山梨学院広報課

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●世界の扉シリーズ②
~車椅子トラベラー・三代達也さん講演~
~世界共通のバリアフリーについて考察~

山梨学院大学国際交流センターは6月9日、海外や異文化について「知る!」「感じる!」「考える!」をテーマにした、世界の扉シリーズ第2弾を開催した。第2弾は、車椅子トラベラーとして2017年8月から約9か月間かけて車椅子単独世界一周に挑戦した三代達也さんが「出会いと挑戦が僕の行動を変えた」と題し講演を行った。三代さんは18歳の時のバイク事故により車椅子生活となり、リハビリ生活や海外旅行の経験をもとに設備などのハード面と心のソフト面から感じた“バリア”について紹介。初めて訪れたハワイでのホスピタリティや人間性、世界一周旅行でのエピソードに触れ「何事も挑戦し、やってみたら道は開けます。チャレンジや行動を繰り返すことで自分というものが磨かれます」と語り、世界共通のバリアフリーについて「障がいを自分事、お友達事、知り合い事として考えることで、相手の立場に立った行動や手を差し伸べることができると思います」と学生らに語り掛けた。
 
 山学大国際交流センターでは、国際感覚やグロバールな視野の醸成、国際化適応力の育成を目的に2019年度から各国大使による講演会や国際交流イベントを積極的に開催し、「全学的国際化」に向けた様々な施策を実施している。2021年度からは海外や異文化、ダイバーシティについて理解を深める「世界の扉シリーズ」をスタートし、今回が2回目の開催。講師を務めた三代達也さんは1988年茨城県日立市生まれ。18歳の時にバイク事故で頸椎損傷により四肢に麻痺が残り車椅子生活に。約2年のリハビリを経て2011年、23歳の時に勤めていた会社の夏休みを利用し、初めて海外に一人旅。2017年には世界一周旅行に挑戦し、帰国後は全国での講演活動に加え、大手旅行代理店の障がい者向けのパッケージ旅行(ユニバーサルツーリズム)の提案・監修なども行っている。また2021年からは沖縄に移住し、沖縄のバリアフリー情報の発信やユニバーサルツアーの提案も行っている。
 
講演会では三代さんが大学生や短大生を前に、「出会いと挑戦が僕の行動を変えた」と題し、事故前の自身の生活と事故後の約2年間に及ぶリハビリ生活、初めての海外旅行や世界一周旅行の経験から障がいのバリアについて施設や設備などのハードと心や行動のソフトの両面から解説し、世界共通のバリアフリーについて考察した。このうち2年間のリハビリ生活で最後の転院先の静岡のリハビリ施設において同室だった方とのエピソードに触れ、「事故で将来の希望はなくなってしまいましたが、ここで人生の師匠となる人に出会うことができました。事故後はできない理由を並べて(挑戦することを)無理だと諦めてしまっていましたが、師匠から“これからの人生を充実させるためにはチャンスを拾わないといけない。チャンスは足元にいくらでも落ちている。それを見つけられるかはお前次第だ。”と言われ、実家への一人での帰省、東京での一人暮らし、初めての海外旅行に挑戦することができました」と話し、挑戦にはまずは心のバリアを取り払うことが重要であると紹介した。
 
三代さんは師匠の言葉を胸に挑戦した初めての海外(ハワイ)で、障がい者に対するホスピタリティや人間性、ハード面の充実に触れたことでさらに世界を見てみたいという意欲が増し、2012年にアメリカやオーストラリアで海外暮らしを経験。2017年8月からは単独世界一周旅行にも挑戦した。アテネでは、たまたま声を掛けた男性に介助してもらいパルテノン神殿を車椅子で観光。観光後に男性になぜ介助してくれたか尋ねると「俺たちは地球生まれの地球育ち。世界の中で障がいや国籍、ジェンダー、目の色、肌の色・・・そんなものは関係ない。パルテノン神殿を車椅子で訪れることの大変さは知っている。きょうは休みで一緒に行けるから声を掛けた。いろいろなアクシデントを乗り越えてこの風景を見たとき、君は大変喜んでいたが、俺も君の素敵な笑顔を引き出せて俺の喜びになった」と語ったと言う。様々な国をいろいろな人の手を借りて旅行をする中で世界共通のバリアフリーについて三代さんは「障がいなど目の前の困っている事を自分事、お友達事、知り合い事として考えることで、相手の立場に立った行動や声掛け、手を差し伸べることができると思います」と考察し、学生に向け「何事も挑戦し、やってみたら道は開けます。常にチャレンジや行動を繰り返すことで自分というものが磨かれます」とメッセージを送った。

文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2021.6.9