●第102回全国高校ラグビー山梨県予選準決勝
~山学高、東海大甲府に敗れ花園の夢は来年に~
~今は自分たちの力を認識し、そこからスタート~
11月5日、「第102回全国高校ラグビー山梨県予選」準決勝が南アルプス市御勅使南公園ラグビー場で行われた。復活2年目の山梨学院高は1回戦笛吹高に圧勝し、2回戦準決勝に昨年度準優勝の東海大甲府高校と対戦した。前半序盤、東海は開始早々、山梨学院22mライン内に攻め入りゴールライン前の激しい攻防に山梨学院は我慢を重ねたが6分、ついに最初のトライを許した。なおも東海は10分、15分と、ロングキックボールで一気に陣地を挽回しトライにつなげ主導権を握った。その後も山梨学院は、東海フォワードの圧力とバックスのスピードに押され精彩を欠き1トライを失い、終盤反撃に転じるも実を結ばず0-24とリードされた。後半に入り、東海はキックオフ早々に再びゴール前まで攻め入りトライを奪い0-31としたが、山梨学院も反転攻勢を開始。8分、#15平塚優斗の22mライン内へのタッチキックから好機を生み出し、#8リアムの果敢なトライで5点を返えした。ようやく攻撃のリズムをつくると波状攻撃で相手を追い詰める場面に、ノックオンのミスなど不用意なプレーで得点機を逸した。それでも22分、スクラムハーフから出たボールを左に展開、最後は#12宮下悠空、#11篠原悠士とつなぎトライ。10-31と差を縮めたがその後、東海も攻撃の手を緩めず1トライを重ね12-38でノーサイド。山梨学院は準決勝敗退で大会を終えた。花園出場の夢は来年に持ち越された。
■前半、立ち上がりの速攻と自軍の好機もミスから相手に付け込まれるー
打倒日川高を掲げ、花園出場を目標に復活2年目の山梨学院は開幕戦の笛吹高に圧勝した。その勢いに乗り、この日、準決勝で前回大会準優勝の東海大甲府戦に挑んだ。試合は午前11時、山梨学院のキックオフで始まった。左から右へ攻める山梨学院のキックオフで始まった。開始1分、自陣22mライン内にキックで入れられ、ラインアウトからゴールライン前でのモール、ラックで執拗に押し込む東海に対して山梨学院フォワードが必死の防御で抵抗。しかし、膠着状態が続いた6分、ついに押し切られ初トライを許した。その直後、山梨学院は攻め込む東海のキックをチャージしマイボールにするもミスから一転、相手の攻撃を受け、東海は10分、キックボールから一気に陣地を挽回しトライにつなげると、15分にも同じようにロングキックボールを蹴りだし、そのボールを山梨学院が押さえるより速く拾いあげ3本目のトライを奪った。山梨学院はその後も主導権を奪った東海フォワードの圧力とバックスのスピードに押され精彩を欠き、23分には再びゴールライン前の攻防から1トライ奪われた。終盤、相手22mライン内への攻め込みや、#8リアムの猛烈な突進での反撃の好機にも反則を取られ、あと一歩及ばず前半を0-24で後半が終了。
ハーフタイムの古屋勇気監督は「前半のミス、点数はいいから後半の頭からしっかり行こう。弱気になる自分を捨ててきなさい。グラウンドに」と選手を送り出した。
■後半、追撃するも前半の差が響くー
東海のキックオフで始まった後半、開始早々に再びゴール前に攻め込まれスクラムで押し込まれ4分、最後はラックから後半初めのトライも東海に奪われ0-31となった。一方の山梨学院も好機はつくるも、東海のディフェンスの圧力の前に好機をつぶされなかなかトライを奪えずに来た中盤、#15平塚優斗のナイスタッチキックから得たラインアウトを起点にパスをつなぎ#8リアムの初トライで5点を返えした。攻撃のリズムを取り戻した山梨学院はさらに波状攻撃を仕掛け、#13ジョサイアや#8リアムは、相手タックルをものともしない突進でトライの好機をつくるも味方のノックオンミスや反則など、不用意なプレーで得点機を逸した。しかし、山梨学院ペースで進む22分、小柄なスクラムハーフ#9樋口奏から出たボールを左に展開、#12宮下悠空のパスをしっかり受け止めた#11篠原悠士がトライ。10-31とした。その後、終盤に東海も県内強豪の強さを見せ1トライを重ね12-38でノーサイド。山梨学院は準決勝敗退、3位で大会を終えた。準決勝のもう1試合、日川高と甲府工業高の対戦は甲府工業が棄権したため、13日に行われる決勝戦は日川高と東海大甲府高の対戦となった。
■山梨学院高スターティングメンバー
#1渡辺侑(1年)、#2小俣颯舞(2年)、#3足達将太(2年)、#4長谷川大輔(2年)、
#5雨宮巧弥(2年)、#6小林海音(2年)、#7初鹿野遙帆(2年)、#8LIAM(1年)、#9樋口奏(2年)、#10松原健斗(2年)、#11篠原悠士(1年)、#12宮下悠空(2年)、#13Josaia(2年)、#14三木良唯吏(1年)、#15平塚優斗(2年)◆リザーブ=#16水上雄貴(3年)、#17Manase(2年)、#18小泉俊輔(2年)、#19文箭優翔(1年)、#20田形正大(1年)、#21梅澤稟太郎(2年)、#22矢野悠斗(2年)、#23渡邊楓太(1年)、#24程原壱茶(2年)、#25芦澤涼介(2年)
■交替:#4長谷川大輔⇒#19文箭優翔、#3足達将太⇒#16水上雄貴、#15平塚優斗⇒#25芦澤涼介
◆《山梨学院高校結果》
第102回全国高校ラグビーフットボール大会山梨県予選 準決勝戦 《山梨学院高VS東海大甲府高》11/5 御勅使南公園ラグビー場 |
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● 山梨学院高 12 | 前半 0-24 後半12-14 |
38 東海大甲府高 〇 |
山梨学院トライ=#8LIAM、#11篠原悠士 コンバージョンキック(ゴールキック)=平塚優斗 東海大甲府トライ=4、コンバージョンキック=2 |
試合後、選手を前に梶原宏之総監督は「お疲れ様。やってきたことはいくつかできたところもあるので、そこは自信も持って。ただ、まだまだ強くはない。ブレイクダウン(ボールの争奪)にしても、一人一人のボールコントロール、ボディコントロールをしっかりつくっていかないと。ここからは負けられない公式戦がずっと続くわけだからしっかりやっていかないと」とさらなる意欲を求めた。インタビューで古屋勇紀監督は前半ゼロ点に抑えられたことについては、「ミスが、ペナルティ含めてミスが出てしまったのでペースを取れなかった。特にペナルティがこちらに非常に多かった。ペナルティが多いということはやはりどこかで東海さんのプレッシャーを受けている故に出てしまうので、特に競っているところで負けてしまった。(相手チームは)よく鍛えられていてブレイクダウンに集まりも早かったですし、その辺もうちが上回ることができなかったので、スコアに繋がらなかった」と敗因を語った。「ここまで準備してきたことは出ていたので次につながると思いますが、まだフィジカル面ではまだまだ劣っているのでその辺の基礎作りですかね。そこからもう一度やり直していきたい」と課題を挙げた。今大会出場ができなかった加藤賢正主将は「今までやってきたことを100%やれれば勝てた試合だったし、やっぱりそれをグラウンドで表現するというのは難しいなと思ったことが大きかったです。例えば良かったところは、ディフェンスでラインをアップして相手にプレッシャーを与えるとか、しっかりタックルに入るとか、良いタックルも何本もあったし、結構みんなハードワークして頑張ってくれたところと。悪かったところは、ファーストトライが取れなく、反則が多くて中盤の反則とかでゴール前に行かれたりで前半、結構自分たちを苦しめてしまったところがあるのでそこを修正してまた頑張りたい」と試合を振り返った。
復活2年目、古屋勇気監督は「まずは今、みんなの力はここだと受け取ることが第1歩。そこさえ認識できたら次に何をやらなきゃならないかが出てくる。まずはしっかり認めよう。そこからスタートしよう。下を向くな」と語りかけた。
文(K.F) カメラ(藤原 稔) 2022.11.5