●アフリカフェスティバル in YGU
~甲府市ふるさと応援寄付金・国際交流事業~
~様々な体験を通じ、アフリカについて理解~
山梨学院大学は国際交流活動の促進などを目的にアフリカの文化や経済、スポーツ、音楽などに触れる「アフリカフェスティバル」を11月20日に山梨学院メモリアルホールで開催した。このイベントは甲府市ふるさと応援寄付金事業の一環として行われ、オンラインでも同時配信された。第1部では、駐日ケニア共和国大使館のカディジャS. イッサ参事官が「ケニアの魅力~スポーツ・文化・教育~」と題し、ケニアの文化や経済、スポーツ、観光などを解説。また、山学大陸上競技部の上田誠仁監督と桜美林大学陸上競技部の真也加ステファン駅伝監督が「陸上と山梨学院とわたし」をテーマにトークショーを行い、来日当初の思い出や練習に対する姿勢、大学生活のエピソードなどを披露した。第2部では、アフリカ音楽を奏でる音楽グループ「ムクナバンド」による音楽祭が行われた。このほか、アフリカの物産展も設けられ、来場した市民は様々な体験を通じ、アフリカについて理解を深めていた。
山学大では、「全学的国際化」を改革ビジョンに掲げ、全学を挙げてDiversity&Inclusion(多様性と一体化)を推進し、国際共修の理念の理解や実践に取り組み、お互いの人間的成長や多彩なグローバル人材の育成に注力している。一方の甲府市では、東京オリンピック・パラリンピックの開催やリニア中央新幹線の開業を見据え、世界とつながる新たな国際交流を芽生えさせ、海外の活力の積極的な活用により、多様な文化が息づく「甲府のまち」の創造を目指し、新たにふるさと納税制度を活用した補助金制度を構築。山学大は、甲府市と包括連携協定を締結しており、この制度の活用により、留学生の受入れや市民参加型の国際交流イベントの実施など異文化交流や異文化理解といった国際化推進の一助とすることを目指している。今回企画された「アフリカフェスティバル」はこの補助金制度を活用して実施され、新型コロナウイルス感染症対策として来場人数の制限やオンラインでの同時配信により開催された。主催した山学大の古屋光司学長は「アフリカ諸国は、今後人口、経済ともに大きく発展していきます。日本にとってアフリカ諸国との関係はますます重要になってきます。しかし、日本からは距離があり、知らない部分も多いと思います。今回のアフリカフェスティバルを通じて、山梨学院に縁のあるケニアをはじめ、楽しみながらアフリカを知っていただく機会にしていただければと思います」と挨拶。また、来賓の樋口雄一甲府市長は「昨年度から甲府市と山梨学院大学とが国際交流や国際化に向けた事業の実施に向け、共同でふるさと納税(ふるさと応援寄付金制度)を導入いたしました。今回のフェスティバルはその事業の一環として実施され、この制度を役立てて貰っているということで、大変嬉しく思います。今後もより一層、大学と連携を図りながら、留学生が安心して充実した学生生活を送り、社会で活躍できる環境を作っていきたいと考えています」と祝辞を寄せた。
■講演会【ケニアの魅力~スポーツ・文化・教育~】
駐日ケニア共和国大使館のカディジャS. イッサ参事官が、ケニアの人々と文化、貿易と経済活動、スポーツ、観光のそれぞれの視点から講演を行った。ケニアは東アフリカに位置し、首都はナイロビ、人口は約5300万人で公用語は英語とスワヒリ語。1963年12月にイギリスから独立し、国内GDPの約8割をサービス業(43.2%)と農業(34.2%)が占めている。イッサ参事官は経済活動や農業の特徴について「紅茶葉が世界3位の生産量を誇り、輸出量は世界1位、コーヒー豆や切り花の生産も盛んで、日本が輸入するバラの4割がケニア産です。1963年の独立以降、GDPは右肩上がりの経済成長を続けており、今後も2桁成長を目指して活動してきます」と語った。また、スポーツ分野での日本との関係について触れ、オリンピックでのメダル獲得や世界記録更新など近年の活躍について紹介した。さらに、ケニアの観光について「ケニアは、大変多様な地形があり、砂漠や湖水地帯、5199mのケニア山、野生動物の生息するサバンナ、インド洋に面した美しい砂浜など一つの国で多くの体験をすることができます。サバンナには、ライオン、サイ、ゾウ、ヒョウ、バッファローのBIG5が生息し、7月から9月にはヌーの大移動も目にすることができます。また、ケニアには6つの世界遺産があります。ぜひ皆さんケニアに訪問してみてください」と語り、講演を結んだ。
■トークショー【陸上と山梨学院とわたし】
山学大陸上競技部の上田誠仁監督と出雲駅伝4連覇、箱根駅伝2連覇に貢献し、現在、桜美林大学陸上競技部の真也加 ステファン駅伝監督が対談を行い、それぞれ、来日当初の思い出に触れ、言葉や食べ物、甲府の寒さやホームシックに関するエピソードを紹介し、会場を和ませた。留学生活を回顧し、上田監督は「オツオリやイセナ、マヤカなど留学生は、しっかり相手の目を見てコミュニケーションを取ろうとする姿勢があった。また、練習に対する取り組み姿勢や行動もチームに良い影響を与え、一緒に練習をすることでチーム力を引き上げてくれた。授業も大会や遠征以外は欠席せず、皆勤賞で全てのクラスにきちっと出ていた。レポートなどもしっかり提出し、担当した先生からの評価も高かった」と語った。真也加駅伝監督は「山梨学院の色々なサポートのおかげでここまでくることができた。山梨学院が道を開いたから、ケニアの名前が有名になり、他の大学にも留学生が増えたのだと思う。留学生の競技力向上だけであく、日本人と一緒に練習することで、日本人のモチベーション向上にもつながり、お互い刺激しあうことができた。山梨学院が将来の道を開いてくれた。山梨学院に対する感謝の気持ちを忘れることはない」と感謝の言葉を口にし、国際交流や留学生支援については「言葉の壁もあるので、ボディランゲージなどコミュニケーションを積極的にとり、文化や背景も違うため、相互理解も必要になってくる。相手のチャレンジや提案を受け入れる体制を作り、コミュニケーションを図ることが重要である」と述べた。最後に上田監督は「マヤカをはじめ、これまでの留学生が真剣に素朴にまっすぐ頑張ってくれたので、この姿をチーム全員で共有して飯島駅伝監督を中心にチーム作りを頑張っていきたい」と話し、1か月半後に迫った箱根での活躍を誓った。
■音楽祭【アフリカリズムで踊りましょう】
アフリカ音楽を演奏するグループとして、長いキャリアを持つ音楽グループのムクナバンドによるLIVEパフォーマンスやワークショップが行われ、この日一番の盛り上がりをみせた。ムクナバンドはアフリカ中央部に位置するコンゴ民主共和国、ガーナ共和国出身のミュージシャン・ダンサーで構成。民族、文化、音楽、言語等がそれぞれ異なる中で、お互いに共存しながら、アフリカの大地を思わせる音のハーモニーを奏で、国内各地でライブイベントを実施している。音楽祭では、アフリカンドラムやサックス、ギター等のリズム楽器の雄大な旋律が会場に響き渡り、表現力豊かなダンスとの融合が会場を大いに沸かせた。音楽祭の後半には、ワークショップとして参加者も自席でアフリカダンスに挑戦し、バンド演奏に合わせて一緒に体を動かして、アフリカ文化を体験した。
このほか、会場入り口では、アフリカの特産品や名産品を紹介するブースや物産展も開催された。物産展では、特産のコーヒーやマカデミアナッツ、アクセサリーなどの民芸品の販売も行われ、参加者は約11,000km離れた異国の文化に触れ、甲府からアフリカに思いを馳せていた。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2020.11.24