●【関東大学ラグビーリーグ戦2部山学3戦全勝】
~國學院大を相手に後半地力を発揮、快勝~
~プラン通りの勝利に残り試合にも勢い~
「2021年関東大学ラグビーリーグ戦2部」第3戦が10月10日、山梨学院大学和戸ラグビー場ほかで行われた。山梨学院大ラグビー部は、2016年2部降格以来、昨年は2位で入替戦に臨むはずがコロナ禍の影響を受け中止。無念の2部残留になった。6年ぶり4度目の1部昇格を目指す今年のリーグ戦。1戦目朝鮮大、2戦目国士館大に連勝してホームに國學院大學を迎えた3戦目。午後1時、國學院のキックオフで始まった。前半6分、左から右へ攻める山梨学院は、ラインアウトからの攻撃で左サイドに展開、#15・FB河野孝太郎(4年)につなぎ左隅にトライ、先制した。さらにディフェンスの激しいプレッシャーからスピーディにボールをバックス陣に回し、12分に#11・WTB加島DJ(3年)、15分には再び河野がトライ。前半中盤で17-0と主導権を握った。國學院もここから反撃を開始、21分、29分と22mライン内側へのダイレクトタッチから得たラインアウトの展開でトライに結びつけ、17-14と粘りを見せ、前半終了間際にはペナルティーキックを決め17-17と同点に追いすがった。後半に入ると山梨学院は攻撃に修正を加え、序盤から中盤にかけ#13・CTBソキヴェタ(3年)が3トライを挙げるなどフォワード、バックス陣の連携が機能し後半は50-24と一方的な展開となった。山梨学院は3勝0敗で次は17日拓殖大と対戦する。
■6年ぶり4度目の1部復帰に懸ける
昨年のコロナ禍の影響を受けた試合方式での入替戦中止から、今年は従来の1試合総当たり方式に戻り、東洋大、山梨学院大、立正大、白鷗大、國學院大、拓殖大、朝鮮大、国士舘大(昨季の順位)の2部8チームが入替戦権利を懸けて戦う。山梨学院大ラグビー部は、1997年初の1部昇格を果たし、2002年に2度目、2013年に10年ぶりの3度目の1部復帰を成し遂げるも、2015年、1部在籍2年目に8位と振るわず、2部1位の日本大学との1部入替戦で敗れ2部降格となった。翌2016年に2部1位となり再び入替戦で日大と対戦したがここでも敗れ2部残留となり、以来5年間2部に甘んじてきた。今年に1部復帰に賭ける思いは強く、これまでの2戦は朝鮮大に64-17、国士舘大には39-0と完封勝ちを収め、勢いに乗る。
梶原宏之監督は「昨年の取り組みを継続し、攻撃は全員が相手のスペースという穴を狙いラグビーの精度を上げていき、ディフェンス面ではより前に出て相手に圧力をかけ、それにプラスにタックルの強さを強調して取り組んできました。その辺の強さは徐々についていると思います」と1、2戦目での勝利で着実な成果を感じている。従来の試合運営に戻ったことについては、「リーグが長くなり7試合戦えることで1・2戦目でいろいろなメンバーを使えたことで出場機会を与えることができ、チームの層が増しています」と歓迎した。
■3戦目の國學院大戦も勝利し、全勝優勝で1部昇格を手にする!
今年も新型コロナ感染防止を受けて無観客の中、午後1時、國學院大のキックオフで40分ハーフの戦いが始まった。序盤互いにキック、ラインアウトでボールを奪い合う中、6分、山梨学院が右サイドでのラインアウトから、#12・CTB具志堅竣祐(1年)、#11・WTB加島DJ(3年)へつないだボールを#15・FB河野孝太郎(4年)が受けゴールライン左隅に先制のトライを決めた。立ち上がり國學院の動きも良く、自陣22mラインに押し込まれる時間もあたりの強いタックルでトライを阻止。一転12分には再び#12から#11の加島の突破で2つ目のトライで10-0とリード。さらに15分にはハーフウエーの中央でのスクラムからでたボールを再び#15河野が中央突破、ゴール下へトライした。キッカーの#10・SO齋藤聡太(3年)のゴールキック(コンバージョンキック)もようやく決まり17-0とリードを広げた。國學院もキックから勝機を見出そうと、22mライン外からダイレクトキックを狙いラインアウトからの展開でゴールに迫り山梨学院ディフェンスを相手に21分、29分とボールを押し込み、ゴールキックも決め17-14と粘る。その間、山梨学院も攻め込みチャンスを生み出すが相手ディフェンスに阻まれた。残り1分、山梨学院はディフェンス時による反則でペナルティーキックを与え3点を失い17-17の同点で前半を折り返した。
■後半、同点に追いつかれる気の緩みを立て直す
後半、サイドが変わり山梨学院のキックオフで右から左に攻撃。ラインアウトから得点された前半に修正を加え臨んだ。山梨学院は立ち上がりから優勢に攻め込むも、國學院は堅固なディフェンスではね返す。8分、相手陣内ゴールまで10m付近で反則から得たスクラムを起点に#8タヴァレア・ティモテ主将(4年)のパスを#13・CTBヴィリアミ・ソキヴェタ(3年)が右サイドにトライ。さらに僅かに疲れの見える國學院に畳みかけるように攻撃を仕掛け、13分には#11加島がこの試合2本目のトライ。18分にもソキヴェタも飛び込んで2本目を決め36-17と徐々に得点差を広げた。3分後にも途中出場の#23・WTBケーレブ・カブヴァティ(2年)がパスを受けた自陣10mラインから相手ディフェンスをかいくぐり30mを独走。#8ティモテ、#13ソキヴェタとつなぎトライを重ねた。43-17とリードするも國學院も諦めずにダイレクトキックとラインアウトの得意な組み立てで攻め込むも、山梨学院は強化してきたディフェンスで持ちこたえ得点を許さない。34分にも相手の小さなスペースを見逃さず#23カブヴァティが再び突破。フォローした#21・SH川村健斗共同主将(4年)がチーム8本目のトライを決めた。50-17とここまで後半無得点に抑えてきたが前半同様、試合終了間際に小さなミスから得点を許し50-24でノーサイドの笛が鳴った。
■試合結果
2021年関東大学リーグ戦グループ2部 第3戦 山梨学院学VS國學院大学(10/10)山梨学院大和戸ラグビー場 |
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○ 山梨学院大 50 | 17-前半-17 33-後半-7 |
24 國學院大学 ● |
前半:トライ=#15・FB河野孝太郎(4年)2、#11・WTB加島DJ(3年)1 ゴールキック=#10・SO齋藤聡汰(3年)1 後半:トライ= #11・WTB加島DJ(3年)2、#13・CTBヴィリアミ・ソキヴェタ(3年)3、#21・SH川村健斗(4年)1 ゴールキック=#10・SO齋藤聡汰(3年)4 |
■試合後の監督、選手のインタビュー
試合後、#8タヴァレア・ティモテ主将は「試合は入りが一番大事だと思うので、すごくいい形を作り自分たちのラグビーができたと思います。このレベルでは満足してないので試合を振り返って、これから修正できることは修正してもっと上に行って頑張りたいと思います。ここからの試合は厳しくなりますが、全部勝ちきりたい」と上手な日本語で話し前を向いた。
もう一人の主将・川村健斗選手は「前半入りからやってきたことが出せていい3トライ重ねることができたんですけど、その緊張を続けることができなくなって失点が生まれて悪い雰囲気になってしまった。後半はチャレンジすることで精度を上げてやってきたことを着実に出して点差が開いて行った流れです」と振り返った。昨年、入替戦が中止になったことに、「正直4年生の僕たちからすると1部でできなくなったことが一番大きく響いてしまって、その悔しさの分、今年こそ絶対に上がるという昨年の倍ぐらいの気持ちで先輩たちの思いも背負っているので、そこをもっとプレーに出せればもっとレベルアップすると思う」と悔しさをバネに戦う。梶原宏之監督は「國學院は先週も立正大との戦いで前半が同点でやっていますのでうちとの前半、フルに力を発揮して非常にいいラグビーをするチームだなと思いました。ハーフタイムで『ここからキックオフのつもりで最初から行こう』と声を掛けました。向こうが少し動きの悪くなったところをこっちはフレッシュな選手を入れて戦ったのはプラン通りでした」とチーム力の強化の手応えをにじませた。これからの戦いに向けて、「大学ラグビーなので今までやってきたことしかなかなかできません。自分たちが持っているものをすべて出すということを念頭に置いて徹底したい。気持ちとしては昨年の4年生の分まで入替戦を戦い勝ちきることをやっていきたい」と力を込めた。
次の試合は10月17日(日)、拓殖大学と対戦する。
文(K.F) カメラ(今村佳正) 2021.10.10