●第102回全国高校ラグビー山梨県予選1回戦
~山学高復活2年目、地力をつけて笛吹を圧倒~
~鍛え上げられた技術と身体で頂点を目指す~
昨年、15年ぶりに復活した山梨学院高校ラグビーが聖地・花園を目指して躍動した。10月29日、「第102回全国高校ラグビー山梨県予選」が南アルプス市御勅使南公園ラグビー場で開幕した。7チームで争われる大会は、この日、第1シードの日川高校を除く、1回戦3試合が行われた。山梨学院高は第2試合目、正午丁度から笛吹高校と対戦した。笛吹高校とは昨年も1回戦で対戦し17-3で破っている。試合は、笛吹高校のキックオフで始まり、山梨学院は8分、左サイドに繫いだボールを留学生#13ジョサイアが左隅に、この試合初のトライで5点を先制すると、ようやく選手の堅さが取れ、フォワード、バックスの連携が機能し始めた。フォワードが圧力を掛け相手に攻める隙を与えず、バックスに繫ぎトライを量産。前半を40-0と完全に試合の主導権を握った。後半に入り、8人の選手を交代させながら終始攻撃の手を緩めず攻め続けた。力強い圧力とスピーディーな展開で相手の体力を消耗、グラウンドを縦横無尽に走り回り笛吹高を圧倒した。後半も47-0と無得点に抑え、結果87-0で快勝した。次戦準決勝は、日大明誠高を破った東海大甲府高と午前11時から同競技場で対戦する。
山梨学院高ラグビー部は、2006年の休部以来、昨年15年ぶりに復活。大学ラグビー部との高大連携で競技力を上げ、“花園”常連校の日川高校を破ることを目標にスタートし、3年生が居ないながらも着実に地力を付けている。復活1年目の昨年、全国高校ラグビー県予選準決勝で日川高校の胸を借りたが0-150と屈辱の大敗を喫し、増々打倒日川の炎が燃え上がった。日々の厳しい練習にも耐え、一回り大きくなった身体で目指すのは真っ直ぐ花園のみ。試合前、古屋勇紀監督は「ちょっと怪我人が出ているんですが仕上がりは現状では大丈夫」と明かす。初戦にスターティングの加藤賢正主将(2年)、吉野大翔(2年)、佐野涼太(1年)、小島咲汰朗(1年)が怪我治療中のため欠場するが指揮官は慌てない。1回戦の笛吹戦については、「大会1戦目で試合の入りが重要なのでしっかり勝ち切って次につながる試合をしょうとミーティングを重ねてきました。緊張感がいい意味でプレーに表れれば」と落ち着き払う。 2年目で花園は早いかの問いに、「今年は部員と指導者、大学スタッフ含めて一丸となって狙っています」と意欲を示した。
■いよいよ始まる打倒日川、花園への道ー
きれいに晴れ上がった競技会場の御勅使南公園ラグビー場は、周りの木々がわずかに色づき秋の気配を感じさせる。10月29日、山梨学院高ラグビー部復活2年目の花園への挑戦が始まった。正午丁度、始まりのホイッスルが鳴り響くと笛吹高校のキックオフのボールが高々と蹴られた。序盤、山梨学院はトライのチャンスはあるものの、小さいミスで相手ボールになり得点には至らない。8分、右サイドから左サイドに繫いだボールをゴール間際で#11WTB篠原悠士(1年)からパスを受けた留学生#13CTBジョサイアが左端にこの試合初のトライで5点を先制すると、ようやく選手の堅さが取れ、フォワード、バックスの連携が機能し始めた。続けて11分にはフォワードが圧力を掛け、特に#8リアム(1年)の猛烈な突進などフォワードの圧力で相手に攻める隙を与えず、バックスに道を開きトライを量産。前半だけで6つのトライを挙げ、#15FB平塚優斗(2年)の正確なコンバージョンゴールも5つ決め40-0と完全に試合の主導権を握った。後半、山梨学院は点差も開き、怪我の心配からメンバーを4人交代して臨んだ。開始早々1分、#8のリアムの中央ゴールライン前での強い当たりから#3PR足達将太(2年)がつないで押し込んだ。続けて4分には#6FL小林海音(2年)、9分代わった#24渡邊楓太(1年)が笛吹のディフェンスが弱くなったことからいずれも中央にトライした。11分にはキックで転がったボールを受けた#12CTB宮下悠空(2年)がハーフウェイライン付近から一気に中央にトライ。ここまで山梨学院は10本のトライに成功し68-0とした。その後も選手の交代をしながら終始攻撃の手を緩めず攻め続けた。笛吹は、山梨学院の力強い圧力とスピーディーな展開で体力を消耗。果敢なタックルでの抗戦も、山梨学院の運動量とスピードに乗った攻撃に抗えずにノーサイドの笛が鳴り響いた。縦横無尽に走り回った山梨学院は後半も47-0と無得点に抑え、結果87-0で快勝した。1年間積み上げてきた努力と涙は確実に山梨学院高ラガーマンの血と肉になってたぎる。
■山梨学院高スターティングメンバー
#1渡辺侑(1年)、#2小俣颯舞(2年)、#3足達将太(2年)、#4長谷川大輔(2年)、
#5雨宮巧弥(2年)、#6小林海音(2年)、#7初鹿野遙帆(2年)、#8LIAM(1年)、#9樋口泰(2年)、#10松原健斗(2年)、#11篠原悠士(1年)、#12宮下悠空(2年)、#13Josaia(2年)、#14芦澤涼介(2年)、#15平塚優斗(2年)◆リザーブ=#16水上雄貴(3年)、#17Manase(2年)、#18小泉俊輔(2年)、#19田形正大(1年)、#20文箭優翔(1年)、#21梅澤稟太郎(2年)、#22矢野悠斗(2年)、#23井上愛斗(1年)、#24渡邊楓太(1年)、#25三木良唯吏(1年)
◆《山梨学院高校結果》
第102回全国高校ラグビーフットボール大会山梨県予選1回戦 《山梨学院高VS笛吹高》10/29 御勅使南公園ラグビー場 |
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○ 山梨学院高 87 | 前半 40-0 後半 47-0 |
0 笛吹高 ● |
山梨学院トライ=ジョサイア、初鹿野遙帆、マナセ、小林海音4、 宮下悠空2、足達将太、渡邊楓汰、芦澤涼介、三木良唯吏 ゴールキック=平塚優斗8、三木良唯吏4 |
試合後、古屋勇紀監督は「前半の立ち上がりはやはり少し硬かったですね。試合の入りをいつも大事にしようということで試合に臨んでいるんですけど、それとは逆の形になってしまったです。(次戦は)今日の試合もそうなんですけれども、うちのチームはチャレンジャーなのでその気持ちを忘れずにしっかり向かって行きたい」と淡々と話した。右ひざ負傷のため初戦を欠場した加藤賢正主将は「良いところもあったし悪いところもあったという感じです。課題は反則とか、不必要なプレーがあって、良いところはしっかりそれをしっかり修正するなど堅いプレーでトライ、ゴールを取れたのは良かったです」。次戦に向けたは、「やっぱりメインとなるのは次の試合なのでそこに向けて、フォワードが頑張って、その頑張りをバックスがつなげてくれるというちょっとしたことですけど、チームとしての連携とかそういうところでチーム力でしっかり勝ちたいと思っています」と次の関門、東海大甲府戦を睨む。ゲームキャプテンを務めたSHスクラムハーフの樋口泰選手は「ひとり一人の個の力で相手との一対一を圧倒できたんですが少し課題もあります。細かい部分のスキルのミスだったり、後はゲームをコントロールするスキルが少し足りない部分も自分自身も含めてあるのでチーム全体で仕上げて来週の試合につなげていきたいと思います。今回と同じように個の力で圧倒してチーム全体でしっかり勝ちにいきたいと思います。どちらが来ても問題ないです」と力を込めた。
次戦準決勝は、日大明誠高を破った東海大甲府高と午前11時から同競技場で対戦する。
文(K.F) カメラ(藤原 稔) 2022.10.29