●第100回全国高校サッカー選手権 2回戦
~2連覇目指す山梨学院は佐賀東と対戦し0対2~
~山学はポゼッションと堅守を崩せず涙の初戦敗退~
第100回全国高校サッカー選手権2回戦が12月31日に行われ、2年連続8回目出場の前回王者・山梨学院高は埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で佐賀東高と対戦した。試合は序盤から佐賀東がポゼッションサッカーで山学を圧倒。山学は前半3分に高い位置でボールを奪われ、豪快なミドルシュートで佐賀東が先制。その後も佐賀東はハイプレッシャーでボールを奪い、長短のパスを織り交ぜながら山学ゴールに襲いかかる。山学はダブルボランチの谷口航大と石川隼大が中盤で相手の攻撃の芽を摘み、守備から攻撃に転じる。さらに茂木秀人イファインと小島慈央のツートップが縦への動き出しや相手の背後を取り攻撃の糸口を探る。0対1で前半を折り返すと後半は山学がボールを保持する時間が増えてくる。度々ゴール前で好機は生まれるものの決定力不足に泣き、同点弾は生まれず。一方で後半38分、攻撃で前掛かりになっていたところをロングカウンターから佐賀東に追加点を許し、0対2。山学も攻勢を強めたが、佐賀東の堅く粘り強い守備を崩せず試合終了、涙の初戦敗退となった。
県勢初の2連覇に向け、山学イレブンの挑戦が始まった。山学は大会第1シードで2回戦からの登場。この日はグレーのアウェイユニフォームでの試合となったが、サイドスタンドには新デザインのC2C Blueを基調としたビッグユニフォームと横断幕が掲げられ選手を鼓舞。前回大会は新型コロナウイルス感染症対策として準決勝まで学校関係者のみの観戦だったが、今大会はチケットの一般販売も行われ有観客として行われた。学校応援は250人に制限されたが、バックスタンドには登録外のサッカー部員やチアリーダー部、保護者などが山梨から応援に駆け付け、選手を勇気づけた。気温5度、強風吹き荒れる中、2850人の観客を前に、山学のキックオフで試合は始まった。
第100回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 ≪山梨学院高校VS佐賀東高校≫ 2021.12.31 会場:埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 | ||
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● 山梨学院高校 0 | 前半 0-1 後半 0-1 |
2 佐賀東高校 〇 |
■前半序盤に先制を許す
試合は開始序盤から佐賀東がポゼッションサッカーで山学を圧倒。オープニンシュートこそ山学が奪ったものの、前半3分に山学陣内中盤でボールを奪われ、豪快なミドルシュートで先制を許す。その後も佐賀東はハイプレッシャーでボールを奪うと長短のパスを織り交ぜながら山学ゴールに襲いかかる。ダブルボランチの谷口航大(3年 鹿島アントラーズジュニアユース)と石川隼大(3年 GRANDE FC)が中盤で相手の攻撃の芽を摘み、守備から攻撃に転じる。また、茂木秀人イファイン(3年 FC東京U-15深川)と小島慈央(3年 TOKYU sports system Reyes FC YOKOHAMA)のツートップが縦への動き出しや相手の背後を取り攻撃の糸口を探る。さらに、県大会で幾度となく好機を演出した左SH山口宇汰(3年 鹿島アントラーズジュニアユース)もドリブル突破から勝負に出るが、相手の枚数をかけた守備に阻まれ、前線にボールを送れない。前半25分、右CKから右SH長島大翔(3年 TOKYU sports system Reyes FC YOKOHAMA)のシュートなど波状攻撃となったが、佐賀東の体を張った守備で得点を奪えず。36分には右サイドからパスをつなぎ、ボランチ谷口がミドルシュートを放つもGK正面。その1分後には佐賀東に左サイドを崩され、ゴール正面でフリーでシュートを打たれたが、GK山田海人(3年 FC東京U-15むさし)が好セーブ。攻守が激しく入れ替わる試合展開となったが、両校に得点は生まれず0対1で前半を折り返す。
■後半、山学は相手の堅守に阻まれ再三の好機を活かせず
後半は山学の攻撃のリズムが整いボールを保持する時間が増えてくる。後半3分、谷口からのスルーパスをCB保坂好寿(3年 Uスポーツクラブ)が合わせたがGK正面。8分には谷口のミドルシュート、14分にはCB保坂のゴール前へのドリブル突破、18分、谷口のゴール前へのクロス、19分、左SH山口のクロスや石川のスルーパス、21分のFW茂木や小島の連続攻撃など山学は攻勢を強めていたが最後のフィニッシュの精度に欠き追加点を奪えず我慢の時間が続く。一方で38分、攻撃で前掛かりになっていたところをロングカウンターから佐賀東に追加点を許し、0対2。後がない山学は途中出場のDF海野諒太(3年 FC多摩ジュニアユース)のロングスローや前線へのロングボールの供給で攻撃に繋げたかったが佐賀東の堅く粘り強い守備を崩せず試合終了。山学は前回王者というプレッシャーの中、選手権に挑んだが涙の初戦敗退となり、連覇の夢は叶わなかった。
試合後、メディアのリモート取材に応えた長谷川大監督は「非常に残念な結果で、自分の力不足で選手を勝たせてあげられなかった。色々準備はしてきたが、相手に引き込まれてカウンターでやられてしまった。失点をしないことがトーナメントでは大事なところで、開始早々に自分たちのミスから失点してしまい、早い時間に1点ビハインドを背負ってしまった。こちらが攻める場面で引き込まれ、ブロックをされてしまったりしたので、後半のようにボールを動かしながら攻めていく場面を前半から作れれば良かった。結果として最初の1点が大きかったです」と語り、指揮官は悔しさを滲ませた。谷口航大主将は「序盤に失点してしまい、そこから1点取ることができず、そのまま2点目を決められてしまいました。内容では自分たちが押している場面がありましたが、点を取れないという課題の得点力を改善できなかったことが悔しかったです。(相手の)クロスの質や入っていく選手との連携の精度など佐賀東はワンチャンスを完璧にものにしていて、(自分たちは)繊細な所もこだわる所が足りなかったのかなと思います」と試合を振り返り、自身の将来について「大学サッカーは高校と違って全てがハイレベルでスピードもテンポも身体能力も違うと思うので、そういった環境に早く慣れて自分にとって光るものを見つけて、大学でも通用するような選手になりたいです。そして、大学で4年間しっかりと自分と向き合って成長して、プロになって1年目から活躍できる選手になりたいです」と述べ、新たな目標に向け歩みを進めた。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2021.12.31