●2021全日本学生ホッケー選手権(インカレ)
~山学男女2年ぶりの優勝を目指すも3位に~
~拮抗する上位校の接戦で準決勝惜敗~
「第70回男子・第43回女子全日本学生ホッケー選手権大会」(インカレ)最終日、11月3日、岐阜県各務原市・川崎重工ホッケースタジアムで男女の3位決定戦と決勝戦が行われた。山梨学院大は男女とも準決勝で惜敗し3位決定戦にまわり、女子は前回優勝の立命館大に3-2で勝利。男子も明治大との対戦で1点差を守り切り3位を決めた。初めに行われた女子は第1Q5分、立命館にゴールを決められ先制された。その直後に山梨学院の#19・FW宮崎梨央(3年)がタッチシュートで同点に戻し、さらに3Q前半3分に初のPCから#20・FB金睬潤(3年)がヒットシュートを決め逆転。中盤には6番・FW小林久留海(4年)がリバースシュートで3点目を奪いリードを広げた。追いすがる立命館も1分半後にサークル内の混戦でシュートを押し込み1点差に縮めた。最終4Q、やや劣勢になった山梨学院は立命館の圧力を堅いディフェンスで凌ぐ時間帯が増え、残り15秒、勝利を目前に痛恨のPCを与えるも、必死のクリアとともに終了のフォーンが鳴り3位を確定した。引き続き行われた男子はスコアレスで迎えた第2Q、山梨学院が主導権を握りPCの得点好機を何度も得たものの決め切れず、5本目のPCでようやく#19・FW松本和将(3年)がタッチシュートを決めて先制。その後一進一退が続き、4Qには明治の猛攻に山梨学院のディフェンスがゴールを守り切りそのまま勝利3位を死守した。
全日本学生ホッケー選手権(インカレ)は、前年度ベスト4のチーム、今年の大学王座ベスト4のチーム、全日本大学大会でベスト3,各ブロックから選出された代表チーム計男子24校・女子16校が出場し、学生ホッケー日本一のタイトルを争う。男女各上位4位は、全日本ホッケー選手権の出場権が与えられる。山梨学院男子は過去に5連覇を含め優勝7回、準優勝2回。女子は4連覇、3連覇含め優勝9回、準優勝8回を数え、2016年・2019年には男女アベック優勝を飾っている。男女とも2年ぶりの優勝を目指して大会に臨んだ。
■今年度インカレ、山梨学院準決勝までの成績―
今年度のインカレは10月30日に開幕。山梨学院女子は1回戦同志社大に14-0で大勝。2回戦福井工業大6-0で順調に準決勝に進み、今回優勝した東海学院大(前回3位)と対戦。第1Q速い時間帯に#11・MF大塚美季(3年)がプッシュシュートで先制するも、第3Qに1点、第4Qに逆転されるも、諦めない山梨学院は終了間際の最後の決定的好機を得るもシュートがファールの判定となりここで試合終了。悔しい敗退となった。前回準優勝の雪辱を果たせず3位決定戦に回った。山梨学院男子は、2回戦から登場。初戦中京大に9-0、2戦目の福井工業大に4-1で勝利して11月2日に行われた準決勝で前回王者の立命館大と対戦した。試合は第1Q中盤、立命館に先制を許す。第2Qの序盤、#7・FW川邉皓星(4年)がプッシュシュートで同点に追いついくと、第3Q、PC得た山梨学院はその好機に#5・FB伊藤裕也(4年)が強いフリックシュートで逆転。第4Q、追いつきたい立命館は機動力を生かして優勢に攻撃を仕掛け残り2分、山梨学院はPCを与えてしまい痛恨の2-2となる同点打を決められた。同点で迎えたSO戦。シューター5人が一巡するも決着がつかず、サドンレスになった先攻の立命館がシュートを決め、後攻の山梨学院は相手GKにきっちり守り切られ5-6で敗れた。ここで2年ぶりの優勝の夢は絶たれ3位決定戦に回ることとなった。
■女子3位決定戦。前回優勝・準優勝校の意地を懸けた戦い。立命館大と対戦ー
11月3日、インカレ最終日。岐阜県各務原市・川崎重工ホッケースタジアム上空はすっきり晴れ渡り気持ちのいいホッケー観戦日和となるも、無観客開催のためスタンドには関係者のみの観戦となった。午前9時30分、女子3位決定戦の山梨学院大と立命館大の対戦が行われた。立命館のセンターパスが打たれた。第1Q序盤、激しく互いにボールを奪い合う中、5分、立命館がサークル内に打ち込んだボールに反応した#10の選手がリバースシュートを決め先制すると、山梨学院も2分後、#1・FW高島瑠唯(4年)がドリブルで持ち込んだパスを#19・FW宮崎梨央(3年)がタッチで押し込み同点に戻した。第2Q、立ち上がり4分、山梨学院は相手に攻め込まれサークル内で#3・GK中島理子(4年)が立命館#18と1対1のピンチになるも、中島のファインセーブでゴールを守った。直後には14番・FW高島鈴唯(2年)が決定的なシュートも枠を捉えきれず好機を逃した。第3Qにゲームは動いた。まず山梨学院は序盤4分、この試合初めてのPCを得ると#20・FB金睬潤(3年)が強烈なヒットシュートで逆転。さらに5分後、#5・MFの中込紅莉(4年)が巧みな個人技でドリブルパスを供給。それを受けた#6・FW小林久留海主将が小柄な体を反転したリバースシュートでネットを揺らし3-1と点差を広げた。その直後、立命館は反撃を開始。42分に1点を返した。第4Q、激しい攻防が続く展開に、立命館は残り15秒、PCを得るも山梨学院の懸命なディフェンスに得点を奪えず3-2、山梨学院は逃げ切り勝利3位を守った。
2021年度全日本学生ホッケー選手権 女子3位決定戦 《山梨学院大VS立命館大》11/3 岐阜県・川崎重工ホッケースタジアム |
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○ 山梨学院大 3 | 第1Q 1-1 第2Q 0-0 第3Q 2-1 第4Q 0-0 |
2 立命館大 ● |
得点 山梨学院大:宮崎梨央(第1Q・7分)、金睬潤(第3Q・34分)、 小林久留海(第3Q・39分) 立命館大:五島千那美(第1Q・5分)、竹澤淳子(第3Q・42分) |
試合後、ジョン・シアン監督は「今年は4チームが紙一重でどこが勝ってもおかしくないので、昨日の準決勝はうちが学生同士でやった中では結構いい試合だったので内容的には全然負けている気はしませんでしたけど、勝ちきれなかった。勝負に負けました」と東海学院大戦について話した。今日の試合には「今日も同じような感じですけど、相手よりうちの方がいいホッケーをしていると思うんですけど、こういう一発勝負なので関係ないですね。最後の相手の打ち込みに苦しんで、苦しんで最後まで盛り上げましたね。選手も精一杯の力を出し切りながら今年は一生懸命な3位でした」と苦笑い。決勝点を挙げた小林久留海主将は「決勝には残れなかったけど、気持ちを入れ替えて自分たちができることを楽しんでプレーしようとみんなで話しました。試合の流れ的には苦しい時間も多かったですけど、自分たちを信じて仲間を信じて最終的に勝ちきれて良かったです」とやり切った達成感をにじませた。準決勝敗戦については「4強はほとんど力の差はないと思うんですけど、やはり勢いという面とホームという面で勝ちきれなくて、自分たちのホッケーができていたにも関わらず負けてしまったということです」と少し悔いを残す敗因を挙げた。
■男子3位決定戦。終盤までもつれ込む明治大との接戦をものにー
女子に続き男子3位決定戦が行われた。午前11時30分、明治大のセンターパスで試合は開始された。明治大学は関東リーグや練習試合でたびたび顔合わせるチームで互いに手の内を知り尽くしている。山梨学院は第1Q序盤から積極的に仕掛け相手の反則を誘い、PCを獲得する。第2Qに入り山梨学院の突進力は収まらず、ゴールにたびたび迫るも明治のGKを中心に堅いディフェンスに阻まれ得点に結びつかない。10分、山梨学院この試合5本目のPC。なかなか決まらないPCにメンバーがサークルに集まり言葉を交わした。それはシューターがコースを変え、ゴール前に移動した#19・FW松本和将に合わせるという作戦。松本は思惑通りにタッチして得点を生み出し先制した。山梨学院のセンターパスで開始された後半第3Q序盤、山梨学院のペースで展開されるが中盤、明治の反撃が始まる。ドリブル、ロングパスを使ってサークル内に攻め込み左からシュートを打ち込むも#1・GK山内大輝(4年)がファインセーブした。その後も山内はスーパープレーを見せ、存在感を示した。第4Qに入ると明治はさらに攻勢を強め山梨学院も応戦。一進一退が続いた。残り1分、明治は最後の力を振り絞り1点を追い求めたが山梨学院は凌ぎ虎の子の1点を守り切り勝利。3位を死守した。
2021年度年度全日本学生ホッケー選手権 男子3位決定戦 《山梨学院大VS明治大》11/3 岐阜県・川崎重工ホッケースタジアム |
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○ 山梨学院大 1 | 第1Q 0-0 第2Q 1-0 第3Q 0-0 第4Q 0-0 |
0 明治大 ● |
得点 山梨学院大:松本和将(第2Q・11分) |
試合後、寺本祐冶部長・総監督は「皆、残念な気持ちを抑えながら自分たちのホッケーをしようと臨んだ試合でした。なかなか点が取れなかったですけどもそれなりに自分たちの力を出し切って戦えたと思います」と選手をねぎらった。「インカレは天理大、立命館大、そして山梨学院の三つ巴になるだろうと思っていましたけど、まずは第一関門の立命館には日本リーグで4-2で勝っているので気を引き締めて臨んだんですけど、残り2分で追いつかれて最後は個々の強さでSOで負けてしまった」と残念がった。決勝点となる先制ゴールを決めた松本和将選手は「ちょっとコースを外して相手ディフェンスを外そうと話し合いで決めました」と思惑通りのシュートとほくそ笑んだ。「守備をする時間が長くて苦しい時間帯あったんですけど、山梨学院の守りというかディフェンスを信じて守備をし続けて最後まで失点せずに勝ちきれたのは本当に良かった」と振り返った。沼田空主将(4年)は「昨日は負けてしまったんですけど3位と4位とは違うので、気持ちを切り替えて臨みました。4年生最後の学生の大会ですので優勝して終わりたかったというのが本音ですけど最後勝てて終われたのは良かった」と話した。「あと全日本選手権で日本一を獲る可能性があるのでそれに向けてチームをつくっていきたい」と主将の野望をのぞかせた。
◆《大会最終成績》
男子優勝は、天理大、準優勝・立命館大、3位・山梨学院大、4位・明治大。女子優勝は、東海学院大、準優勝・天理大、3位・山梨学院大、4位・立命館大。本大会の男女上位4チームは11月下旬に開催される「第95回全日本男子ホッケー選手権大会」、「第82回全日本女子ホッケー選手権大会」の出場権を獲得した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.11.4