山梨学院広報課

HOME

山梨学院パブリシティセンターニュースファイルイメージ画像

●《インタビュー》山学高・斉木さん算数オリンピック表彰式で名誉ある講演
~小学1年から挑戦し続け好成績が認められた~
~入賞者に算数・数学の魅力・面白さを熱く伝える~

去る8月21日、国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、7月に行われた第31回算数オリンピック大会の表彰式が行われ、この大会で活躍したOBである山梨学院高校特進コース2年の斉木崇希さんが講演を行った。斉木さんは小学校1年生から中学校卒業まで算数オリンピックに挑戦し続け各部門で優勝など好成績を収め、これまでの表彰実績により算数オリンピック委員会から依頼されての講演となった。表彰式では算数オリンピックに出場した小・中学生総勢1231人の選手の中から入賞した88人を前に、著名な数学者のピーター・フランクル氏に引き続いて登壇。幼少期から挑戦し続けた算数オリンピックへの思いや勉強方法などの取り組み、実際に問題を出題して解き方など算数・数学の面白さを30分にわたり熱心に伝えた。今回、算数・数学に対して限りない可能性や自分への夢を抱く斉木さんに算数オリンピックとの出会い、これまでの大会への道のりや今回、講演者に抜擢された思い、次のステップの数学オリンピックへの挑戦。将来の目標などを語ってもらった。

斉木崇希さん(さいき そうき 山梨学院小学校・中学校卒業。現在、山梨学院高校特進コース2年生 17歳)甲州市塩山在住 両親とそれぞれの母親、姉、本人の6人家族。

■算数オリンピックとはー
算数オリンピックとは、小・中学生の才能発現の場となることを目的に開催される算数と数学のイベント。地球上のすべての子どもたちが、算数という万国共通の科目で思考力と独創性を競う大会でフィールズ賞受賞者であり世界な数学者・広中平祐氏により提唱された。
1992年に第1回大会が開催され、以後毎年開催されている。養われる3つの能力として①柔軟な思考が身につく②忍耐力が身につく③中学受験で出題される難問への耐性が身につくーなどの理由で大会への出場者が多い。(算数オリンピック大会委員会より抜粋)

■斉木さんの算数オリンピックでの成績ー
算数オリンピック委員会から斉木さんへの講演の依頼は、算数オリンピック大会5種目中の4部門でこれまで優勝はじめ上位入賞の好成績を残したことによるもの。
〇算数オリンピック(小学6年生以下対象)          3位:小学6年時
〇ジュニア算数オリンピック(小学5年生以下対象)      2位:小学4年時
〇算数オリンピック キッズBEE大会(小学1年~3年生対象) 優勝:小学2年時
〇広中杯 全国中学生数学大会(中学3年生以下対象)  3位:中学2年時
〇ジュニア広中杯 全国中学生数学大会(中学1・2年生対象) 本選敗退:中学2年時

■算数オリンピック表彰式での講演ー
斉木崇希さんは,依頼を受けた時のことを、「率直に驚きでした。こんなに大きな仕事を頼まれ、うれしい気持ちもありましたが、本番で失敗したらという不安がありました」と複雑な心境を振り返った。講演は、今年7月に3年ぶり(2020年度中止、2021年度はWEB開催)に会場で開催された「第31回算数オリンピック大会」の表彰式で行われた。総勢1231人が出場した大会から入賞者88人が出席。8月21日、東京・代々木国立オリンピック記念青少年総合センターで実施された。表彰式に先立ち行われた講演には、数学者で算数オリンピック大会専務理事のピーター・フランクル氏と斉木崇希さんが講演者として招かれ、ピーター・フランクルさんの後を引き継いで斉木さんが登壇した。十分準備したつもりだったが緊張感はすごかったという斉木さんは「偉大な人の話が素晴らしいものなので自分の話がつまらないものだと思われるのが不安で非常に怖かった」と明かす。気を落ち着かせ登壇した斉木さんは、自分がやっていた勉強法、高校の物理・化学の問題を算数の知識を使い回答できると分かりやすく説明したり、今の数学界の謎とかについて説明した。また、実際に問題を出題して算数・数学の面白さを伝え、講演は30分にわたった。斉木さんは「答えは一つであっても、それまでの道のりはいくつかあるので一つの方法ができたからといって満足することなく、いろいろな方法を考えて解いてほしい」と入賞者に伝えた。

■斉木崇希さんと算数オリンピックのこれまでの歩みー
斉木崇希さんと算数オリンピックの出会いは幼稚園時代に遡る。母親が算数オリンピック大会の専務理事である数学者のピーター・フランクル氏と知り合いだったことからからこの大会の出場を進められて小学校1年の時に初めてキッズBEE大会に出場した。この時は予選で敗退したが、2年の時には挑戦2年目で優勝を飾り、算数の面白さに引き込まれた。斉木さんの才能は、言葉より数字を覚えるのが早いというエピソードに表れている。以降、毎年対象学年ごとのカテゴリーに挑戦し続け、2019年、中学2年の時には広中杯全国中学生数学大会で3位に入るなど好成績を残してきた。また、同年に高校生までを対象にした「第30回日本数学オリンピック」にも挑戦し、予選を通過し、数少ない中学生で国内ファイナリストに残ったものの、ここでは惜しくも日本代表は逃した。これらの実績により同年10月に甲府市が選ぶ中・高校生を対象にした甲府市次世代大使にも認定されている。ここまでの活躍を残し続けてきた算数オリンピックとの関りを斉木さんは「今17歳ですけど、幼稚園の頃も含めれば15年以上算数オリンピックに接していたので、今までの人生の大半を一緒に過ごしてきた、切っても切れないもの。心のふるさと」と表現した。また、昨年高校1年生の時には、全国物理コンテスト「第17回物理チャレンジ2021第2チャレンジ」において奨励賞を受賞するなど物理・化学も好きな科目に挙げている。算数・数学の魅力は、「物理、化学の中には算数数学を応用したものが多かったりするので、実生活でも応用して考え使えることができると思っているのでそこが魅力」と話す。数学オリンピックに挑戦している現在は、「予選通過して本選までで止まっています。問題もかなり難しくもっと頑張らないといけない」と、これからも国際数学オリンピック優勝を目指し挑戦の日々は続く。斉木さんは勉強時間を学校以外に平日6時間、休日10時間を充てている。その半分を数学オリンピックに割く多忙な日々の息抜きは趣味の鉄道。今はコロナの影響で旅行はできないが、雑誌やインターネットで仮想旅行を楽しむ。

最後に改めて、算数オリンピックを目指している後輩たちに一言。「算数オリンピックには難しい問題もありますし、それによって自分も諦めようと思ったこともありますが、その中でも粘り強く取り組んでもらって最終的には、算数の面白さを見つけてもらえたらうれしい」とエールを送った。自身の将来の夢を「現時点では医学の道を目指し、臨床ではなく生命科学研究に進みたい」と前を向いた。

文(K.F) 資料写真提供:算数オリンピック委員会  カメラ(平川大雪) 2022.10.7