●山学短大「第42回木犀の会」で芸術鑑賞
~遠藤短大学長が講話。全員で建学の教えを共有~
~“本物の芸術”に触れ“真・善・美”に近づく~
山梨学院短期大学は10月4日、山梨学院創立者・故古屋眞一初代学院長、故古屋喜代子初代学長の建学精神を学ぶ「第42回木犀の会」(もくせいのかい)を山梨学院メモリアルホールで行った。会の名称は、古屋喜代子学長の忌日が、木犀の香りがただよう頃であったことと、謙虚で温かい人柄を偲ばせる花であることから名づけられ、亡くなられた翌年1980年から毎年この日に開催されている。「学生が自らの道を切り開くためには、この世にある“真・善・美”に限りない憧れを持つことが大切」という初代学長の教えから、この日を芸術鑑賞の日としてコンサートなど本物に触れる機会を設けてきた。今年度はコロナウイルス感染防止策として、1年生と2年生に分け行われた。初めに「木犀の会」遠藤清香短期大学長が「木犀の会」にあたり講話を行い、「皆さんの母校の山梨学院短期大学がどのような大学なのか一年に一度皆さんとご一緒に考えさせていただきたい。そのために設けられた会です・・・」と語りかけ、プロジェクターを使用し、創立者の“建学の教え”や短大の歴史を説明した。続いて芸術鑑賞を行い、今年度は、歌曲とピアノ曲を鑑賞。ソプラノとピアノによる清らかで伸びやかな歌声がメモリアルホールに響きわたり、短大生と教職員は芸術の秋にふさわしいひとときに浸っていた。
1年の半分を過ぎ10月初頭。山梨学院大学のキャンパス、特に短期大学のまわりにはこの時期になるとほのかに香る甘い匂いがする。山梨学院短大南側の川沿いに植えられた6本の金木犀と7本の銀木犀だ。創立者古屋喜代子学長が1979年10月4日に亡くなった翌年、古屋真一学院長、喜代子学長の建学の精神を訪ね、未来に継承しようとこの日に「木犀の会」が設けられた。会の名前は故人の忌日が木犀の香りが漂う頃であったことから名づけられた。今年(10月4日現在)も学舎脇の金木犀は今が盛りとオレンジ色の無数の小さな花を咲かせている。その甘い香りは秋の風物詩となり、懐かしく人の心を動かす匂いと感じる人が多い。可憐な花から「謙虚」「初恋」の花言葉がある。
■第一部 木犀の会にあたって 山梨学院短期大学長の講話
今年で42回目を迎えた。「木犀の会」は、コロナウイルス感染拡大防止を受けて1年生、2年生と2回に分けて行われた。午前9時に1年生、午前11時に2年生の回が始まり第一部は、まず、遠藤清香短期大学長は“木犀の会”について講話した。「皆さんの母校の山梨学院短期大学がどのような大学なのか改めて一年に一度皆さんとご一緒に考えさせていただきたい。そのために設けられた会です」と学生たちに語りかけた。創立者の古屋眞一学院長、古屋喜代子初代学長が終戦直後の甲府の惨状を眼にした時「教育によって祖国日本を再建しよう。この苦難を乗り越えるには若い人の教育しかない」と決意し、山梨学院の創設に取り組んだ創立者が残した言葉を伝えた。「『人間社会にも、人間自身にも平和と幸せがもたらされていません。今こそ教育について真剣にみなさんと考える時であります。教育によって平和の社会を人々の幸せを実現したい。そのために教育はどうあらねばならないのか』ここで学ぶ皆さんひとり一人が本当の意味で生涯を通じて生活し美しく意義ある人生を全うするために大学はいったい何を目指していくべきなのか考えに考え抜かれて祈るような気持ちで生み出された言葉がこの『智と情と勇気をそなえ、実践を貴んで社会に貢献する』という言葉だったのです」とプロジェクターを使い創立者が取り組んだ山梨学院創立の強い決意や建学の精神を説いた。さらに「この智と情・勇気は賢く・優しく・強くという言葉で言い換えられてきました。現在の学生の皆さんにも日々の生活の中でこの言葉を大切にしていっていただきたいと思っています」と述べた。
また、古屋喜代子学長が1979年木犀の花の香る10月4日に69歳で亡くなった翌年のこの日から“建学の精神”を訪ねる会として「木犀の会」が始まり、以来、42年間にわたり山梨学院短期大学独自の文化として育まれてきたことを説明。「学生が自らの道を切り開くには、この世にある、あらゆる“真・善・美”に対し、限りない憧れを持つことが大切。そして本物の素晴らしい芸術こそが学生に相応しい」という初代学長の教えから、この日を芸術鑑賞の日としている。遠藤清香短期大学長は講話の最後に、「この日に創立者を偲び、その建学の精神を訪ねるためにこの『木犀の会』を行っています。51号館の裏の金木犀の匂いを嗅いでください。親愛なる学生の皆さんが、この山梨学院短期大学を母校として智と情と勇気をそなえ、実践を貴んで社会に貢献していかれることを心から願っております。『かしこく・やさしく・つよく』」と講話を締めた。
■第二部コンサート 一流の芸術家を招いて完成の醸成を育む
第二部の芸術鑑賞は、ソプラノ歌手の三縄みどり氏、ピアニストの松下倫士氏の2人を招いてコンサートが行われた。三縄氏は数多くのオペラの主演や各地のオーケストラとの共演などソプラノソリストとして活躍。今回の“木犀の会”の出演は4回目になるという。松下氏は多くのコンクールの演奏部門、作曲部門で最優秀賞受賞や入賞を果たし、ピアノソロや著名な演奏家との共演、作曲家として高い評価を得ている。コンサートは、4部で構成され「日本の懐かしい歌」「今伝えたいこと」「歌曲とピアノ曲」「祈りの歌」と三縄氏の伸びやかで透き通った歌声と松下氏のピアノソロが聞かれた。初めの「日本の懐かしい歌」では誰もが知っている童謡を歌い金木犀の香りを感じる懐かしい調べが心を満たした。三縄氏は途中、プログラムにない故古屋喜代子学長が好きだった童謡「かなりや」を歌い個人を偲び、学生には「自分の選んだ道が最良の道と信じて」とエールを送り励ました。コンサートは松下氏の清涼感溢れる音色と正確なタッチのピアノ伴奏で醸す出される芳醇な歌声がホールに響きわたり、学生たちは芸術の秋の訪れに至福な時間を堪能していた。演奏終了後、学生を代表して2人の学生が出演者に花束を贈呈、大きな拍手を送った。
■「木犀の会」終了後、短大保育科、食物栄養科の代表から話を聞く
会の終了後、保育士が夢という保育科2年・牧野愛加さんは「大学(教育)のことを考えるきっかけにもなりましたし、これまで2年間過ごしてきた大学についてもさらに詳しく知ることもできましたし。保育士を目指していることもあるので『智と情と勇気』ということがすごく大切だなと思いましたし、『賢く優しく強く』って子どもと接するにも大切になってくると思うのでこれからの将来に生かしていけるなと思いました」と創立者の教えを噛み締めた。これまでの大学生活で学んだことを聞くと、「一番は子どものことですけど、2年間というとあっという間ですけどやっぱり大学って友達と協力しながら過ごしてきたので本当に友だちの大切さとか感じましたし、これから子どもたちに関わっていく中でどんなことが重要なのか接し方とか臨機応変に対応することとかをすごく学ぶことができました」と話した。コンサートを見て、「芸術に触れるという体験にすごく感動しました。聞いたこともある曲も何曲かあったんですけど、「いのちの歌」という曲が合唱曲でも聞いたことがあって、圧倒的に感動しました」と歌の素晴らしさを興奮気味に答えた。将来は管理栄養士を目指す食物栄養科栄養士コース2年・津金奈々子さんは「2回目の『木犀の会』ですが、今日の学長先生のお話を通して、より学校の事を知るきっかけにもなると思います。創立者の“教え”は、先生たちや私たちが学ぶことも多くありまして学校生活でより理解を深めていってくれると感じています」と会の意義を語った。芸術に触れることについては、「私自身音楽鑑賞という機会を持つことがあまりないので非常に貴重な体験をしたといいますか、あとソプラノ歌手の方やピアノ伴奏の方のハーモニーがとても素敵でとても心打たれる演奏でした」と本物に触れた感動を語った。将来は、「私の実家が飲食を営んでいるため栄養士を目指そうと思っていて人を喜ばせる栄養士になることが中学からの夢で高校も大学も山梨学院に進みました。栄養士となり3年後は管理栄養士の資格を取って働きたいと考えています」と創立者の教えの道を歩く。
話を聞いた二人に限らず、山梨学院短期大学の在学生、卒業生には創立者の理念。「智と情と勇気をそなえ、実践を貴んで、社会に貢献する」の教えが必ずや刻まれていることだろう。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.10.5