続けた。A・Bブロックに分かれてのリーグ戦については「リーグ戦すべてをきっちり勝ち切ることがまずはすべてです。彼らの目標であります1部昇格のためには次の国士舘と拓殖にきっちり勝ち切るということです」と強い意志でこれからの試合に立ち向かう。
次の試合は11月8日(日)。山梨学院大学和戸ラグビー場で国士舘大学と無観客試合として午後1時キックオフする。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2020.11.2