●全日本学生テニス選手権(インカレ)女子本選始まる
~山学シングルス本選出場4人中3人が2回戦進出~
~非常事態の中、選手たちは一つでも上を目指す~
8月12日、三重県四日市テニスセンターで開幕した学生テニス大会最高峰の2021年度「全日本学生選手権(インカレ)男子89回、女子65回」の女子シングルス本選が17日、秋雨前線停滞による荒天の影響により予定より1日遅れで実施された。山梨学院大テニス部からは本選に予選から勝ち上がった渡辺寧々(2年)の他、本選からの出場の鈴木沙也伽(4年)と千原菜歩(3年)、原田真実子(3年)が1回戦を戦った。最初に戦った千原は昨日行われたダブルス予選2回戦に本選を目指すも、惜敗。リベンジを果たすべくコートに立った。第1セット7-5と粘り勝ちを収めると第2セットは6-2と快勝。セットカウント2-0で2回戦に駒を進めた。続いて初のインカレのコートに立った原田は、6-0で第1セットを取るも第2セットは5-7で接戦を落とした。10ポイント先取の第3セットでは立て直し10-2でセットを奪い2-1で2回戦に進出した。最後に登場した鈴木は昨年、1回戦敗退という苦杯をなめる中、ジュニア時代から争った相手と対戦。第1セット6-2と先制するも第2セットはゲームの奪い合いからタイブレークの末、鈴木が粘り勝ちを収め、インカレ初勝利を挙げた。渡辺は第1セット、先行するも追い上げられ6-7で落とすと第2セットも3-6で敗れ1回戦で涙を飲んだ。2回戦に進んだ3人は18日2回戦に臨む。
12日に開幕したテニスインカレは連日荒天が続く中、日程調整を繰り返しながら本選への限られた出場枠獲得を目指す予選がようやく終わり、女子シングルス本選が17日始まった。大会期間中、試合はほとんど屋外コートが使えない状態で、室内コート8面をやり繰りしながら進行している。この日も四日市コンビナートの運河に面するテニスセンター屋内コートは、時折音を立て激しく降る雨がコートに吹き込み試合が中断し、一部のコートが使えない事態が発生した。試合の順番を変更するなど学連役員の頭を悩ませている。異例の事態の中、テニスに打ち込む全国の選手たちが一堂に介し勝利に向かって競う場を支える運営関係者の苦労に頭が下がる。
■本選4人の初陣で仲間を鼓舞するー
山梨学院勢のトップを切るのは昨日、ダブルス予選で惜しくも本選出場を逃した千原菜歩(3年)がコートに立ち、関西学院大の選手と対戦した。第1セット立ち上がり、第1、2ゲームを失った第3ゲーム、相手の強いバックハンドに得意のフォアハンドで対応。サービスゲームをブレークするとそこから3ゲームを連取した。その後、互いにゲームを取り合い粘り強く最後は7-5とタイブレークを制し第1セットを決めた。千原菜歩選手(3年)は「昨日のダブルスからあまりフォアの調子が良くなくて下がった状態から狙い過ぎ打ちをしてしまってミスが第1セットはあったんですけど相手のミスに助けられて何とか取れきれたことは良かった」。第2セットも1ゲームを落としボレーミスをするなど勢いに乗り切れない。1-2で迎えた4ゲームを取り同点にするとそこから怒涛の反撃を展開。「結構バックでストレートとか角度ついたボールで決められることが多かったのでフォアの方がアウトとかネットとか多かったのでそっちを攻めていくようにしました。第1を取っているから強気でとう気持ちもあってフォアもいつも通りのプレーができるようになった」と勝因を話した。2回戦に向けて。「勝てたのは良かったですけど納得した試合だったとは言い切れないので明日が勝負だと思っているので明日に向けて今日の試合を振り返って挑みたいと思います」と気を引き締めた。
■強い気持ちで本選を戦うー
昨年のインカレはコロナ感染防止を受けて大会を11月に延期し、予選を行わない措置を講じて開催された。そのため出場を見送った原田真実子選手(3年)は「1年目は一次予選で負けて2年目もあと一歩というところで届かず、今回ものすごく強い思いで臨みました」と意欲を前面に押し出すプレーで自身を鼓舞した。第1セットは相手のミスも多く、得意のバックハンドスライスからフォアで攻めて簡単に6-0で制した。第2に入ると相手は早稲田大の実力者。反撃を開始した。第1とは見間違える集中力で原田に対抗。互いに激しいラリーの応酬を繰り広げ相手は正確なショットで原田を苦しめるも、原田は一打、一打声を出しボールに食らいついたが5-7でゲームを落とした。「第1セットはあれだけ簡単なスコアで取れたので、自分では第2のスタートが大事だと言い聞かせていたんですけど、まだどこかで弱さが出て集中力が低くなってしまった部分があった」と反省。10ゲーム先取のファイナルセットでは、「今まで自分がやってきたことを出し切ろうと思って、最後まで諦めずにボールを追いかけることを意識して、ずっと立ちたかった舞台で今自分ができる精一杯出しきる」と第1セットのプレーにリセット。積極的に得意のフォアとバックハンドスライスをからめ、徹底的に相手を攻め10-2で快勝。セットカウント2-1とし、2回戦に進出した。「今回は初インカレということで初戦は勝ったんですけど、自分も目指すところはもっと上なので一つひとつ、相手の方が上だと思われているかも知れないですけど、そういうのは気にせずに今自分ができることを精一杯やりきれたら結果は自ずと付いてくる思うので次の試合も後悔のない戦いをしたい」と前を向いた。
■3人の予選出場者から唯一本選出場を決めるー
渡辺寧々選手(2年)は「昨年はインカレ予選がなくて今年こそはインカレに出たいと思って予選で今まで勝てないと思っていた関東の人に勝って本選に出られたことは良かった」と言葉少なく話した。試合は第1セット、いきなり4ゲームを先取。勝利を予感させるも、徐々にラリーの打ち合いに相手のバックスライス、ドロップショットなどにミスが絡み追いつかれ長いタイブレークの末、このセットを落とした。第2セットに入っても精彩を欠き3-6で続けてセットを落とした。渡辺寧々選手は「リードしていたのにそこから4-0から4-5になってしまってもっと考えてプレーしなければいけないと思うし、全国では簡単に勝たせてもらえないなと思いました。相手がバックのスライスの浅いボールが多かったのに前に入って打てなくて最後まで決めきれなくて自分のミスで終わってしまうことが多かった。ボレーとかチャンスボールもっと攻めきれるようにならないといけないと思った」と反省した。
■4年最後でインカレ初勝利に喜ぶー
第1セット、左利きの鈴木沙也伽選手はいきなり2ゲーム先取。順調な立ち上がりを見せた。左からのフォアハンドを相手のバックに集めて主導権を握るも駒澤大の相手もフォアハンドで対抗。鈴木は要所を締めて2-6で第1を奪った。鈴木沙也伽選手(4年)は「今回の相手は2歳下ではあるんですがジュニアの頃から何試合もやっている選手で負け越していて今回最後の年ということで思いっきり悔いの残らないようにやろう」と試合に懸ける思いは強い。第2セットに入ると互いに譲らずシーソーゲームに。目を離せない駆け引きはタイブレークにもつれ込み緊張感が広がる。「ボールが飛んでくる方が自分のプレースタイルとしてはやり易いんですけど、飛んでこなかったり、変なところに当たってボールが飛んできたりとかが多い選手だったのでしっかり足を動かさないと自分から打てないという感じで、第1セット目はしっかり足も動いてボールに当たっていたんですけど、第2では動いていると疲れが出てきたり、途中で足が上がらなくなったりでそれがちょっと原因」と手こずった。粘った最後はスマッシュ、ドロップショット、フォアが決まりこのセット7-5で勝利。2回戦に駒を進めた。「自分は単複でインカレに出るのは最後の年で初めてということでそれだけで自分的には納得というか後悔はないなという感じなのでまずは1勝できてうれしいですし、次の相手はシードなので、20日からのダブルスの方に自分的には力を入れているのでそれに向けてそれが活かせるような試合に成ったらいいなと思っています」と笑顔で話した。
■シングルス本選1回戦 山梨学院大選手試合結果
全日本学生テニス選手権シングルス本選1回戦(8/17)三重県四日市テニスセンター | ||||
S | 鈴木沙也伽 〇 | 6-2 7-5 |
●猪瀬瑞生 (駒澤大) |
2回戦進出 |
S | 千原 菜歩 ○ | 7-5 6-2 |
● 古西美桜 (関西学院大) |
2回戦進出 |
S | 原田真実子 〇 | 6-0 5-7 10-2 |
● 前田優歩 (早稲田大) |
2回戦進出 |
S | 渡辺 寧々 ● | 6-7 3-6 |
〇 桐山陽菜 (関西大) |
1回戦敗退 |
明日18日は、シングルス本選2回戦が午後から行われる。ダブルス本選は鈴木沙也伽・芝田詩歩(4年)と狐塚理子(3年)・本田恵琉(2年)ペア2組が20日に登場する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.8.17