●山梨学院短大「第43回木犀の会」
~芸術鑑賞を通じて真・善・美を醸成~
~学生個々が自らの学ぶ姿勢を考える機会~
山梨学院短期大学は第43回木犀の会を10月4日に山梨学院メモリアルホールで開催した。この会は、山梨学院創立者・故古屋眞一初代学院長、故古屋喜代子初代学長の建学精神を学ぶもので、会の名称は、古屋喜代子学長の忌日が、木犀の香りがただよう頃であったことと、謙虚で温かい人柄を偲ばせる花であることから名づけられている。木犀の会は2部構成で進行し、第2部では国内外で活躍する演奏家を招いてのクラシックコンサートが行われた。このコンサート(芸術鑑賞)は「学生が自らの道を切り開くためには、この世にある、あらゆる“真・善・美”に対し、限りないあこがれをもつことが何より大切である」という創立者の思いに基づいている。遠藤清香学長は芸術鑑賞の趣旨を踏まえ「みなさんが山梨学院を母校とし、真・善・美へのあこがれをもって力強く自らの道を切り開いていってくださることを心から願っています」と学生に語り掛けた。学生らは建学の精神や学園の歴史、一流の芸術に触れ、自らのこれからの学ぶ姿勢などについて思いを巡らせた。
第1部 木犀の会にあたって
遠藤清香学長は全学生に対し、木犀の会の趣旨や目的について説明。スライドを使用しながら、これまでの山梨学院の歴史や短大の歩みについて、創立者の学生や教職員に対する思いを引用しながら解説を行った。遠藤学長は「学生が自らの道を切り開くためには、この世にある、あらゆる“真・善・美”に対し、限りないあこがれをもつことが何より大切であり、学生のみなさんが今お持ちの純粋な感性で良いものや美しいものをしっかりと感じ取ってほしい。芸術こそ学生にふさわしいという古屋喜代子先生の教えを受けて木犀の会は毎年芸術鑑賞の日となっています。このあとは世界で活躍する素晴らしい芸術家をお迎えしてのコンサートです。学生のみなさんが山梨学院を母校とし、真・善・美へのあこがれをもって力強く自らの道を切り開いていってくださることを心から願っています」と学生に語り掛けた。
第2部 クラシックコンサート
■ヴァイオリン 三浦章宏氏
東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを務め、ソリストとして国内外のオーケストラ、コンチェルトとの共演、リサイタルなど多彩な演奏活動を行っている
■ヴァイオリン 戸上眞里氏
東京フィルハーモニー交響楽団セカンドヴァイオリン首席奏者として活躍する傍ら、子どものためのコンサート企画「音楽のちから」を結成し、文化庁派遣講師として全国の小学校などでコンサートを企画展開している。
■ヴィオラ 青木篤子氏
第15回宝塚ベガ音楽コンクール、第2回名古屋国際音楽コンクール、第2回東京音楽コンクールでそれぞれ第1位を受賞。これまでにソリストとして東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演している他、室内楽の分野でも幅広く活動している
■チェロ 渡邉辰紀氏
ドイツ・デトモルト音楽院で学び、北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・チェリストを10年間務め、東京フィルハーモニー交響楽団に首席チェリストとして入団。オーケストラはもとより、ソロ、室内楽、国内外のジャズフェスティバル等多彩な音楽活動を行っている。
【演奏曲目】
◆W.A.モーツァルト作曲 セレナード第13番 ト長調 K.525
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第1楽章
◆.ボロディン作曲 弦楽四重奏曲第2番 二長調 第3楽章「ノクターン」
◆F.J.ハイドン作曲 弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 Hob.Ⅲ:77「皇帝」
◆A.ドヴォルザーク作曲 弦楽四重奏曲 第12番 へ長調 op.96「アメリカ」
◆E.W.エルガー作曲 「愛の挨拶」op.12
木犀の会終了後、食物栄養科パティシエコース2年生の石橋未希さんは「普段クラッシック音楽に触れる機会はなく、聴いている音楽のジャンルも違うのですが、演奏者の方たちが創り出す音楽に凄く心が動かされて、新鮮な気持ちになりました。今までも学校に通うことが楽しかったのですが、山梨学院ができた背景や歴史を知ることができて、この学校に通うことができて良かったなと凄く感じました。その気持ちを忘れずに残り半年間、勉強に励んでいきたいと思います」と話し、卒業後は洋菓子店への就職が決まっており「音楽とお菓子作りはかけ離れているように感じますが、感動や人の心を動かすという点では共通しているので、人の心を動かすことができるケーキ作りを目指していきたいと感じました」とパティシエとしての目標を語った。
また、保育科2年の白井愛美さんは「普段J-POPを聞いているのですが、テレビやスマホ等の媒体を通していない音楽を聴くのは初めてだったので、すごく衝撃を受けて、4本の弦で奏でているとは思えないほど迫力のある音や繊細な音が聴けて凄く貴重な経験になりました。今までも音楽のある生活をしていましたが、きょうの演奏を聴いて感じるものがあったので、今後に活かしていきたいです」と話した。卒業後は専攻科保育専攻への進学が決まっており「将来、児童相談所などで子どもに関わり、子どもの心に触れる仕事に就きたいと考えています。音楽は心を癒してくれる一つだと思うので、子どもたちに音楽の楽しさや素晴らしさを感じてもらえるように音楽を心の隅に置きながら残りの短大での学びを深めていきたいと思います」と将来に向けての目標を語った。
10月に入り、キャンパス南側の金木犀、銀木犀も満開を迎え、高貴な甘い香りを漂わせている。木犀の会は、古屋喜代子学長が亡くなられた翌年1980年から毎年この日に開催され、約40年以上に渡り脈々と継承され、学生の心の醸成の機会となっている。
文(Y.Y)、カメラ(藤原 稔)2022.10.4