●第99回全国高校サッカー選手権山梨大会 準決勝
~山学が日大明誠に3対0で勝利し3年ぶりの決勝へ~
~粘り強い守備で今大会3試合連続のクリーンシート~
第99回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会準決勝が11月7日に山梨中銀スタジアムで行われ、山梨学院高は第1試合で昨年の覇者・日大明誠高と対戦した。試合は、前半序盤から日大明誠が攻勢を強める。7分、日大明誠がPKを獲得したが、山学守護神・GK熊倉匠のビッグセーブで得点を与えない。山学も反撃に転じたいが、相手の厚い守備を崩せず無得点の時間が続く。両チーム一進一退の攻防が続き、試合が動いたのは33分、CKのセットプレーで相手のオウンゴールを誘い、山学が先制。前半を1対0で折り返すと、日大明誠は後半開始時に交代カードを切り、攻撃に厚みを持たせる。山学も9分に2枚替えで前線を活性化し、徐々に攻撃がテンポアップ。17分、途中出場のMF笹沼航紀の強烈なミドルシュートで山学が待望の追加点。後半ATにはFW常盤隼人のシュートで3対0。山学は最後まで粘り強い守備で得点を許さず、今大会3試合連続のクリーンシートで3年ぶりの決勝進出を決めた。
3年ぶり7回目の選手権出場を目指す山学は今大会第4シードで出場。初戦・3回戦は富士北稜高に13対0、準々決勝を帝京第三高に3対0といずれもクリーンシートで勝利し、この日の準決勝進出を決めた。対する日大明誠高は昨年初優勝のディフェンディングチャンピオン。今大会は第1シードで出場し、初戦・3回戦を甲府東高に3対1、準々決勝を東海大甲府高に2対1で勝利し、準決勝に駒を進めた。新型コロナウイルスの影響で、応援団やチアリーダー、ブラスバンドなどの例年の華やかな全校応援はなく、緊張感のある張り詰めた雰囲気の中、両チームイレブンがピッチに入場した。
第99回全国高校サッカー選手権山梨県大会 準決勝 ≪山梨学院高VS日大明誠高≫(11/7)山梨中銀スタジアム |
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○ 山梨学院高 3 | 前半 1-0 後半 2-0 |
0 日大明誠高 ● |
得点者:オウンゴール、笹沼航紀、常盤隼人 |
■前半 GK熊倉ビッグセーブ、OGで山学が先制
前半は序盤から日大明誠が攻勢を強め、7分にPA内でPKを与えてしまったが、山学守護神の主将・GK熊倉匠(3年 FC東京深川U-15)が右足で弾き返すビッグセーブで得点を与えない。山学は最終ラインから前線へのロングフィードやショートカウンターで相手ゴールに攻め込むが、日大明誠の厚い守備を崩せず無得点の時間が続く。19分には日大明誠のロングスローを契機に波状攻撃に合い、GK熊倉が防げなかったボールが枠内に飛び込むが、DF中根悠衣(3年 FCラーゴ河口湖)がヘディングでクリアし、その後の攻撃も山学が体を張った守備ではじき返した。飲水タイム後の24分、中盤からボールをつなぎ、右サイドからFW久保壮輝(3年 FC.GIUSTI世田谷)が攻め込むが、FW久保のシュートは惜しくもゴール左にそれる。両チーム一進一退の攻防が続き、試合が動いたのは33分。MF新井爽太(3年 FC深谷)の右CKがゴール前の混戦で相手のオウンゴールを誘い、山学が先制。前半、山学はシュート6本、CK4本とゴールチャンスを生み出してはいたが、相手の堅守に阻まれ、好機を活かし切れず1対0で前半を折り返した。
■後半 MF笹沼の強烈ミドルで待望の追加点
日大明誠は後半開始時に前線の交代カードを切り、攻撃に厚みを持たせ、さらに攻勢を強める。6分には山学が左サイドの自陣深くでFKを与えてしまい、直接狙われるがGK熊倉がパンチングでゴールを固守。後半序盤は山学が耐える時間が続く。山学は9分に2枚替えで前線を活性化。徐々に攻撃がテンポアップし、相手陣内でのプレーの時間が増えていく。17分、MF石川隼大(2年 GRANDE.FC)がインターセプトしたボールを途中出場のMF笹沼航紀(3年 FC東京深川U-15)が受け、MF笹沼が相手DFをよく見て、左足を振り抜き、強烈なミドルシュートで待望の追加点。その後は日大明誠も選手交代で攻撃の活性化を図るが、山学は粘り強い守備でゴールを守り続ける。後半ATは4分、山学は最後まで攻める姿勢を崩さず、40+2分にはPA内でMF笹沼が相手のボールを奪い、FW常盤隼人(3年 愛知セゾン)に送る。FW常盤は相手DFをかわしシュートし、ダメ押しの3点目が決まり、3対0で試合終了。山学は昨年覇者の日大明誠を退け、3年ぶりの決勝進出を決めた。
試合後、長谷川大監督は「今シーズンの試合で一番内容が良くなかった。序盤から相手の出方を見て受け身になってしまい、自分たちで仕掛けることができず、選手たちにはアグレッシブな攻撃を求めたが、前に向かっていこうとする気概が足りず、バックパスや不用意なパスなどがプレーに出てしまい、沈滞した流れになってしまった。また、序盤のPKなどメンタルが試される場面があり、気持ちを持ち直すのに時間がかかってしまった。後半はフレッシュな選手が入り、パスワークや攻撃のテンポアップが得点につながった。最後は勝ちたい、全国に出たいという気持ちの部分も大きいので、この1週間で信じてぶれずにしっかり形にしていきたい」と語った。数々の好セーブで無失点勝利に貢献した熊倉匠主将は前半序盤のPKシーンについて「ここで失点したら流れが変わってしまうと思ったので、絶対に止めてやろうという気持ちで止めました」と振り返り、主将として「勝つことで次につなげることができましたが、内容は今までのゲームの中で一番ひどかったので、結果だけに満足してはいけないと思います。3点取れたことは評価できる点ですが、守備面ではまだまだやらなければいけないことがあるので、来週1週間で良いものを積み上げたいです。自分たちは日本一を目指しているので、まずは来週の試合に勝って優勝したいです」と話し、勝って兜の緒を締めた。強烈なミドルシュートで待望の追加点を決めた笹沼航紀選手は「途中交代で入り、思いっきり(足を)振ったら入ったので良かったです。無失点での勝利は来週につながるので良かったのですが、危ない場面が多く、もっと突き詰めないといけない所があるので、残り1週間で課題として向き合っていきたいです。去年の悔しさがあるので、来週もチーム一丸で戦って全国大会に行きたいです」と述べ、ダメ押しの3点目を決めた常盤隼人選手は「最近は途中出場が多く、自分の役割はサイドでのチャンスメイクやシュートを打つことなので、それが結果につながって良かったと思います。全国まであと1勝なので、自分の武器であるスピードでチームに貢献できるように頑張りたいです」と語り、決勝に向け気持ちを高めた。
第99回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会は、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、観戦は事前登録した保護者や部員のみに制限。山学は次戦・決勝を11月14日に昨年準決勝で敗れた日本航空高と対戦する。県内王者奪還・全国まであと1勝、試合は山梨中銀スタジアムを会場に12時05分キックオフで行われる。
文(Y.Y)、カメラ(今村佳正)2020.11.7