●山学高ソフトインハイ県予選優勝。21度目の本番へ
~故障からエース田中復調。投打も噛み合い快勝~
~関東大会準優勝の勢いを加速。日本一を目指す~
山梨学院高校ソフトボール部女子は6月13日、北杜市高根総合グラウンドで行われた令和3年度「全国高校総合体育大会(インターハイ)ソフトボール競技山梨県予選」決勝戦に勝利し21度目の出場を決めた。12日の初戦、富士河口湖高校を破った山梨学院高は13日、準決勝戦の甲府商業高校に13-0、4回コールド勝ち。甲府昭和高校との決勝戦では7-0、6回コールド勝ちを収めた。新型コロナウイルス感染防止のため中止になった昨年を挟み2年ぶりの大会優勝。雨の中で行われた準決勝戦では1回裏、立ち上がりから乱調の甲府商高投手から細矢杏主将(3年)が中堅越えの満塁本塁打で先制し、その後3回裏にも5連続安打などで得点を重ね決勝に進んだ。甲府昭和高との決勝戦では3回まで両校投手が好投し、山梨学院は内野安打1本と打ちあぐむも、4回裏に再び細矢主将の先制右翼越え本塁打から打線が繋がりこの回3点を奪い、5回・6回にも2点ずつ加え7-0とした。6回表、甲府昭和は好投のエース田中愛花(3年)から得点を奪えず6回コールドで試合は終了した。山梨学院は福井県敦賀市で行われる夏の北信越総体で一昨年大会3位以上の順位を目指す。
■過去の栄光からの脱却。着々と実績を積む新生ソフトボール部女子
山梨県屈指の強豪校と君臨してきたソフトボール部女子は2016年、監督の退任と部員減少により廃部の危機に陥ったが、伝統の灯を消してはならないと佐々木憲士顧問らの努力もあり、後任の監督と部員の確保により存続の危機を乗り越えた。2017年4月に就任した渡辺努監督と佐々木顧問のもと、2年生5人と新入部員の8人により本格的に部が再始動した。その年の5月の山梨県高校総体で2年生・1年生だけのチームでいきなり優勝、6月の山梨県で行われた関東大会でもセンバツ大会でも3位と健闘した。その後も着々と実力をつけ2019年のインターハイでは全国の強豪校と対戦して3位の好成績を残した。部員も29人に増え選手層も厚くなった。今月5・6日に行われた関東大会では準優勝と過去の記録に劣らない実績を積み上げた。
■準決勝戦 打線が爆発。危なげなく大差で決勝進出
そして、1週間後の6月12・13日に行われたインターハイ山梨県予選で山梨学院は、1日目の初戦に富士河口湖高校と対戦、順当に勝利して2日目の甲府商業高との準決勝に臨んだ。天気が危ぶまれるコンディションの午前9時に甲府商業高の先攻で試合は始まった。山梨学院の先発は、腰と肩の故障が癒えた田中愛花(3年)が3か月ぶりに先発登板した。初回、相手打線1人を内野安打で出したものの、3三振で抑え復調を感じさせた。1回裏、山梨学院は雨が降り始めて立ち上がりにボールが定まらない相手投手の乱調に、5番細矢杏主将(3年)がストライクボールを見極めて中堅越えの満塁本塁打の一発で試合を決めた。田中投手は大事を取って1回で降板したが、打線は2回・3回にも得点を重ねて13-0。4回コールド勝ちで決勝に進んだ。
◆《6月13日 準決勝 北杜市・高根総合グラウンド》
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |
甲府商業高校 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||
山梨学院高校 | 6 | 2 | 5 | × | 13 |
※4回コールド
山梨学院高:投手=田中愛花⇒櫛渕あい(2年)⇒向山琴葉(2年)―捕手=長田 芽(3年)
◆決勝戦 序盤は一進一退。山学キャプテンが風穴を空ける
不安定な空模様の下、午前11時20分に始まった決勝戦は、山梨県高校総体決勝でも対戦した甲府昭和高校。変則でタイミングを合わせづらい投手とコンパクトに当ててくる打撃も侮れない相手。後攻の山梨学院は準決勝と同じく田中愛花(3年)が先発した。1回表、先頭打者、2番打者に連続安打を浴びた田中投手のもとにすかさず渡辺努監督が歩み寄って言葉を掛けた。それで落ち着いた田中は後続をしっかり抑えた。田中はその後、4回表に二死から三塁打を打たれるも、3安打完封で役割を果たした。山梨学院の攻撃は、3回裏まで内野安打1本に抑えられ展開は拮抗したが4回裏一死から準決勝に続き再び5番細矢杏主将(3年)が右翼越えの本塁打で試合に風穴を開け、後続が続いた。6番長田芽(3年)二塁打、7番向山琴葉(2年)、8番田中愛花が連続安打で2点を加え3-0とリードした。5回には相手の守備のミスもあり、四球と2安打で2点を重ねた。6回には一死から1番遠藤愛実(3年)が初球を左翼へライナー性の速い打球を放ち二塁打とし、得点の好機をつくると、続く2番今井新菜(3年)の中前適時打で1点、3番本田光音(2年)も左翼越えの適時二塁打で続き7点目を入れ、7-0としコールドゲームが成立。インターハイ出場21回目を決めた。
■《6月13日 決勝戦 北杜市・高根総合グラウンド》
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |
甲府昭和高校 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
山梨学院高校 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 2× | 7 |
※6回コールド
山梨学院高:投手=田中愛花―捕手=長田 芽(3年)
〔投手〕田中:投球回数6回、投球数68、打者21、被安打3、死球1、三振5
〔打撃〕安打9(本塁打:細矢、二塁打:長田、遠藤、本田)、四球3、死球2、三振0
■試合後のインタビュー
準決勝、決勝と試合の流れを呼び寄せた本塁打を放った細矢杏主将は決勝戦で「3回まで0-0の展開だったので少し焦った部分もあったんですけど試合前、全員で話して7回までに点を絶対に取ると信じていたので全員攻撃ができて良かったです。初回のチャンスで打てなかったので自分が突破口を開こうという気持ちで打席に入って、その結果が出てうれしいです」と振り返り、インターハイには「関東大会と今日の試合で自分も自信がついたし、チームも今、勢い付いていると思うのでしっかりこの流れを切らずにあと1か月間しっかり練習して日本一を取りたい」ときっぱり。前を向いた。3か月ぶりに故障から開けて登板したエースの田中愛花投手は「インターハイの予選ということで結構緊張してしまって最初の頃は(ボールが)行かなかったんですけど、みんなが打撃でリードしてくれたので最後の方は余裕を持って投げられましたけど、まだ自分が持っている力が出し切れていないと感じているのでインターハイには頑張りたい」と語り、大会2週間ぐらい前からようやく投げる目途がついてのこの日の手ごたえに笑みがこぼれた。決勝戦を振り返って渡辺努監督は「選手も序盤は緊張していたから、よく立ち上がりのピンチを冷静に抑えてくれて、キャプテンがあそこでよく打ってくれました」と主将を称えた。インターハイでの戦いについては「ピッチャーがやっと復調してきてくれたのでこれが上がってくれれば戦えるかなと。打撃もあるし総合力はある程度ついていると思っているので、私の中ではもう一度春の全国選抜1回戦で負けて圧倒的強さで優勝した佐賀(女子短大附属)とやってみたい」と闘志を燃やす。
北信越総体ソフトボール競技は福井県敦賀市で開催。7月27日に開会式が行われ28日から30日まで競技が行われる。伝統のソフトボール部女子の新たなる歩みの一頁を悔いのない熱い戦いでしっかりと刻むことを期待したい。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.6.14