●第16回関東学生女子ソフトボール春季1部リーグ
~山学大、全勝で14度目の優勝を飾る~
~1年生捕手・椋梨 攻守で活躍。MVP受賞~
令和3年度「第16回関東学生女子ソフトボール春季1部リーグ戦」が5月1日から3日までの3日間、埼玉県坂戸市・東京国際大学ソフトボール場で行われた。昨年の春・秋季リーグ戦は新型コロナウイルス感染防止の影響により中止となり、2年ぶりの開催となった。1部6チームで争われるリーグ戦に山梨学院大学ソフトボール部女子は、春リーグ優勝は2018年以来2季ぶり、春・夏通算14度目を目指し大会に臨んだ。今大会、山梨学院はこれまでに4試合を消化。すべてに勝利。他チームが2敗以上しているため、2日目終了時点で優勝が決定した。3日最終試合は、強豪城西大学との対戦。2019年春リーグ決勝戦で敗れ連覇を阻止された因縁の相手。是非とも勝利して全勝優勝を飾りたいところ。後攻の山梨学院の先発、安国咲希(3年)は初回先頭打者に安打を打たれるも、後続を抑えて無難な立ち上がり。山梨学院は1回裏、先頭打者の杉山夏生(4年)が左前打で出塁すると、2番中込向日葵(2年)がすかさず犠打で走者を進めた。二死後、4番岡嵜晴(4年)が右前適時打を放ち先制。3回にも3連続安打で1点を追加。4回には城西に1点を返されたが、6回には今大会最優秀選手賞に輝いた椋梨琳花(1年)や中込らの4本の長短打で3点を加え、勝負を決めた。投げては、1点を失うも好投した安国投手に代わり6回から継投した東(1年)が城西打線を完璧に抑え5-1で勝利。5戦全勝で14度目の優勝に花を添えた。また、8月に行われる全日本大学選手権(インカレ)の出場権を獲得した。
関東学生女子リーグ戦は、東京都の大学を除く関東7県の大学チームによって争われる。女子1部は、2018年の秋季リーグ優勝まで春・秋通算13度の優勝を誇る山梨学院大(所属山梨)と城西大学(所属埼玉)、淑徳大学(埼玉)、東京国際大学(埼玉)、東海大学(神奈川)、清和大学(千葉)の6チームが5試合戦い、勝敗と得失点差で順位を決める。近年、各チームの実力が拮抗しており、僅かなミスが勝敗を分け、上位校といえども気が抜けない。清水正監督は「昨年のチームからレギュラーが7人抜け、残っているのが2人だけの状態でどのようにチーム作りしようか不安でした。実戦経験が少ないのでゼロからのスタートでした。投手の数だけは揃っていたので練習しながら試行錯誤していて、ようやく大会前にして打撃も上がってきたんで」と語っていたが、大会が始まると投打が噛み合う怒涛の快進撃を演じ、5月2日、大会2日目に4勝0敗と全勝で最終日残り1試合城西大との対戦を迎えた。
◆大会1日目、2日目結果
5月1日大会1日目、山梨学院大は第1戦でリーグ戦8度の優勝と全国大学選手権(インカレ)で優勝経験のある実力校淑徳大(所属埼玉県)と対戦。2回表に8得点と序盤でリードし、先発の林里奈(2年 神奈川・高津)は3点を取られるも大量点に守られ落ち着いた投球で締め、山梨学院はリーグ戦初戦に9-3と幸先のスタートを切った。2戦目の東京国際大との対戦では、2回表に1点先制されるも3回、4回裏で3-1と逆転、好投していた先発のエース松丸優香(4年 千葉経済大附属)が5回表に2点本塁打を浴び同点に追いつかれるも、7回裏にサヨナラ勝ちを収め4-3で勝利し、1日目を2戦2勝とした。5月2日、大会2日目第3戦は東海大と対戦。1回裏、山梨学院は打者15人で9安打の猛攻で10点を先取。その後も5点を加え15安打15-0で5回コールド勝ちした。4回戦は清和大学との対戦。山梨学院の勢いは止まらず打線が爆発した。2回裏、8本の安打を浴びせ一気に8点を奪取。相手投手の乱調もあり、3回、4回にも得点を加え11安打13-0と5回コールドで快勝。3戦を投げた安国咲希(3年 富山・滑川)は5回2安打と安定感抜群。4戦の松丸は途中雷雨のために1時間中断したゲームに集中力を切らさずともに完封勝利した。
◆大会3日目最終日。城西大戦
今大会も3日目最終日となった。会場になった埼玉県坂戸市・東京国際大学ソフトボール場は、新型コロナウイルス感染防止の措置のため無観客で行われてきた。普段では、多くのソフトボールファンと保護者らが詰めかける試合会場も関係者のみの寂しい大会となったが選手たちの元気な大きな掛け声が試合を盛り上げた。大会中天気が不安定な中、この日は時折陽が射す雲空の下、最終試合の山梨学院大と城西大の対戦が午後2時から行われた。対戦相手の城西大学は、今大会これまで2勝2敗と今ひとつ波に乗れなかったものの、かつては春・秋通じての6連覇、4連覇を阻止された因縁の対戦相手。山梨学院には最大のライバルとなる。この試合も山梨学院との勝負に懸ける意気込みは侮れない。
■宿敵城西大を投打のバランスで粉砕
後攻の山梨学院の先発、安国咲希(3年)は3戦目に続く2度目の登板。1回表、立ち上がり先頭打者に三遊間にきれいに安打を打たれるも、後続を僅か6球で抑えて無難な立ち上がり。山梨学院は1回裏、先頭打者の杉山夏生(4年 静岡・東海学園)が左前打で出塁すると、2番中込向日葵(2年 山梨学院)がすかさず三塁前に犠打で走者を進めた。二死後、4番岡嵜晴(4年 神奈川・目黒日本大高)が4球目を右前にはじき返し先制。安国は2回表にも一死後、二塁打を打たれるが後続をしっかり抑えた。山梨学院は3回裏にも1番杉山、2番中込、3番滝川愛華(4年 神奈川・厚木商)の3連続安打で1点を追加。4回表には城西に安打とパスボール、犠打、四球と二死三塁一塁のピンチから一塁走者盗塁の間に三塁走者に本塁を突かれ1点を返された。しかし、6回裏には一死後、7番丸優希(2年 神奈川・厚木商)の安打を足掛かりに今大会最優秀選手賞に輝いた8番椋梨琳花(1年 愛知・星城)の右中間を破る三塁打で1点。続く9番大山秋歩(3年 北海道・とわの森三愛)の中前適時打、二死後には代わった相手投手から2番中込が中堅越えの適時二塁打を放ち4本の長短打で3点を加え、勝負を決めた。投げては1点を失うも5回を好投した安国に代わりDPで出場していた東ひかる(1年 兵庫・清水ヶ丘)が6回から継投し、1番打者から始まる城西打線を6人で完璧に抑え5-1で勝利。5戦全勝で14度目の優勝に花を添えた。また、この優勝で山梨学院は今夏、愛知県安城市で行われる全日本大学ソフトボール選手権大会(インカレ)の出場権を2位となった淑徳大とともに獲得した。また、大会終了後の表彰式で順位と大会最優秀選手が発表され、山梨学院の椋梨琳花が12打数8安打・打率667、本塁打1の好成績で最優秀選手賞に選ばれた。最終順位は1位=山梨学院大、2位=淑徳大、3位=東京国際大、4位=城西大、5位=清和大、6位=東海大となった。
◆《第16回関東学生女子ソフトボール春季リーグ1部最終戦》
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | H | |
城西大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
山梨学院大 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 5 | 13 |
◆《山梨学院大》
[バッテリー] 安国⇒東-椋梨
[投手] 安国5回:投球数51、安打3、四球1、三振1、失点1
東 2回:投球数30、安打0、四球0、三振1、失点0
[打者]《安打13 四球3 三振2》 長打:三塁打・椋梨、二塁打:滝川、中込
[代走] 2回裏、椋梨→丸(2年)=リエントリー
※リエントリー=先発メンバーは代打、代走などで一旦ベンチに退いても一度だけ試合に再出場ができるルール
■試合後インタビュー 清水監督・松元主将、椋梨選手
清水正監督は「優勝が決まっていた試合でしたが消化試合にならないように言っていたんですけど、今日が一番いいゲームでした。2年ぶりのリーグ戦ということで私自身も大会の感覚を失っていて不安もあったんですが選手が非常に落ち着いて、本当に全勝できるとは夢にも思っていなくて逆に5敗してしまうのではないかという気持ちでいたのでこの結果になるなんて本当に奇跡かなと思います。この子たちの今後がすごく楽しみないろいろなものが見えてきましたね」と想定外の活躍に目標が膨らむ。松元彩紀主将(4年 東京・星野)は「新チームになっていろいろ練習試合も重ねていく中で課題もあったのですけど、リーグ戦で優勝することを目標にやってきたので全員の力が出て優勝できたことは良かったです。城西はメンバーが代わっていなくて強いと言われていたのでしっかり勝つことで自信に繋がると思って臨みました。しっかり不安材料を無くしてインカレでも上で戦えるようなチームを作っていきたいと思います」と課題に取り組む。大会を通じ活躍し、最優秀選手賞に輝いた椋梨琳花選手は「うれしい気持ちもあるんですけど、私は1年生で試合に出させてもらって先輩よりも活躍したいという気持ちもあるし、チームに一番に貢献したいという気持ちも大きくて、キャッチャーとして取られた点数分は自分で取り返す気持ちが強かったので、やれることはやれたからもらえた賞なのかなと思っています」と笑顔で自信と喜びを口にした。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.5.4