●第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(復路)
~2年ぶり34回目出場 総合19位 復路20位~
~チーム強化し再び箱根にチャレンジ 誓う~
正月恒例の第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(復路)は1月3日、神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場入口から東京・大手町読売新聞社前までの5区間109.6kmで、大学20チームとオープン参加の関東学生連合チームの21チームが参加して行われた。2年ぶり34回目出場の山梨学院大は復路 20位5時間38分58秒(往路18位5時間38分38秒)として、総合 19位11時間17分36秒とした。復路スタートは8時00分に1位の創価大から往路着順タイム差でスタート。山学大は6区で矢島洸一(3年 山梨学院)と入れ替わった日影優哉(4年 富山商業)が中央大などの4チームで一斉スタート。一気の山下り6区を日影が区間10位チーム18位と前を詰める。後半アップダウンが続く7区を木山達哉(2年 尽誠学園)が区間19位チーム19位と順位を下げる。遊行寺の上り坂の8区を篠原楓(2年 新居浜東)が区間20位チーム19位とやや離れる。起伏の多い長丁場の9区を遠藤悠紀(4年 報徳学園)が区間18位チーム19位と力走もたすきリレーできず。復路最終区、銀座から日本橋を走る10区を渡邊晶紀(3年 藤枝明誠)が繰り上げスタートし区間18位でチーム19位の力走でゴールした。復路優勝は青山学院大。総合優勝は駒澤大。飯島理彰監督が「6区の日影はラスト3kmで体が浮いていた。それがなければ58分台をマークしたと期待を抱かせる素晴らしい走りだった」と褒めた。そのほかの区間は「フォームは姿勢も良く綺麗、それに軸がぶれない。しかし走るペースやリズムが遅い」と頷き。「1人で走り抜くパワーや気力などを培うための個人走が足りないことを実感した。チーム強化して再び箱根にチャレンジしたい」と誓った。
【第97回箱根駅伝競走(復路)】
正月恒例の第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(復路)は1月3日午前8時00分00秒、神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場入口から初往路優勝した創価大から14位の明治大まで着順時間でスタートする。18位 山梨学院大・中央大・関東学連・専修大が一斉スタートとなる。各チームは復路優勝と往路と復路の合計タイムの総合優勝、そして10位以内の98回出場権利のシード権を争う。東京・大手町読売新聞社前までの5区間109.6kmの熱い戦いが繰り広げられる。2年ぶり34回目出場(総合優勝3回)の山梨学院大は、レース前に飯島理彰監督が6区 矢島洸一(3年 山梨学院)から日影優哉(4年 富山商業)にメンバー変更届を行った。創価大学の選手がスタートラインにつき、8時00分00秒号砲とともにスタート、2位 東洋大 8時02分14秒、3位 駒澤大 8時02分21秒、4位 帝京大 8時02分31秒、5位 東海大 8時03分27秒、6位 東京国際大 8時03分58秒、7位 順天堂大 8時05分23秒、8位 神奈川大 8時05分32秒、9位 國學院大 8時06分44秒、10位 拓殖大 8時06分53秒、11位 早稲田大 8時07分04秒、12位 青山学院大 8時07分35秒、13位 城西大 8時07分36秒、14位 明治大 8時07分55秒、15位 日本体育大 8時08分30、16位 法政大 8時09分06秒、17位 国士館大 8時09分40秒と順にスタートして行く。山梨学院が呼名され19位の中央大・関東学連(オープン参加)・20位の専修大がスタートライに立つ。
◉6区(20.8km)箱根町芦ノ湖駐車場入口~小田原
▶︎日影優哉(4年 富山商業)
[区間10位 59分06秒、チーム18位 6時間37分44秒]
▷山梨学院は飯島理彰監督が矢島洸一(3年 山梨学院)から日影優哉(4年 富山商業)に登録変更した。日影は「箱根は初めて走るが意外に落ち着いてスタートラインに立てた」と、8時10分に号砲とともに「他の選手を走りで利用しょう」と中央大・関東学連・専修大と一斉スタート。すぐ左に曲がり、箱根の山を目指す。1kmの設定2分50秒を5秒遅く通過する。「2km過ぎに関東学連が少し前に出る。中央大学と一緒について行ったが、上りがやや不得意で関東学連と中央大に約100m離され、ちょっと焦った」と走る。約4kmは芦ノ湖畔からの上り、標高874メートルの最高点を過ぎると約10km曲がりくねった急坂を一気に下る。日影は4.8km地点 芦之湯を16分18秒12位、チーム5時間54分56秒18位で「練習と同じタイム」で下る。カーブが急で9.0km地点 小涌園前を27分06秒12位、6時間05分44秒18位で通過する。「10km過ぎに関東学連に一気に近づき並んだ。『相手の心を折ろう』とそのまま抜き」去り走る。「先を走る法政大、中央大、国士舘が先に見える」と勢いづく。13.4km地点 大平台を38分57秒13位、6時間17分35秒18位で通過。「15km地点で法政大が目の前に迫る」、17km地点 函嶺洞門を47分58秒10位、6時間26分36秒18位で通過。「残り3kmあたりからは緩やかな下り坂で追いつこうとしたが、前をいく法政大もスピードも上がったので追いつけない」と力走。ラスト1km「脚がきつくなったところで、飯島理彰監督から『もう一度、冷静になれ』と、走れなかった選手の名前を連呼して励ましてくれたので頑張れた」と山学大の日影優哉(4年 富山商業)が小田原中継所までの20.8kmを区間59分06秒10位、チーム6時間37分44秒18位と快走。前を走る法政大学に15秒差、44秒差で日本体育大、56秒差で国士舘大として第7区 木山達哉(2年 尽誠学園)たすきを両手で持ち篠原が取りやすいようにたすきを繋いだ。
《総合順位》
1位 創価大、2位 駒澤大、3位 東海大、4位 東洋大、5位 順天堂大、6位 神奈川大、7位 東京国際大、8位 國學院大、9位 帝京大、10位 青山学院大。18位 山梨学院大、19位 中央大、20 専修大。※ オープン参加の関東学生連合除く。
◉第7区(21.3km)小田原~平塚第
▶︎木山達哉(2年 尽誠学園)
[区間19位 1時間06分15秒、チーム20位 7時間43分59秒]
▷山梨学院は木山達哉(2年 尽誠学園)が初めての箱根を「6区の日影さんが、前との差を詰めたすきを良い位置で繋いでくれたので、落ち着いてスタートできた」と走る。1kmの設定を2分55秒設定より5秒早く入る。「日影さんのつくってくれたこの流れを維持しょう」と軽快に走る。2km、3km、4km、5kmと「1km3分01秒の思う走りができている。これで押していこう」とリズムに乗り走る。「徐々に走りがきつくなり8kmにペースが落ちてきた」とストライドが伸びない。9キロ過ぎから小さなアップダウンが続き「思うように走れないが、それでも1km3分01秒で押していこ」と懸命に走る。11.6km地点 二宮を木山は35分38秒チーム 7時間13分22秒とし、記録上で中央大学に抜かれ18位から19位へ後退する。残り5km「法政と関東学連に追いつかれ並走する。一生懸命並走するがラスト4kmで抜かれた。これで自分の走りを見直し自分のペース3分5秒前後で走る」ことを決断する。18.3km地点 大磯を木山が57分03秒で19位としてチーム 7時間34分47秒と粘走。大磯駅を過ぎた20キロ過ぎ、東海道をまたぐ大磯跨道橋を「力の限りで走る」、やっと上りきり平塚中継所を黙々と目指す。飯島理彰監督から「『ラスト1km』と声がかかり、勇気をもらいがむしゃらに」走る。平塚中継所には「高校の頃から地方の大会で知っていて、大学では切磋琢磨し練習に励んできた篠原が待っている」と無我夢中で走る。木山達哉(2年 尽誠学園)が1秒を惜しんで平塚中継所に走り込み1時間06分15秒19位、チーム7時間43分59秒19位と1つ順位を下げて篠原楓(2年 新居浜東)にたすきリレーする。
《総合順位》
1位 創価大、2位 駒澤大、3位 東海大、4位 東洋大、5位 東京国際大、6位 順天堂大、7位 青山学院大、8位 國學院大、9位 帝京大、10位 早稲田大。19位 山梨学院大、20位 専修大。
◉第8区(21.4km)平塚~戸塚
▶︎篠原楓(2年 新居浜東)
[区間1時間07分58秒20位、チーム8時間51秒57分19位]
▷山梨学院は篠原楓(2年 新居浜東)が前半は平坦な海岸線で後半は上りとなるコースを「1km3分5以内で遊行寺の上り坂がポイントまで余力を残して走ろうとプランを立てていた」。篠原が木山達哉(2年 尽誠学園)からたすきを受け取り慎重にスタートする。「スタート後は海沿いの平坦な道5km走るところで、飯島理彰監督からの『夏合宿を思い出せ』と励ましの声が聞こえ前を走る法政大をしっかり追う。6走km手前から3分5以内でのラップが「少しずつ思うように刻めなくなってきた」と粘る。篠原が6.7km地点 茅ヶ崎を篠原が20分38秒で18位、チーム19位 8時間04分37秒として通過し沿岸の風の中を走る。9キロ過ぎの浜須賀交差点を左折して海に別れを告げ、9キロに及ぶ上りが待ち受ける。篠原がその上りの10km地点をラップ3分10秒前で通過する。あと8km上がりが続く。篠原が「いよいよポイントとしていた遊行寺の約700mの上り坂に入る」。遊行寺の上り坂は箱根山中に次ぐ難所を上る。篠原が15.6km地点 遊行寺坂を48分34秒20位、チーム8時間32分33秒19位として通過する。「やはりこの上がりはきつい」と、「ラップ3分29秒を超える走りでタイムをロスし前を走る法政大の姿が見えなくなった」と辛抱して走る。篠原が18.4km地点 影取を20位57分57秒、チーム 19位 8時間41分56秒とタイムを落とし通過する。さらに戸塚中継所手前にも最後の坂が待ち受け篠原はここでもラップを落とし戸塚中継所で1時間07分58秒20位、チーム 8時間51秒57分19位として遠藤悠紀(4年 報徳学園)に「頼みます」と念じてたすきを託した。
《総合順位》
1位 創価大、2位 駒澤大、3位 東洋大、4位 東海大、5位 青山学院大、6位 順天堂大、7位 東京国際大、8位 國學院大、9位 帝京大、9位 早稲田大。19位 山梨学院大、20位 専修大。
◉第9区(23.1km)戸塚~鶴見
▶︎遠藤悠紀(4年 報徳学園)
[区間1時間12分57秒18位、チーム10時間04分54秒19位]
▷山梨学院は遠藤悠紀(4年 報徳学園)が、8区 篠原楓(2年 新居浜東)の到着を今か今かと待ち受けている。遠藤は8月22日、霧ヶ峰の夏合宿で「箱根路を走り今までお世話になった中学生の校長先生や平山監督、両親に恩を返したい。またそれを原動力にして、最終学年なのでチームが箱根に戻れるように予選会で出場権をとり、本戦でシード権を獲得して後輩に手渡して卒業したい」と抱負を述べた。10月17日の箱根予選会は『設定タイム班』のリーダーとして「集団走特異な他の選手の走行に細心の注意を払いレースが作れた」と満面の笑みで、仲間とともに箱根本戦の出場に貢献した。そして今、遠藤は4年目にして悲願の大舞台に立っている。遠藤が篠原からたすきをしっかり受け取り走り出す。遠藤は冷静に「紺青のたすきを繋ぐことだけに集中して」軽快に走る。戸塚中継所を出発して「すぐに3キロ余り続く急な下り坂を利用してピッチを上げ」快走する。「6kmで自分の想定のタイムの走りができなくなってきた」とそれでも力走する。7.7km地点 権太坂を遠藤が23分06秒11位、チーム 9時間15分03秒19位とラップを上げて頑張る。14.5km地点 横浜駅前で遠藤が44分09秒17位、チーム 9時間36分06秒で通過。起伏の多い長丁場を「踏ん張る」。20.2km地点 生麦を遠藤が 1時間03分14秒18位、チーム 9時間55分11秒19位で通過する。「チームのためになんとか走りたいと頑張るが体が思うように動かない」と粘走。残り1km地点「飯島理彰監督から『繰り上げまでラスト1kmを3分でいけば間に合うぞ』」と指示が出た。「走りに集中」しひたすらゴールを目指す。飯島理彰監督から「たすきを取ってゴールにいくぞ」と指示。遠藤はたすきを取って形相をかえて必死で走る。監督が「遠藤なんとか間に合う、遠藤、頼む、たすきだけは繋ぐぞ」と大声を張り上げる。遠藤が中継所に入るために左に進路を取り激走する。左に折れ中継所をみて「渡邊がいないことに気づき唖然とした」。折れる気持ちを振り切り形相をかえて「最後まで1秒でも早く」と1時間12分57秒18位、チーム10時間04分54秒19位で無人の中継所にゴールした。
《総合順位》
1位 創価大、2位 駒澤大、3位 東洋大、4位 青山学院大、5位 東海大、6位 帝京大、7位 早稲田大、8位 順天堂大、9位國學院大、10位東京国際大。19位 山梨学院大、20位専修大。
◉第10区(23.0km)鶴見~日本橋~大手町読売新聞社前
▶︎渡邊晶紀(3年 藤枝明誠)
[区間1時間12分42秒18位、チーム11時間17分36秒19位]
▷山梨学院は昨年関東学連で9区を走った渡邊晶紀(3年 藤枝明誠)が抜擢された。選ばれた限りは「体調は万全だが8月からの復帰で練習不足は否めないが、直前で体のコンディションを崩し走れなくなった先輩の分も走り抜こう」と腹を括っていた。すると「『繰上げになるかもしれない』と話を聞いて、なんとかたすきは繋げてほしいと待っていた」が審判員に促され専修大学とともに鶴見中継所のスタートラインにつく。渡邊はそれでも後ろを振り返り遠藤が来ないか身を乗り出してみるが現れる気配がない。「審判員から合図が出て号砲が鳴り繰り上げスタート」。「いつも時計はしていない。自分のその時の調子に合わせてコースや様々な条件を感じながら考えながら走りをしている」と軽やかに走る。「1kmの入りは2分55秒でまずまずの走り」と冷静に走行する。「専修大と競りながら」3.31kmの六郷橋を渡りはほぼ平坦なコースに出る。5.6km地点 蒲田を渡邊は専修大と同タイムの18分14秒19位、チーム10時間23分08秒19位で走り抜ける。「10kmの給水ポイントで給水をもらっている間に、その隙を突かれ専修大が一気に仕掛け対応できなく」離された。「専修大に追いつき追い越すパワーがない。リズムだけは崩れないように」と淡々と走る。13.3km地点 新八ツ山橋を41秒33秒20位、チーム10時間46分27秒19位で走り抜ける。増上寺山門前を駆け抜けて、18.1km地点 御成門を渡邊が56分55秒、18.1kmの御成門を安定したペースで走る。20.1km地点 馬場先門1時間03分14秒19位、チーム11時間08分08秒19位で走り抜ける。日比谷通りを馬場先門で右折して銀座から日本橋に回り込み走る。残り1km地点「飯島理彰監督から『ここは運営補助員が山梨学院の選手の担当区間、山梨学院生が心で応援しているよ」と教えてくれて、「パワーをもらいリズムをしっかり刻み」走る。大手町・読売新聞社前のゴールで10区を走る予定だった4年生の先輩が、大会直前で体のコンディションを崩し出場できなくなった先輩が迎えている。渡邊晶紀(3年 藤枝明誠)が1時間12分42秒18位、チーム11時間17分36秒19位として、そのゴールへ飛び込んだ。渡邊は「前回の箱根は調子良く走れて楽しく走れたが、今年はけが明けで夏に戻ってきて箱根を走れることは嬉しかったが、思う走りができなくて楽しく走れなかった。結果を残せてこそ意味があることを知った。来年はしっかり練習を積んで楽しく走りたい」と抱負を述べた。
《総合順位》
1位 駒澤大、2位 創価大、3位 東洋大、4位 青山学院大、5位 東海大、6位 早稲田大、7位 順天堂大、8位 帝京大、9位國學院大、10位東京国際大、11位 明治大学、12位 中央大学、13位 神奈川大学、14位 日本体育大、15位 拓殖大、16位 城西大、17位 法政大、18位 国士舘大、19位 山梨学院大、関東学生連合(オープン参加)、20位 専修大。
【レース後電話インタビュー】
▶︎チームをまとめ花の2区を快走した主将 森山真伍(4年 樹徳)は「キャプテンとして、4年生としても悔しい箱根駅伝となった。この悔しさを部員みんなで分かち合い、1年間忘れずにもう一度、箱根駅伝に挑んでもらいたい。今回、箱根駅伝の成績は良くなかったが一昨年(おととし)にはなかったチームの強さが確実にこの1年はあった。このチームの良さを無くさずに、みんなで新キャプテンを支えていって一致団決して頑張って行ってほしい」「自分がキャプテンをやったこの1年2か月は苦しい思い出も沢山あった。その中でも33年の連続出場の記録が途絶えて、部員みんなにプレッシャーがかかる1年だった。その上にコロナ禍で大会があるかわからない不安な時期をともに過ごした。この1年はチームメートのサポートが最も必要な1年だった。箱根駅伝の予選会で誰1人設定タイムを守らずに積極的なレースをしたことで、今回の箱根駅伝の出場を決めた。今回の箱根駅伝がどんな結果であろうが自分たちがチーム力を発揮して勝ち取ったものに変わりはない。あの時に感じた喜びも、今日の悔しさも、山梨学院がいずれシード権を取って優勝争いをするための土台となる。これから1年間やって行く上で踏み台にして、山梨学院の紺青復活を目指して頑張ってもらいたい」と後輩に託した。
▶︎チーム運営サポートで奔走した田畑昌寛主務は「箱根駅伝には競技参加選手とコロナ禍で運営補助員として例年より多い63人の選手が参加し箱根を感じた大会だった」と明かす。「今回、選手は持てる力を十分発揮した。ただ他大学のレベルが高かった。うちは予選会に12人で臨んで本戦は5人のみ出場で7人が落ちた。ベストメンバーで組めなかった。日頃の体調管理やケアが必要」と頷く。「体調がベストに越したことはないが、他大学を見て体調がベストでなくても挑める選手の育成が必要と感じた」と大きく頷く。「うちは、今年はやっと箱根に戻って行って箱根の経験を積んだ。そうしたことを理解する上にも毎年大手町でやっている報告会が重要になる。今年は現地で行えないので、今日山梨に戻ってから、大学で部員に対して箱根駅伝報告会を行う。走った選手の気持ちを聞くことで、それを部員全員が共有することで、メンバーに入れなかった選手も箱根を感じて、『みんなで来年の箱根駅伝に向かっていこう』という趣旨で行っている」と説明。「後輩には最初の1か月、2か月はチームづくりだと思うので、焦らずに自分たちのやるべきことの目的を決めて、目標をたてて日々練習に励んでもらいたい」と望む。「マネージャーには広い目と対局観を持って、さまざまな観点から業務に当たってもらいたい」と言葉を送る。「個人的には、来年は次のステージ、シード権獲得に向けて頑張ってもらいたい」と。
▶︎大﨑悟史コーチは「今回の結果について、選手から悔しい気持ちが伝わって来る。アンカーの晶紀がゴールした姿をテレビでみて、このようなチーム結果になって、裏を返せば指導者として結果を出させてあげられなかったこと、選手に申し訳なく感じた」としみじみ。「何が良くて、何が課題となっているか、見極めて監督や関係者ともども選手育成に心掛けたい」と大きく頷く。「この1年での取り組みで良かった点、①日本人エースをつくる。森山キャプテン自らがエース格として育った。②1万メートルの記録をあげて底上げをする。それが着々とできて全日本に出場できた。③ハーフに耐えられる脚づくり。それがしっかりできて箱根駅伝予選会を突破できた。④それ以外にも、4年生から1年生の風通しを良くする。当たり前にすることが当たり前にできるようになったなど沢山ある」と褒め。「今回、出てきた課題は①予選会を走った12人の内、本戦に出場できた選手は5人。7人が、そこで無理をして故障してしまったなどで年間を通して活躍できなかった。年間を通して全日本・箱根(出雲は箱根シード校)へ出場し活躍できる準備。②箱根予選会に向けて集団走の準備はできていたが、個人走の準備ができていなかった。③他大学は最初がつんと突っ込んで走る。イーブンペースでトータルの記録に持っていくことも必要だが、強豪と戦う時は揺さぶりにも耐えて耐える走りができる総力が必要」と力説。「今回の悔しさを1年間持ち続ければ、さらに良いチームになる。今年は予選会を通過する転換期だった。来年はシードを取る転換期になるように選手とともに取り組みたい」と抱負を述べた。
▶︎飯島理彰監督は「運営管理車で後ろから見ていて、1日の往路、1区 新本まさか、びりとは。ペースの上げ下げのせい。それとも突然の区間変更の影響があったか」チームのレースの流れをつくれなかった。「2区 森山、もらった位置が悪いから、練習の出来不出来もあるので3分ペースか。走りのフォームOK。脚もへたってない。本調子で、ハイペースで走っていたらどうだったか」とエース本来の攻めの走りではなかった。「3区 島津、1番心配していたがよく動いていた。意外と度胸があるのかな。区間順位は悪いがよく最後まで体が動いていた」と褒める。「4区 ポール、あの位置からのスタートでの区間賞は力がある。追いついたところでのたすきリレーだった。順位を上げられたらもっと良かった。順位を上げて5区に入っていたらどうなっていたか」と区間賞もチームの流れを変えることはできなかった。「5区 星野、何校かが接戦でのスタート。自分のペースを選択した。中盤つらいところもあったが前に他校が見えてきて気持ちが高まり、気温が低くいその上に風の中を良く耐えて走った」と前を詰める復路につなげる走りを褒める。「1日目往路は1区が全てだった。新本にはこの悔しさを持って、日々やってもらいたい」と大いに期待を寄せる。「2日の復路、6区 日影は貧血気味でフルトライアルを夏しかしていない。その後、走り込み大会に臨んだ。個別の対応が成功した。きちっと走り込んで出場した方が良いのか。私自身、考え直さなければいけない一つの事例」と頷く。「7区 木山、フォームは綺麗だったがペースが遅い。それにはジョックのペースを上げるしかない。個人走の質を上げなければならないと、8区 篠原、遊行寺の上り坂、やはりきつかったか。積極的に上り下りもやらなければいけない。9区 遠藤、オーバーペース気味で入る。4年生で何とかしたいという気持ちの表れで、これはやむを得ない。非常にフォームが綺麗。しかしリズム、ペースが上がらない。10区の渡邊もフォームが綺麗。しかしリズム、ペースが上がらない」。「今回のレースで新たなうちの課題『個人走』というキーポイントが見つかった。予選校からシード権を獲得したのは、順天堂の1校のみ。箱根を走った4年生以外の7人は、揺さぶりなどの駆け引き、山上り、山下り、海岸などの起伏に富むコース、それに気象条件などに対応できる総合力を培わなければならないことを感じたはず、箱根に挑むチームの意識を変えてもらいたい」。「箱根で戦うためには何が必要か、箱根を走った選手の姿を振り返り、また話を聞き学び、チームに何が足りないのか、自分に何が足りないのかを考えてそれを補う練習に励んでもらいたい」と述べた。
◆【箱根報告会 チーム成績発表等】◆
山梨学院大学陸上競技部駅伝は1月3日、第97回東京箱根間往復大学駅伝競走報告会を山梨学院大学40号館101教室で行った。
▷田畑昌寛主務からチーム成績が次の通り発表された。往路結果 5時間38分38秒 18位。復路結果 5時間38分58秒 20位。総合成績 11時間17分36秒 19位。区間成績 1区21.3km 新本駿 1時間05分04秒 20位、2区 23.1km 森山真伍 1時間10分19秒 18位、3区21.4km 島津裕太 1時間05分13秒 16位、4区 20.9km ポール オニエゴ 1時間02分15秒 1位区間賞、5区 20.8km 星野一平 1時間15分47秒 15位。復路結果 6区 20.8km 日影優哉 59分06秒 10位、7区 21.3km 木山達哉 1時間06分15秒 19位、8区 21.4km 篠原楓 1時間07分58秒 20位、9区23.1km 遠藤悠紀1時間12分57秒 18位、10区 23.0km 渡邊晶紀 1時間12分42秒 18位。
▷飯島理彰監督は「この報告会は箱根を走った10選手と残念ながらリザーブにまわった6選手が、どんな感想を述べ、どんな気持ちで走ったか、リザーブにどんな気持ちでまわったかなどが分かり、箱根駅伝についての真髄が理解できる。箱根駅伝の舞台は走った選手しかわからない。そうした選手のコメントをしっかり把握して、自分がその舞台に立つという気概を持ち、箱根に向ける情熱をチーム一丸となって、明日からの練習に生かしてもらいたい」と結んだ。
文(H.K)、カメラ(平川大雪)2021.1.5