●2021年度全日本学生テニス選手権(インカレ)
~予選ダブルス千原・長谷川ペア本選進出ならず~
~本選シングルス4人、ダブルス2組が上位目指す~
学生テニス大会最高峰の2021年度「全日本学生選手権(インカレ)男子89回、女子65回」が8月12日、三重県四日市テニスセンターで開幕した。山梨学院大学テニス部女子は予選シングルスに渡辺寧々(2年)、木塚有映(2年)、兼山栞凛(2年)の3人、ダブルスには渡邉千桂(4年)・原田真実子(3年)と千原菜歩(3年)・長谷川優衣(2年)のペア2組が出場。本戦にはシングルス鈴木沙也伽(4年)、原田真実子(3年)、千原菜歩(3年)の3選手、ダブルスは芝田詩歩(4年)・鈴木沙也伽ペアと狐塚理子(3年)・本田恵琉(2年)の2組がエントリーされた。大会は、8月12日から14日までが予選会、16日から本選開始の予定の大会は、悪天候が続く中でも運営に苦慮しつつ大会は続けられ、予選組の兼山は1回戦、木塚が2回戦に敗退。渡辺が2回戦を突破し本選に進出した。ダブルスでは渡邉・原田組が1回戦で敗退も、千原・長谷川ペアは16日にずれ込んだ2回戦に法政大ペアと2時間のフルセットの激闘を繰り広げた末、惜しくも1-2で敗れ本戦入りを逃がした。女子の本選はシングルスが1日遅れの17日から、ダブルスは18日から日本一を懸けて争う。
■関東の厚い壁を突破するインカレ出場への狭き門
インカレに出場するには全日本学生テニス連盟加盟の各地域登録者で各地域(北海道・東北・関東・北信越・東海・関西・中四国・九州)の8地域学生テニス連盟春季大会の結果を元に各地域学生テニス連盟が推薦した選手が選出される。山梨学院大は、加盟する関東学生テニス連盟が主催する4月下旬から6月上旬にかけて開催された関東学生テニストーナメントが対象になり、この大会でベスト16に入れば予選なしで直接本選に出場できる。また、ベスト32の中で敗者復活戦を戦い10人程が本選での出場権を獲得する。残りの選手は予選に出場できる。関東学生テニス連盟に加盟する大学は多く、出場権を獲得するためには狭き門をくぐらなければならない。
■創部15年目を迎え、さらに実力と実績を積み上げる
僅か5人で2006年創部と同時に強化指定を受けスタートした山梨学院大テニス部女子は、レベルの高い関東大学テニスリーグ戦(秋開催)で2009年1部昇格を果たし、昨年の2020年まで11年間1部を守り続ける実力を維持し、インカレ出場者も毎年着実に増やすほどに実績を積み上げてきた。今回は、シングルスに6人(予選組3人、本選3人)、ダブルスで4ペア(予選組2、本選2組)が関東の厚い壁を突破した。今年のインカレメンバーは、シングルス本選が鈴木沙也伽(4年)、原田真実子(3年)、千原菜歩(3年)、予選からは渡辺寧々(2年)、木塚有映(2年)、兼山栞凛(2年)。ダブルスでは本選に芝田詩歩(4年)と鈴木沙也伽ペア、狐塚理子(3年)・本田恵琉(2年)ペア。予選から千原菜歩・長谷川優衣(2年)ペアと渡邉千桂(4年)・原田真実子ペアが本選に挑んだ。予選は男女シングルス各96ドロー(組み合わせ)、男女ダブルス各48ドローで争われ、2試合を勝ち抜いたシングルス各24人とダブルス各12組が本選への出場権を獲得する。本選には男女シングルス各96人(予選勝者各24人含む)。男女ダブルス各48組(予選勝者各12組)が出場。
■大会前に三好勲コーチにチーム状況を聞いた。
三好勲コーチは「現在は、エース級と言われる選手がいないですけど、中間層が分厚くなって良い練習はできています。(チームとして戦うには)ただ精神的支柱となるエース級がいないと他校のエースと張り合えないのでチームとして早めに決めていかないと後の方に希望が無くなってしまうのでダブルスと下の方としかなくなってしまうのですね。強い選手を育てるのには時間が掛かります。そこが課題と言えますね。今は絶対的なエースがいないというところですね」とエースの存在を希求する。インカレ開始まで約1週間に迫り、「仕上がりは結構いいですね。(コロナ禍で)対抗戦とか対外試合が制限されて直前にダメになったりとか、本番の試合をこの予選の5月の春(関東トーナメント)以来やっていないので、その辺の試合勘としてはちょっと心配ですけど例年より体力面とか体調面とかは仕上がっているとは思います。暑さに負けるというところはないと思います。ドロー(組み合わせ)にもよるんですけどシードがないので早い段階で強いシードの選手に当たるので、そこを乗り越えればベスト8とか16が見えてくるのでそこを抜けてほしいですね。ダブルスは芝田・鈴木が第4シード以内に入ると期待しているので準決勝以上には行ってほしいところですね」と上位を目指す。
■大荒れの天候の中、運営に苦慮しながらも12日より開幕ー
昨年から岐阜市から三重県四日市市に会場を移したインカレは8月12日の予選会から始まったが例年より早い秋雨前線の停滞による荒天のために試合運営に支障をきたし、日程変更が相次いだ。山梨学院大テニス部女子は、予選からの出場組でシングルス渡辺寧々が本選の出場権を獲得できる2回戦を突破し、3日遅れの16日に行われたダブルス2回戦では千原・長谷川ペアが法政大ペアと対戦した。試合は第1セット、山学ペアはネットプレーのボレーミスや相手の強打のフォアハンド、バックストロークから流れをつくるコンビネーションプレーに力負けし簡単にセットを落とした。第2セットも前半1-3とゲームポイントをリードされるもループボールで相手のタイミングをかわし2ポイントを返すと、徐々に二人本来のコンビネーションも良くなり一進一退の展開に持ち込み、山学ペースに戻した。その後も息の詰まる争いを制し7-5で第2セットを奪った。第3セットは10ポイントを先取した方が勝利する競技形式に、疲れの見えてきた法大にフィジカルの強い山学ペアが勝り一時は先行するも互いに本選に意欲を見せ、山学が2度のマッチポイントを迎えるも法大も最後まで食らいつき、遂には11-13と逆転し勝利を収めた。山学は1―6、7―5、11-13と2時間に及ぶフルセットの激戦に敗れ本戦出場は叶わなかった。
試合後、山学ペアの千原菜歩選手は「ダブルスは初めてのインカレで優衣とたくさん練習してきて本選目指して頑張ってきたので本当に悔しい気持ちでいっぱいなんですけど、1回戦も強い相手に勝つことができて2回戦も競った試合もできたし決して引いていた試合ではなかったので次につながる良い試合をこの三重でできて良かった」と胸を張った。本選シングルスには、「今日の悔しさは絶対に忘れてはいけないと思うので今まで練習してきたことを活かして頑張りたいと思います」とリベンジを誓う。長谷川優衣選手は「今までダブルスは苦手意識があってミスった時に結構ネガティブになり易かったのですけど、千原先輩にガツンと気合を入れてもらったりプレーで引っ張ってもらってきました。自分はスピンをかけて相手を崩すプレーを心掛けているんですけど最初は全然できなくて相手に合わす感じで単調になってしまったんですけどセカンドではしっかり切り替えていつもの自分のプレースタイルを貫けたし、次の試合ではしっかりマッチポイントで取れるという自信を持って臨みたい」と話した。予選を振り返って三好勲コーチは「最後は10ポイントの短い勝負なので意識し過ぎて第2セットの流れを自分たちで切ってしまうようなプレーでまだ心が追いついていなかったというか心を強く持たないといけなかったですね。良いプレーはしていたんですけどね。あと1本の大切さを二人は悔しさをバネに学んでほしいです。2年の渡辺寧々が格上の早稲田の選手に勝ったのは評価できますし新しい戦力として期待しています。他の選手も対外試合ができない中で出し切ったのでよくやった方かなと思います」と予選を振り返った。本選に向けて「シングルスの方は格上が多いと思うので、1回戦を勝つとシード選手と当たるんですけど、まずはしっかり1回戦を勝ちきって昨年できなかったことを一つでも多くの選手にやってほしいですし、ダブルスは2組とも自信を持ってやってきてると思うので、対外試合が少ないのでどう出るか分からないですけどしっかり相手に向かって一つひとつという気持ちでやってほしい」と本選に期待を懸けた。明日は本選1回戦に4選手が挑む
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.8.16