●夏の甲子園山梨大会、山学高3季ぶりの準決勝へ
~序盤の大量点で相手の追随を許さず~
~早い回の鈴木の本塁打が相手好投手を攻略~
「第103回全国高校野球選手権山梨大会」準々決勝2試合が18日、山日YBS球場で行われた。大会はこの日の準々決勝から有観客で行われ、両チームの応援の生徒と教職員、保護者、その他の一般客が梅雨明けのスタンドに集まった。試合は先攻の山梨学院打線と対する甲府工業の好投手との対戦で始まった。1回表、二つの四死球で無死二塁一塁から3番岩田悠聖(2年)が中前敵時打と犠飛で2点を先制。その裏、甲府工業も先発中川泰雅(3年)から先頭打者の二塁打と山学の守備ミスで1点を返した。2回表には7番池田寿優(3年)の先頭打者二塁打をきっかけに二死三塁から1番相澤秀光(2年)の1点適時打、2番鈴木斗偉(2年)の2点本塁打で3点を挙げた。3回表にも継投した投手から3点を追加、8-1と大量リード。その裏、甲府工業も2点本塁打で5点差に縮める。その後は一進一退が続くと6回表、山学は、先頭打者鈴木の安打と犠打で一死二塁から4番高橋海翔(1年)が適時打を放ち1点を追加した。甲府工業は7回裏途中、3番手で継投した山学のエース榎谷礼央(2年)からこの日2本目の2点本塁打で4点差に迫るも後が続かず9-5で山梨学院が勝利し、3季ぶりにベスト8を突破。準決勝は21日同球場で富士学苑高と対戦する。
■生徒や教職員、保護者、控え選手など山梨学院応援団が結集
16日に梅雨明けした甲府盆地は朝から気温が上昇。2試合目の山梨学院高と甲府工業高の試合が行われる昼前には真夏の日差しが容赦なくグラウンドを照りつけた。新型コロナウイルス感染防止のため無観客で行われていた大会は、この日の準々決勝から人数制限を設けて有観客で行われ、待ちかねていたように両チームの応援の生徒と教職員、保護者、その他の一般客がスタンドに集まった。山梨学院からは生徒会や応援団、チアリーダー部、3年生・2年生の生徒約300人、控え選手、教職員、保護者など合わせて約200人の計500人ほどが応援に駆け付けた。試合前、生徒会の松土千奈会長(3年)は「自分たちの最後(3年生)の大会なので声は出せないですけど選手たちに応援が届けられるように精一杯頑張りたいと思います。選手は全力を出しきり一つでも多くの勝ちを取りに行ってほしい」と話した。
■2戦目と同じ打線が再び功奏し序盤に打線が機能。勝利を引寄せた
大会9日目となる準々決勝2試合が18日、山日YBS球場で行われた。第1試合、第1シードの駿台甲府高と富士学苑高の試合は、終盤富士学苑が逆転して春の王者を破りベスト4に最初の名乗りを挙げた。第2試合の山梨学院は、好投手を擁する甲府工業と対戦した。先攻の山梨学院は一回表、先頭打者の相澤秀光(2年)と2番鈴木斗偉(2年)の連続四死球で出塁すると3番岩田悠聖(2年)がすかさず中前適時打で先制。なおも4番高橋海翔(1年)が犠飛を打ち上げ悠々2点目を挙げた。1回裏、山梨学院の先発は2戦目で先発した右腕中川泰雅(3年)がこの日も連続して先発のマウンドを任された。中川は、先頭打者を二塁打で塁を出すと2番、3番打者に味方守備のミスが得点に結びつき1点を失った。2回表、2戦目と同様打線が繋がった。この日、立ち上がり不安定な甲府工業エースの右腕末木克典投手(3年)を攻め立て、先頭7番の池田寿優(3年)が左中間を破る二塁打を足掛かりに二死三塁から1番相澤の右前適時打で1点、続く2番鈴木が右翼芝生席に2点本塁打を打ち込み3点を追加した。3回表にも継投した甲府工業2番手左腕草野航輝投手(3年)を攻略。2連続四球の無死二塁一塁から8番進藤天(1年)が中前適時打で1点、続く9番中川の初球にワイルドピッチで1点、さらに1番相澤のスクイズで手堅く得点を重ね8-1とリードした。その裏、甲府工業は無死一塁から2番守重潤也(3年)が中川の3球目直球を左翼芝生席に2点本塁打し、8-3と追い上げる。
■6回表、試合の流れを切らさない高橋の追加点が勝負を決める
その後、山梨学院は3回裏途中から継投した2番手左腕宮下龍希投手(3年)と甲府工業草野の投げ合いで4・5回を無得点で経過。6回表、この日打撃好調の先頭打者2番鈴木の中前打と岩田の犠打で一死二塁とし、4番高橋が変化球高目の初球を狙い打った左前適時打で1点を追加。9-3とした。6点差でも諦めない甲府工業は7回裏二死から、好投してきた山梨学院宮下からエースナンバー1を背負う右腕榎谷礼央投手(2年)に交替した直後、2番守重が3球目の高目直球を振り切りこの日2本目の2点本塁打を左翼芝生席へ打ち込み9-5と4点差に縮めた。しかし前の回、高橋の追加点が3点差と4点差の1点の重みが甲府工業へ大きく影響した。その後は、甲府工業は7回から再びマウンドに戻った末木と山梨学院榎谷の投げ合いで8・9回は両チーム得点を奪えないまま、9-5で試合終了。山梨学院は秋・春ベスト8止まりの屈辱を晴らすベスト4に進出。あと2つ頂点に向かって挑む。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 2 | 3 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 9 |
甲府工業高 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 5 |
山梨学院高
[投手]中川⇒宮下⇒榎谷 [捕手]佐仲⇒笠井陽介(3年)
中川2回1/3 投球数53 被安打2 四死球2 三振2 失点3
宮下4回1/3 投球数52 被安打1 四死球0 三振4 失点1
榎谷2回1/3 投球数39 被安打2 四死球1 三振0 失点1
[打撃] 安打14《本塁打=鈴木 二塁打=池田、高橋2》 四死球5 三振8
試合後、吉田洸二監督は「試合内容はエラーありバント失敗ありと若いプレーもたくさん出た分、勢いのある野球をやってくれたので良かったんじゃないの。これくらいは練習試合でも打っていたんですけど、ここで(山日球場)打てなかったことが課題だったので少しは成長したかな」と淡々と語った。「ベスト4まで来たら『あとは俺が甲子園に行かせるからお前たちはここまでは頑張れ』と言っていたので、ちょっとプレッシャーが懸かりますけどね」と声を出して笑ったが、知将の眼には強い意志が宿っていた。早い回の本塁打で相手エース投手にプレッシャーを与えた鈴木斗偉選手は「ホームランは狙っていなかったです。ツーストライクだったので何が何でも食らいついていこうと思って、インコースにカットボールが来たのでそこを引っ張ってたまたま入った感じです」と謙遜した。「ベンチで控えの3年生がやり易い雰囲気を作ってくれているのでチームの雰囲気はとてもいいです。自分は2番なので1番が出たら送って、クリーンアップが良いバッターが揃っているのでそこに回せるように塁に出ることを考えています」と平常心で打席に臨めることが結果に繋がっている。準決勝には「秋も春も負けているので自分たちは挑戦する気持ちで臨みます」と闘志を燃やす。
準決勝は7月21日(水)午前8時30分、甲府市・山日YBS球場で富士学苑高校と決勝進出を懸けて対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.7.19