●第101回全国高校サッカー選手権山梨大会 決勝
~山梨学院と帝京第三が対戦、延長戦の激闘を山学が制す~
~山学が2対1で勝利、3年連続9度目の選手権切符獲得~
第101回全国高校サッカー選手権山梨県大会決勝が11月12日にJITリサイクルインクスタジアムで行われ、大会3連覇を目指す山梨学院高は帝京第三高と対戦した。前半立ち上がりは拮抗した試合展開となったが、9分にロングスローのセットプレーで山学のクリアミスからオウンゴールを献上。1点ビハインドの山学は、攻撃の強度を強めたが、帝三の堅守を崩せず我慢の時間が続く。一進一退の攻防が続いた前半終了間際、FW野田駿人(3年)のシュートのこぼれ球をFW小棚木蒼大(3年)が押し込み同点に追いつく。後半は両校選手交代などで攻撃の流れを変えようとするが、前半同様堅い試合運びとなり、勝負の行方は延長戦に。延長後半3分、ついに試合の均衡が破れる。CKのクリアボールをMF臼田康太郎(3年)が後ろから走り込み強烈な勝ち越し弾で2対1とリード。山学守護神GK廣瀬大翔(3年)を中心とした守備陣が最後まで集中力を切らさず守り抜き、MF臼田のゴールが決勝点となり、試合終了。山学は延長戦までもつれ込んだ激闘を2対1で制し、3年連続9度目の選手権切符を獲得した。
全国まであと1勝。山梨学院は、ここまで初戦・準々決勝で日本航空高と対戦し、攻撃力の高さをみせ4対1で勝利。続く準決勝は笛吹高と対戦したものの、先制され、2対1の逆転勝利で決勝に名乗りをあげた。対する帝京第三高は初戦・3回戦を甲府工業高に5対1、準々決勝を韮崎高に2対0、準決勝では、駿台甲府高に延長戦の末、3対1で勝利し決勝に駒を進めた。帝三は今季、県ユースリーグでも強固な堅守で無敗王者に輝いている。これまで10度の選手権出場を誇る帝京第三との1戦は12時05分、山学のキックオフで始まった。
第101回全国高校サッカー選手権山梨県大会 決勝 ≪山梨学院高VS帝京第三高≫ 2022.11.12 会場:JITリサイクルインクスタジアム |
||
---|---|---|
○ 山梨学院高 2 | 前半 1-1 後半 0-0 延長前半 0-0 延長後半 1-0 |
1 帝京第三高校 ● |
山学得点者:小棚木蒼大、臼田康太郎 |
■オウンゴールで先制を許し、FW小棚木のゴールで同点に追いつく。
前半序盤は互いにロングボールを入れ合い、球際の激しい競り合いでセカンドボールを回収。シンプルにボールを運び、深い位置ではロングスローからゴールを狙った。山学は再三帝三ゴールを目指すが、堅守が武器の帝三DF陣に阻まれ、得点は生まれない。9分、帝三がロングスローからボールをゴール前に入れると山学がクリアミスからオウンゴールを献上。帝三が先制し、1点ビハインドの山学は、攻撃の強度を強め、11分には右サイドを崩し、主将のMF宮岡拓海(3年 東京久留米FC)のクロスにMF小棚木蒼大(3年 鹿島アントラーズジュニアユース)がシュート。ボールは僅かにゴール右にそれる。その後も立て続けにCKのチャンスを掴むが帝三GKの好セーブなどに阻まれてしまう。32分には左サイドでボールを繋ぎ、FW野田駿人(3年 インテリオールFC)がPA内にカットインし、ミドルシュート。これも帝三GKの鉄壁の守備に阻まれる。一進一退の攻防が続く前半終了間際、自陣でプレスからボールを奪うと右サイドに展開。FW五十嵐真翔(2年 大谷場中)が華麗なドリブルで相手DFをかわし、ゴール前にグラウンダーのクロスを供給。FW野田が逆サイドから走り込み、シュートを打ち、帝三GKにブロックされたがこぼれ球をMF小棚木が押し込み同点に追いつく。
■堅い試合展開。延長後半3分、MF臼田が勝ち越し弾。
1対1で前半を折り返すと後半は選手交代などで攻撃の流れを変えようとするが、前半同様両校一歩も譲らない堅い試合運びで、勝負の行方は延長戦に委ねられた。延長前半はオープンな試合展開で両校球際の強さや粘り強い守備を見せ、無得点で延長後半へ。延長後半3分、ついに試合の均衡が破れる。左CKのクリアボールをMF臼田康太郎(3年 FCヴィアージャ)が後ろから走り込み強烈なミドルシュート。ボールは相手DFにあたったものの帝三ゴールに入り、貴重な勝ち越しゴール。その後は、山学守護神GK廣瀬大翔(3年 アンフィニMIKI・FC)を中心とした守備陣が最後まで集中力を切らさず、献身的な守備でゴールを守り抜き、試合終了。この日、山学は相手の倍以上の11本のシュートを打ち込んだが、帝三の堅守を崩すのは容易ではなかった。山学は延長戦までもつれ込んだ激闘を苦しみながらも2対1で制し、3年連続9度目の選手権切符を獲得した。
試合後の羽中田昌監督は「素晴らしい対戦相手の帝京三高さんは本当に力強く見事なチーム。このチームに逆転勝利したことに凄く価値があったと思う。一つ一つの積み重ねが優勝という結果に繋がった。県内の熱戦を勝ち抜いたことは怒りと喜び、感謝が(プレーの根底に)あった。この3つを持って、やるからには優勝を目指し、全国で大暴れして楽しんできたい」と述べた。 前線で体を張り、同点ゴールを決めた小棚木蒼大選手は「自分たち3年生が新チームになって目標としてきた3冠を達成できて本当に嬉しいです。全国では日本一目指して頑張りたいです」と喜びを語り、決勝点を決めた臼田康太郎選手は「(決勝ゴールについて)家族や選手、スタッフみんなに感謝して、思いを乗せてシュートしました。(全国に向けて)選手権は小さいころから夢見ていた舞台なので、プレーで家族に恩返ししたいです」と率直な思いを語った。宮岡拓海主将は「前半早い段階で失点してしまいましたが、今シーズンは先制されることが多かったので、失点後に焦るということはなく、いつも通りのプレーをすることができました。1点目は練習してきた形が狙い通りに出せて、狙い通りのプレーができたので、最後まで自分たちのプレーをすることができました」と試合を振り返り、優勝の瞬間について「凄く嬉しくて、初めて嬉し泣きをしそうになりました。試合終了の笛は今まで感じたことのない感情で幸せな気持ちになりました」と話した。全国に向け「県予選で素晴らしいチームと戦うことができ、自分たちもレベルアップすることができたので、この優勝を自信に変えて山梨県王者として恥じぬ戦いをして、日本一を取りたいと思います」と意気込みを語った。
試合後の表彰式では山学にフェアプレー賞が贈られ、大会優秀選手に山学から廣瀬大翔、歳藤稜久、小棚木蒼大、吉本堅翔、宮岡拓海の5名が選出された。学校初の県内タイトル3冠(県総体、IH予選、選手権予選)を達成した山梨学院。9度目の選手権となる第101回全国高校サッカー選手権は11月21日に組み合わせ抽選が行われ、12月28日、聖地・国立競技場で開幕する。
文(Y、Y)、カメラ(平川大雪)2022.11.12