●第101回全国高校サッカー選手権山梨大会
~山学が準決勝で笛吹と対戦し逆転で勝ち切る~
~全国まであと1勝、決勝は帝京第三と対戦~
第101回全国高校サッカー選手権山梨県大会準決勝が11月5日にJITリサイクルインクスタジアムで行われ、山梨学院高は笛吹高と対戦した。試合は、前半序盤から一進一退の攻防で両者譲らず、無得点の時間が続き、0対0で前半を折り返す。後半に入ると山学が攻撃のテンポを上げ、立て続けに決定機を演出したが、これまで無失点の笛吹の堅守が上回り、ゴールを割ることができない。山学が攻勢を強めていた中、試合の均衡が破れる。18分、笛吹が左サイドから攻撃を仕掛け、先制ゴール。追いつきたい山学はMF小日山滉生(2年)を投入。MF小日山は交代直後の21分、右サイドからのクロスに合わせ、右足を振り抜き同点に追いつく。さらに23分、相手DFの背後から抜け出したFW小尾丞斗(3年)のシュートで山学が逆転に成功。その後は笛吹も選手交代で攻勢を強めたが、山学が追加点を許さず、2対1で勝ち切った。3連覇がかかる決勝は11月12日に帝京第三高と対戦する。
年連続8度目の選手権出場を目指す山梨学院は、プリンスリーグ関東への参戦に伴い、準々決勝からの登場。準々決勝では日本航空高と対戦し、多彩な攻撃から4対1で勝利を収めた。対する笛吹高は初戦・3回戦を甲府城西高に1対0、準々決勝を甲府商業高と対戦し、0対0からPK戦の末勝利し、準決勝に駒を進めた。山学は今季、羽中田昌新監督を迎え、県総体・インターハイ予選と県内2冠を達成。四国インターハイでは、初戦を尚志高(福島代表)と対戦し、1対1からPK戦に突入し5対4と勝ち切り2回戦に進出。2回戦は四日市中央工高(三重県代表)に1対2と競り負けた。県決勝まであと1勝、昨年の選手権、今夏のインターハイの悔しさを晴らすためにも負けられない1戦は山学のキックオフで始まった。
第101回全国高校サッカー選手権山梨県大会 準決勝 ≪山梨学院高VS笛吹高≫ 2022.11.5 会場:JITリサイクルインクスタジアム |
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○ 山梨学院高 2 | 前半 0-0 後半 2-1 |
1 笛吹高 ● |
山学得点者:小日山滉生、小尾丞斗 |
前半序盤から一進一退の攻防で両者譲らず、オープンな試合運びとなった。山学は体調不良者がおり、準々決勝からメンバーを入れ替え、ベストメンバーでない中試合に臨んだが、FW栃尾瞭太(3年 GAフロンティア大阪)を起点に攻撃を仕掛ける。一方の笛吹は、枚数を掛けた守備でボールを奪うとサイドを使い丁寧に前線にボールを運び、シュートまでつなげる。前半28分、右サイドの深い位置からMF小棚木蒼大(3年 鹿島アントラーズジュニアユース)がロングスローでゴール前にボールを入れ、こぼれ球をMF小棚木自身がシュートを放つも笛吹GKの好セーブで得点は奪えず。その後も攻撃を仕掛けたが、これまで無失点の笛吹の堅い守備に阻まれ、無得点の時間が続く。前半終了間際には左サイドからDF鈴木琉斗(1年 クラブ与野)がゴール前にクロスを供給。最終ラインから走り込んだDF歳藤稜久(3年 名古屋グランパス三好)がシュートを合わせたがボールはゴール右に。両校得点を奪えず、0対0で前半を折り返す。後半に入ると山学が攻撃のテンポを上げる。後半3分、8分、12分と立て続けに決定機を演出したが、笛吹の堅守が上回り、ゴールを割ることができない。山学が攻勢を強めていた中、試合の均衡が破れる。18分、笛吹が左サイドを崩し、ゴール前にクロスを入れ、山学DF陣がこれに対応できず、笛吹が先制。追いつきたい山学はMF小日山滉生(2年 FCあきた)を投入。MF小日山は交代直後の21分、中盤でボールをさばき、右サイドへ展開。MF小日山はそのままゴール前へ走り込み、右サイドのDF向山悦生(3年 松本山雅FC)からのクロスに合わせ、右足を振り抜き同点に追いつく。さらに23分、飲水タイム明けのプレーで笛吹陣内中盤でMF小棚木が空中戦を制し、ボールを前線に。これを相手DFの背後から抜け出したFW小尾丞斗(3年 レドンドFC)が収め、笛吹GKを交わしてシュートし、山学が逆転に成功。その後は笛吹も選手交代で攻勢を強めたが、追加点を許さず試合終了。山学は、笛吹の堅守や球際の強さに苦しめられながらも猛攻をしのぎ、2対1で勝ち切った。
試合後、苦しいゲームとなり、厳しい表情の羽中田昌監督は「ここまで勝ち上がってきた相手の勢いを跳ね返すことがなかなかできずに、苦しんだ内容になってしまった。そういった中でも相手にゴールを奪われた時に、下を向かずに盛り返す力、逆転する力を表現することができたことは良かった。必死な思いがある中で、どうプレーに表現するか、もう一度ゼロからのつもりで、残り1週間のトレーニングで一つ一つのプレーを積み上げて、精度を高めて決勝に臨みたい」と語った。宮岡拓海主将は「笛吹高校は球際や最後の粘り、ハードワークなど素晴らしいチームで、自分たちもスタジアムの雰囲気にのまれてしまい、難しさがありました。シーズン通して失点されることも多く、跳ね返す力は持っていると思っていましたが、選手権の一発勝負の中で、少し焦ってしまう部分もありました。体調不良者などでメンバーが準々決勝と異なりましたが、年間を通して、トップチームとサブチームが同じサッカーをしてきたので、その部分での不安はありませんでした」と試合を振り返り、決勝に向け「自分たち3年生は、1、2年時の選手権で出場機会があまりなかったので、みんなの想いが報われるように、僅差の勝負や球際の泥臭さを見せ、3年連続の全国の舞台、また今年の3冠を目指してチャレンジャーとして頑張りたいです」述べた。同点ゴールでチームに活力を与えた小日山滉生選手は「失点直後の投入だったので、3年生にこれで終わらすわけにはいかない、自分が流れを変えてやるという気持ちで試合に入りました。練習の時からライン間で受ける意識は持っていたので、うまく活かすことができてゴールにつながりました。決勝も出場機会があれば、得点を取れるように頑張りたいです」と語った。決勝点を決めた小尾丞斗選手は「インターハイ後から出場機会が限られ、悔しい気持ちがあったので、今日はスタメンで出られたので気持ちを込めて出場しました。点を取る前から、小棚木選手が競ったボールのセカンドボールを拾って得点に繋げることを狙っていたので、狙い通りに走り込んで最後しっかり決めきることができて良かったです。チームとしても個人としても全国優勝を目指しているので、決勝はその通過点として、しっかり勝ち切って全国に向かっていきたいです」と話し、全国に向け気持ちを新たにした。
県内3冠、3年連続の全国の舞台まであと1勝。決勝の相手はこれまで10度の選手権出場を誇る帝京第三高。運命の1戦は、11月12日、JITリサイクルインクスタジアムで12時05分キックオフで行われる。
文(Y、Y)、カメラ(今村佳正)2022.11.5