●山学高生が中国伝統の「中国武術/気功」を堪能
~山梨学院大学孔子学院 中国文化イベント~
~中国武術の奥深さに触れ一段と中国に興味・関心~
山梨学院大学孔子学院は10月11日、中国悠久の歴史を持つ、「中国武術/気功」の公演を山梨学院高校で行った。2019年に開設した山梨学院大孔子学院が翌年4月から山梨学院高進学コースを対象に週2回の中国語授業を開いて中国文化への理解促進に努めており、これまでに毎年一度、文化交流イベントが実施されてきた。1年目は「楊琴」、昨年は「変面/京劇」、3年目の今年度は著名な中国武術家・李志明老師を招き、「中国武術/気功」が披露された。公演は、同校体育館でコロナ感染防止のため進学コースを2部制にして実施された。前半は刀、鞭の両方の武器を使った「刀里鞭」、次におなじみの太極拳のゆったりした優美な動きの中に武術を取り入れた「太極剣」。続いて縄と短剣を操り敵と戦う「縄縹」という3つの武術が演じられ、目の前で繰り広げられる技に生徒は固唾を飲んで見入った。後半は、心身のバランスを図る方法として日本人にも知られる「気功」が紹介された。初めに気功と武術を組み合わせた神技では、生徒をステージに上げて実演。中国武術の不思議さで会場を沸かせ、また、気持ちを整える方法などを参加者全員で体験するなど中国文化の奥深さの一端に触れていた。
今回の中国文化イベントは、山梨学院大学孔子学院が山梨学院高校進学コースを対象に中国文化への理解促進を目的に2020年度から行われてきた文化交流イベント。1回目の「楊琴」、2年目「変面/京劇」、そして今回の公演が3回目となる。今年度の「中国武術」は生徒たちのアンケートによる要望で上位に挙がった中国料理、中国茶、中国武術の中から選ばれた。主催した山梨学院大学の孔子学院とは、中国政府が「国際的な中国語教育制度の開発・整備。中国文化に対する世界各国との相互理解と友好関係の促進」を目標に推進する国際的プロジェクトで中国の大学と現地の大学等が提携して運営する教育機関である。日本で15校目となる山梨学院大学孔子学院では、2019年度の開設以降、中国語や中国文化の理解促進のための語学講座や文化講座を開講している。通年講座に加え、毎年「孔子学院の日」には文化交流イベントを開催している。今回の公演に携わった山梨学院大学孔子学院事務局長・細萱和寛さんは「今、GDPでも世界第2位を誇る中国に関わることで世界を見てもらいたいということで始めて3年目となり、生徒さんもようやく中国語にも慣れてきました。イベントは生徒さんにも好評で長い歴史を持つ中国文化をこういったイベントを通してさらに理解を深めてもらえればと思っています」と話した。
■中国悠久の歴史の中で育まれた中国武術と気功に触れるー
山梨学院高校進学コースを対象にした公演は、新型コロナウイルス感染防止を受けて2部制として実施。5時限目、6時間目の授業を振り替えて体育館で行われた。公演に先立ち吉田正校長は「こういう機会は中国の文化を知ろうと設けられました。君たちの文化は中国の人たちも学んでいます。私は中国の高校に行きましたけど、日本の物が置いてあったりして、それを勉強したりしていました。君たちのことを知ろうとする学校もあるし、逆に君たちは中国のことも深く知ろうとして仲良くしたいという思いはたくさんあると思います。中国から伝えられたもの、逆に日本から伝えたものもたくさんあります。お互いにそういうことを知っておくことが大事です。この機会にぜひ中国4000年の長い歴史の中から生まれたものを知る機会として楽しんでください」と挨拶。いよいよ公演が始まった。紹介されステージに上がったのは中国武術家として著名な李志明老師。北京体育大学、広州体育大学卒、中国武術、気功理論を専攻。中華人民共和国体育「運動賞章証者」を受賞。中国全国武術大会「男子伝統項チャンピオン」など輝かしい受賞歴を持ち、中国国家級武術審判員。日本武術協会中国武術国際師範など多方面で活躍。武術における気功などのほか、各種健康法も教授。広く中国伝統文化を伝える活動をしている。
■著名な中国武術家の神技に生徒らは驚嘆―
中国特有の音楽のメロディーに乗って登場した李志明老師は、ゆったりした動きで刀と鞭をの武器を持ち、演武を舞うと打って変わり両方の武器で素早い攻撃と防御の型を次々と「刀里加鞭」の技を披露。続けて穏やかに流れるような優美な姿が特徴の太極拳。その技に武器の刀を使った「太極剣」は、静から動への変化の速さを中国武術の神髄を見せた。次に見せたのは「縄縹」という3~5mの長さの縄に短剣を棒状につけた武器での技。李老師はステージから降り、生徒に本物か確認させ華麗な演武を展開した。これら3つの中国武術のすごさに生徒たちは目を見張った。後半に入ると、演目は古くから中国の人に心身のバランスを図る方法として親しまれてきた気功を実演。初めは、ゆったりした流れに優美な動きの太極拳の中に武術を取り入れた「太極剣」。3~5mの縄の先に手裏剣が付いた棒を操る縄縹の3つの武術を披露。後半は、古くから中国の人に心身のバランスを図る方法として親しまれてきた気功を実演。良い『気』を留めて体に巡らせて邪気を追い出し、心と体の安定を得ると言われる気功は武術の太極拳でも『気』を使い、槍を喉で受ける危険な神技と言われる「硬気功法」を披露した。ステージに生徒数人を上げ、槍が本物かなどをユーモラスに演出。会場を笑いと拍手で沸かせた後、危険な大技を見せた。李老師が槍を喉で受けて生徒が持つ槍に体重を乗せると槍が曲がった。その刹那、会場は静まり、直後に大きな拍手が沸き起こった。中国悠久の伝統、中国武術のすごさを見せた。引き続き、誰でもできる健康法としての「軟気功」を参加者全員で体験、李老師に従ってゆっくりと身体を動かした。最後に生徒有志がステージに上り、護身法や中国武術特有なポーズを取って公演を終了した。生徒たちは短い時間だったが中国文化の一端に触れ興味・関心を広げていた。
終了後、挨拶に立った山梨学院大学孔子学院・熊達雲学院長は「今日は短い時間でしたが、今までテレビや映画でしか見られなかったものを現場で見て、皆さんはそのパワーを感じたと思います。今年は中日国交正常化50周年になります。これからも中国と日本はさらに密接に付き合い、お互いにその文化を知り合い相互理解を深め、両国の平和と友好・発展のために一緒に頑張っていきましょう。今日はありがとうございました」と述べた。終演後、李志明老師に花束を贈呈した2年生の井上希さんは「普段の授業では学べないことがこの機会で学べたのでとても貴重な体験になりました。昨年見た「変面」も面白かったですが、今日の中国武術に興味を持ちました。やはり本場のものはすごいなと感じました」と話した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.10.12