●全国大学選抜女子ソフトボール選手権大会
~優勝候補の一角同士の山学 VS 東園~
~全国制覇できる力を備えていた無念~
全国大学選抜女子ソフトボール選手権大会(インカレ代替大会)1日目が11月10日、愛知県安城市・デンソーブライトペガサススタジアムなどで行われた。同球場の第1試合は優勝候補の一角同士の山梨学院大 対 東海学園大の好カードとなった。山学大は東園大に2対6で敗れた。試合は、後攻の山学大は初回、エース右腕 信田沙南が一死後、3連打で一死満塁。続く5番のピッチャー返しの打球を遊撃手が上手く回り込み捕球し、ホーム封殺を狙ったが悪送球となり1点献上。全員がマウンドに集まり仕切り直した一死満塁で迎えた6番、信田が右中間に運ばれ走者一掃の適時二塁打とし0対4。続く7番にも中前適時打され0対5。追いかける山学大は1回から4回裏まで得点圏に走者を進めるがあと一本が出ず得点できない。訪れたチャンス6回裏、1番 小澤彩稀が四球で出塁。二死後、4番主将 菊池朋美が中前安打で二死一、三塁。ここで捕手の菊池に代わりテンポラリーランナー3番 小林美沙紀が一塁走者に、5番 岡嵜晴の一球目に小林が盗塁し捕手の二塁への悪送球を誘い1番 小澤が生還し1対5。さらに5番 岡嵜の右前適時打で小林が生還して2対5と追い上げる。山学大は7回表にも信田が1点を失い2対6とされ1回戦で姿を消した。清水正監督は「チームは10月下旬、19大学が参加した大会で、今回出場している日本体育大、淑徳大、城西大の強豪校に勝ち優勝し波に乗ってこの大会に臨んだ。信田に『初回はコーナーを狙わずに打たせて行こう』と指示。相手の先発はエースの本格派右腕を想定して来たが、ノーマークの軟投派左腕だった。今日の敗因は監督」と大きく頷き、「今年のチームは4年が中心で全国制覇できる力を備えていただけに無念」と結んだ。
【大会前インタビュー】
▶︎清水正監督は「新型コロナウイルスの影響により、8月に32チームが参加して開催される第55回全日本大学女子選手権大会(インカレ)が中止となり、代替大会としてインカレ選抜のブロック代表数32チームから16チームに絞り代替大会の全国大学選抜女子ソフトボール選手権大会を開催した」と明かす。「従って、代表ブロックの選抜は倍厳しいものになった。関東で言えば6大学が出場できるインカレの枠が、3大学に減り全国に出場するためにしのぎを削った」と頷く。「コロナ禍でも、創意工夫して、個人練習時期を含めてチーム作りは順調に行えた。今年はエース信田を中心とするディフェンス、オフェンスは菊池を中心としての打撃力と走力を兼ね備えている。今までで最強のチーム」と手応えを感じている。9月の全国大学選抜ソフトボール選手権大会関東地区予選会の代表決定戦で東京国際大と対戦し、2対2の同点で8回タイブレーカー1対1、9回に1対2×と勝利し、関東代表枠3のうちの代表権を獲得した」と経緯を説明。対戦相手は「東海学園大学は過去優勝チームでもあり強豪校で手強い相手。コロナ禍で新チームの情報が少ない」と頷き。明日は「これまで積み上げて来たものを信じて、普段どおりに戦ってくれれば良い」と述べた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |||
東海学園 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | ||
山梨学院 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 |
【 山梨学院大学 Vs 東海学園大学(1回戦)】
愛知県安城市・デンソーブライトペガサススタジアムは両翼67m、センター67m、内外野は土仕様、外野天然芝。収容観客数 内野1,000、外野芝生席1,500。野球場のある愛知県安城市の日本気象協会1時間天気9時00分の天気予報は、晴れ、気温 13.1度、風向 西北西、風速 4m/s。両校の選手がホームプレートを挟み整列し主審のコールで9時03分、山梨学院大学(関東ブロック代表) 対 東海学園大学(東海ブロック代表)の1回戦が開始された。
▶︎1回表、後攻の山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が1番打者を2-1捕邪飛に打ち取る好スタート。続く、2番打者に1-2から一、二塁間を抜ける右前安打、3番打者に0-1から遊内野安打、4番DP(=指名打者)に0-2から三遊間を抜ける左前安打と3連打され一死満塁。続く5番打者の0-1からピッチャー返しの打球を遊撃手が上手く回り込み捕球し、ホーム封殺を狙ったが悪送球となり1点献上。全員がマウンドに集まり仕切り直し一死満塁で迎えた6番打者、信田が0-1からの2球目に右中間に運ばれ走者一掃の適時二塁打とし0対4。続く7番打者に1-2から左前安打され一死一、二塁。8番打者に1-2から二遊間を抜ける中前適時打を許し0対5。一死一、三塁として9番打者を1-1から投飛に打ち取り二死一、三塁。1番打者に3-1から四球に与え二死満塁、2番打者を0-1から遊ゴロに仕留めてチェンジとした。
▶︎1回裏、山梨学院は先発左腕 三上愛香(4年)から、1番小澤彩稀(4年 木更津総合)が3-1から四球を選び出塁。2番 半田由佳(4年 荏田)が1-1から犠打を決め一死二塁。続く3番 小林美沙紀(4年 太田)が2-2から二飛に討ち取られ、飛び出した二塁ランナーの小澤が戻れず併殺(4A)とされチェンジ。
▶︎2回表、山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が先頭の3番打者を1-0から一ゴロに打ち取り一死無塁。4番打者 1-2から左前安打で一死一塁。5番を0-1から遊ゴロで併殺(6-4-3)としてチェンジとする。
▶︎2回裏、山梨学院は先頭の4番主将 菊池朋美(4年 花巻東)が3-2から四球を選び出塁。5番 岡嵜晴(3年 目黒日本大学)が0-2からスリーバントと失敗で一死一塁。6番DP 杉山夏生(3年 東海学園)の一球目4番主将 菊池が捕手の一塁牽制悪送球で二塁に進塁。一死二塁、6番DP 杉山がフルカウントから見逃し三振。二死二塁、7番 松元彩紀(3 星野)が3-2から右飛に倒れチェンジ。
▶︎3表、山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が先頭の1番打者を2-2から見逃し三振に打ち取り一死無塁。2番打者を初球で二ゴロに打ち取り二死無塁。3番打者を0-2から中飛に打ち取り三者凡退としてチェンジとする。
▶︎3回裏、山梨学院は先頭の8番 風間栄子(4年 長野商業)が2-1から、三へのセーフティーバントを試みて内野安打とし無死一塁。9番 諏訪いろは(4年 花咲徳栄)が2-2から犠打を決めて一死二塁。1番 小澤彩稀(4年 木更津総合)が2-2から二飛に討ち取られ二死二塁。2番 半田由佳(4年 荏田)が3-2からライト飛に倒れチェンジ。
▶︎4回表 山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が先頭の9番打者を初球で投ゴロに打ち取り一死無塁。1番打者3-2から四球を与え一死一塁。2番打者に1-0から犠打を許し二死二塁。3番打者に1-0から右前安打を許すが右翼手のホーム好返球でタッチアウトとしてチェンジとする。
▶︎4裏 山梨学院は先頭の3番 小林美沙紀(4年 太田)が0-1から俊足を生かし二塁内野安打として無死一塁。4番主将 菊池朋美(4年 花巻東)が0-1から深くライト飛を打ち上げて、小林がタッチアップで一死二塁。5番 岡嵜晴(3年 目黒日本大学)が2-2から一塁ゴロとして、小林が三塁に進塁し二死三塁。6番DP 杉山夏生(3年 東海学園)が0-2から投ゴロに倒れチェンジ。
▶︎5表、山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が先頭の4番打者を1-2から空振り三振。5番DPの初球に死球を与え一死一塁。続く6番打者の初球に犠打を決められ二死二塁。6番打者を2-2から見逃し三振に打ち取りチェンジとする。
▶︎5回裏 山梨学院は先頭の7番 松元彩紀(3 星野)が1-2から投手ゴロで一死無塁。8番 風間栄子(4年 長野商業)が2-2から空振り三振で二死無塁。9番 諏訪いろは(4年 花咲徳栄)が0-2からフェアとなった打球が自打球となりアウトでチェンジ。
▶︎6回表 山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が先頭の8番打者に1-1から中越二塁打を許し無死二塁。9番打者に2-0から犠打を与え8番打者代走が三塁に進塁し一死三塁。1番打者に3-1から死球を与え一死一、三塁。2番打者を初球で三直に仕留め飛び出していた一塁走者を併殺(5-3)としてチェンジとする。
▶︎6回裏、山梨学院は先頭の1番 小澤彩稀(4年 木更津総合)がストレートの四球を選び無死一塁。2番 半田由佳(4年 荏田)が1-2から二飛で一死一塁。3番 小林美沙紀(4年 太田)が初球を遊直し二死一塁。4番主将 菊池朋美(4年 花巻東)が1-1から遊撃手のグラブ先をかすめる中前安打で二死一、三塁。ここでテンポラリーランナー3番 小林美沙紀(4年 太田)が一塁走者に、5番 岡嵜晴の一球目に小林が盗塁し捕手の二塁への悪送球を誘い1番 小澤が生還し1対5。5番 岡嵜の2-1右前適時打で小林が生還して2対5と追い上げる。6番DP 杉山夏生(3年 東海学園)が1-2から空振り三振に倒れチェンジ。
▶︎7回表、山梨学院はエース右腕 信田沙南(4年 星野)が先頭の3番打者に0-2から右前安打で無死一塁。4番打者に1-1から三塁線を破る左前安打で無死一、二塁。5番打者を1-0から犠打を与え一死二、三塁。6番打者に2-0から右適時打を許し2対6、バッター走者が二塁を狙いタッチアウト(9-5-4)で二死三塁。7番打者を1-1から三塁ゴロに仕留めてチェンジとする。
▶︎7回裏 山梨学院は先頭の7番 松元彩紀(3 星野)が先発左腕 三上愛香(4年)に代わったエース右腕 藤本恵未(3年)から0-2から空振り三振、8番 風間栄子(4年 長野商業)が2-2から二飛に、9番 諏訪いろは(4年 花咲徳栄)が3-1から三ゴロに倒れ2対6でゲームセットとし1回戦で姿を消した。
【試合終了後インタビュー】
▶︎絶対的エース右腕 信田沙南(4年 星野)は「関東大学女子リーンフォースメント選手権大会で5試合全て登板した。そのままの勢いで、この大会では2点以内で抑えてあとは攻撃陣に任せよう」と試合に臨んだ。「調子は悪くなかった。ただ思ったように打ち取れなかった。初回、失点してしまって」と言葉を呑んだ。「去年、インカレでこの会場で投げているのであまり緊張はしなかった」と、投げた球は「打者の前で球を動かしたくて、ライズ、チェンジアップ、ドロップを主に組み合わせた。ストレート(最速101キロ=野球換算で150キロ超え)は投げていない」と封印した。「4年間、長く感じたが、今終わってみて短く感じる。2年生の時にスランプに陥り、そこから脱した3年生の去年が1番調子良かった」と振り返る。今年はコロナ禍で「自粛期間も先生(監督)に練習場所を確保していただき練習面では不自由なく取り組めたが、例年に比べて試合数が少なかった」と実戦感覚に欠けた。「大学4年間で培ったことをベースに実業団でさらに学び早くマウンドで投げられるように努力したい」と前を向いた。
▶︎主将で捕手の4番 菊池朋美(4年 花巻東)は「自分たちの中では、あの初回が想定外だった」と頷く。しかし「負けている雰囲気はなかった。自分たちでなんとかしょうと、明るく盛り上げていた」と、ただ「自分たちに足りなかったのは、相手に比べて打席内での対応ができなかった。それで追いつけそうで、追いつけなかった」と敗因の一つをあげた。「どんなピッチャーが来てもやることは一緒と話していたが、先発投手の想像より遅いたまに手こずった。自分たちのウイークポイントを突かれた」と明かす。6回裏は「全員が気持ちを一つにして取れた2点だった」と噛み締める。「ここにくるのは最低ラインのノルマだった。日本一を取ることが達成目標だった。力不足だった」と落胆。「自分もそうだが実業団で続ける選手がいるチーム、技術は勿論のこと『気持ちの面で負けていたらダメだ』と身にしみて感ずる大会だった。この経験を上で生かしたい」と明かす。「3年生以下の後輩には、次のシーズンから自分たちが達成できなかった日本一という目標に向かって、強い気持ちを持って戦って日本一になってもらいたい」とエールを送った。
▶︎清水正監督は「チームは10月下旬、19大学が参加して関東大学女子リーンフォースメント選手権大会で、松本大に7対0で5回得点コールド。筑波大学に12対0で4回得点コールド。日本体育大学 2対0、淑徳大学10対5、城西大学 6対1と勝ち、優勝して波に乗ってこの大会に臨んだ」と頷いた。「信田は決して調子が悪かったわけではなく『立ち上がりの初回はコーナーを狙わずに打たせて行こう』と指示を出した。それが相手の連打につながり失策も絡み初回の5失点となった」と振り返る。オフェンスは「相手の先発はエースの本格派右腕を想定して練習を行って来たが、今日の先発の軟投派左腕はノーマークだった。勢いよくジャンピングで前に出てくるわりに緩い球にはまった。1回裏から4回裏までの毎回得点圏にランナーを進めてのチャンスを生かせなかった。6回裏にエンジンがかかったがちょっと遅かった」と想定外の展開に、「全て監督の責任」と大きく頷いた。「選手たちは、今日の試合の展開にも、ベンチでも最後まで明るく諦めずによく戦ってくれた」と称えた。「今年のチームは全国制覇できる力を備えていただけに無念」と結んだ。「これで4年生は最後の試合となったが、これまでの経験を生かしてそれぞれの道で活躍してもらいたい」と言葉を添えた。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2020.11.11