●インドネシアフェスティバル
~甲府市ふるさと応援寄付金・国際交流事業~
~講演・音楽・物産展を通して理解を深める~
山梨学院大学では10月30日、国際交流センター主催の国際交流イベント「インドネシアフェスティバル」を開催した。このイベントは甲府市と山梨学院大学の包括連携協定に基づいた甲府市ふるさと応援寄付金の一環として、国際交流活動の促進を目的に実施された。今回は新型コロナウイルス感染症対策として、オンラインでも同時配信され合計290名が参加した。イベントは第1部に駐日インドネシア共和国のヘリ・アフマディ大使が「インドネシアの現在と未来」というテーマに記念講演。インドネシアの地域特性や文化から、日本との経済的・歴史的なつながりを中心に約1時間の講演を行った。第2部では、インドネシアのジャワ島の音楽・影絵芝居や舞踊を中心に活動しているグループ「スミリール」が伝統楽器ガムランを演奏。また、参加者によるガムランの演奏体験や影絵芝居の「ワヤン・クリッ」の上演が行われ、普段ではなかなか触れることのないインドネシアの伝統芸能への理解を深めた。
山学大では国際化のビジョンとミッションを設定し、ビジョンとして「学生・教員・職員といった組織構成員において、Diversity&Inclusion(多様性と一体化)を推進するとともに、国際共修の理念を理解し、実践する大学となる」ことを掲げている。現在山学大には世界39の国・地域より451名の外国人留学生が在籍し、今回のイベントを主催した国際交流センターと国際リベラルアール学部(iCLA)が国際化の中心となり、多彩なグローバル人材育成に貢献している。また、甲府市ではリニア中央新幹線の開業等を見据えて、世界とつながる新たな国際交流を芽生えさせ、海外の活力を積極的に活用しながら、多様な文化が息づく「甲府のまち」を創造している。こうした中で、国際感覚豊かな人材を育み、さらなる発展をより確かにしていくため、新たにふるさと納税制度を活用した補助金制度が構築された。
今回のイベントを主催した山学大の古屋光司学長は開会の挨拶で「このインドネシアフェスティバルは山梨学院大学と甲府市が連携し地域の方に国際理解を深めて頂き、そこから国際交流につなげていけたらという想いで開催しました。昨年はアフリカフェスティバルを開催しましたが、今年はインドネシアフェスティバル。インドネシアというとバリ島が馴染み深いと思いますが、私たちは思っている以上にインドネシアについて知らないのではないかと感じています。本日のフェスティバルを通して、ぜひ皆さんにインドネシアへの理解を深めてほしいと思います」と述べた。また、甲府市の樋口雄一市長は「本日、甲府市ふるさと応援寄付金活用による国際交流イベントであるインドネシアフェスティバルが昨年のアフリカフェスティバルに続いて盛大に開催されること心よりお喜び申し上げます。私も何度かインドネシアのジャカルタを訪問したことがありますが、本当に大きな力と高い経済成長を目の当たりにし、肌で感じています。今後も甲府市と山梨学院大学が連携し外国語や異文化に触れあう機会を創出し、国際交流やその活動を通じてグローバルな人材育成や外国人留学生のより一層活躍できる環境づくりに努めてまいります」と述べた。
■講演会【インドネシアの現在と未来】
駐日インドネシア共和国のヘリ・アフマディ大使が「インドネシアの現在と未来」というテーマのもと、インドネシアの地域、人口、文化、経済や日本とインドネシアの歴史について講演を行った。インドネシアはスマトラ島やジャワ島、バリ島などをはじめとする約13,000以上の島からなる国家であり、世界最大の海域を持つ島国。島国である日本と同様に地震が多く発生する国である。様々な民族から構成され、地域言語は300を超え1300以上の民族グループが暮らし、野生の動植物も多く生息しており、生物多様性が豊かな国であり、ヘリ大使は「インドネシアにはコモドオオトカゲという、インドネシアにしか生息しないトカゲがいます。非常に大きなトカゲで、彼らは私たちの宝物です」と述べ、観客の興味を誘った。また、「インドネシアは非常に美しい地域であり、数多くのビーチがあります。日本人の皆さんにはバリ島が人気ですが、その他にも多くの美しいビーチがありますよ」と語った。アフマディ大使は1945年にインドネシアが独立した際の日本との関係についても触れ、「インドネシアは数百年にわたってオランダの支配下にありました。その後3年ほど日本の統治を受けた後1945年に独立を宣言しました。彼らは日本軍と協力して独立の準備を進めたのです。また、独立後オランダとの間で起こったインドネシア独立戦争の際にも日本軍の協力があり1949年に無事独立を認められることができました。日本とのつながりは決して経済面のみではなく歴史的にも深い関係があるのです」と語った。さらに、今後の日本との連携の1つとして労働協力も重要であるとし、「現在インドネシアの人口は2億70万人で、今後2050年には3億10万人になると予想されています。今後ますます人材育成が大切になり、教育という分野では大学同士の協力が重要です」と、大学間連携の重要性を示した。
■伝統文化体験【伝統楽器ガラムン演奏体験と影絵芝居】
インドネシアのジャワ島の音楽・影絵芝居や舞踊を中心に活動しているグループ「スミリール」による伝統楽器ガムランの演奏と、観客の中から代表8人が実際に楽器の演奏体験を行った。ガムランはほとんどが打楽器であり青銅でできた楽器。日本の寺院の鐘も青銅でできており、日本人にとってはどこか馴染みのある音色が特徴的である。楽器体験では1人1つ楽器を担当し、スミリールの奏者に指導をうけながら「Gangsaran(ガンサラン)」という楽曲を演奏した。ガンサランは日本語で「うまいくように」という意味の楽曲。テンポの良いリズムに合わせて客席の観客も手拍子で参加し、会場全体が一体感に包まれにこやかな演奏体験となった。また、ジャワの伝統芸能である影絵芝居「ワヤン・クリッ」は、現地では夜8時から朝4時まで約8時間をかけて上映されるもので、観客は食事や談笑をしながら観る文化がある。今回の影絵芝居の中には山梨県ならではの話題や童話、流行のアニメなど大人から子供までが親しみやすい内容が数多く盛り込まれ、観客は時折笑みを覗かせながら楽しそうに観劇していた。
また、会場の入り口ではインドネシアの物産展が開催され、コーヒー豆などインドネシアの食材や衣類、日用雑貨等が販売されたほか、コモドオオトカゲの実物大フィギュアが観客を出迎え、その大きさとリアルな細部の造りに驚きと興味を示していた。
文(R.Y)、カメラ(小池裕太)2021.10.30