●秋季関東地区高校野球大会1回戦 山学高突破
~拓大紅陵に12得点大勝。選抜にあと1勝~
~前半苦しむも、後半練習の成果打線つながる~
「第74回秋季関東地区高校野球大会」1回戦が10月30日、茨城県水戸市、土浦市で3試合が行われた。東京を除く関東7県、15校が出場するこの大会は来春の選抜甲子園出場校選考の重要な参考資料となる。山梨学院高は2年ぶり秋季山梨大会で優勝し11回目の出場。この大会に最低でも選抜出場の目安となるベスト4の成績を挙げ甲子園を目指す。ノーブルホームスタジアム水戸で行われた1回戦は、千葉2位の拓大紅陵高の先攻で始まった。山梨学院の先発は山田悠希(2年)に託された。2回表、紅陵は四球の走者を左前適時打で1点を先制。3回表にも山梨学院は、二死二塁・一塁の場面に内野失策で満塁のピンチに。続く打者に四球押し出しで1点を献上、0-2とリードされた。ここで継投したエース榎谷礼央(2年)は勢いのあるストレートを武器に相手打線を抑えるとその裏、山梨学院は二死から3連打で1点を返し反撃。その後も好投する榎谷に応え、6回裏には一死から佐仲大輝(1年)の逆転打を含む6連打で5得点を奪い6-2と主導権を握った。さらに7回に1点、8回には鈴木斗偉(2年)のソロ、主将相澤秀光(2年)の3点本塁打で突き放し12-3。規定で8回コールド勝ちを収めた。2回戦は白鷗大足利高と11月2日にJ:COMスタジアム土浦で対戦する。決勝は11月7日で行われる。
■来春の選抜出場を懸けて、関東15校が激突開始―
来春の選抜甲子園出場校の選考の重要な選考資料になる「第74回秋季関東高校野球大会」が10月30日開幕、茨城県水戸市と土浦市で1回戦3試合が行われた。大会には開催県の茨城県から3校、山梨、神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬からそれぞれ2校、計15校が出場する。出場校は今年春の選抜大会で優勝した東海大相模高(神奈川1位)、関東大会3連覇を狙う高﨑健康福祉大高﨑高(群馬1位)、浦和学院高(埼玉1位)、花咲徳栄高(埼玉2位)、木更津総合高(千葉1位)、文星芸大附高(栃木1位)など関東大会常連校が揃った。山梨県からは2年ぶり秋季山梨県大会で優勝した山梨学院高と2位の帝京第三高が出場する。山梨学院高は2019年秋季山梨県大会に優勝、関東大会に県第1代表で出場し準優勝。翌春の第92回選抜甲子園大会に出場する予定が新型コロナウイルス感染防止の影響のため、大会中止という無念から2年ぶり11回目の出場。強豪校と競う。2年ぶりの関東大会出場を決めた秋季県大会終了時に吉田洸二監督は「優勝は狙って取れるほどの実力はないと思いますけどベスト4は狙える実力はあると思っているので全力で、選手の夢なので甲子園は頑張れたらと思っています」と謙虚に話していた。関東大会は短期決戦、守り抜く堅守が基本。いかにミスを無くすかが鍵となる。
■前半苦しむも、後半榎谷の好投でリズムを作り打線が繋がるー
試合は雲一つない青空が広がるノーブルホームスタジアム水戸で午前10時30分に始まった。山梨学院高は春選抜4回、夏選手権5回、甲子園出場通算9回の出場となる拓大紅陵高(千葉第2代表)と対戦した。先発に県大会準決勝の東海大甲府戦で好投した山田悠希(2年)がマウンド立った1回表、先頭打者を塁に出すも後続を締めた。
・2回表、先攻の拓大紅陵は四球・犠打で二塁に進塁した走者を左前打で返し1点を先制。
・3回表一死後、安打と四球の走者を抱え二死を取った山田は、次打者を味方内野の失策で満塁のピンチを迎えた。続く打者に粘られ押し出しの四球を与え0-2とリードされた。山梨学院は抜群のコントロールが持ち味のエース榎谷礼央(2年)が継投、追加点を食い止めた。その裏、山梨学院は二死から2番・進藤天(1年)、3番・岩田悠聖(2年)の2連打から4番・高橋海翔(1年)が中前に弾き返し1点を返した。榎谷はその後も好投を続け、6回表まで勢いのあるストレートを武器に相手打線を散発2安打に抑えた。
・6回裏、山梨学院は猛攻を開始。一死後、5番・主将の相澤秀光(2年)が中前打で口火を切ると、6番・澁谷剛生(2年)がファールで粘った9球目を右前打し、一死二塁・一塁一打同点のお膳立てをした。それに応え、7番・佐仲大輝(1年)が左中間を破る2点適時二塁打で逆転。さらに8番・星野泰輝(1年)が続き、9番・榎谷が中前適時打で1点。1番・鈴木斗偉(2年)が左翼横の適時二塁打で1点を加えた。そして2番・進藤天(1年)があわや右翼越えの本塁打と思われる大飛球を打ち上げ、悠々犠飛となりこの回打者9人で5点を奪い主導権を握った。7回にも1点を重ね7-2とした。
・8回表、好投を続ける榎谷は、拓大紅陵の5番打者・四十住海都(2年)に左翼芝生席に本塁打で1点を失った。その裏、山梨学院は鈴木斗偉(2年)の右翼越えの本塁打、主将相澤秀光(2年)の3点本塁打で12-3と突き放し、ここで規定の8回コールド勝ちを収めた。この試合5回まで手をこまねいていた試合も1番・鈴木が3安打2打点、2番・進藤2安打1打点、3番・岩田2安打、4番・高橋が3安打1打点、5番・相澤2安打3打打点、7番・佐仲3安打3打点など17複数安打12得点で大勝した。
◆山梨学院高VS拓大紅陵高 10/30(土) 茨城・ノーブルホームスタジアム水戸
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
拓大紅陵高 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | |
山梨学院高 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 5 | 1 | 5 | 12 |
※8回コールド
◆山梨学院高
[バッテリー]山田⇒榎谷―佐仲
[投手]山田:投球回数2回2/3 投球数50 被安打3 四球3 奪三振1 失点2
榎谷:投球回数5回1/3 投球数65 被安打3 死球1 奪三振5 失点1
[打撃]山梨学院高=安打17(長打=本塁打:鈴木、相澤 二塁打:佐仲、鈴木、進藤)
四死球1 三振4 失策2
拓大紅陵高 安打6(長打=本塁打1、二塁打1) 四死球4 三振6 失策2
■初戦を戦い課題を修正。選抜目安の次戦の2勝、ベスト4を目指すー
試合後、戦いを振り返って吉田健人部長・コーチは「うちは内野の守備は堅いんですけど、1年生が初めての関東大会ということで乱れたことと、先発の山田が少しバタついた」と開口一番、前半の苦戦を挙げた。継投した榎谷投手について「調子はいいですね。複数の走者を溜めないように配給して行けと伝えておいたので良かった。後半の攻撃につながった」と守りからリズムが出た。選抜出場に向けて「野球なのでどうなるか分からないですけど。2勝でセンバツではなく、今日はベンチでも何とか優勝しようという感じで行けたので、本当にそのくらいの強い志を持ってこれからもやっていきたい」と意気込みを語った。3打数3安打3打点と勝利に貢献した佐仲大輝選手は「前半はみんな緊張して堅くなっていたんですけど、5回終わってキャプテンがみんなにしっかりやろうと声を掛けてそれから自分たちの攻撃ができた」。6回の逆転打を「高目のボールをしっかりたたけ、結果抜けていった」と振り返った。二人の投手をリードして「ピッチャーの有利なカウントになるようにリードを心掛けました。(榎谷選手)調子が良かったので配給しやすかった」と話した。好投した榎谷礼央投手は「初めから今日はリリーフで行くと言われていたんですが、バトンを渡された時がピンチだったので何とか流れを抑えて、こちらに流れを持ってこようという気持ちで投げました」と心の準備はできていた。唯一失点したことに「2ボールからストライクを取りに行った真っすぐを狙われた失投です」と苦笑い。主将としてチームをまとめ上げた相澤秀光選手は「序盤は苦しかったですけどヒットが出ていたので悪い形ではないと思っていたので5回の整備との時に『自分たちはこんな結果になる練習はしてきていない』と声を掛け、絶対点を取れると後半に臨んだ」。6回に猛攻の口火を切り、8回の3ラン本塁打について「後ろに良いバッターが続くのでつなぐ意識で行って結果的にホームランになりました」と話した。これからの試合には「今日の後半の戦いが前半からできればいい結果になるので集中力を初めから出せるように頑張りたい」と闘志を燃やす。
山梨学院高の2回戦は11月2日(火)午前10時30分よりJ:COMスタジアム土浦で白鷗大足利高 (栃木1位)と対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.10.31