●山学短大で「山梨ケーキショー2021」授賞式
~ジュニア最高賞の協会会長賞に今村真菜さん~
~年々レベルアップ。7人と1団体が各賞を受賞~
6月26日・27日、ラザウォーク甲斐双葉店で開催された第11回「山梨ケーキショー2021」のケーキコンテスト授賞式が7月5日、山梨学院短期大学で行われた。昨年、新型コロナウイルス感染防止の影響で中止となった「山梨ケーキショー」は、2年ぶりに実施。山梨県洋菓子協会が会員の技術向上を目的に2010年から開催しているケーキの祭典。当日の会場には協会に加盟する県内洋菓子店のパティシエの作品に加え、22歳以下のジュニア部門に山学短大食物栄養科パティシエコース(2年)23人の創作ケーキが出品され技を競った。授賞式では山梨県洋菓子協会の野田清彦会長から各受賞者一人ひとりに賞状が授与され、ジュニア部門では最高賞の協会会長賞に今村真菜さんが受賞。金賞に武隈心音さん、銀賞に矢崎優弥さん。銅賞には、展示会場入口でひときわ人目を引いていた、1年生全員20人(共同作品)が約1ヶ月かけて製作した大型工芸菓子「Sugar castle)」が受賞した。その他、各メーカー賞に4人が受賞。計7人と1団体が栄誉に輝いた。講評では、「作品は年々レベルアップしている」との好評価をいただいた。
■12年目を迎えた「山梨ケーキショー」とは
洋菓子は時代とともに食するだけではなく見て楽しむ芸術作品として扱われるようになり、デザインや技術の向上は目覚ましいものがある。形や技術を競う洋菓子コンテストとして約40年の伝統を誇る国内最大規模の「ジャパンケーキショー」を基に山梨県洋菓子協会が会員の技術向上を目的に2010年から「山梨ケーキショー」をケーキの祭典として山梨独自の作品コンテストを実施。毎年、パティシエや専門学校、山梨学院短大生などから多くの力作が出品され山梨の洋菓子業界を牽引してきた。山梨学院短大は発足当初から参加し昨年の中止を挟んで今回が11年連続となる。今年も山梨学院短大食物栄養科パティシエコース2年生は「製菓基礎実習(1年次)・製菓専門実習」で学んできた技術で、マジパン仕上げの創作ケーキ23作品を出品した。※(マジパン=アーモンドと砂糖を練ったものでケーキなどのデコレーションに使われる)
■コロナ禍の自粛ムードの中、力作を一目見ようと家族連れなどが来場
「山梨ケーキショー」は毎年土・日の休日に行われ今年も6月26・27日にラザウォーク甲斐双葉店で開催された。会場はコロナ禍で自粛ムードの中、家族連れや若者ら多くが来場。色鮮やかでオリジナリティと可愛らしさ溢れる作品に足を止め、眼を輝かせ見入っていた。会場入口に飾られる「ケーキショー」のシンボル大型工芸菓子は入学僅か3ヶ月のパティシエコース1年生が約1ヶ月掛けて製作した「アイシングクッキー『Sugar castle』」。高さ約60cm、重さ約30㎏のひときわ大きな作品(アニメに描かれたモンサンミッシェルをモチーフにした)は会場を引き立て、見る人にインパクトを与えていた。「山梨ケーキショー」は見るものを心豊かに夢で満たし梅雨の重苦しい時期を忘れさせる一服の清涼剤と言える。また、2日間にわたり、例年行われる子どもたち対象の体験教室は感染症対策を受けて中止になった。
「ジャパンケーキショー」にのっとった作品コンテストには、パティシエや専門学校、山梨学院短大生など山梨県内の洋菓子界を担う人材の力作が出品された。山梨学院短大食物栄養科パティシエコース2年生は「製菓基礎実習(1年次)・製菓専門実習」で学んできた技術で、マジパン仕上げの創作ケーキ23作品を出品した。審査結果は、山梨学院短大からは、山梨県洋菓子協会ジュニア部門で最高賞の山梨県洋菓子協会会長賞を今村真菜さんが受賞し、他に山梨県洋菓子協会ジュニア部門金賞を武隈心音さん、銀賞・矢崎優弥さん、銅賞は同コース1年生20人が製作した大型工芸菓子(共同作品)が選ばれた。メーカー賞には、白石優菜さん、関萌華さん、石原美優さん、梅原亜実さんの4人が受賞した。山学短大生の洋菓子技術の高さを証明した。
■山梨学院短大サザンタワーに変更され行われた授賞式
新型コロナウイルス感染防止に関する特別な事情の影響で7月5日に延期になった授賞式は、当日の会場「ラザウォーク」から山梨学院短大サザンタワーに変更して行われた。式は、受賞者一人ひとりに山梨県洋菓子協会・野田清彦会長から賞状を授与されそれぞれ記念写真に納まった。野田清彦会長は会長賞の今井さんに対して「ケーキの上に載っている造形の世界観の点数が高かった。短い期間での技術力に将来への期待感を抱かせられます。『努力に勝る天才はなし』といいますけど、丁寧に一番時間を掛けて製作したのではないかと思いました」と出来上がりに高い評価を与えた。他の作品に対しても「毎年レベルが上がっています。今日ここに来て初めて分かったんですが、先輩たちの作品が置いてあってそれ以上の作品でないと賞を取れないと自覚しているんだなと思いました。受賞されなかった人はまだ若いです。いろいろなチャレンジ、チャンスがたくさん待っています。諦めたらここまでです。諦めなければ継続ですので失敗ではありません。ぜひみなさん積極的なチャレンジをお願いします。来年また会場でお待ちしています」と講評。山梨学院短大・羽畑祐吾食物栄養科長は「今年は、10人程から休日に『時間がないのでスイーツスタジオを空けてください』という申し入れがあり、例年に増してすごい熱意が感じられました。この経験を業界だけでなくても卒業後の社会人としての経験に活かしてほしい。協会からは年々レベルが上がっていると言われます。まだまだレベルは青天井です。限界はありませんので自分の能力の可能性を信じてスキルを磨いてほしい」と激励の言葉を述べた。
■受賞後、作品と各受賞者の話
授賞式後、作品名「キャットライフ」で協会会長賞を受賞した今村真菜さんは「このクラスみんなのレベルが高いのでまさか自分がと思ったんですがとてもうれしい気持ちです。なかなかテーマが決まらなくて、とりあえず自分が好きなものを作ろうとたくさんの猫を使って優しい色使いで雰囲気のある作品になれば」と作品の思いを話した。将来は、「お客さんと接しながら喜ぶお菓子を作りたいと思っているのでコミュニケーションを大切にしながらお菓子作りをしていきたい」と話した。パティシエになって自分の店を持ちたいという作品名「夢見る少女~憧れ」でジュニア金賞を受賞した武隈心音さんは「可愛いものが好きなので女の子がドレスとかプリンセスに憧れるというイメージで可愛い小物とか夢見る感じで作りました。背の高い作品が色々受賞しているのを調べてできるだけ特徴的に細かく土台を掘ったり、他の人と差をつけられるようにしました」と話した。作品名「対照的なライオン」で銀賞の矢崎優弥さんは「筋肉質もりもりのライオンと少し太めで威厳のないライオンを対照的なイメージにしました。材料がすぐ硬くなってしまうので早く慎重に作業しなくてはいけないので苦労しました。頑張った分、努力が報われた感じでうれしいです」と受賞を喜んだ。作品名「ユートピア」でメーカー賞の明治賞・白石優菜さんは「受賞するつもりで作っていたのでうれしいです。私は森の中の楽園をイメージして作ったので動物がいたり一緒に人が演奏しているところが特徴です。手先が器用でないので細かい作業に苦労しましたけど完成した時には達成感がありました」と話した。将来はお客様を笑顔にできるパティシエが夢だという。作品名「Trick or Treat」で同森永乳業賞の関萌華さんは「1ヶ月位の期間で放課後も作業して頑張ったのと自分が作りたいものがやっと出来てうれしいです。作品は私が10月生まれなのでハロウィンのイメージで女の子が魔女に仮装して月の形が特徴的な夜の世界を作りました」と話した。作品名「アヒルの休日」で同タカナシ販売賞の石原美優さんは「私が寝坊助なのでアヒルをイメージして作りました。きれいに作れなくて受賞するとは思わなくて。土台の貼り付けにすごく苦労しました」とほのぼのとした作品の前で話した。将来はウエディングケーキの製作に携わりたいという。作品名「七福神の小休憩」で同ラザウォーク賞・梅原亜実さんは「和をテーマにしたものが作りたくて七福神をテーマに選んだのですけど、本当は船に乗っているじゃないですか。でも青にしてしまうとデザインケーキなので食欲減退食になってしまうのでそれをやめて周りをどう活かすか考えた結果、このような形になりました。パーツが多く、一つひとつを乾燥させて作りたかったので作るスピードを速くしてなおかつ丁寧にするのが難しかった」と製作過程を振り返った。静岡県出身の梅原さんは地元に戻りパティシエを目指す。
関戸元恵食物栄養科専任講師は「年々技術が上がっているという講評を受けていますが、今年は一人ひとりが工夫を凝らしておりまして今まで見たこともないアイディアですとかが見られました。今年は男子学生が例年より多くて5名おりましたので、男子学生なりの良さというものがあり女子男子の違った趣向が見られて楽しかった」作品の傾向を探り。「今年はパティシエになりたいという学生が多い学年でもともと洋菓子に興味を持っている集団なのかなというのがあり、やはり一人ひとりが製菓技術を上げようとする努力が日々の授業の中でも見られると思います」と分析した。
文(K.F) カメラ(平川大雪)・写真提供(山梨学院短期大学) 2021.7.6