●山学 秋季関東高校野球山梨県大会2年連続優勝
~高橋の満塁本塁打とつなぐ野球で駿台甲府を下す~
~関東大会に向け課題を修正 2年連続選抜目指す~
「第75回秋季関東高校野球山梨県大会」決勝戦が10月4日、山日YBS球場で行われ、山梨学院高が駿台甲府高に10-4で勝利。2年連続優勝を飾った。試合は正午、山梨学院の先攻で始まった。1回表、四球で出塁した1番星野泰輝を二死二塁で4番高橋海翔の右翼線際のラッキーな安打で先制すると、3回表には連続四死球の無死満塁に再び4番高橋が豪快に左翼スタンドに打ち込み序盤に5-0とリードした。4回には4安打で2点、さらに5回にも5安打2点と小刻みに打線をつなぎ、ここまで9得点。一方の駿台甲府も準々決勝、準決勝、この決勝と山梨学院の先発を担った林謙吾に1回から3回まで無安打無失点に抑えられたが、4回裏に先頭打者がチーム初安打で出ると、続いて二塁打、犠飛、犠打で2点を返した。さらに5回にも四球から安打、犠飛としぶとい攻撃でさらに2点を奪い9-4と迫った。追加点は許されない駿台甲府は6回表、エース平井智大を送った。しかし、つなぐ野球が信条の山梨学院も3番岳原陵河、4番高橋が連続安打で立ち向かい出塁。後続が犠打、犠飛で手堅く1点を奪い10-4と差を広げた。山梨学院は、駿台甲府に4点を入れられた場面で2番手星野泰輝に継投。その後、星野は走者を出すも丁寧な投球で要所を締め無失点に抑えた。優勝した山梨学院が県第1代表として出場する関東大会は埼玉県で10月22日に開幕する。
■2日に行われた準決勝試合経過ー
この試合は、関東大会の切符を懸けた大事な試合。勝てば2年連続12回目の出場となり、3季連続甲子園の道が開ける。試合は、日本航空高の先攻。山梨学院の先発は、準々決勝が初先発の林謙吾(2年)が準決勝の先発のマウンドを託された。その林が1回表簡単に三者凡退で抑える上々の立ち上がり。その裏、山梨学院は1番の星野泰輝(2年)が右越えの先頭打者本塁打で先制すると、二死後、今度は4番・高橋海翔(2年)が左越え本塁打で2点目。相手の出鼻をくじいた。2回には相手バッテリーの乱れに乗じて、9番・伊藤光輝(2年)の犠飛で1点を加え3-0とした。林は3回表、日本航空の攻撃に2本の安打と四球で二死満塁のピンチを迎え、4番打者に右翼線へ2点適時打を打たれ1点差に迫られた。4回は先頭打者の三塁打と四球で一死三塁一塁の場面に、後続をきっちり抑え無得点に凌いだ。山梨学院の攻撃は5回裏に2四球と短打の無死満塁のチャンスに佐仲大輝の犠飛で1点。7回裏には先頭打者2番・進藤天(2年)の左中間二塁打を足掛かりに、続く岳原陵河(2年)の犠打で三塁へ進塁。続く高橋は申告敬遠で出塁。相手福田太一投手(2年)はこれまで走者を執拗な牽制で山梨学院の足でつなぐ野球を最小限に食い止めていたが、高橋に投げた牽制初球を悪送球。自ら墓穴を掘り、進藤が返り5-2と差を広げられた。山梨学院は、6回途中まで走者を出すも2失点と好投した林を中堅手・星野に継投。星野は後続を完璧に抑え、試合を締めた。試合後、吉田健人部長・コーチは「初顔合わせの相手投手が良く、航空は手ごわかった」と快勝とはならなかった試合を振り返った。
■準決勝戦=山梨学院高校VS日本航空高校 10月2日・大会12日目 山日YBS球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
日本航空高 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
山梨学院高 |
2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | × | 5 |
※守備配置図は決勝戦を参照
山梨学院高=林⇒星野 ー[捕手]佐仲
[投手]林: 6回2/3 打者28 投球数110球 被安打4 奪三振4 四死球4 失点2
星野:2回1/3 打者 7 投球数 24球 被安打1 奪三振0 四球0 失点0
[打撃] 安打5《本塁打:星野1、高橋1 二塁打:進藤1》三振1 四球6
[交代]林(投)⇒(投)星野(中)⇒二村仁功(中)
■決勝戦 序盤の高橋の満塁本塁打が試合の流れを決めるー
秋季関東高校野球県大会の決勝戦で山梨学院と対戦する駿台甲府高とは、2019年第72回大会で対戦しており山梨学院が8-5で勝利を収め、2度目の決勝対決となる。試合は正午、山梨学院の先攻で開始された。駿台甲府は、この大会初先発の末木伸幸投手(2年)を立て山梨学院打線と対した。1回表、いきなり二死から四球で出塁した1番星野泰輝を二塁に置いて、4番高橋海翔が右翼手と二塁手が追う小飛球が右翼線際に落ち、ラッキーな二塁打で先制すると、3回表、1番星野から3番岳原陵河の連続四死球の無死満塁に4番高橋が2球目の高め目真っすぐを左翼スタンドに打ち込み序盤に5-0とリードした。山梨学院の先発、林謙吾は準々決勝、準決勝に続き決勝もマウンドを託され、1回裏を三者凡退の上々の立ち上がり。2回、3回も無難に切り抜けた。4回表の攻撃、先頭打者林が右前打。続く伊藤光輝の犠打で走者を送ると、1番星野が三塁前に絶妙なバント安打。これを三塁手が一塁へ悪送球。二塁走者林が本塁に返り、1点。さらに2番進藤天、3番岳原の連続安打で1点を追加した。5回表にも駿台2番手投手から5番佐仲大輝、6番大森燦、7番徳弘太陽の3連打と畳みかけ1点。続けて二死三塁から9番伊藤の適時打で1点を加え、この回まで9得点を奪った。一方の駿台甲府も7-0とリードされた4回裏、クリーンナップの2連続安打と犠飛・犠飛で2点を返し、5回にも林を攻め立て四球、安打、パスボールで得点圏に走者を進め犠飛と適時打で2点を奪い林をマウンドから下した。反撃ムードの駿台甲府は6回表、最速147キロを誇るエース平井智大(2年)を送った。それに対し山梨学院は3番岳原、4番高橋が平井の重い球を弾き返し、続く佐仲の犠打で三塁二塁にすると、6番大森が中犠飛で貴重な1点を加え10―4とした。その後、5回途中からロング継投した星野と平井が投げ合い9回裏、星野が最後の打者を右飛に抑え山梨学院は勝利を収めた。2連続9度目の優勝を飾った。
■決勝戦=山梨学院高校VS駿台甲府高校 10月4日・大会13日目 山日YBS球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 1 | 0 | 4 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 10 |
駿台甲府高 |
0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
山梨学院高=林⇒星野ー[捕手]佐仲
[投手]林: 4回2/3 打者21 投球数64球 被安打4 奪三振3 与四球2 失点4
星野:4回1/3 打者17 投球数64球 被安打2 奪三振2 与四球3 失点0
[打撃] 安打14《本塁打:高橋、二塁打:高橋》三振3 四死球5 犠打・飛5
[交代]徳弘(右)⇒白井琉星(右・2年) 林(投)⇒(投)星野泰輝(中)⇒二村仁功(中・1年) 白井琉星(右・2年)⇒(H)小竹遥斗(右・2年)
■監督、選手の声ー
試合後、表彰式・閉会式を終え球場から出てきた吉田洸二監督は試合を振り返り、「優勝してダメだよというほどのレベルのチームではないんですけど、今日は練習でやっていることが、あまりにも出なかった。大会5試合やったんですけど、正直なところ一番悪い」と不満を口にした。チーム事情について、「これから1年間の課題ですね。出ている子の成長も必要ですし、新しい戦力も必要」と底上げを課題にする。さらに「このチームはセンバツに向けてどうこうではなく、夏に向けてやらなければいけない」と先を見据える。随所で好プレーを見せチームを牽引した進藤 天主将は「このチームの打の中心は、高橋なので周りの選手はとにかく、高橋に回すということが有言実行できたので良かった」。投手に関して、「前のチームに比べて能力的には下がってしまう部分はあるんですが、その中でも投手が点を取られても野手陣がしっかりバッティングで投手をカバーできるように頑張ってきたい」と話した。関東大会に向けて、「今日は勝利することはできたんですが、その中でもミスもあったので、関東大会までに改善して2年連続のセンバツ甲子園に出られるように頑張る」と意気込みを語った。この試合も投手として4回1/3のロングリリーフで勝利に貢献した星野泰輝選手は「野手ではつながる場面で結構打線も繋がっていて良かったんですけど、守備では大会通じて1つエラーが出てしまったんですけど、大会的にはチームもエラーは少なく良かった」と大会を総括した。投手としては「大会で初めて登板でしましたが、結果的には無失点で抑えられたんで自信にはつながった」と投手としても貴重な戦力となった。関東に向け「バッティングでは一番でとにかく出塁してチームに良い流れを持ってくること、ピッチャーでは、いつ投げるかわからないので、準備をしっかりしていつ投げろと言われても良いピッチングができるようしっかり準備をしていく」と話した。序盤で5打点とチームに良い流れをつくった高橋海翔選手は「真っすぐの少し高めのボールでした。航空戦で無死満塁で打てなかったので、今日は打つという気持ちで打席に立った」と本塁打の感想を話した。関東大会では、「昨年は1から9番まで打てる選手が多かったですが、今年は1から5番までが甲子園メンバーで経験が少ないので、そこで自分が打ってチームに勢いつけて頑張りたい」意気込みを語った。
山梨学院は10月22日から埼玉県で開催される関東大会に山梨県第1代表として出場。前回大会準優勝の悔しさを晴らすべく、雪辱を期す。準優勝の駿台甲府は第2代表として出場する。山梨県勢の活躍に期待したい。
文(K.F) 写真(平川大雪) 2022.10.5