山梨学院広報課

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●関東大学テニスリーグ 入れ替え戦
~台風14号による中断をはさみ20日がかりの戦い~
~山学大テニス部苦難を乗り越え14年連続1部~

苦しい戦いだった。コロナ禍で2年連続中止され、3年ぶりに開催された2022関東大学テニスリーグ。山梨学院大テニス部女子は6校で争う1部リーグで苦杯の連続だった。最終戦の明大戦でようやく初勝利をあげ、1勝4敗の5位となり、東京国際大との1部2部入れ替え戦に臨んだ。山学大は2010年に最短最速で1部に昇格して以来、ここまで13年連続(中止2年を含む)1部の地位を保ってきたが、今年は、創部最大のピンチに立たされていた。しかも、9月19日一日で決着する予定の入れ替え戦は、台風14号の雨により中断を余儀なくされた。他の大会と日程が重なり、最終的に栃木国体後の10月8日に残り試合を行う20日がかりの入れ替え戦となった。
 
関東大学テニスリーグ女子は、ダブルス2試合とシングルス5試合の成績で勝敗を競う大学対抗団体戦。例年9月上旬に短期決戦で開催されるが、新型コロナにより一昨年は中止、昨年はトーナメント戦に変更された。リーグ戦の開催は3年ぶり、1部女子は8月29日から9月10日までの間に6校総当りで戦った。山学大はエースの千原菜歩(4年)が夏関で負傷し不十分な状態でリーグ5連戦を戦った。初戦の筑波大戦(0-7)、2戦目の早稲田大戦(1-6)、3戦目の亜細亜大戦(3-4)、4戦目の慶応大戦(0-7)、チームは苦杯を喫し続けたが最終戦の明治大戦でようやく初勝利(5-2)をあげ最下位を免れた。入れ替え戦のコート選択権は1部校にあり、1部5位の山学大は2部2位の東京国際大をホームの横根テニス場に迎えてラストゲームを戦った。
 
入れ替え戦も、また、苦しい戦いだった。9月19日にダブルス戦が始まったのだが、D2狐塚理子(4年)・ 千原菜歩(4年)組は、6-7、2-6で敗れた。D1原田真実子(4年)・ 本田恵琉(3年)組は第1セットを4-6で落としたが、第2セットを7-6で奪い返し、ファイナルセットに持ち込んだ。ここで、台風14号による雨が試合を遮り、中断を余儀なくされた。再開を探ったが天候は回復しなかった。大会規定では、可能な限り翌日に試合を続ける規定になっているが、翌日の20日はさらに大雨となり再開できず、大会本部はD1のファイナルセットと、シングルス5試合を後日に行うことにした。個人戦の大会や国体と重なり日程は延び延びになり、残りの試合は最終的に栃木国体後の10月8日にようやく再開される異例の入れ替え戦となった。


 



























山学大は、粘り強かった。10月8日の午前10時から再開されたD1原田・本田組VS大坪・星野(妹)組の戦いは非常に苦しかった。ファイナルセット第10ゲームであと1ポイント落とすと敗れる土壇場まで追い詰められた。2人はそこから耐えに耐えた。相手の3度のアドバンテージを跳ね返した末に5-5に戻し、次の2ゲームを連取して7-5と大逆転勝利した。ダブルス戦を2連敗で終わるのと1勝1敗タイで終わるのでは天と地ほどの差がある。この逆転勝利が、シングルス戦に好影響を与えた。
 
昼前から始まったシングルスの戦いもまた、誰もが粘り強かった。どの選手の試合も序盤は相手にリードされる展開となったが、そこから皆粘り強さを発揮した。まずS3の渡辺寧々(3年)が6-4、6-1で勝利。次いでS5の長谷川優衣(3年)が7-5、6-4で勝って王手をかけた。勝利を決めたのはS4の新星中川原凛(1年)だった。7-5、3-6、7-5で接戦を制しチーム勝利を勝ち取った。S2狐塚理子とS1木塚有映(3年)の戦いは、チーム勝負が決まった段階で途中打ち切りとなった。振り返ると、どの試合も途中までは苦戦だった。山学大の選手はいずれもスタミナが相手選手を上回っていたように見えた。練習量の差が勝敗の差になったような戦いだった。足掛け20日間の戦いの末にチームは東京国際大を下し、最短最速昇格から一度も2部に落ちることなく14年連続1部校を勝ち取った。
 
最後のエール交換、円陣を組んだ両チームは「フレー、フレー、東国」、「フレー、フレー、山学」と相手チームの健闘を称えた。円陣の後、山学の4年生は、責任を果たしホッとしたのだろう、全員が瞳に涙を湛えて後輩たちに胸の思いを語った。エストテニスクラブでテニスを始め、山学高から山学大に進み、7年間山梨学院のテニス部を支えてきた狐塚理子さんは「総監督、監督、三好コーチ小さい時から育てて頂いてありがとうございました。大学の4年間は乗り越える壁が多くて何度も逃げたくなったんですけど、逃げたら何もかも台無しになってしまうと思って今日までやってきました。リーグ戦で貢献できなくて申し訳ないけど、みんなが頑張ってくれて残留することができました。ありがとう、来年は王座を目指してください」と後輩たちにエールを送った。千原菜歩さんは「最後の大事な時にケガをしてしまって、シングルスに出れない状態になってしまったけど、みんなのおかげで1部に残ることができて、とても嬉しく思っています。早くケガを治して冬の大会には出ようと思っています。後輩たちと練習して最後まで走りぬきたいと思っています。今までありがとう」と溢れそうになる涙をこらえていた。原田真美子主将は「山学に来たから、思い切り大好きなテニスに取り組むことができました。思い描いていた結果は全然残せなかったけれど、みんながいたから自分は頑張れたし、腐ることなく粘り続けてこれたと思います。最後にチーム勝利を味わうことができて、キャプテンをやってきてよかったなと思います。みんなもいいことばかりじゃないと思うけれど、やり切ってよかったと思う時が絶対に来るので、頑張ってください」と声を詰まらせながら後輩たちに語りかけていた。
 
今年の山学大テニス部女子は、4人の4年生がチームをまとめ、下級生も力を合わせて一部残留を勝ち取った。ただ、チームの目標は一部に残ることではない。一部上位2校に与えられる“王座”(全日本大学対抗テニス王座決定試合)に進出することがチーム目標。2014年に尾崎仁美、久次米夏海、本郷未生、寺見かりん、の4人で王座準優勝を勝ち取ったが、そのあとは王座の道から遠ざかっている。今年は5位に留まったが、他の1部チームとの間に大きな差があるわけではない、その差はわずかだ。4年生の思いを受け継いだ3年生以下の後輩たちは、この秋から、王座に向かう努力の道を踏みしめて行く。
文・カメラ(M.Ⅰ)2022.10.10