●関東大学女子バスケケット1部リーグ開幕戦
~2年目“常勝常笑”軍団。天敵東京医療大に敗れる~
~試合で主力以外のヒロインの出現を待望する~
「第71回関東大学女子バスケットボール1部リーグ」開幕戦が9月25日、埼玉県ウイングハット春日部を会場に行われた。山梨学院大バスケットボール部女子“常勝常笑”軍団は一昨年、1部リーグ挑戦5度目で創部12年目にして悲願の1部昇格を果たした。8チームからなる1部初参戦となった昨年は2勝5敗6位で終え、ベスト4を目指す2年目初戦、昨年と同じ顔合わせで負けを喫している強豪の東京医療保健大学と対戦した。試合は立ち上がり、東京医療は中心的選手の長身留学生にボールを集めリードを奪うと、山梨学院も司令塔のG下里柚喜(3年)を中心にポイントゲッターのC橋口樹、G山本美空、F北越春香の4年生がゴールに迫り、1Pを16-28と逆転可能な点差に食らいついた。2P、東京医療は豊富な運動量からスピーディーなオフェンスと攻撃的なディフェンスを武器に立ちふさがり前半を36-61と差を広げた。追いつきたい山学は、後半に入り手掛かりを見つけるべく反撃を試みるも、留学生二人がはだかる高さと堅固な守備に手こずり、シュートを放つもリングを捉えきれずに、そのリバウンドをことごとく奪われた。外から内からの攻撃に防戦を強いられ徐々に点差を拡げられ62-124の大差で初戦を落とした。1部上位の力を見せつけられる形の試合となり課題が残った。この屈辱を2戦目からの試合にぶつける。
■山梨学院大バスケットボール部女子、1部昇格への道のり
“常勝常笑軍団”山梨学院大バスケットボール部女子は、2008年創部、強化指定クラブに指定され、僅か3年目の2010年に4年生のいないチームで1部入替戦に専修大と対戦。55-68で敗れ1部の壁の厚さを味わった。その後、2014年、2015年と続けて順天堂大と対戦、65-69、57-59と後一歩のところで涙を飲んだ。創部10年節目の2017年度には『今年こそは』と臨んだ松蔭大との対戦に、ミスが目立ち自滅する形の大差で1部の夢は破れた。そして、2019年。再び松蔭大との入替戦で79-63勝利し、ついに悲願の1部昇格を果たした。山梨学院は、関東の大学一を決める「関東大学女子バスケットボール選手権大会」に2014年、2部校では初の優勝の快挙を達成しており、直近の2018年・2019年には4位・5位と安定した成績を残し(2020年は新型コロナウイルス感染防止で中止)もともと1部校に遜色ない力を持っており昇格は遅すぎた。
■2021年関東大学女子バスケットボール1部リーグを控えて
1部リーグは昨年優勝した白鷗大学、準優勝の東京医療保健大学、筑波大学、拓殖大学、日本体育大学、山梨学院大学、専修大学、早稲田大学と続き、山梨学院を除く大学は、いずれも優勝経験があり伝統校、実力校として例年、当リーグは白熱したレベルの高い戦いが展開されている。1部リーグ参戦2年目の山梨学院は1部上位定着を目標に戦う。
リーグ戦を控えて林五十美監督は「昨年1部と戦って経験としては自分たちの力の無さだとか不足しているところが分かった大会ではあったので順位以上のものは得られたと思います。昨年はフィジカルの面だとかシュート力が全く違うと力の差を感じたのでこれらを徹底してやってきました。楽な試合はないですけど、走り込んできた練習を信じてみんなが思い切ってやってほしい。目標はベスト4」と意気込む。
■1部リーグ開幕戦。昨年リーグ戦2位、インカレ王者に挑む
開幕戦の対戦相手は昨年のインカレ王者(全日本大学一)優勝の東京医療保健大学。リーグ戦でも一昨年優勝、昨年準優勝の強豪校。昨年の初戦でも対戦し敗れている。二人の高身長の留学生を中心に豊富な運動量から攻守ともにスピーディーで強靭な布陣が繰り広げる高い得点力が持ち味のチーム。山梨学院は、8番G・下里柚喜(3年)を司令塔に元女子U18日本代表の16番C・橋口樹(4年)を中心に相手の高さと強力な攻撃力に挑んだ。
・第1P(ピリオド)。両チームのボールタップで始まった試合は、開始早々、東京医療が高さに勝る留学生のジャンプシュートで先制すると、山学・橋口も負けじとジャンプシュートで返すも間もなく、ボールを留学生に集める速攻で立て続けに3本のシュートを決められた。さらに3P(ポイント)シュートも決まり序盤に2-11とリードを許した。その後、14番G・山本美空(4年)、18番F・北越春香(4年)のドライブシュート、5番C・野田遥(3年)もジャンプシュートを沈めて食い下がるが、16-28とリードされて第2Pへ。
・立ち上がり山学がリバウンドから先に得点。司令塔下里からの素早いパスをゴール下の野田がきれいにジャンプシュートを決め点差を縮めた。しかし、東京医療の留学生の高さによるシュートや正確な3Pに手こずり徐々に点差を広げられた。その後、一進一退の攻防が続き36-61で前半を終えた。
・後半第3Pに入っても、相手の徹底したマンツーマンディフェンスに攻撃を封じ込められ、リバウンドを奪われ失点を重ねた。山学も8番下里のジャンプ、レイアップシュートで反撃するも、47-92とさらにリードを広げられた。
・最終4P。点差を縮めたい山学は16番橋口のシュートで先制。その後も橋口はエースの意地を見せ得点を重ね、18番北越の山学この日2本目の3Pで反撃。ここまで点の取り合いになるも、残り5分。手を緩めない東京医療の攻守の前に62-124で敗北。初戦を落とした。
■敗れるも勇敢に1部強豪校に挑んだ“常勝常笑”軍団
山梨学院のスターティング5(ファイブ)は、4番PF・浅野瑛菜(4年)、8番G・北越春香(3年)、12番F・日野華希(1年)、14番G・山本美空(4年)、16番C・橋口樹(4年)、の5人。その他、5番C・野田遥(3年)、6番C阿部桃夏(3年)、7番C・川口愛優菜(3年)、9番F・幸野谷優和(2年)、10番G・山田月南(3年)、11番F・杉本りく(2年)、13番G・清實茉宝(2年)、15番澤本瑠衣、17番・久井咲良が途中交代出場した。
◆1部リーグ開幕戦《山梨学院大学VS東京医療保健大学》9/25 PM3:00~ 埼玉県春日部市・ウイングハット春日部Aコート |
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● 山梨学院大 62 | 1P 16-28 2P 20-33 3P 11-31 4P 15-32 |
124 東京医療保健大 ○ |
試合後、林五十美監督は「相手がチャンピオンであることは間違いないので技術面よりも最初から相手にひるまないで戦っていくというか自分たちのバスケットが40分間通してできるよう気持ちで負けないように言って試合に臨みました」と話し、「前半のリバウンドのところをおさえていたら後半の入り方が少し違ったかな思うので、リバウンドのところは分かっていたことなんですけどなかなか周りも変われないですし、他のチャンスもやられたことが大きかった」と敗戦を挙げた。これからの試合を見据えて、「主力のメンバーが仕事をするのはもちろんなんですけど、その以外の6番、7番手がもっと働いてくれないと5人でリーグ戦を戦っていくには難しいので、主力のメンバープラスヒロインになれるような選手が出てきて欲しい」と選手の奮起を促す。
チーム最高の25得点を挙げたポイントゲッター橋口樹選手は「医療大は高さがあるし、リバウンドというところを徹底しきれなかった」と悔やんだ。「出足は戦えていたと思うし、3P(ピリオド)から3P(ポイント)決められたり中(インサイド)で簡単にやられるプレーが多かったのでそこを反省しなければいけない部分です。医療は中も外もバランスよく取れるチームだし、オフェンスリバウンドがすごく強く、そこのリバウンドの数で圧倒されてやられた」と敗因を語った。「自分の役割はチームの軸として点数を取ることなのでそこでチームを引っ張って勝利に貢献できるように頑張りたい」と次を見据えた。
浅野瑛菜主将(4年)は東京医療戦を振り返り、「自分たちはどこでやられるとかどこが弱みというのは分かっていて医療がやってくることをちゃんとアジャストするように練習していたんですけど、まだそれを全部出しきれていなくてリバウンドだったり、インサイドプレーを簡単にやらせてしまって、自分たちに高さがない分泥臭いルーズボールとかリバウンドという部分を頑張らなければいけないと思う」と反省した。「去年1部に上がったばかりでまだ自分たちは挑戦者だと思うのでどのチームに対しても向かっていく姿をコートの中で見せられるようにするのとあとベンチもしっかり声を出して盛り上げてチーム一体となって戦えるようにしたい」と主将としての決意を表した。
リーグ戦は始まったばかり。11月7日まで残り6試合。2戦目から戦いに“常勝常笑”軍団旋風を期待する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.9.26