●「秋季関東地区高校野球大会 準決勝戦
~山学、浦和学院高に延長10回一挙7点決勝へ~
~決勝戦は茨城1位・明秀学園日立高と対戦~
「第74回秋季関東地区高校野球大会」準決勝が11月6日、J:COMスタジアム土浦で2試合が行われた。山梨学院高校は1回戦、2回戦をコールドで勝ち上がり、この日の1試合目に埼玉第1代表・強豪浦和学院高と対戦した。球場には秋晴れの週末とあり多くの観客が集まり熱戦を見守った。試合は山梨学院の先攻で始まった。1回表、1番・鈴木斗偉(2年)が相手投手の立ち上がり2球目を完璧に捉え右翼席運び先制パンチを浴びせた。山梨学院は先発に1・2回戦12回1/3を失点1と好投する榎谷礼央(2年)を立て必勝を期した。榎谷は1回裏、先頭打者を内野安打で出すとパスボール、犠打犠飛で同点とされ、4回裏には死球で出した走者を右翼線を破る適時三塁打で返され逆転を許した。山梨学院打線も5回表に4番・高橋海翔(1年)の適時打で1点を返し同点とした。その後は好投の両チーム投手が要所を抑え1点が遠い展開が続いた。9回同点で迎えた延長10回表、山梨学院は先頭の2番・進藤天(1年)の二塁打で口火を切ると、一死後、4番・高橋の適時打で1点を勝ち越し、そこから相澤秀光主将らの山梨学院のつなぐ野球が火を噴き、四球を挟み6連打。この回7安打7点を奪い一挙に引き離した。その裏、榎谷は浦和打線をきっちり抑え140球の熱投で完投勝利した。決勝戦は明日7日、明秀学園日立高(茨城第1代表)と午前10時から同球場で優勝、神宮大会出場を懸けて対戦する。
■準決勝 浦和学院と9回まで接戦。継投が勝敗を分けたー
山梨学院高の準決勝の対戦相手は、秋季関東大会5回の優勝を誇り今回18度目の出場を果たした浦和学院高(埼玉第1代表)。これまでに春夏甲子園に数多く出場する強豪校。今大会は初戦に向上高(神奈川第2代表)に7-5、2回戦準々決勝で桐生第一高(群馬第1代表)を5-0で下して準決勝に進出した。試合は快晴のJ:COMスタジアム土浦で多くの高校野球ファンが見守る中、今大会初の先攻の山梨学院高の攻撃で始まった。
・1回表、いきなり1番・鈴木斗偉(2年)が浦和学院高先発・金田優太投手(2年)が投じたインコース高めの直球を一振。右翼芝生席に先制本塁打を打ち込み球場をどよめかせた。続いて相手投手の不安定な立ち上がりの連続四球で追加点を狙ったが後続がつながらず得点は鈴木の本塁打1点のみ。1回裏、山梨学院の先発は初戦に好リリーフで勝利に貢献、2回戦では完封の勝利と安定した投球を見せた榎谷礼央(2年)が必勝を期してマウンドに上がった。浦和学院先頭打者に内野安打、次打者にパスボール、犠打・犠飛とそつのない攻撃で1点を失い同点。2、3回にも得点は許さずもボールが高めに浮き四球や良い当たりを打たれ配球に苦しんだ。4回裏には一死後、死球と三塁打で1点リードされた。
・5回裏、山梨学院も榎谷の四球、鈴木の右前打で無死二塁・一塁。進藤が慎重に犠打で送って走者は進塁。一死後、大きな好機に4番・高橋海翔(1年)の投手への強襲内野安打で同点に追いついた。6回から9回までは山梨学院榎谷は徐々に本来の力のある140キロ前半の直球を軸にチェンジアップで要所を締め、浦和学院は好投の金田投手を7回表からエース宮城誇南(2年)に継投。山梨学院打線を抑え延長戦に突入した。
・10回表、先頭打者2番・進藤天(1年)は打席に入る前から苦しい展開を変えようと集中していた。進藤は宮城投手の3球目インコース直球を左翼線に二塁打を放ち、攻撃の口火を切った。次の3番・岩田悠聖(2年)は相手バント守備の間にしっかり進塁打を放ち三塁に走者を進めた。ここで頼れる主砲4番・高橋は1年生ながら主軸に座り、この大会1、2回戦に3安打と打撃好調。この試合でもここまで2安打同点打を打っている。ここで再び好機に打席に入り、期待通り左前適時打で値千金の勝ち越し、大きな仕事をやってのけた。続く5番・相澤秀光主将、6番・澁谷剛生(2年)、ここで浦和学院は再び金田をマウンドに戻したが山梨学院打線の勢いは止まらず、7番・佐仲大輝(1年)、9番・榎谷、1番・鈴木と8番・星野泰輝(2年)の四球を挟んで6連打7安打の猛攻。9回までの投手戦から打って変わり一挙に7点を奪い、9-2と大量リードした。この裏、榎谷は三者凡退140球を投げ切った。
◆準決勝 山梨学院高VS浦和学院高 11/6(土) 茨城・J:COMスタジアム土浦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 合計 | |
山梨学院高 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 9 |
浦和学院高 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
[バッテリー]榎谷―佐仲大輝(1年)
[投手]榎谷:投球回数9回 投球数140 被安打5 与四死球3 奪三振8 失点2
[打撃]山梨学院高=安打13(長打=本塁打:鈴木 二塁打:進藤、佐仲) 四球6 三振3
浦和学院高=安打 5(長打=三塁打1) 四死球3 三振8 失策1
■勝負を決して諦めない頼もしき戦士たちー
試合後、同点、勝ち越し打で気を吐いた高橋海翔選手は「集中が途切れることなく疲れました」と苦笑い。「前半は皆、高めに手を出してしまってポップフライが多く、後半に入って低めと高めのジャッジができ、相手も苦しんだと思います。自分は榎谷さんが抑えてくれると信じていたので、あのチャンスの場面で絶対打つと思っていました」と強い意志を持って打席に立った。つなぐ野球の口火を切った進藤天選手は「今日、自分は当たりが出ていなかったんですけど、あの打席に入る前に“絶対打てる”と自分を勇気づけて打席に入りました。打ったボールはインコース真っすぐ。インコースは得意なので練習通りに打つことができた」と1年生2人が猛打の先陣を担った。榎谷投手には「お疲れ様と言いたいです」と先輩を労った。最少失点で打線の援護を待ったエース榎谷礼央投手は「ピンチの場面で自分が打たれたらもう負けるという気持ちで何としても抑えようと思って投げました。最初は調子が悪かったんですが修正して後半からは良くなり、チェンジアップを上手く使い三振を増やすことができました。10回に大量点を取ってくれたので最終回は気楽に投げることができた」とエースの貫録を漂わせた。相澤秀光主将は「接戦の試合に夏はものにできなくて、接戦に勝てるチームをつくってきたので焦らず落ち着いてできました。最後は勢いで一気にいきましたけど、9回まで榎谷が2点で頑張ってくれて、今日も榎谷が守備からリズムをつくってくれて最後の10回はうちらしい良い攻撃ができた」と振り返った。「あと一つで関東優勝というところまできたので何が何でも勝って優勝したいと思います」と強い意志で明日に立ち向かう。
山梨学院高の2年ぶりの秋季関東高校野球大会の決勝戦は、11月7日(土)午前10時、J:COMスタジアム土浦で今大会の地元、茨城第1代表の明秀学園日立高と対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2021.11.6