●女子第32回 全国高等学校駅伝競走大会
~1区主将 鬼頭が21位として流れをつくる~
~アンカー 5区 青沼が5人抜き27位とする~
女子日本一を決める女子第32回 全国高等学校駅伝競走大会が12月20日、たけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着とする5 区間 21.0975kmで47校が参加して行われた。山梨県代表12年連続20回目出場の山梨学院高校は1時間12分25秒で27位となった。山学は第1区の鬼頭このみ(3年)がたけびしスタジアム京都から衣笠校前までの6kmを区間20分31秒(21位)の好走でチーム21位(20分31秒)として流れをつくる。2区の石井れいな(1年)が衣笠校前から烏丸鞍馬口までの4.0975kmを区間14分12秒(36位)の粘走でチーム28位(34分43秒)。第3区の渡辺萌梨(3年)が烏丸鞍馬口から室町小学校前折返し北大路船岡山までの3kmを区間10分35秒(35位)の力走でチーム29位(45分18秒)。第4区の萩原美優(1年)が北大路船岡山から西大路下立売までの3kmを区間10分21秒(39位)の粘走でチーム32位(55分39秒)。第5区の青沼麗后(1年)が西大路下立売からたけびしスタジアム京都までの5kmを区間16分46秒(16位)の5人抜きで昨年の32位を上回る27位(1時間12分25秒)でフィニッシュした。なお、1時間07分13秒で世羅(広島)が5年ぶり2回目の優勝を果たした。
【試合前インタビュー等】
▶︎依田崇弘女子駅伝監督は10月31日「今年はコロナ禍で、チームの調子が良くなかったが、夏頃から調子が上がってきた。今年は昨年よりチーム力が上がっており、県大会は優勝候補筆頭にあげてもらったが、謙虚な気持ちで取りこぼしのないように」と臨み、「チーム目標タイムを上回り昨年のタイムより2分ぐらい早く走れた」と12年連続20回目の優勝を果たし、「全国的に見ればまだまだだが、都大路につながる良い走りができた」と称賛した。11月21日の関東大会では1時間10分48秒57の走りで6位に入賞し「選手たちは、この大会で各県の代表と良い勝負ができる感覚を掴んだと思うので、大舞台の都大路で結果が出せるように気を引き締めて調整したい」と述べた。
▶︎主将 鬼頭このみ(3年)は12月16日の壮行会で「今年はコロナ禍の影響で、例年に比べて練習がうまくいかないときもあったが、指導者や応援してくださる方々の支えがあって、今年も全国の舞台に立つことができる。大会を開催してくださることに感謝し、この大会を3年間の集大成の場とする」と決意表明した。
【女子32回全国高校駅伝大会】
女子日本一を決める女子第32回 全国高等学校駅伝競走大会が12月20日、たけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着とする5区間 21.0975kmで都道府県予選会の優勝校47校が参加して行われた。大会は新型コロナウイルスの影響で無観客となった。午前10時現在の天気 晴れ・気温 8.0度・湿度 70%・風向 南西・風速1.8m/s。コロナ禍で密を回避するためにイン37チーム、アウト10チームがスタートラインに立った。山梨県代表12年連続20回目出場の山梨学院高校はアウト1列目1番外側。10時20分号砲とともに一斉スタート。
◉1区[6km]主将 鬼頭このみ(3年)
山梨学院は依田崇弘女子駅伝監督が、昨年5区を走り、今年10月の山梨県予選会と11月の関東大会で1区を走りチームに流れを呼び込んだ好走を買い、主将 鬼頭このみ(3年)を1区に抜擢した。主将 鬼頭このみが「全区間で最も長い距離でエースが集まる区間を監督に任せてもらった。3年間の集大成の走りにしょう」とスタート。「走りやすい位置だったので、思い切ってスタート」し、200mのバックストレートに入ったところで選手が合流。主将 鬼頭が「選手同士の接触がない位置をキープして集団の流れに良い感じで乗って走る」と競技場からも接触もなく右に5条通に出る。「集団の先頭につきリラックスして走る。1kmを3分08秒で通過」と軽快に走る。「ややペースダウンしたが、監督の指示通りに集団の流れで走行し2km地点を通過」する。中間点付近からはじまる上り坂「ここから集団のばらつきが出てきた。自分もきつかったがチームのために1秒でも早くたすきをつなごうと粘る走り」をする。最後の1km、さらに坂が上がる「脚もきつかったが、『ラスト残り1km、チームのために』」と全力で走る。中間点付近からはじまる長い厳しい上り坂を耐え抜き、衣笠校前中継所で待つ「多くの選手を見て1秒でも早く」とラストスパートをかけ、「ここまでたすきを運んできたので残りは頼んだ」と2区の石井れいな(1年)に区間20分31秒(21位)、チーム21位でたすきを手渡した。鬼頭は監督の指示で第1集団の流れに乗る走りに徹し、山梨県予選会1区で20分58秒を上回ったが関東大会1区の20分14秒を下回ったがチームに流れをつくった。
◉第2区[4.0975km]石井れいな(1年)
「20位ぐらいで来るという情報で安心して待っていた。自分がこの区間で、順位を落とさないようにしょうと少し緊張する」。たすき渡しで「鬼頭先輩が『頑張れ』と声をかけいくれたので、緊張がほぐれてスタートができた」と西大路通を走る。「金閣寺の近くを右折して北大路通から1kmで5秒ダウン、続く緩やかなアップダウンをロスなく中間地点を通過する」。今度は「1km過ぎて下り坂をペースが落ちないように走る」。ここからカーブが続く「右折して堀川通に、左折して紫明通に、右折して烏丸通の直角カーブで速度が落ちないように、道に沿って走らずに、なるべく直線に走って行けるようにカーブを目掛ける走法でロスタイムをなくすことに心掛けた。きつかったが、ここで気持ちを緩めると崩れてしまうので必死で粘って頑張った。最後のカーブを回ると約300mで衣笠校前中継所に、石井れいなが区間14分12秒(36位)の走りでチーム28位として、3区 渡辺萌梨(3年)にたすきを渡した。石井れいなが山梨県予選会2区14分12秒[1位区間賞]、関東大会2区13分42秒[13位]、今大会は難コースで14分12秒と山梨県予選会と同タイムで関東大会の記録を下回った。
◉第3区[3km]渡辺萌梨(3年)
渡辺萌梨(3年)が「1・2年生とけがで山梨県予選会にも出場できなかった」。今年は10月山梨県予選会3区10分35秒[1位区間賞]、関東大会4区10分07秒[12位]と調子を上げてきている。「コロナ禍で開催が危ぶまれていたが、この都大路で3年生のラストレースができることに感謝して、悔いのないように全力で走りたい」とリースに臨んだ。渡辺は烏丸鞍馬口中継所でたすきを2区 石井れいな(1年)から受け取ると「最初は下り約200mで室町小学校前折返し、監督からペイスダウンしないように外側から回って外側に抜ける走法で折り返し」、徐々に上がる「烏丸通から左に紫明通へ」走る。「後ろから2人の選手が追いかけてきたので追いつかれないように」懸命に走る。そして「右折して堀川通で並走して走る。ラスト1kmで1人に抜かれるが必死について走る」。左折して北大路通へ、ラスト500mの上り坂の勝負所を「支えてくれた人に感謝しながらがむしゃらに走り」、北大路船岡山までの3kmを区間10分35秒(35位)の力走でチーム29位(45分18秒)で北大路船岡山中継所の4区 萩原美優(1年)にたすきを手渡した。渡辺萌梨が折り返しや3つの直角カーブの難コースにロスタイムし、山梨県予選会3区10分31秒[1位区間賞]、関東大会4区 10分07秒[12位]をともにタイムオーバーした。
◉第4区[3km]萩原美優(1年)
萩原美優(1年)が試合前に各チームのスピードランナーが集まる区間を「序盤500mの上りは勢いよく駆け上り、あとはなだらかな下り坂が続くが足の回転を速くして走りきろう」と攻略の作戦を立てていた。萩原は山梨県予選会の西湖の難コースで「上がり坂で足の回転を早くすることに集中して遅れを取り戻す走り」で10分31秒1位区間賞として「中学の頃から憧れている」青沼麗后(1年)にたすきを手渡した実績がある。萩原は中継所で「渡辺先輩からたすきをもらうと、『頑張って』と背中を押され『自分も頑張らなければ』」と気合が入り、「みんながつないできてくれたたすきなので、しっかり1秒でも早くつなぎたい」と強い気持ちを持ってスタート。序盤500mの上りを「全国という大舞台で無我夢中で走り、あっという間に走り切ったが設定タイムより5秒遅い」。あと2500mはなだらかな下り坂が続く「頑張ろうとイーブンペースで1500mを走る」。スピード勝負になるこの4区、あと「ラスト1kmで、ペースが落ちる」、自分を奮い立たすがペースが上がらない。「自分の実力では、全国の選手とは戦うことができなかった」と、西大路下立売で待つ、アンカー青沼麗后(1年)に区間10分21秒(39位)、チーム32位(55分39秒)で、第5区 青沼麗后(1年)に「たすきを渡し、背中を押し」たすきを託した。萩原美優が山梨県予選会4区での10分31秒を10秒縮めた走りを全国大会で見せた。
◉第5区[5km] 青沼麗后(1年)
青沼麗后(1年)が、山梨県で「中学の時に一緒に大会で顔を合わせていた萩原とのたすきリレーが都大路で実現して嬉しくて心が弾んだ」と西大路下立売中継所でたすきを受け取り、「『一つでも順位を上げようと』スタートし約500mの下りを前の選手を見て走る」。西大路通の「約100mのなだらかな坂を走り、あとはなだらかな下り」とリズム良く軽快に走る。「1km手前で1人抜き」去り快走する。「1kmを設定の13分15秒より5秒速く通過」する。「『少しリラックスしよう』と1kmから2kmは3分18秒で走り、3km地点を3分20秒で通過し2人ぐらい抜き」去り五条通を軽快に走る。「4km地点は3分31秒」と、がくっとペースが落ちた。「ラスト1kmで後ろから選手が追ってきたので『絶対に負けない』」と粘走。たけびしスタジアム京都の「陸上競技場のトラックにはいつてからラスト200m、気持ちでペースを上げ」ゴールした。アンカーとしての勝負強さが大事な要素となる5区で、青沼麗后(1年)が西大路下立売からたけびしスタジアム京都までの5kmを区間16分46秒(16位)の5人抜きで昨年の32位を上回る27位(1時間12分25秒)でフィニッシュした。青沼麗后が監督からアンカー5区を任され、10月山梨県予選会17分28秒[1位区間賞]、関東大会16分59秒[7位]、今大会は16分46秒と、走るたびに区間記録を塗り替える快走でチームに貢献した。
■山梨学院は1区21位、2区28位、3区29位、4区32位、5区27位でゴールした。山梨学院は昨年32位でゴール、今年は昨年1区で11位20分01秒をマークした中嶋千沙都(2年)の欠場があった中で、1年生が5人中3人出場し27位と躍進した。その中でもアンカーの青沼麗后(1年)は5人抜きでチームを32位から27位まで引き上げた活躍が際立った。来年が楽しみなチームとなった。
【試合終了後電話インタビュー】
▶︎アンカー5人抜きでチームに貢献した青沼麗后(1年)は「5人抜きは記憶にない。3人ぐらいかなと思っていた。区間16位は素直に嬉しい」と喜んだ。「お世話になった3年生はこの大会で最後となるので、これからは自分たち自らがチームづくりをしなくてはならない。来年新1年生が来たらチームを引っ張らなくてはならない。一緒に練習をしっかりやり、けじめのある仲の良いチームづくりをして、来年の都大路では20番以内を目指せるチームにしたい」と抱負を述べた。
▶︎エース区間の1区で21位と流れをつくつた主将 鬼頭このみ(3年)は「20番以内を目標にしていたので、その順位に届かず残念だが、チームの一人一人が全力を出し切れたので良かった」と大きく頷いた。「今回、2年生がいなくて3年生2人以外の3人は1年生だった。1年生は今回の全国駅伝を走った経験を生かしてチームをつくり、来年はさらに上を目指してもらいたい」とエールを送った。また「今回、大会を開催してくださった方々や応援してくださった方々に感謝したい」と述べた。
▶︎依田崇弘女子駅伝監督は「集大成の舞台、良くも悪くも27位が、今の力だと受け止めている」と頷く。関東大会3区3km区間賞のトライアスロンの「中嶋千沙都の欠場が急遽決まった中で、選手たちは良く健闘してくれた」と大きく頷く。「その中で、3年主将 鬼頭このみが1区で『3年間の集大成』と意気込んで走って、後輩にしっかり範を示してくれた」と称えた。その後に「中盤の区間で苦戦したが、5区の青沼麗后が16位の5人抜きで27位と、来年に期待を抱かせる走りをしてくれた」と賛辞を送る。「1年生は、この経験を生かして駅伝部を引っ張っていってもらいたい」と切望し、「3年生は次のステージで活躍することを期待したい」と結び、「コロナ禍の中で開催いただいた皆様、応援いただいた皆様に心より御礼申し上げます」と述べた。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪・写真提供:女子駅伝) 2020.12.21