●2022年度全日本学生柔道体重別団体優勝大会
~女子、主力2人を欠く大会に苦戦。2回戦敗退~
~敗れはするも、次につながる戦いができた~
「2022年度全日本学生柔道体重別団体優勝大会」が10月15日開幕。全国の大学男子53校、女子25校が兵庫県尼崎市ベイコム総合体育館に集結した。1大学1チーム7人制、トーナメント方式で大学日本一を争う大学対抗戦で16日までの2日間、選ばれた精鋭たちが母校の名誉懸け技を競った。大会1日目、男子は1回戦から3回戦まで、女子が1回戦から3回戦の準々決勝戦までが行われた。山梨学院女子はこの大会、主力の高橋瑠璃、古賀若菜が欠場する事態にも残りの選手が全力を尽くした。試合は1回戦から強豪の国士館大とぶつかった。先鋒、次鋒と続けて一本負けを喫する悪い流れの中、4人目中堅・布谷咲花、続く三将・多田純菜が一本勝ちで同点に追いつくも後続で決着がつかず、男子に続き女子も代表戦にもつれ込んだ。代表戦は副将の瀬戸美咲が返し技で粘り勝ち、男子に続いた。2戦目は台頭著しい桐蔭横浜大との対戦。先鋒の森心晴が幸先良く合わせ技で勢いをつけたが続く次鋒、五将が敗れ逆転されると、頼りの三将・多田が気迫の合わせ技で再び同点にし、後に託した。期待された副将・瀬戸は途中、負傷棄権で手痛い敗戦。ここで2勝3敗となり勝利は潰え、ベスト16で大会を終えた。
全日本学生柔道体重別団体優勝大会は、全国9地区から男子53大学、女子25大学が一堂に集結。男女とも7階級1大学1チーム7人制でトーナメント方式により大学日本一を争う対抗戦。山梨学院大柔道部女子は前回の13回大会まで、女子は2回の優勝。準優勝2回、3位は4回と2020年の中止を挟んで7回の上位表彰を受け強豪校の名をほしいままにしてきたが2018年10回大会3位を最後に、コロナウイルスのため中止になった2020年を挟み、2019年、2021年ベスト8となり、決勝戦からは遠ざかっている。6月行われた全国学生柔道優勝大会(5人制)でもベスト8、個人戦では実績のある選手を抱えるが団体戦で苦戦をしている。近年は年々各チームの力が拮抗してきており、小さなミスでも蹴落とされる群雄割拠の様相を呈してきている。今回の大会はさらに、勝利の計算ができる主力の78㎏超級の高橋瑠璃(4年)がウズベキスタンのタシケントで開催された世界柔道選手権大会(10月6日~13日)男女混合団体戦出場(70㎏超級)のため欠場し、さらに今年7月のグランドスラム・ザグレブで銀メダル、8月のアジア選手権で金メダルを獲得した48㎏級の古賀若菜(3年)が調整不足のため欠場。2枚看板の抜ける事態での大会となった。
◆1日目女子1回戦《山学大VS国士館大》10/15 兵庫・尼崎ベイコム総合体育館
山梨学院大(2勝2敗3分け/代表戦勝利)
先鋒78級 | 次鋒63級 | 五将52級 | 中堅48級 | 三将70級 | 副将78超 | 大将57級 | |
山学大 | 森 心晴② | 新井風花④ | 塩原未々① | 布谷咲花④ | 多田純菜④ | 瀬戸美咲① | 西尾果連④ |
●合わせ技 | ●合わせ技 | 引き分け | 〇合わせ技 | 〇腕挫十字 | 引き分け | 引き分け | |
※代表戦:副将78級超・瀬戸美咲=返し技 勝利 |
※〇中数字は学年
1日目、女子の試合は午後3時45分から始まり、山梨学院は1回戦、強豪と国士館大と対戦。先鋒の78㎏級・森心晴(2年)は先に仕掛ける積極的な攻撃で相手に圧力を掛けるが反転攻撃の末、技あり・寝技の合わせ技で敗退。次の次鋒・新井風花(4年)も合わせ技と続けて一本負けを喫する悪い流れの中、3人目五将の1年生の塩原未々が引き分けつないだ。期待に応えた4人目中堅・布谷咲花(4年)は終始優勢に試合を進め合わせ技で勝利。続く多田純菜(4年)も技ありから強烈な腕挫十字固の1本勝ちして同点に追いついた。続く副将の78㎏超級・1年生ながら積極的に攻め続け引き分け。同点で迎えた大将戦は、4年生の西尾果連は母校の名誉を懸け必死に粘るが引き分け、男子の初戦と同じく代表戦となった。代表戦はくじ引きで選ばれた78㎏超級。瀬戸美咲(1年)は、副将戦で引き分けた相手と力対力の組み合いの中で、相手の動きから一瞬の返し技で1本勝ちを収め、欠場の高橋の穴を埋めた。苦しい試合の末、勝利を手にした。
試合後、選手を集めて関根健寿コーチは「今は点数で言えば負けていた。だけど仲間が取り返してくれて最後美咲(瀬戸)の代表戦になったけど、試合前に言ったように男子も苦しい戦の中で代表戦になって、やっと勝って次につながっている。勝っても負けても次につながる試合をしてほしい。みんなもそれができたから次に進める試合ができた。それを改めて心に刻んで自分を信じ仲間を信じて次に進もう」と発破をかけた。そして臨んだ台頭著しい桐蔭横浜大との対戦になった。
◆1日目女子2回戦《山学大VS桐蔭横浜大》 山梨学院大(2勝3敗2分け)敗退
先鋒78級 | 次鋒63級 | 五将52級 | 中堅48級 | 三将70級 | 副将78超 | 大将57級 | |
山学大 | 森 心晴② | 山本景偉③ | 塩原未々① | 布谷咲花④ | 多田純菜④ | 瀬戸美咲① | 渕田萌生④ |
〇合わせ技 | ●裏投げ | ●合わせ技 | 引き分け | 〇合わせ技 | ●負傷棄権 | 引き分け | |
2回戦の相手も台頭著しい手強い桐蔭横浜大。山梨学院先鋒は森心晴が技あり2本の合わせ技を決め、幸先良いスタートを切ったが、次鋒の山本景偉(3年)が裏投げ一本、五将・塩原が合わせ一本負けを喫し1-2敗と逆転されたた。その後、中堅・布谷咲花(4年)の引き分けを挟み、三将の多田純菜が開始早々に素早い足技での技ありを奪うと、さらに圧力を掛け追い詰めた。時間が無くなった終盤、再びキレのいい内股で技ありを決め合わせ一本で同点に追いついた。次の副将・瀬戸、大将・渕田萌生(4年)に逆転勝利を託した。1回戦の代表戦でチームに勢いを呼び込び、期待された瀬戸は序盤から相手の圧力にあらがい必死に耐えてきた残り1分。左腕を痛め、まさかの棄権で反則負けを取られた。ここで山梨学院の敗退が決まったが、大将の渕田萌生(4年)は学生最後の大会で勝利を掴もうと果敢に勝負にこだわり奮闘を見せるも、引き分けた。2勝3敗2分け。山梨学院女子は準々決勝に進めず、今大会はベスト16で惜しくも終わるも、強豪校として来年の復活に期待する。
試合後,西田孝宏部長は、負けはしたものの健闘した選手を前に「正直言って、ここまでの試合ができると思わなかった。どうなるかと思った。主力の高橋も古賀もいない、将棋で言えば飛車角がない状況で4年生も下もよく頑張ってくれた。負けたけれども山梨学院はそう簡単には負けないという、しぶといという柔道を見せられた。来年が楽しみ」とみんなを労った。関根健寿コーチは「主力がいない中で戦うということはチームとして力を合わせないで勝つことはすごく難しいことで、主力がいたとしてもまとまっていないと勝てないし、勝ということを今日は痛いほど学んだ。ただ今日の試合を見ていた中で次につながる試合が多かったことは確か。それだけは誇りを持って胸を張って次みんなで頑張ろう。このままでは終われない」と再起を促した。多田純菜副主将は「4年生が主力のメンバーだったので後輩にプレッシャーを与えないように4年生が絶対1本取って来るというのを目標にやってきて、その通りにはいかなかったですけど、最後いい形で学生生活を終えられたかなと思います。自分が1年生の時には先輩たちが強くて、結果的には(成績)落ちているんですけど、次の後輩が頑張ってくれるのを信じてバトンを渡したい」と静かに語った。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.10.17